金色のガッシュ アフター   作:やまもとやま

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4話 天才の助言

 清磨が苦悩の中にいるとき、清磨の家を訪れる存在があった。

 インターホンを受けて、清磨の母親は玄関口を開いた。

 

「あら、あなたはたしか……」

 

 母親はおぼろげな記憶をたどった。

 

「Dだ。清磨はいるか?」

「D君。清磨に会いに来てくれたのね。ありがとう」

 

 デュフォーはDと名乗った。相変わらずそっけない表情を浮かべていた。

 

「D君はイギリス人よね? いま、日本に住んでいるの?」

 

 デュフォーはうなずいた。

 

「待ってて、いま呼んでくるわ」

 

 母親は嬉しそうに二階に急いだ。清磨が元気になってくれるきっかけになるかもしれない。

 

「清磨、お友達が来ているわ。早く来て」

「誰だ?」

「D君よ」

「D?」

 

 清磨はたくさんの候補を思い浮かべたが、デュフォーが引っかかることがなかった。

 デュフォーがわざわざ何の用もなく、やってくるはずがないという前提もあった。

 

 デュフォーは清磨の顔を一目見ただけで、清磨が現在置かれている立場をすべて悟ったようであった。

 

「デュフォー、久しぶりだな」

「ついて来い」

「挨拶もなしか。らしいやつだな」

 

 清磨はさっそく外に向けて歩きだしたデュフォーを追いかけた。

 

 

 モチノキ公園は平日も人々でにぎわっていた。

 二人は子供たちの喧騒を抜けて、人気のない高台のほうに向かった。

 デュフォーはその間一言もしゃべらず、速足で歩くばかりだった。

 

 高台にやってきたところで、デュフォーはようやく足を止めた。

 今日は風が強かった。

 

 清磨はデュフォーの隣に並んで、しばらく町の様子を眺めていた。

 

「まさか、デュフォーが来てくれるとは。いまどこで何をしているんだ?」

「お前、バカだろう。アンサートーカーなら自分で答えを出せ」

 

 清磨は頭を押さえて息を吐いた。

 

「不安定なんだ。いまは何も浮かんでこない」

「愚かなやつだな。自分の力に溺れるとは」

「かもな」

 

 清磨は草原に腰を下ろした。

 

「デュフォーは溺れなかったのか?」

「……」

「何もかもがわかってしまう。宇宙の消し方までも。わかってしまうことが怖いんだ」

 

 清磨はそう言って、頭を抱え込んだ。

 

「もう何もわかりたくない。ただ無知でありたい。しかし、おれにはコントロールすることができないんだ」

 

 清磨が現状を打ち明けている間、デュフォーはまっすぐ空を漂う雲を見つめていた。

 

「おれはどうすればいいと思う?」

 

 清磨はそうつぶやいた。

 「お前、頭が悪いな。自分で考えろ」とでも言われると思ったが、意外な言葉が帰ってきた。

 

「恋でもしろ」

「は?」

「お前、男だろ」

「……」

 

 清磨は思わず、目を丸くした。およそ、デュフォーからは聞くことができない言葉だった。

 

 デュフォーは解決策のすべてを話したのか、それだけ言うと、速足でその場を後にした。

 清磨はしばらくデュフォーの後ろ姿をぼんやりと見ていた。

 

「恋? デュフォーも恋をするのか?」

 

 その答えを出すことはできなかった。

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