腐向けではないはず……。
暴力描写注意!
かなり捏造しています。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
緑谷出久は、4歳ですべての記憶を失った。
自分の名前はおろか母親の顔さえ忘れてしまった。
それは、出久の家族に大きな衝撃を与えた。
出久自身がすべてを忘れているため、記憶喪失の理由は解明されていない。
ただあの時、天候を変えるほどの何か大きな力が発生していて、周囲の破壊に出久が巻き込まれた可能性があった。なぜ無傷で、なおかつ記憶喪失になったのか、それは出久の失われた記憶に隠されているのだろうが、個性を使っても失われた記憶を掘り起こすことはできなかった。
出久の母・引子は、息子の出久が記憶を失ったとはいえ、無事に生きていることを喜んだが、間もなくそれ以外の異変に青ざめることとなる。
身体能力の異常な上昇。
病院のベットの柵をちょっと握っただけであっさりと破壊したのだ。
さらに体も相応に頑丈になっており、圧倒的な力で潰れることもない。
第二に、異質な能力の開花。
念じただけで物を動かしたり、声などの音にせず相手に伝えるテレパシーなど。
入院中に同じ病棟にいた児童の見つかっていない病気による異変を事前に予知し、医師に必死に伝えて検査をさせて病気が見つかってその児童が助かるという事が起こったりした。(この件はあとで児童の親から感謝される)
細かいことをあげるとまだまだあるが、無個性と診断されていた子供が急に個性を開花させたにしては異様であった。
失った記憶の補填と、細かい検査を含め、力の制御のため病院での検査入院が追加されてしまい、出久が社会復帰できたのは、2年後、小学生にあがる6歳の年だった。
爆豪は、真っ赤に染まった視界の中で、何が起こったのか痛みを通り越した頭で漠然と考えた。
赤く光る赤い奇妙な模様が、出久の顔や腕などに浮かび上がり、深い緑の髪の毛が黒く染まっている。
出久を殴った手を掴まれ、下から見上げてきた出久の目は……、今まで見たことないほど冷たいもので。
泣いていた出久の顔から涙が消え、表情が無にになり、髪が黒くなり、赤い模様が浮かび、そうした変化の後はもう一方的だった。
反撃する隙など与えない、けれど長く苦しめるように加減された一方的な攻撃に、爆豪は為す術はなかった。
ただひとつだけ分かったことがあった。
デクじゃない
救急車のストレッチャーに運ばれていく途中に、腫れた目の隙間から、一瞬だけ元の姿に戻った出久の背後に、出久を後ろから抱きしめているように見えなくもない、黒くて赤目の何かがいるのを見た気がした。
自分の名前も親の顔の記憶も全部を一度失った出久は、当然だが同年代の子供達の顔だって忘れている。
だから地元の小学校に入学してから、声を掛けられても分からなくて戸惑った。
小学校の教師達は、事前に出久の事情を聞いているのでそこら辺のフォローに回ったが、問題が起こった。
爆破という強個性を持つうえに、性格もかなりのツンギレで、出久とは生まれた時から近所であった爆豪だ。
出久が2年近く病院にいたことなどは近所などで知っていたが、いざ再会してみれば顔どころか名前すら忘れられていてプライドの高いガキ大将の爆豪は当然キレた。
爆豪が中心になって起こった出久へのマウント行為により、出久がうっかり机や椅子、床などを破壊してしまう騒動になり、幸い周囲の人間に怪我が無かったのは不幸中の幸いとだった。出久は小学校に入学する条件として力を抑えることを親と約束していただけに早々に約束を破ってしまい、もう小学校に行けなくなるのではっと泣いてしまい、親御達と教員達の話し合いの末、力を加減する訓練を増やしつつ学校に行くことになった。
病院での診断では、出久は無個性のままである。この検査結果書類は学校側にも行政にも提出されている。
4歳という個性が覚醒するとされるまでの年齢で、無個性と診断されてから、突然記憶喪失の代償に異常な身体能力の上昇。
常時発動型のパワー系個性という見方が普通だろうが、現在医学での検査では出久の細胞からは個性因子が確認されていない。あと、超能力(エスパー)的な能力も使えることから、非常に珍しい複数の個性持ちということもできなくはないが、それにしてはおかしいと医者も首を傾げている。
後にパワー型個性ということで進学のための書類が書き換わるが、それは置いといて。
そんな出久につっかかるのは、爆豪。
自分が常に勝ち続けることに拘るガキ大将な爆豪が、突然圧倒的な力を手にした出久にビビってしまった。それが許せなかったのだ。
学校帰りの遊び場で、喧嘩になった。かなり一方的に。
そして事件が起こった。
「あれは、デクじゃない…。」
事件の後、病院で意識を取り戻した爆豪は震えながらそう答えた。
