ギルティクラウン -Fake Crown-   作:SUMI

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顕出:void-sampling-phase1

さてあの出来事から三日たった現在、俺は何しているかといえば……

 

「……zzz」

 

寝ていた。ちょっと疲れたんで寝ていた。学校で今HR中であるけど寝ている……あ、授業になったらちゃんと起きるから問題ないさ。つーことでおやすみ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、起きろよ。集」

 

「ん~? どうしたんだ? なんかあったのか、谷尋?」

 

「……お前、ずっと寝ていたのか?」

 

「そうだけど? それがなにか?」

 

「いや、なんでもない」

 

なんか微妙そうな顔している。何故に? と思いつつなんか視線を感じたので視線を横にずらしたら人だかりが出来ていて、その中心に女子用の学生服を着たいのりがじっと俺を見ていた…………ああ、あのイベントか。それにまったく気づかずにそのまま寝ていたわけね。

 

「ああ、なるほど。そうゆうことか……俺って案外神経図太いみたいだな」

 

彼女が転校してきてクラスの男達がイヤッフゥゥゥゥとか叫んでいるのに俺はずっと寝ていたわけね。

 

「そうだな。でさっきから集をずっと見ているんだがなんかしたのか?」

 

さて、どう答えようか……谷尋はすでに俺が葬儀社と接触している情報を入手しているし下手に答えて確信させたらまずいしな……仕方ない、誤魔化すか。と言ってもすぐばれそうだけど。

 

「んー……あれか? 偶然彼女が不良に絡まれていたんで助けたからじゃね」

 

「…………そうか」

 

そう答えた俺に谷尋はあえて追求しなかった。谷尋は確実に嘘であることにわかっているのに。お互いに深いところまで踏み込まない。だからこそ友達でいられるのだから。そんな微妙な距離感がありがたかった。

 

「あー、すまん谷尋。みんなが暴走しかけているから止めてくれない? 彼女と知り合いの俺が行くと火に油注ぐことになるかもしれん。頼む」

 

「了解。後でジュースでもおごってくれよ」

 

「ん、わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方、さっさと家に帰宅したんだが……

 

原作どおりの展開でちょうどよく俺が家の鍵を空けようとしたときにいのりが当然のように家の鍵を空けたんだ。なんともいえない状況で家の鍵が空いた音がやけに大きく聞こえた。

 

「…………あの、いのりさん? 何故に俺の家の鍵を開けれるんだ?」

 

俺の質問をスルーして家の中に入っていくいのり。入ってすぐのところには彼女の私物というか生活必需品が入ったダンボールが数個固まって置かれている。完全にうちに引っ越したと示していた。

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

まるで自分の家のようにずんずん進んでいく彼女。原作知識でこうなることは知っていたとは言え、流石にこうも当然のごとく家に上がられたら困るさ! 彼女を追いかけようとしたら……

 

「ウヴォァ!……痛い……」

 

何かにつまずいて盛大にこけてしまった。しかも顔面からの痛いコース。痛さで奇声出ちゃったし。ともかくいのりを追いかけてリビングまで追いかけたら。着替えている彼女の姿がががが

 

「ちょ、いくらなんでも無防備すぎるってぇあばばばばばばばば!?」

 

急いでリビングから出ようとしたら体中に電撃が奔り、どっかのギャグ漫画のように黒焦げに。おそらく口と頭の頂点から黒い煙が出ているのがなんか簡単に想像できた。そのままぱたりと倒れる。

 

「なんで…………お前の仕業か、ふゅーねる」

 

倒れたからこそ原因が判った。さっきのつまづきもふゅーねるの仕業だったらしい、しかも現在アームをスタンガンのようにバチバチしているし、おい、一回味わったのにおかわりですか。

 

「流石に二回は勘弁な!」

 

もう一回は勘弁なのでふゅーねるを持ち上げて何も出来ないようにしておく。あ、こら暴れるな。女の子の着替えを除く不届き者は成敗ですか。ちょ、なんかスタンガンの出力上がってる!? これ不味いって! ギャグ補正掛かってもこれマズ! ちょ、やめて!

