今回はまたオリジナルエピソード。
まだ次の日にもなってない……。
就寝している出久の傍でホログラムの姿を出して、過去を振り返って色々考えるザギ。
あとザギ(ホログラムの姿)とグラントリノの会話が主。
なんかどんどんグラントリノが第三者として重要ポジになっていっている気が……。
ホログラムは、タイガでの描写を参考にしています。
たぶんザギも余裕でできると思ったので。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
ザギの感情の影響で出久が右目から絶え間なく涙を流すという症状を引き起こしたが、1時間ぐらいでやっと止まり若干脱水症を患ったがグラントリノから分けて貰ったスポーツドリンクの粉末で作ったスポーツドリンクで無事に回復した。
ザギは出久にそんな症状を起こさせたのが自分の責任だとすぐに理解したが、原因そのものを理解していなかった。
だから腕組みして悩んだ。
メチャクチャ悩んだ。
自己進化能力で容量を増加し、吸収した情報の量をウン万光年以上をかけてため込んだ。もちろんその情報を扱うための能力だってある。速く、正確に。欲しい答えを見つけるために応用もする。
だが、自分にとって経験の無いことの答えを出すには至らなかった。単純にインターネットの検索機能で例えれば、検索するために打ち込んだのが検索したい答えに合っていないものばかりだったから検索結果が出ないだけの話なのだがそれに気づけないときのイライラモヤモヤにザギは苦しめられた。
〔あ~~~~~、なんでこうなる!? オレとしたことが……!!〕
スペースビーストを養殖するために、その後に完全復活のための策略のために頭脳をフル回転させていた頃の自分が今の自分を見たら鼻で笑われそうな有様に、ザギは頭を抱えた。
ちなみに、今の時間は真夜中。
夕食は済ませ、事務所兼自宅になっているグラントリノの事務所に設置されているユニットバスで体を清潔にしてから明日から始まる本格的なプロヒーローの職場体験のために早めに就寝した。
ザギは、出久とグラントリノが熟睡したところでホログラムの姿を出し、寝袋で眠っている出久の横であぐらをかいて座ったまま頭を捻り続けていた。
結局右目から涙を出し過ぎたせいで出久の右目が赤く腫れてしまった。涙の成分と、タオルで拭いたことで肌が傷ついたせいだ。
〔………オレはいったいなにをやっている? このオレが……。暗黒破壊神とまで呼ばれたこのオレが? なんでこんなしょ~~~もないちっちゃいことで苦しまなきゃならない!?〕
ズ~~~ンという背景の音の効果音が聞こえそうなほど落ち込んで、背中を丸めて項垂れるザギ。
〔オレがそうしたいから、そうしていただけだ! だが………、何かがオレの中で変化を起こしている。これはなんだ? オレになにが起きている? オレは……〕
分からない分からないと、ザギは苦悩する。
知らない感情の動き、それは体験したことがないばかりで、その意味を、その感情を表わす言葉を見つけ出せない。生まれてから今までの間に経験して学ぶ機会がなかったからだ。
〔オレのせいで出久が泣いてどうする……〕
泣かしたくないと思いながら、出久が悲しむことばかりをやってきたことを完全に棚に上げてザギは自分の感情が原因で出久が泣いてしまった原因について苦悩していた。
〔ノアに見られたら呆れられるか? それとも…、笑われるか? ………いつだってどんな時も薄笑いのヤツが大笑いするとも思えん…、アイツはそういうヤツだ。奇跡の使者、ウルトラマンの神……。誰が言ったか? 強いヤツほど笑う………か…〕
なら、自分には笑う余裕はあったか?
