かなり苦戦しながら頑張って謎解き系だけど…、上手く書けたか不安すぎる。
今回は、前回からの続き。
出久(+ザギ)専用試験の最初のステージ。
パワープレイ不可の謎解き系試験に、プラスで妨害してくる敵も追加しました。
あと爆豪のキャラがかなり違う。
軟化しすぎてお前だれ状態。
最後の方でザギが決断をしてある行動を取ります。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
まさに王道RPGのラストダンジョンとなるラスボスの居城にありそうな大げさなほどデカい扉がうなりを上げるようにわざとらしく音を立てて内側に開いていく。
このいかにもな演出は今回のために専用で製作された大掛かりな試験用の建築物を設計した専門家の拘りだ。当人がゲーマーなことと、子供心をくすぐるということでコレにしたらしい。
「う~…、ドキドキしてきた…。」
「ハッ、ガキじゃねーだろうが。」
「かっちゃん、僕ら16歳だよ?」
「ガキ扱いされてーのか? あ?」
「いや、そーじゃないけど…。」
この雰囲気に胸の高鳴りと緊張感に襲われる出久とは対照的に、そういうことには冷めている爆豪が出久をからかうように言ってきて出久もそれに答える会話をしながら魔王城風試験会場に入っていった。
『よーーーーこそーーー! お二人さん!』
灯が無く、暗いが無駄に広いエントランスに響き渡る男の声。
その声の後、一斉に灯が灯り、派手な色彩でありながら中世の貴族階級や王宮の豪華絢爛さを彷彿とさせる装飾と天井には巨大なシャンデリアが輝く中、演劇の舞台のような階段の最上階に、見覚えがある男子生徒がいた。
「あれ、君は…! ……誰だっけ?」
「ああ? 誰だ?」
『うわーー、酷いこと言われてるし! 僕だよ僕! B組の物間だよ!』
「あっ、そっか! 思い出した! B組の人だった! 物間くんって言うんだね。」
「んでテメーがA組の試験会場にいんだ? B組は全員不合格にでもなったんか?」
『そんなわけないから! 僕らは先に試験を終わらせてる! 今回は特別に前倒しになったらしくて大変だったよ! 君のせいだからね! 緑谷出久くん! それとザギ!』
「えっ!?」
オーバーな身振り手振りと共にマイク片手に喋り続けていたら、急に名指しされて出久はビックリした。
〔B組……、全員だな〕
ザギは、内部を透視して配置された人間の数とB組の生徒である物間がいることを照らし合わせて、今回の試験がどういう形で行われるのかを把握した。
大掛かりな会場にある幾つもの仕掛けを解いたりするなどして攻略するのと、B組の生徒全員が敵として参加しているのだ。
恐らく敵役として大掛かりな仕掛けを利用した頭脳戦や協力プレイも試験のひとつとしてB組生徒に課せられているのだろう。そうじゃないとB組だけが前倒しで試験を先に終わらせるなんて不公平をするのは酷だ。流行病などで学級閉鎖とかなどがあったとかなどのよっぽどの理由がなければ……。
『僕が代表として君らのために特別に用意されたこの試験会場のルール説明をさせてもらうよ! もうだいたい分かってるだろうけど、ザギのために特注で用意したこの城をパワープレイでゴリ押し攻略は即失格! 不合格判定! 連帯責任で相方の金髪くんもね! パワープレイ禁止は相方も同様だから注意してね! 要するに階ごとに用意されてるルールと仕掛けで勝利してゴールである頂上に到着することが試験合格の絶対条件ってわけ! もちろん時間制限付きだよ! 時間制限は最低でも1秒残してゴールじゃないと不合格だから時間も気にして階の攻略をしていかないとね! あっ、もちろんだけど不正をしたらその時点で即刻不合格だから、システムを乗っ取るとかって不正も絶対禁止だから気をつけて頑張ってくれたまえ! まあ、説明はだいたいこんなところだけど、分からないことは今のうちに聞いてくれる?』
「えーと…、つまり腕力や超能力で無理矢理仕掛けを壊したりしたら絶対に不合格になるってこと?」
『その通り! ルールに従った勝敗の決め方に従うことが条件さ! 少しの条件クリア失敗が大惨事になるような悪趣味極まりない悪魔なヴィランが創作のデスゲームを模倣したって事件は過去に起こっているんだ。どんな強い力でやるゴリ押しだけじゃ救えるものも救えない時があるってことを知れってこと! 僕らはヴィラン視点で役に徹してヴィランの心理とかを学び、心理的な戦略と協力プレイを行う際の試験になるってわけ!』
