とりあえず、ここで僕の昔話は終わろう。
続きはまた別の機会に。
さて、もうそろそろ三人が帰ってくる頃合いだろう。
出迎えの準備でもするかな。
僕は席を立ち上がり、そして自室を出て、リビングへと向かうのだった。
場所は変わり、ダンジョンの18階層ーー『
その階層の森のある池で三人の美少女が水浴びをしていた。
まぁ、言わずもがなアイズ達である。
三人は『深層』からの帰りで、37階層の『
例え、子供の頃から世話をされ続け、身体の隅々まで知られているとしてもだ。
女性としては愛する男性には自身の綺麗な所を見て欲しいのだ。
あの鈍感神には一生理解できない世界であろうが。
まぁ、それはともかく、三人は見た目は女神にも負けることはない程の絶世の美少女なのだ。
何が言いたいのかというと、そんな彼女らの生まれたままの姿を一目見ようとむさ苦しいおっさん冒険者共がこぞって見に行こうとするのである。ああ、いや、訂正しよう。三人のファンは男性だけに留まらず、女性も多分に含まれている。
すると、何が起こると思う?
アルフィアは【サタナス・ヴェーリオン】を唱え、アイズは黒い【エアリエル】を放ち、メーテリアは魔法で二人の魔法の威力の底上げする。
結果的に言ってしまえば、そこら一帯が更地になった。
よく考えてみてくれ、アルフィアはレベル7ではあるが、【
そして、アイズの【エアリエル】は黒ければ超攻撃的になる。アイズ曰く、感情によって黒か白か決まるらしいが、攻撃的な感情を詰め込めばそれに応じて風が暗くなるのだそうだ。レベル5ではあるが、レベル8強の威力に相当する。
そしてトドメのメーテリアの支援魔法。今回使ったのは【英雄讃歌】という、ステイタスの補正と体力と精神力の回復を兼ね備えたえげつない魔法であるのだが、補正力は約レベル一つ分まで上げることができる。
ここまで言えば分かるだろう?
むしろ、よく更地で済んだな! と言えるぐらいである。
ついでに死傷者はいなかった。
本人達曰く、
いやはや、彼女達の力は末恐ろしいものだ。
まぁ、最も恐ろしいのは彼女らの主神のクラネルではあるんだが・・・。
いや、うん、彼は本当に規格外だった。
元々が神に近い状態だったからか、たったレベル5で神へと至るわ、神になって身体能力は一般男性並みに落ちたはずなのに全冒険者に手加減して勝てるわ、下界の子供達は言わずもがな男神も女神も関わらず美の女神顔負けの速さで堕としていくわ、彼は何なんだろうか? 非常識の化身ではないのか?
特に三つ目なんかは、美の女神ですら簡単に堕とす。
俺が聞いた話ではフレイヤ様はもちろん、アフロディーテもだそうだ。イシュタル様はちょっと知らないが、彼と一夜過ごした後、部屋から全然出てこれなかったという噂があったということは、そういう事なのだろう。
えっ、こわっ。俺でも簡単に絞られるのに。
ん? 今、色々喋っている超イケメンなお兄さんの神様は誰だって?
はっはっは! そこまで言われれば仕方がない。特別に教えてあげよう!
俺の名はーー「何してるんですか? ヘルメス様?」ーーちょっと最後まで喋らせてよ、アスフィ。
俺は自身の眷属の一人、【ヘルメス・ファミリア】団長、アスフィ・アル・アンドロメダに視線を向ける。
その視線の先でアスフィは嘆息しながら、死刑宣告を告げる。
「クラネル様に会えて嬉しいのは分かりますが、しっかり仕事をして下さいね。もし、逃げ出すなんて事をすれば、クラネル様直伝のお仕置きをしますから」
「ちゃ、ちゃんとするに決まっているじゃないか、アスフィ。ち、ちなみにお仕置きは何ですか?」
俺は少し動揺しながらも、おずおずとアスフィに尋ねる。
それに対して、アスフィは眼鏡をクイッと上げ、ヘルメスのトラウマを告げる。
「『公衆の面前で尻叩き』」
あっ、一番心にダメージくるやつ。
トラウマというのは、ヘルメスは一度、クラネルにこれでお仕置きされたのだ。
何をやらかしたかはまた別の話にしておくが、これをやられた次の日から男神にはたくさんいじられ、女神には侮蔑の目を向けられ、街の皆の笑いものされたものだ。それが一ヶ月も続き、心が折れ、トラウマになったのだ。
それ以降、ヘルメスはクラネルの言う事に悉く従うようになり、他の神々から『白兎の犬』なんて言う、あだ名を付けられたとかなんとか。
ヘルメスはすぐにアスフィの前で土下座をし、懇願する。
「しっかり真面目にやりますので、それだけはおやめください!」
「クラネル様から聞きましたけど、本当に効果的面ですね・・・。何があったんですか・・・」
アスフィは情けない己の主の様子を見て、頭痛を堪えながらため息を吐く。
「まぁいいです。きちんとやって頂ければ、お仕置きはしませんから。私はリオンに用事があるので、少し出掛けます」
「はい! 行ってらっしゃいませ!」
アスフィが出て行った後、ヘルメスは真剣に仕事に取り組み、それどころか、他の眷属達の仕事を手伝う程に暴走していた。
それにより、逆に眷属達に気持ち悪いと悪評を受けたので、アスフィは余程の事以外はこの脅しを使わないことにしたのだった。