今回は出久の出番も、ザギの出番も少ないです。
ひたすら麗日がジタバタしてる。
麗日の母親について色々と捏造しています。
私の趣味(2022/03/06現在の)を盛り込んでいます。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
「は~~~~あぁ……。」
長く熱を持った吐息を口から漏らしてふくふくの柔らかい両のほっぺたに両手をつけている少女がいた。
麗日お茶子。今年の雄英校ヒーロー科1年A組の生徒となったばかりの女の子。
エロ思考小僧の峰田曰く、麗日ボディと峰田が評す健康的でふわふわ柔らかそうな肉付きをした、美人系ではないが可愛い系タイプ。ぽっちゃりではない。
高身長かつスタイルが良すぎる発育の暴力な八百万と比べると劣るが、年相応の発育を感じさせるのが逆に魅力となっている。
雄英校に入学と同時に遠く離れた実家から一人暮らしをさせてもらっており、実家の家計は貧しいが娘の夢のためだと後押ししてくれ麗日もそれに応えようとしている。
今の時代に珍しい古い型のガラケーを使用しており、低家賃の学生向け賃貸の畳の上で麗日は座布団にうつ伏せの上半身を乗せてガラケーの画面を眺めていた。
使い古したことが伺える傷と小さな傷に入り込んだことで取れなくなった汚れのあるガラケーの画面には、ガラケーに内蔵されているカメラ機能で撮った写真が表示されていた。麗日はその写真を眺めてさっきからため息を吐いていた。
その写真に写っているのは、出久だった。
顔と身体の向きからこっそり秘密で写真に撮ったことが分かる写真だ。誰かと談笑して穏やかな柔らかい笑顔の表情をしている。
承諾無しでの写真は撮られた側が訴えを起こし悪質であれば盗撮とか案件になりそうだが麗日はそれが分かっていて我慢できずに写真に撮ってしまったのだ。
「ああ~~~…、もうコレ運命ちゃうの? はあ…、どうしよ…!」
ガラケーを両手で握りしめ、畳の上でゴロゴロと転がってひとりで興奮。
低家賃の古い建物だけあり床も壁も薄いから本当は自重しないといけないが、思春期真っ只中の十代の女の子の興奮を抑え込むのは難しい。
「き…キモがられたらどうしよ…、そんなことになったら死ねる自信あるわ…。」
まだ出会ってそんなに日数が経っていないが出久はとても優しい。ちょっとやそっとでは人の突拍子無い行動に引いたりして軽蔑なんてしないだろう。
自己肯定感が低いし他者を分析して褒めちぎるオタク感が強いが、それだけ相手を見て良い部分も悪い部分もすべて受け止めようとしての行動と考えれば受け止める器が大きいと言える。同じクラスの同級生になったばかりだがその短期間でそんな出久の人柄は分かった。
しかしいくら相手の器が大きいとはいえ思春期真っ只中の女子である麗日は、知られることでマイナスイメージを付けるのが嫌であった。燃え上がる想いの熱量は抑え込むのが辛いが羞恥心も同じぐらい強い。異性にも同性にも知られた結果引かれて離れていくかもしれないとか、改められた認識による視線や態度を向けられることへの恐怖心など。
子供から大人へと成長を遂げる目前まで迫った年齢なこともあり心身共に敏感になっている麗日を悩ませる。
あれこれ考えて悶えていた麗日であったが、ふと転がるのを止めた。
「………………デク君は、私のこと知らないみたいだったなぁ……。」
さっきまで熱を持っていた顔から落ち込んだことで色が失せていく。
「浮かれてるの……私だけ?」
それはとても寂しくて悲しいことだった。一方通行で自分だけがその気になっていただけだと知った恥ずかしさと軽い絶望感。
「うう…、情けないよぉ。」
一方的に想っていただけだったという恥ずかしさと絶望が真面目な気性を刺激し苦しみとなる。
こういう時に人生の先輩である母親がいればそういった失敗について話をできただろうが生憎と麗日は一人暮らしだ。通話料がかかるので家計に負担を掛けたくないので重要な電話じゃなければしない方が良いと思ってしまって受話器が取れない。実家の家族からしたら離れた場所に住む娘が心配で声を聞きたいのだが、離れているため伝えることもできない。
頭が混乱した麗日は、携帯より家電話の方が通信料が安いことを考えつかずグルグルしていた。
その時ガチャンッと音がしてビクッと身体が跳ね、慌ててそちらを見ると家電話機の受話器が落ちていた。