 

「ふゅーねるがやってくれた」

 

いのりが声を掛けた途端にふゅーねるが止まる。助かった……ふゅーねるがなんかした訳ね。それよりもいのりさん、お年頃の男の子に対して無防備過ぎますよ。ワンピース一枚で屈むと見えちゃうよ。何がとは言わずにいよう。

あ、ふゅーねる、当たり前のようにスタンガンの出力上げないで、洒落にならなくなるから。俺だって男の子なんだから気になっちゃうのだよ。

 

「あの……いのりさん? 何「いのり」いや、流石に呼び捨てはまだ早いと思うから。どうかしたのかな?」

 

「おなか減った」

 

「何がいいかな?」

 

「おにぎり」

 

「了解、ちょっと待ってね」

 

「ん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ささっとおにぎりとそれに合いそうなおかずを数品作って、いのりはそれがお気に召したようだ。

 

「ふぅ……さて、春夏にはいのりさんのことどう話せばいいのか…」

 

原作知識ではあっさりと受け入れてくれたものの一応は言い訳考えなければならないかなと思っている。

 

正直言っては春夏とは原作以上に距離がある。やっぱりと言うか俺になったことがもっとも影響がでたのは春夏である。あの時から俺に変わって事でどこか違和感があるのだろう。家での行動とかは原作どおりであるがどこかよそよそしい。自分の呟きに反応したのか春夏のことを話すいのり。

 

「やっぱ調べてあるか」

 

「…………桜満集にとっていのりは迷惑?」

 

「ん~……迷惑って言うよりも困惑ってのが近いかな。俺があの力を手に入れた以上何かしらの事態に巻き込まれるのは確実だし、涯たち葬儀社も見逃すはずないから監視ないしは護衛と言う目的で近くに接触するとはあたりをつけていたけどまさかの家に直接住むのは予想外だった」

 

監視や護衛目的で近くに居るのもわかる。学生なら同じクラスに転校なんてベタだし。住居も隣あたりが妥当だと思っている。だが当然のように家に引っ越すのは流石に知っていても混乱した。

 

「それに……俺にとってはいのりさんは迷惑じゃないよ。六本木では助けられたんだし、励まされたのだから。あの時、いのりさんがいなかったら俺はここにないんだから。ありがとう」

 

これは俺の素直な気持ちだ。王の力と言っても他人が居なければただの人に近いものだ。あの時、いのりがいなければヴォイドも取り出せないし、力も本領が発揮出来なかっただろう。それに作戦実行前に彼女は居なかったら無様に震えていたのかもしれない。

 

「……そっか、よかった」

 

ん? そう答えたいのりの声が何処か嬉しそうな気がしたのは気のせいかな?

 

その時にピンポンと呼び鈴がなった。おそらく谷尋が尋ねてきたんだろう。

 

「ちょっと出て来るよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でやっぱり家の前に居たのは谷尋だった。フランクに挨拶する。

 

「よお。遅くに悪いな」

 

「そっちこそなんでこんな時間に何の用事できたんだ?」

 

「これ、見るか?」

 

渡されたのは映画が入った媒体。結構怖い奴か。

 

「ああ、谷尋が話していたやつか。このためにわざわざ?」

 

「なんかあったのか? 正直いつもと様子が違ってな」

 

「そうか? 変わった憶えはないんだけどな」

 

「いや、いつも何か考えている感じからどこか吹っ切れた感じがしたんだよ。何があったかちょっと心配になってな」

 

「……よく見ているんだな。ありがとな、谷尋。家で茶でも出そうか?」

 

「いや、遠慮……」

 

そのときだ。驚いたような顔をした谷尋。その前に一瞬の間に何かを掴みかけたような表情をしていた。後ろを見ればふゅーねるをいのりが出て来たみたいだ。

 

「連絡が来た。一緒に来て、集」

 

そのまま何処かに出かけようとするいのり。その際に俺の腕を掴んで連れて行こうとする。家の鍵どんすんだよ。あ、ちゃんと閉まっているか。なら良し。それと谷尋が彼女の行動に混乱しているぞ。

 

「!? おい、集。どうゆうことだ、これ!?」

 

「俺も知らん! 何故か彼女が家に下宿することになっていたんだよ! あっ、分かったから引っ張らないで!」

 

