ヒロアカ×ダークザギ  ネタ   作:蜜柑ブタ

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今回は、やや短めですが、書きたくなった描写。


前回からの続きで、しかもまだ次の日にもなっていない。

前回の最後でコンビニに行った後の出来事。



ザギの性格や、ネクサスでのザギの設定などをかなり捏造しています。
詳細設定はどうだったっけ?と分からなくなって……。
勝手に捏造してしまいました。


ザギの性格がかなり原作と異なります。
今更ですが……。






それでもOKって方だけどうぞ。





いいですね?



第26話  ザギは、無自覚の涙を流す

 

 

 

 職場体験1日目。グラントリノの事務所に来てすぐの日。

 近所のコンビニで夕飯と必要な日用品を少し買ってグラントリノの事務所に帰ってきた。

 コンビニで買った夕飯の弁当とサンドイッチや食後のデザートにと一緒に買った期間限定コンビニスイーツを冷蔵庫に入れてから、コンビニまでの道中と帰り道で話し合ったことを実践するための準備を始めた。

 倉庫から引っ張り出してきた埃を被っていたレジャーシートを床に広げ、その上に脚を折りたためる型の古いちゃぶ台を乗せ、座布団を二つ用意。

 ちゃぶ台を挟んで向かい合うグラントリノと出久。それぞれの座布団の上に座って手書きのイエスノーカードと筆談用ノートとペンをちゃぶ台に乗せた状態にし、準備を整えた。

 出久にとってはとても既視感があるが、あの時は出久がひとりで自宅の自分の部屋で行ったので、今度は第三者のグラントリノがいるから状況が違う。轟の時はイエスノーカードのみだったのでカウントしない。

「そいじゃ、始めるか。いいか? ザギ?」

「ザギ? 良かったらイエスを…。」

 しかしちゃぶ台に乗せていたザギの右手がすぐにノーを選んだ。

「なんじゃ? 話すことはないというか?」

 グラントリノが肩をすくめて問うと、ザギは不服そうな動きでイエスを選んだ。

「一応答える気あるじゃん! そんなにグラントリノのことも嫌いなの?」

 出久が聞くと、ザギは答えにくそうにイエスを選んだ。

 出久には悪い印象も持たれたくないが、自分の感情を無視できないため正直にしか動けない。ザギは出久の中で額を押さえてウジウジしていた。

「う~~ん…、嫌いなものを無理して好きになって欲しいって強制できないし…、ザギに無理させたくないのが正直な気持ちなんだよね…。」

 出久は困ってしまい頭を左手で掻き毟りつつ、ザギに無理をさせられないブツブツ言う。

 

 

 〔オレに無理をさせたくない? ………言われたことない〕

 

 

 出久からの言葉にザギは衝撃を受けた。

 この感覚には覚えがある。

 『ザギは、ザギさんだよ。ノアじゃない。』

 出久が4歳の時にザギのこれまでの記憶とそれまでの行いを脳に叩き込むように見せたときに、出久がザギにくれた言葉。

 ザギをノアの贋物ではなく、ザギの心も積み重ねた強さも全てザギの物だという意味の言葉。

 神(ノア)に似せて、神(ノア)が起こした奇跡と同じ事をやる神(ノア)の代わりのウルティノイドとして造られてから創造主の来訪者達からも言われたことがない。

 それと同じぐらい言われたことがない、『ザギに無理させたくない』という言葉。

 神(ノア)がやったことを再現させるために無理をすることが当たり前なのでそんな言葉をかけられるはずがない。

 自己進化能力を与えられている時点で、無理をさせることが前提で無理を自力で無理だったことを攻略させるようにされていたのだ、余計に気遣われないだろう。

 その結果、自分でものを考える力を手にしたザギは、自分の限界を超え続けて強くなり続けるために神(ノア)がかつて退け、再び自分達を襲いに来ると予見し本当に再来してきた敵であるスペースビーストを逆に利用する手段を考えついた。

 ザギが強くなるには、より強い敵を必要とした。だから滅びてもらっては困る。強い敵になるよう自分で管理し、自分がより強くなるための糧にする。

 強い相手を探すより、自分で強い相手を養殖して自分で消費すればいい。実に単純だが理にかなったザギが強くなるための方法。

 そのサイクルを積み重ねれば創造主達が求めた願いを叶えられるはずだった。ザギはそう考えて実行し続けた。

 

 だが、創造主達は故郷を犠牲にしてでもザギをスペースビーストごと滅ぼすことを選んだ。

 自分達が生み出してしまった怪物である神(ノア)の模造品(ザギ)を処分する決断をしたのだ。

 

 ザギなりのやり方で生みの親である彼らの望みを叶えようとしていたザギを完全に否定したのだ。

 生まれ故郷を永遠に失い、多くの同胞達を犠牲にするほどの最終手段を用いてでも。

 