「うわっ、壊れてないよね!?」
慌てて落ちてしまった受話器を戻そうとして、麗日はそこでやっと電話機での電話の通信料を思い出した。
「……あかん。吐き出したいわ! お母ちゃん、出て!」
意を決した麗日は電話の数字ボタンを押して実家に電話をかけた。願い通り母親が出てくれてお互いに元気か、とか確認するより早く感情が優先された麗日が勢いで母親に話を聞いて欲しいとまくし立てた。
その後電話越しに母親に話を聞いてもらい吐き出して落ち着いた娘に母親が言った。
『それであんたはどーしたいんや? まだ告白もしとらんのやろ?』
「こ、告白って! まだ会って間もないし友達ですらないんやで!?」
『この間言うてたやん、運命の人おった!って。もうしたんかと思ったわ。』
「さっきも言うたけど向こう私のこと知らんかったみたいなんや…。」
『そいで? その男の子、お茶子のこと気持ち悪いととか嫌い言うたの?』
「………………言ってない。」
『ほならだいじょうぶや。』
「えっ?」
『笑顔向けてくれたんやろ? その子。』
「うん……。」
『本音の建て前で、礼儀だったり愛想笑いなんて言葉あるけどな、大嫌い、気持ち悪いって誰かを突き放す男の子って感じた?』
「ううん! 違う!」
『そう感じたんならそれでええんや。百聞は一見にしかずって言うやろ? 写真集のイケメンかて実物見たらそーでもないってことあるし、もしかしてお茶子、実際に会ってみてその子のことイメージとちゃうって思ったん?』
「ううん! 違う! むしろ想像以上にええ人でムチャクチャますます惚れてまったの!」
『落ち着きなさい。深呼吸。』
母親に窘められ興奮してしまっていた麗日は深呼吸をしてなんとか落ち着いた。
『で? 今後どーなりたいん? お付き合いするんやったら応援するよ? 援護射撃でなにしてあげたらいい?』
「まだその段階じゃないんやて!」
『お茶子! 男はみんな狼なんて言うけどライオンはメスの方からオスを襲うらしいよ! この間のテレビで言ってた! ライオンになりなさいお茶子! 母ちゃんだって父ちゃんを…。』
「お母ちゃーーーーーん!?」
そんな会話を電話でしていたら隣から壁を叩かれ、我に返った麗日は慌てて口を手で押さえた。
100円ショップの商品である手鏡が工夫されて作られた壁掛けに引っかけられているが、麗日の背中を映すその鏡の端でヤレヤレと腕組みしている銀色のような物が一瞬だけチラついたが、部屋に一人しかいないし背中を向けている麗日が気づくことはなかった。
恋心の混乱を抑えるために吐き出しをしたはずが結局別の混乱が起きてしまったため悩みながら翌日を迎えた麗日は、寝不足気も頭でウーンウーンと悩みながら教室に入るとすぐに出久から挨拶をされ、それでびっくりして固まったところに追い打ちで麗日の顔色が良くないと気づいた出久に心配されあっという間に顔をゆでだこにした麗日が血圧上昇でぶっ倒れ出久だけじゃなく教室内を軽くパニックにしたが、倒れてしまった麗日に出久が超能力を使って的確に回復を行い無事に復活したのだった。
「お茶子ちゃん、何かあったの?」
「お母ちゃんが煽るからや~…。」
「あらあら?」
「ライオンになりなさい!って、アカンって…。」
「あらあらあら。」
自分の机の椅子に座ってからも赤い顔を手で覆って湯気を出す麗日に蛙吹が話しかけるとそう小声で言っていたので、察した蛙吹が声を漏らした。
〔あれはまた倒れるな。何をそこまで血圧を上げているんだ?〕
出久が大慌てで回復をさせた時にこっそりと自分も手助けして回復を補助させていたザギは、出久越しに麗日の様子を見ていてそう思ったのだった。
麗日母のキャラクターは、私の妄想です。
肉食系にしました。旦那(麗日父)に逆プロポーズしたかもという感じ。
当初は予定していなかった鏡にチラついた銀色さんはだーれだ?
ちなみにその方が気を遣って受話器を落としました。
あと麗日が妙に出久のことを知っており、一方的に想いを寄せている理由は合宿で明らかにする予定。
なお出久の名前などの詳細情報は雄英で出会うまで知りませんでした。顔と性別を一方的に知っていただけで声さえ知らなかったです。
次回は、またオリジナルエピソードか。
それとも体育祭に向けた調整での出久の四苦八苦か。超人化しているので力の加減が難しい。