やや強引ながらも俺は引っ張られていった。これでも俺鍛えているんだけどな。それなのに女の子に簡単に引っ張られたことに軽くへこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流石に引っ張ったままは疲れるのか途中で手は離してくれた。一緒に歩いているとふいにいのりが聞いてきた。

 

「寒川谷尋は集の友達?」

 

「だな。あいつと一緒にいて楽しいし」

 

それがお互いに上っ面の付き合いだろうけどあいつといるとやっぱ楽しいと思えるのは本当だ。

 

「いのりさんは友達はいるの?」

 

「ともだちっていなければいけないもの?」

 

「いや、必ずいるものって訳じゃないけどいるとやっぱり違うよ」

 

高校に上がって谷尋と友達になってから一気に変わったのだから。いたほうがいいと俺は思う。

 

そうしているうちに涯との待ち合わせ場所についた。都会といえる場所に涯たちはいた。近くにはツグミがいて、何かモニターを操作している。カメラなど無力化しているんだろう。てかなんでこんな場所に……今は人払いされているかいいけど誰かに見られたやばいんじゃ?

まあ、今まで地下にいたんだからここら辺は方法があるからいいか。俺たちがつく頃には涯は何かしらの交渉を終えていた。おそらくGHQとは違う組織からの援助を引き出す為だろう。

 

「で? 今GHQに大人気な涯さんは俺を呼び出してまで何の用なの?」

 

「……ほう、いのりが来た事は聞かないのか」

 

「おおかた俺の護衛ないし監視ってことだろ。欲を言えばこっちに引き込めないかも考えているんだろ?」

 

「自分の現状は理解しているようだな。それにしても監視されているとわかってて拒絶はしないんだな」

 

あんな露骨に来られて護衛だと何だと言われてもいい顔はしないだろう。まあ、俺の場合はいたほうがいいのだろうから。

 

「まあ、あんたたちは嫌いじゃないしな。で、本件は」

 

「問題が発生した。あの場に目撃者がいた。外の人間みたいでな。どうやらお前の学校の生徒だ」

 

やっぱり谷尋は見ていたか、やっぱり処分……殺すのが口を封じる手段として最も手早くて確実なんだろう。でも殺したくないと思っている俺がいる。と言ってもGHQに一回捕まらないといけないから殺さないんだけど。

 

「は? どうしてうちの学校の生徒があんなところに行くんだ? あの時みたいな特殊な状況だったのか?」

 

「ノーマージン。知っているか?」

 

聞いたことがある。原作では今回くらいしか出なかったが依存性の高いドラックのことだ。アポカリプスウィルス研究の副産物として偶然出来たものらしい。

 

「……なるほど。買いに来たジャンキーか売人ってわけね。六本木はこうゆう後ろめたいことするのにうってつけな場所だ」

 

あそこは隔離されているし、GHQの兵士もあまり近づかないのだ。だからこそ違法ドラッグなどの禁制品などが取引される格好の場所なのだ。

 

「そうだ。取引の際に『シュガー』と名乗っていた。探し出せ」

 

「……目印は? 流石にノーヒントで探し出すのは無理がある」

 

一つの学校でも生徒の数は数百人にもおよぶ、その中から特定の人物を捜し出すのは難しい。熱帯のジャングルで特定の樹を探せと同義だ。

 

「あるさ、ヴォイドだ。ヴォイドで判別すればいい」

 

「ああ、そうゆうことか。アンタはヴォイドが判る。だから六本木であんな作戦を立てれたわけか。そして、『シュガー』のヴォイドを見たと」

 

そう言うと涯は少し驚いたみたいだ。少し嬉しいのは説明する手間が省けたからなのだろう

 

「理解が早い、そうゆうことだ。現行の災害臨時法で目撃者に特定されたどうなるかお前ならわかるよな」

 

そう、今の日本ではGHQの災害臨時法ではテロリストには人権は存在しない。だから特定されれば問答無用で軍に射殺される可能性だってある。こっちにとっても問題になるだろう。

 

「わかった。せいぜい自分の平穏のために頑張らせていただくよ」

 

どうやって谷尋にこの事を話そうか。既に俺の考えはその方向に向かっていた。

 

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