問題を起こした出久、あるいは爆豪を別の小学校に転校させるという話があったのだが、出久はともかく爆豪が出久と離れるのをなぜか極端に嫌がったので、そのまま両者は同じ学校に通った。
爆豪が出久に意地悪をすることはなくなったが、ツンギレな態度のまま出久に異様に過保護になった。
記憶は無いが、周りからの言葉で自分が知らない間に爆豪を傷つけてしまったことを猛反省している出久は、これ以上爆豪を傷つけないように離れようとしたし、過保護を断っていたが、爆豪がめげずに離れた分だけ近寄ってきた。
爆豪の怪我は幸い後遺症も無く治ったし、双方の親も子供らの関係のため和解している。
ただ、この日を境に出久は、何かの拍子に一部の記憶を失ったり、別の記憶に差し替わったように内容が変わったりするようになった。
そのことにいち早く気づいたのは爆豪で、そのことを伝えてから出久は自分の記憶の保存のために日記を書くようになった。
元々ヒーローオタクで分析したデータをノートにメチャクチャ書き込む癖のある出久は、その日課に日記が追加されても別に問題は無かった。
積み上げられる分析ノートの隣に、日記帳が積み上げられるようなったが、その日記がある日一部無くなったりしてしまい、困った出久が爆豪に相談したところ爆豪が書き終わった日記を預かり、ついでに爆豪もつけていた日記と照らし合わせて、失ってしまう記憶の補填をすることになった。
そうして日々が過ぎ、季節を越え、小学校を卒業すれば地元の中学校へ入学し、やがて高校受験を控える三年生になった。
「どうしたの、かっちゃん?」
「……別に。」
二人のその会話は二人の間ではよく交わされる。
いつも爆豪が何か言いかけるので、出久が聞き返すと結局爆豪は何も言わないのだ。
出久はそれをいつも不思議に思うが……、程なくするとすぐにその感情や爆豪とその会話をした記憶を失う。
爆豪はそれを知っている。だが言わないでいる。
『……言うなよ?』
携帯のメールに、おどろおどろしい赤い文字が表示され、しかも文字からダラダラと血のようなモノが垂れる演出付き。
爆豪が、“本当のこと”を言えないのは、これが原因だ。
豹変した出久に完膚なきまでにボコられた時、気づいた。爆豪だけが。
出久の中に、出久ではない誰か別人がいることを。
その存在が出久の記憶を奪い、強大な力を出久に与えたのだと。
気づいた当初、爆豪は大人達にそのことを伝えようとしたが、頭に流れ込んできた恐ろしい声で止めた。
『次は…、無い。』
声の低さからすると恐らく男だが、それにしても恐ろしい響きがあった。それは殺意という物だったことを後々知った。
爆豪は、声の主が出久の中にいる何かだと理解した。
そしてもしこれ以上そいつのことを周囲に知らせるなら、次は殺されると感じた。
結果、出久の中に潜んでいる存在に気づいていたが、周りに伝えることも、出久に教えることもできなくなった。
自分の身の安全はもちろんだが、アレが出久に潜んでいて何を企んでいるのか分からないため下手に動けなかった。
匿名でネットを検索したり、身元特定を防ぐためにぼかした質問を投げてみて独自の調査をしたりした。
個性の中には、稀に独立した人格を持つようなモノも存在するようだが、そういうのとは違うと爆豪の勘が訴えてくる気がした。かといって多重人格の類とも違うと思う。
出久(デク)ではない、人間ではない何か。
救急車で運ばれたあの時に見た気がする、出久を後ろから抱きしめていた黒くて赤目の何か。
「テメーは、誰だ…?」
ある日、下校して家に帰った爆豪は、自室で携帯の画面に問いかけるように呟いた。
すると返答をするように一通のメールが入った。
『出久になにかしたら、殺す』
「……テメーの方こそ、アイツになんかしたらぶち殺す。」
送られてきた内容から、名乗ってもいいが、自分のことで出久に何かしてきたら報復するという意味だと読み取った爆豪は、フンッと笑い携帯に向かってそう言ってやると、次のメールが来た。
『 ザギ 』
長い空白の最後辺りに、ポツッと文字が入っていた。
そうして、爆豪は『ザギ』の名を知った。
そしてザギと爆豪による水面下での攻防も始まることとなるが、ザギをその身に宿している出久はまだ知らない。
爆豪だけが、なぜザギの存在に気づけたのかは考えてない……。
出久は、雄英に入ってからザギのことを再度知る予定。
それまで爆豪はザギの名前を伏せつつ、脅されつつ、ザギを警戒しつつ、出久の世話を焼く?
次回ぐらいに本編に入ろうかな。
ヘドロ事件から。
ワンフォーオールを受け継ぐかどうかも考えてないんです……。
受け継ぐ方向で行くか、オールマイトを治療してしばらく現役でいさせるか。
ネタ物語のラスト辺りで受け継ぐという形にするか。
悩む……。