がむしゃらに強くなるために手段を選ばず、自分を創造した者達にも処分されかけて、傷ついて失った力と肉体を取り戻すために完全な復活のためにひとりの地球人の命を奪ってその地球人そのものを全て奪い取り好き勝手に利用して、将来デュナミストとして力を継承することが決まっていたひとりの女の人生を狂わせ、多くの悲劇と命を犠牲にして………、ついに完全な自分を取り戻せたと思ったら、最後に得られたのは……。
〔もう……過ぎたことだ……。終わってしまったことだ。やれることをやって……、完全に負けた……。ただそれだけだ……〕
胸の中に空洞が空いたような錯覚を覚える。
自分がやったことは何も実らせなかった。何も手に入らなかった。良い結果を残せなかった。消えない傷ばかりを残して、残した傷から生まれる恐怖と悲しみと絶望が希望に転換され、自分を討ち滅ぼす神(ノア)を完全に復活させる最後の一押しになっただけだった。
奴ら(来訪者)は間違っていなかったのだろうと今更ザギは思う。
ザギを滅ぼすために故郷と同胞達の多くを失ってでもザギを完全に滅ぼすという選択を取ったこと。自分達の失敗が後々に大きな被害を及ぼす前に自分達の手で後始末を付けようとしたのだ。
〔オレのやってきたことは……、無駄だった……〕
ザギが過去を振り返り、自分のやってきたことの結果について思考して整理していると出久が微かに呻く声を漏らした。
悪い夢でも見ているのか微かに顔を歪めて寝袋にくるまった状態でザギの方に寝返りをうつ。
ザギはホログラムの姿であるから触れられないと分かっていても、出久の頭に手を伸ばし、出久のモジャモジャしたくせ毛がホログラムの手をすり抜けるのも構わず頭を撫でた。実際に触れていないから出久には感触は伝わっていない。
なんとなく撫でたくなった、それだけだ。そうしたいと思ったから行動している。
「お前は、優しいとこがあんだなぁ?」
〔!?〕
出久の頭をなで続けていたザギが背後から聞こえたグラントリノの声に分かりやすく体を跳ね上がらせた。
振り返ると、グラントリノがパジャマ姿で立っていた。たぶんトイレのために起きたのだろう。
………いつからいた?
まさか過去を振り返って落ち込んでいる時の姿も全部見られていた?
気配を感じずに、思考することに集中していたのかと最近の己の危機感の無さを恥じた。
「それ。お前の能力のひとつか? そうやって緑谷の体から出てこれるの? さっきから緑谷の髪に触っててすり抜けてるから実体のない立体映像みてぇだな。」
〔………本当に…、オレらしくない…〕
ザギは、ホログラムの自分を見て感心したように顎を触りながら面白そうに言ってくるグラントリノに振り向いた体制のまま片手で額を押さえてため息を吐く仕草をした。
ホログラムのザギは、本当のザギの姿。真っ黒い体を映えさせるような赤い模様があって赤い両目、地球人のような人型だが人間とは違う外見の暗黒破壊神ダークザギ、その姿だ。出久の体を借りて意識を表に出している時の形態じゃないのだ。
グラントリノは、腕の形と色でホログラムの姿がザギの本当の姿だというのを言葉にせずともすでに理解しているだろう。豆電球以外の電気は消しているからハッキリと全部を把握できていなくても、経験豊富なベテランのヒーローとしていまだに健在なのだ、それぐらい簡単だろう。
「明日、小僧に話されたいか?」
グラントリノが少し意地悪くそう言った途端、ザギは顔を上げてグラントリノの方に顔を向けてブンブンと首を激しく横に振った。
「なんじゃい、自分を見せたくないか? 別にええじゃろう? むしろ喜ばれそうだがなぁ? 恥ずかしいのか?」
ニヤニヤとザギの反応を楽しんでいるようにグラントリノが表情を緩めて言ってくるものだから、ザギはグラントリノの方に体を向け直し、床にあぐらをかいて腕組みをし、背中を軽く丸めて座り込んだままプイッと拗ねたようにそっぽ向いた。
