一年以上もの期間が開いてしまい。申し訳ないです。orz
他のことに浮気したりとかやっちゃちとか地上に降りたナマケモノくらいの執筆スピードですが
細々と書き溜めていますので。
取りあえず六話自体は書き上げていますので次話は明日投稿します。
日没直前、ついに作戦実行のときが来た。だが事前に聞いた施設の警備よりもより多くの戦力が配備されている。それは此方の襲撃が読まれているのだろう。実際に隣で見ていた涯の表情は苦い。だけどそれで止まるわけにはいかない。
「作戦開始……」
静かに涯の言葉によって作戦が開始された。葬儀社の皆が施設に向かって襲撃を開始した。
作戦通りに潜入に成功した。みんなが外では激しい戦闘音が潜入した今でも響いてくる。
潜入メンバーは絞りに絞って四名。リーダーの涯、次に身体能力が高く、アルゴと同じくらいに白兵戦に優れたいのり。三番目にはツグミにも勝るとも劣らないハッキング技術と爆発物の扱いに優れ、破壊工作の得意な城戸研二。そして王の力を持つ俺だ。
進入経路は物資搬入エレベーターから。ほかのメンバーが陽動している間に侵入するだけのこと、だけどついていくのでいっぱいいっぱいだった。今までは巻き込まれたに近い形で戦いに投じてきたけど今回は自分から進んでいった状態での作戦。正直言ってなめていた。意志が違った、熱気が違った、想像よりも遥かに違った、凄惨な光景のそれに呑み込まれていた。極度の緊張が大幅に体力を削ってくる。
そのせいでひとまずの安全地帯に当たるエレベーターで座り込んでいた。息も荒くなっているし、汗も出ていた。完全に戦場の空気に気圧されてしまった。
「大丈夫か? 作戦は遂行できるか?」
そんな様子に涯は俺にやさしく声を掛けてくれた。いのりも声こそ掛けないけど目がこれ以上ないくらいに心配してくれているのを語っていた。城戸は情けないなぁとそんな侮蔑を込めた視線だった。
「降りきるまで休憩させて……すこし……戦場の空気に呑まれた……自ら進んで出たの、初めてだから。結構クる」
普段なら意地でも強がりたいところだけどそんな僅かな誤差が命取りになりかねない状況下では素直に答えておく。いや、強がるほどの余裕もないみたいだった。
「わかった。落ち着いていけ、お前なら大丈夫だ」
そう優しくかけられた言葉で落ちついた……涯に言われるとどこか安心してしまう。これがカリスマなのだろうか? あと城戸、まだ経験がすくないんだから勘弁しろ。すまないないのり、心配かけたみたい。
その後のエレベーターを降りて進んだ先は予想通りのアンチボディズによる手荒い歓迎だった。曲がり角を曲がろうとした直前にいきなり涯に襟を引っ張られた。急に首元を締め付けられて咳き込んでしまう。
「ゴホッ!……いきなりなにを」
反論しようとした途端、俺が進んでいたであろう場所に何十発もの弾丸が通り過ぎていた。あのまま進んでいればハチの巣にされていただろう。涯が手出ししなければ俺がそうなっていただろうことがわかる。
「ありがと、助かった」
涯に短く礼を言った後に即座に行動に移る。自分達も黙っているわけじゃない、反撃する…………それによってGHQの兵士が血飛沫を上げて倒れていく。銃に撃たれて唯の肉の塊になったものが出来た。血が流れる凄惨な光景に胃から気持ち悪いものが込み上げていく、意識が遠くなる気がし、それに足場があやふやになるような幻覚がする。だがそれを強引に抑え飲み込む。俺も同じことをしただろ! 今までは直接見なかっただけで六本木の時だってやっただろう! だが意思に反して体は吐き気を訴えてくる。
「何? 人撃ったの初めてなの?」
戸惑っている俺に対して城戸は死体を見ても平然としていた見慣れているものと見慣れていないものの差なのだろう。素直に見たことあるが直には初めてだと簡潔に答えておく。研二は軽く確認して。
「ふうん、だったら早く慣れなよ。あんな光景が日常になるんだし、自分からも殺るんだしさ。バンバン、いやドッカーンが楽しいかな」
