白兎が神となり、剣姫を育てる話。   作:幻桜ユウ

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第三話 癒しと追憶

 

 

 

 「じゃあ、神様行ってきます!」

 「ああ、行ってらっしゃい」

 

 

 ダンジョンへと向かって行ったアイズを僕は見送る。

 

 いくら強い僕でも、神だからダンジョンに潜る事はできない。

 

 だから、僕は『鐘楼の館』でお留守番である。

 

 アルフィアとメーテリアもダンジョンに潜ったため、僕は一人である。

 

 いつもなら本でも読むところだが、久しぶりにオラリオに戻ってきたのだから、街を散歩するのも良いだろうと思った。

 

 という事で──

 

 

 「僕の退屈を殺してくれ給え、エレン君」

 「おい、お前まで俺をそう呼ぶんじゃない」

 

 

 我が神友のエレン君──もとい、エレボス君の元へやって来た。

 

 場所は孤児院。

 

 このエレボス君は過去にオラリオに闇派閥(イヴィルス)を引き連れて襲ってきたが、僕の眷属達に一日の内にボコボコにされた邪神(笑)。

 

 とりあえず罰として、孤児院に奉仕活動させている。もちろん僕の提案である。

 

 

 「いやいや! 邪神(笑)君にお似合いではないかい?」

 「お前ぇ! 本当にこっち()寄りになりやがって!」

 「神ですから(キリッ)」(`・ω・´)

 「キリッ、じゃねぇ!」

 「あっはっは! いや〜。ベル君。完璧にエレボスを手玉に取っているね〜」

 

 

 エレボスで遊んでいると、ヘルメスが笑いながらそんな事を言ってくる。

 

 神友だからね!(キリッ)

 

 えっ? どうしたの、エレボス? えっ? ウザイって?

 

 シュン……(-_-)

 

 あっでも、神友を否定しないのは素直に嬉しいよ!

 

 

 「いや〜。それにしても、こうして二人を見ていると本当に声そっくりだ! 姿は完全に真逆なのにね!」

 「そりゃ、中のひt──「おいバカやめろ」──ヘイ」

 

 

 さて、世界の裏側の暴露は止められてしまった。

 

 ちなみに僕の格好は真っ白。エレボスは真っ黒である。

 

 正反対である。担当する声ゆ──(バシンッ)──痛い。

 

 

 「あっ、そうだ。ヘルメス。今のオラリオについて教えてくれ。昨日着いたばかりだから、何も分からないんだ」

 「そりゃ、良いともさ! まずは──」

 

 

 僕はヘルメスから──たまにエレボスからも──今のオラリオについて教えてもらった。

 

 ふむふむ、つまりは──

 

 ぶっちゃけ平和なのね。

 

 そりゃそうか。

 

 黒竜は僕が倒しちゃったし、闇派閥(イヴィルス)も壊滅。

 

 ダンジョンは最下層まで攻略され、(いにしえ)との決着は果たされた。

 

 もはや、現存する危機は全て無くなった。

 

 あとは僕達()では図り知れない『未知』だけ。

 

 なるほどねぇ。

 

 よし、する事無い。

 

 平和なのは良いんだけど、する事がないのも問題だなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、いう事で、現在【アストレア・ファミリア】の『星屑の庭』にお邪魔させてもらってます。

 

 で、アストレアに膝枕されてます。

 

 流石は『膝の上で寝たい聖母女神ランキング一位』! 中々に良い!

 

 ちなみに本人曰く「全くもって嬉しくないランキングね」と言っていたが、これはクセになる!

 

 

 「今更だけど、僕を膝枕して良いの?」

 「本当に今更ね。別に良いわよ。他の男神は絶対ダメだけど、貴方になら構わないわ」

 

 

 アストレアは僕の問いにふふっと笑いながら答える。

 

 中々に嬉しい事だ。

 

 というか、みんなは僕の事を鈍感だのなんだの言うが、僕は別に鈍感ではない。これでも、アイズ達が僕に好意を寄せている事ぐらい分かっている。決して、ミアハやタケミカヅチのような朴念仁ではないのだ。

 

 なんなら、意外と女神からも好かれている。

 

 今、僕を膝枕してくれているアストレア。

 

 都市外で活動しているアルテミス。

 

 たまに僕を神聖浴場に連れて行こうとするデメテル。

 

 バベルの上からよく見てくるフレイヤ。

 

 等々、女神からも好かれている。

 

 男神から嫉妬が来るかもしれないが、あまりない。

 

 まぁ、さっきのヘルメスやエレボスを見ていたら分かると思うが、僕は男神とも仲が良い。

 

 エレボス、ヘルメス、ニョルズ、ミアハ、タケミカヅチ、ガネーシャ等々。

 

 アポロン? アイツは知らん。

 

 アイツは僕を見るたびに「ベルきゅ──────ん!」と突っ込んで来る。僕はクラネルだ。と何度も言うが、止める気配はない。いつも突っ込んで来るアポロンを手刀で気絶させ、よく護衛としているヒュアキントス君に預けている。……毎度「我らの主神がすまない」と謝ってくるので大変だねとよく労っている。

 

 全く、僕に男色趣味は無い!

 

 僕は生粋の女の子好きだぞ!

 

 あの変態神(ゼウス)英才教育(洗脳)を施された僕だぞ!

 

 いや、本当にあの変態神はなんて事してくれたんだ。

 

 貴方の教育のせいで僕はこんな悪い子に育ってしまったんだ!

 

 小さい頃から僕にあらゆる事を吹き込みやがって!

 

 そう考えていると、なんだか怒りが湧いてきたので、癒しを求めてアストレアに抱きついた。

 

 アストレアは仕方のない神ねと苦笑しながら、僕の頭を撫でる。

 

 アストレアほんと好き。

 

 とりあえず、僕の司る事物に『好色』を混ぜやがったあの変態神には近々ヘラにここ最近の悪事をチクらせてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アストレアの膝枕とよしよしに癒された僕は『鐘楼の館』に戻る。

 

 そして、自室に入り、机に向かって椅子に座る。

 

 そして、一冊の白い本を開き、真っ白なページにペンを走らせる。

 

 内容は今日一日の出来事。

 

 つまりは日記だ。

 

 アイズを拾ってからやり始めたものだ。

 

 アイズ達の成長記録でもあり、僕の軌跡でもある。

 

 ああ、だとしたら、『アイズを拾ってから』はおかしいか。

 

 正確には『アルゴノゥトとして英雄を目指した時から』か。

 

 『英雄日誌』とはまた違い、『観察日記』を兼ねたものだ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、僕はそれを書かなくなった。

 

 もう『古代』からずっと生き続けて、ただただガムシャラに強くなり続けた。

 

 何故か歳を取らなくなってしまった僕はアリアドネ姫達を亡くし、自暴自棄に落ちかけていた。

 

 いつの間にか、ミノタウロスとの戦闘で失った視力も戻り、途方もない月日が流れた。

 

 天界から神は降臨し、時代は『英雄時代』から『神時代』へと移行した。

 

 そして、僕はゼウスと出会った。

 

 お前の姿をずっと見ていたと言われた。

 

 お前が一番の英雄だと言われた。

 

 だから、儂の【ファミリア】に入らんかと言われた。

 

 何の目的もなかった僕はその提案を受け、ゼウスの最初の眷属となった。

 

 それが第二の僕の始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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