さっさと消えればいいものを、なぜかホログラムの姿を消す気になれなかった。
出久が重度のヒーローオタクであることは、事前に生徒の情報を雄英から提供されているためグラントリノは知っていた。
特に個性を分析、観察するのが大好きで、火が付くと勢いで他人の個性を褒めちぎるせいでドン引きされていることもだ。
だが個性の強弱、有用性、異形型などなどあらゆることに偏見無く、良い部分も悪い部分も見つけて使い方まで考案するほどの知識量と頭の回転でペラペラと喋られ、その純粋な褒め言葉と共にキラキラお目々と笑顔についドン引きしつつも、内心では救われた人間は実は少なくない。個性の強弱や見た目などの表面的な部分で優劣を付けられたり避けられたりして劣等感を持っていた者からしたら手放しに良い部分を見つけて貰えて褒められたら悪い気は全くしないし、悪い部分についても補うための方法を考えてくれることで善意で寄り添って思いやってくれていると分かると孤独感は和らぐし自信にも繋がるからだ。
今の出久は右腕だけがザギの右腕になっている状態だが右腕の形を嫌悪してないことだし、もし全身を見せてもきっと難なく受け入れるだろう。
むしろ触ることができたら全身ベタベタ触られたり抱きつかれたりとか好き勝手されつつ、褒めちぎられる光景しか浮かばない。
「…それとも、自分のその姿が嫌いか?」
グラントリノが真面目な口調にして問うた。
ザギは、何も答えない、首を振るなどの反応をしないことでその問いに答えた。つまりザギが自分の姿を嫌いだと思っているという気持ちを伝えたのだ。
ヒーローを模したフィギアを収集して喜ぶ出久に、もし自分を見せたら喜ぶだろうかと想像したが、己の本心では自分の姿形が嫌いだ。正確には基になった相手が嫌いなのだ。
自分の姿が神(ノア)を模造したものだから、色と背中のイージスが無いこと以外は形はまんま神(ノア)そっくり。テレビゲームなどで例えれば、2Pカラーだの、闇落ちだのの分身とかの後付け設定キャラクター?
イージス以外の形だけでも完璧にした創造主達の技術力が、今更ながら地味に腹が立つ。しかもよく見ればイージスがある部位には本来イージスを付けるはずだったと思われる凹凸があったりする。強いて言えば羽をもがれた痕と思われそうな……。
ザギは無意識に肩の方から背中のその凹凸部分の左側に右手を伸ばしていた。
グラントリノがザギの背中を覗き込むように体を動かして、ザギが触っている部位を見ようとした。さっきまでザギの背中を見ていたはずなのに、わざとか。
「背中が気になるか?」
そう聞かれたがザギは何も反応を返さないでいた。
「そこ(背中)に何か生えていたのか?」
不自然な背中の凹凸について、グラントリノがすぐに羽みたいな物があったと推測して聞いた。
ザギは、首を横に振った。
ザギには、羽(イージス)なんて最初から無い。
「そうか。お前さんが自分の姿形を嫌う原因が関わってそうだなぁ? まあ、今の時点じゃお前さんが何も語りたくないんじゃこちらも何も言えん。」
グラントリノが肩をすくめてそう言うと、ザギは、分かっているじゃないかと言いたげにグラントリノに顔を向けた。
「ふ~む、他人の意見はどうか知らんが、わしはなかなかのべっぴんさんじゃと思うんだがなぁ?」
ザギの顔を真正面から見て出された言葉に、ザギの頭にハテナマークしか出てこなかった。
べっぴん。確か、地球の言葉で美しい女性を示す言葉だったような……。確か場合によっては男性にも用いる場合も……。いずれにせよ整った、整えられた容姿を示す言葉だったはず。
「ん? ザギ、お前、性別とかが特に無いってやつか?」
ザギの様子からグラントリノがそう聞くと、ザギは何のことやらとつい首を傾げた。
グラントリノは、ザギのその仕草で確信した。
ザギに性別という概念は無いということを。
人間目線でザギを見ると一見男性的な造形に見えるが、世の中には性別不詳な外見の人間はいるので念のため確認する意味で聞いてみたのだ。