楽しんじゃえと城戸が言っている。だけど、その言葉がどうしようなく耳障りに聞こえた。生理的にそれは受け付けてくれるわけがない。
「うるさい……」
変わって捨てた部分もある。だけどこれは捨てたらいけない一線だと感じていた。慣れては、楽しんじゃいけないと直感していた。俺であるための越えてはいけないために。
「あっそ、でも早くなれたほうがいいよー」
城戸は俺が弄りがいがないとわかるとすぐに興味をなくしてまだ行く手を塞いでいるGHQの兵士に向かって手榴弾を投げつけ、その数秒後に爆発。通路にいた兵士は居なくなり。代わりに通路が紅く染まっていた、その光景に気持ち悪いなにかが込み上げて、ふらつく気がしたがまた強引に飲み込んで進んでいった。
だが此処はアンチボディズの最重要施設。表の陽動で大部分がそっちに釣られているがまだまだかなりの兵士が残っていた。俺たちも応戦しているがいかんせん数が多い。
「くそっ! 数が多くて先に進めない!」
強引に突破するのは難しいほどの敵が押しかけてくる。俺もただ黙ってやられるわけにいかない、応戦する。放った銃弾によって崩れ落ちていく兵士。また気持ち悪いものがこみ上げてくるけど無視して扉のふちに隠れて反撃をやり過ごす。だがいくら反撃しようがこちらはたったの四人で数で押されてはどうすることもできない。ジリ貧になりかける前にいのりが言葉を発する。
「ここは私に任せて先に行って」
いのりが囮を提案したのだ。今、重要なことは俺と研二をコアルームまで送り届けること。いのりが囮として敵の注意をひきつけるの合理的な判断だ。ただし、その分いのりに危険が集中しまう。涯も戸惑いはあったけど。
「……好きにしろ」
どうしても損害が少なくコアルームへと到達するには一番の手であるために許可した。俺も反対したい気持ちはあるがいまは作戦を優先させなければならない。だからこそ言えるのは一言だけしかなかった。
「わかった。いのり、無事に戻ってくれ。それだけだ」
ただ無事でいてくれ。それだけだ。いのりはただ短くうなずくと行き、俺も涯たちとともにその反対の方向へと駆け出した。銃撃の音を後ろから聞きながら。
辿り着いたコアルームは広く伽藍としていた。円柱形の部屋の周りに機材があったのと中央のガラスケースに浮いているコアが一つに周囲を廻っている三つの小さなコアはまるで天体と衛星のようだ。
「涯、細かいことはどうすればいい?」
既に研二から重力操作のヴォイドは抜き出してある。だが知っているのはそれを使って操作することだけだ。どう操作すればいいのか知らない。返答はゴーグルを差し出した。
「これでお前の立ち位置からコアをどう動かしていいのか割り出してくれる」
了解と短く返し、直ぐにでもゴーグルを装着しすぐに作業を始める。ゆっくり確実に、しかしできる限り迅速に涯の指示に従ってコアを操作する。このハッキングが無事に終わらせるために。
だが、現実はえしてうまくいかないものである。順調にハッキングを進めていくなかで厄災は唐突に訪れてくる。
いよいよコアの操作も終わりに近づいてきたときだ。涯も指示を出しながらコアルームへの唯一の入り口に敵が来ないか警戒していて、今ここに突入されても無事に作業を終わらすまで進んだとき、突如。
『Hello!!』
行き成り天井が崩れゴーチェが強襲してくる。声からしてダリルが操っているのだろう。くそ、後ちょっとって時に来てくれるんだよ! そのせいで警戒ランプが鳴り響いてコアが自閉モードへ移行している。
「涯! そいつは頼む!」
だが移行し始めただけだ。今なら作業を完了させればなんとかなる。あのゴーチェは涯に任すしかない。城戸? ヴォイド取り出したからそこらに転がってる。
『Fuck off! Guy!』
幸いにもダリルは涯に執着しているみたいでヴォイドで操作している俺には目もくれていない。まったくではないがある程度は存在を無視して作業を続けることが出来た。
『YHAAAAAAAAA!!』
だが近くで銃声が響く。容赦なく弾丸が撃ち込まれ戦闘の激しさを物語、いつこっちに流れ弾が来ないか不安に感じる。