 

 

 

 

 

「おい、小僧?」

「えっ?」

「涙が…。」

「へ? えっ? な、なんで、これ……? 僕、なんで泣いて…。」

 出久がグラントリノに指摘されて気づいた、右目からポロポロと零れる透明な涙。

 なぜか右目からしか涙は出ていない。

「あれ? おかしいな? ………もしかして、……君が泣いてるの? ザギ。」

「どーした? 辛いことを思い出したのか?」

 泣いていると指摘されてもザギにその自覚はなかった。自分に涙を流す機能はなかったはずだ。

 だがなぜか出久の身を通して、出久の右目からだけ涙が勝手に零れる。

 今一時的に出久の右腕を自分の腕に変化させている影響なのかは分からない。

 出久を泣かせたくないのに、自分のせいで今泣かせている。ザギは、涙を止めようとしたが涙が流れる理由が分からなくてどうしようもなかった。

 病気や怪我による涙腺からの分泌であるなら治せばいいだけだが、今流される涙は、ザギの無意識の感情の動きが原因だった。だがザギにその自覚がなかった。

 どうすればいいか分からず、自覚も無いからオロオロしている右腕の動きを見て、グラントリノは立ち上がり綺麗なタオルを取ってきて出久に渡した。

「擦らず、押し当てるように涙を拭きなさい。じゃないと荒れて赤くなるし、腫れるからな。」

「ありがとうございます。」

「いっぱい泣きなさい。泣けるときに我慢せず泣くのがいい。じゃないと辛すぎて何も感じないと錯覚してメチャクチャになるからなぁ。」

 

 

 〔……オレに言ってるのか?〕

 

 

 意味が分からない。なんでそんなことを言われなきゃならないんだ。

 ザギは、そう出久の中でため息を吐き、涙が止まるまで自覚の無い無意識の感情が自然と落ち着くまで待った。

 

「ザギ。辛かったり、なにかしたいことがあるなら、遠慮無く僕の体使って良いよ。でも相手を傷つけたり、悪いことだけはしないでね?」

 

 出久は右目から涙を零し続けながら、ザギの右腕を小さい子供を慰めるように優しく撫でて笑顔を向けた。それはまるで合せたことがないザギの顔を見て安心させるように。

 オンボロ事務所の窓から入る夕日の光のせいか、ザギの目に、出久はとてもキラキラした温かいものに見えた。つい魅入ってしまうような……。

 それはザギにとって初めて向けられた無償の温かさと悪意無きものの美しさ。

 

 

 〔出久に出会ったから、初めてばかりだ〕

 

 

 ザギは、この地球に来てから出久から貰う、自分にとっての初めてを噛みしめるように出久の中で呟いた。

 こうしてザギの無自覚ヤンデレ(恋愛感情無し)な極悪過保護が加速するのである。

 

 

 結局1時間近くかかってやっと涙が止まり、軽く出久が脱水症状になりかけたのでグラントリノが災害時のために備蓄していた非常食のひとつであるスポーツドリンクの粉末を分けてくれたため解決。出久が備蓄をもらった分を代金として支払おうとしたがグラントリノは職場体験中だから気にするなと断った。

 今回のことで出久が水分補給向けの飲料か、グラントリノから分けて貰ったスポーツドリンクの粉末のように水があればすぐ飲める物を常に持ち歩くか真面目に検討しだしたりした。

 さすがに出久に負担がかかることを懸念して、ザギは出久が涙を流す原因になった己の無自覚を理解しようとする決心をした。

 

 

 〔今思えばアイツら(来訪者)は、オレに何も……〕

 

 

 出久から貰った言葉を思い浮かべ、自分を創造した者達との間の過去を思い出した時、出久の右目から一筋の涙がまた流れ落ちた。

 それに気づいて過去を思い出すことをやめたザギによって、それ以上涙を流すことはなかった。

 

 

 




急に書きたくなった描写は、ザギが自覚していない悲しみの感情の吐き出しです。

出久の身を通して涙を流すのは、憑依型のウルトラ一族の副作用(?)に似た作用です。
一時的に右腕を自分の腕に変化させていることで、出久との同化率みたいなものが高くなっているので出久の感情を司る部分にザギの自覚無い感情が反応した結果という形にしました。
右目からしか涙が出ないのは、右腕だけをザギの腕にしているから右目に影響が出たからです。

ザギの顔って、血涙を流しているようにも見えなくもないんですよね……。
私の気のせいかもですが。

そんな勝手なイメージでザギが出久の体を通して今まで流せなかった、流すことができない涙を流したという描写を書きたくなった。
それだけです。


次回からちゃんと原作の流れに戻したい……。
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