性別の概念があるなら、それを話題に話が広がって心を開くきっかけになればと確認したがその話題から入れそうになさそうだった。だってそもそもの話で、ザギは人間じゃないんだから。
「そーいうことか……、悪かった、この話題は忘れてくれ。お前さんと緑谷の関係を深めるのに特に使えん話題じゃった。」
一応正直に話題作りのために聞いたことだと説明され、ザギは声に出さずにふ~ん?という仕草をしてその程度にしか思わなかった。
「じゃがな…、緑谷とずっと一緒にいたいなら、いつか必ずお前さんは全部を見せて打ち明けにゃならんだろう。長い付き合いになればなるほど、知りたくなるもんなのさ。絆を深めるために深入りしたくなるんだ。緑谷は特に知りたがりじゃから大変じゃぞ?」
〔………分かってる。そんなことは4歳の時からずーーーーっと知ってた〕
出久の知りたがり、調べたがりのオタク精神はもう生来のものとしか思えないほどだ。
すでに右腕だけは見せているし、触らせているからザギの全容を知りたがっていることはとうに知っている。
だけど、ちょっと勇気が出ないだけ。
知られるのが怖い。自分の犯した罪を知られたら……。
4歳の時に見せたが、当時の記憶ごと一度全部失っている。あの時とはもう違う。
受け入れてもらえないかもしれない。
ただただ力の源として徹することもできる。それで十分だったはずだ。
だが……、それだけでは出久を守れないから動くしかなかった。そうすれば遠くない未来に自分の全てが知られることになると分かっているのに、止めることができなかった。
俯いてしまったザギに、グラントリノがフッと小さく笑って言った。
「本当に、緑谷が好きなんじゃなぁ? そうじゃなきゃ、物を触れん映像の姿で頭を撫でるなんて意味の無いことをせんだろう?」
『〔………………はあ?〕』
「お?」
グラントリノの言葉にザギが思わず顔を上げて漏らしたザギの声をグラントリノはハッキリ聞いた。
出久の体を借りて表面に出ている時は、出久の声を使っているからザギの本来の声では無かった。
ホログラムの姿は、物に触れないが動きを伝えるのはもちろん声といった音を伝えることは可能だ。
つまりうっかり出した声はザギの本当の声である。
そのことをうっかり忘れていたザギは、我に返るなり慌ててホログラムの姿を消した。
残されたグラントリノは、ほんの少しの時間ポカンとしていたがやがてヤレヤレと頭を掻いて寝床に戻った。
しかしグラントリノは、まだ知らない。
本当のザギの大きさが50メートルもある巨人であることを……。
体育祭前の時間軸の時に、自室のベッドで寝ている出久に添い寝するようにホログラムの姿を出していたのを思い出したので、こうやってたまにホログラムの姿で出てきて、寝てる出久を見ながらアレコレ自分の頭の整理をしているという感じです。
グラントリノに気づかなかったのは、本当にうっかり。
このエピによって、神野事件までグラントリノが唯一ザギの本当の姿を見て、本当の声を一部聞いた人物になりそうです……。
まだ本当の大きさは知らずに。
あれ? ここまでグラントリノを関わらせる予定じゃなかったのに……。
声については合宿中か、ヴィラン襲撃の時にやっと会話するのをザギが解禁する…って展開にしようかな?
一番書きたいイベントとして神野事件までとにかく頑張ろう!
でもこの調子だといつ辿り着けるか……・
こんなのでもいいのかなぁ……?
なにせザギの強さがヒロアカ基準と比べると異次元過ぎるから。
そもそもの設定の規模が違い過ぎるウルトラマンと比べちゃいけないとは分かっていますが……。
ザギが真にウルトラマンに成長する過程がこのネタのテーマにしているので、ヒロアカ世界が抱える問題やヴィラン勢はそこまで重要じゃないかな?
絡めることでザギの成長に繋がるっていうのもあり?
でも勝てるキャラが敵味方にもいないから……。