「間に合ってくれよ!」
だがそれ以上にあと少しで作業は完了する。
「よし!」
だが敢えてもう一度言おう、現実とはえして上手くいかないものである。
『HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!』
最後の操作を終えようとした時、いきなり狂ったように笑い声が聞こえた直後、コアが入ったガラスケースに銃弾が数発撃ち込まれた。
「なっ!?」
あちらの方を見ればゴーチェが倒れる光景だった。最後の苦し紛れの抵抗なのだろう。俺にとっては最悪の置き土産だった。バチバチと嫌な感じがするコアを尻目に俺は駆け出した。涯も城戸を乱雑に引っ張っている。
入り口付近まで駆け出したあと、コアルームは爆発した。その衝撃がグラグラと揺れ、コアルームは跡形もなく壊れた。その衝撃で揺らされ、隣を見れば涯が気絶していた。
「くそっ!! 最悪の事態だ!!」
そのことの悪態をついた。この後の展開を知っている俺は涯よりも速くツグミへと連絡をかける。繋がるのか不安があったが問題なく繋がる。
「ツグミ! 聞こえるか? ツグミ!」
『なに!? どうしたの集!』
「最悪の事態だ! コアルームが破損した! ルーカサイトはどうなっている!? 教えてくれ!」
俺の怒鳴り込みような声に動揺しながらもコアルームの破損という事態を把握したのようで直ぐに行動を始める。
「集、あとは俺がやる。代われ」
いつの間にか涯が起きていたので大人しく代わる。その後ツグミと涯がルーカサイトの対処に。だが言い出せなかった。もしかしたらと一抹の思いに期待してしまった。
『…………駄目。衛星砲も間に合わない……』
通信から漏れ出てくるツグミの険しい声色が物語ってくる。
『逃げて!! ここにルーカサイトが質量を保持して墜ちてくる!』
だが現実……いや、物語は残酷で筋書き通りにルーカサイトは墜ちてくる。
同時に、涯の呆然として崩れ落ちる姿が見えた。
俺は理解してしまったのだ。原作では集がルーカサイトの発射装置を見せていたからこそあの手段をとることができたのだと。
けど、俺は涯にあのペンを全く見せてはいない。故に今の涯には原作での最終手段が選択肢から最初からない。詰みなのだ。諦めてしまったのだ。原作通りだ。だが最後の足掻きをなかったことにしてしまったのだ。ほかでもない俺自身が、原作を、未来を、どうなるかを知っている、いや、知っているからこそだ。
だからこそ俺は……
「涯」
「なんっ!? がはっ」
涯の鳩尾を殴り、強制的に気絶させた。そのまま再度ツグミを通信をとる。
「ツグミか? 今、涯は通信に応えられない。だから代わりにしている」
『え!? 』
「ツグミ……一つ、確かめたいことがある」
『何? もう打つ手はないのに……』
インカムを通じて聞こえてくるツグミの声には諦めが混じっていた。それも当然だろう、すでに涯と対処法を講じようとしたが無駄で逃げるしか方法は残されていないのだから。
「他のルーカサイトとこの座標の直線上に墜ちてくるルーカサイトが通る時間を割り出してほしい」
『……でも、こんなこと判ってもどうすることも出来ないんだよ』
「…………判るってことはそのポイントが存在しているってことなんだよな? 答えてくれ、ツグミ」
諦めつつも何時そのポイントを通るのかを秒単位で正確に教えてくれる。示された時間はかなりの余裕があった。十分に行動に移すことができる。逃げることを勧めるツグミに俺は意を決して語る。
「いや十分だ。方法はある」
そう、いままで使わないで欲しかった方法。綱渡りと同然だが方法がある、と言い切った俺の言葉にツグミは驚いていた。
『本当に!?』
それはそうだろう。完全に詰みの状況の中で起死回生の手段があったのだから。彼女は湧いた。
「ああ……だからこそ、アンチボディの嘘界=S=ヴォルツにコンタクトを取りたい。頼めるか?」
けれど……彼にはどう映るのかはわからない。彼女たちと同じ希望なのか、それとも贖罪なのかはわからない。