「なるほど! これはB組が受ける試験の一部でもあるってことなんだね!」
『そうなんだよ~。試験の急な変更に担任のブラドキングが数日徹夜だったらしくてふらついてて見てられなかったからさ! 先生方の苦労に報いるためにもちゃんとやってくれるよね?』
「………ザギ? お願いできる?」
出久は、右腕を左手で触りながら右腕に視線をやってザギに聞いた。
ザギは、渋々な様子ではあったが了承するジェスチャーをした。
それを見て出久はホッとした。
『おっと……、試験開始前に絶対やらないといけないことがあるんだ。入り口横の机に置いてるだろ? それを金髪くんの方が胴体に付けてからじゃないと試験は開始されないから。』
言われて横を見ると、洋風なデザインの机に不似合いな拘束具を彷彿とさせる機械が乗っていた。
「…やっぱそーなるよな。」
「えっ? どういうこと?」
「出久。俺はテメーとザギが試験をクリアするための必需品ってこった。」
「えっ!?」
『特定の場所に、特定の駒やカギを使って次のステージへの扉を開く! そのカギ役が緑谷くんの相方の彼ってことさ!』
「!」
『つ・ま・り、僕らの攻撃で金髪くんの方がダメージを受けて倒れたりして行動不能になるのも、捕まって奪われるのも阻止しないといけないってことだ! 彼を失ったらその時点でクリア不可能! 不合格! もちろん逃げ回ることも戦略としてオーケーだよ! でも制限時間の問題と体力が続けばって話だけどね!』
出久の顔から血の気が引く。
つまりB組からの集中攻撃が爆豪に来るということを宣告されたようなものだ。
試験の合否より爆豪の安否を気にする出久の心情を察した爆豪は、出久の頭に片手を置いた。
「かっちゃん?」
「俺を誰だと思ってんだ? この俺がクソモブ共ごときにヘマしてあっさりやられると思っとんのか?」
「そ、そういうわけじゃ…。」
「だったら、さっさと勝って、さっさと終わらせりゃいい。そんだけだろーが!」
「う、うん!」
〔………このクソガキ。目立ちたがりを捨てて駒役に徹するか……〕
キレやすい爆豪がプライドを捨てて、目立たず、下手に消耗せずに出久に命を預ける姿勢を見せることにザギは苛立つ。
〔そこまでして……、己を捨てる覚悟があると?〕
小学生に入ったばかりの6歳頃にザギによって死の淵を味わった爆豪は、それ以来変わった。
死を間近に体験したトラウマと、ザギの脅しでそうなったのだが、それは爆豪の成長にも繋がったようだ。
もし徹底的な痛みを知らずにいたら、どれほど酷い人間になっていただろうか?
それだけ爆豪は幼少期から自我が強く、そのワガママさに見合うだけの才能に溢れていた。それに自分が劣っていると知れば自分を磨くことにも余念がないストイックさも持ち合わせている。
ザギのやったことが結果的に爆豪の早熟に繋がったのだから、ザギからしたら嫌な結果であった。
あのままワガママで悪い意味での高いプライドの塊であったなら、出久に嫌われて避けられて自然と離れていたかもしれないから出久に近づく者全てを威嚇するザギにとってはそうならなかったのが悔やまれた。
「物間くん! 質問をもうひとついい!?」
『なにかな?』
「かっちゃんが怪我をした場合、治療はしてもいいのかな!?」
『治療する暇があればいいね。なにせ……、君は僕らに攻撃するとそのダメージがその機械を付けた相棒の方にフィードバックされるんだから!』
「!?」
「なるほど……、敵も傷つけずにクリアしろって縛りプレイも、攻撃第一な奴の矯正ってか…。」
ザギがこれまで出久以外を攻撃するため、あえて攻撃することがNGのルールが設けられたようだ。
B組の生徒への攻撃は機械に伝わって爆豪にダメージが入る。そうなると敵であるB組から爆豪を守るためにB組を攻撃すると結果的に爆豪が傷つき爆豪が倒れて試験は不合格となる。
なにより出久がそれを知って顔色をいっそう悪くしたことから、爆豪が自分の行いひとつで傷つくプレッシャーが恐ろしく出久を苦しめている。
〔チッ! 一切の攻撃も反撃不可能な中で、連れを守りながら仕掛けの攻略順序を守って進め? それでいて時間制限……。地球で言えば縛りプレイというものか?〕
縛りプレイ。本来のゲームの攻略をプレイヤーの意思でクリアが難しくなるようにすること。
例えば射撃武器を未使用で、短いナイフ1本で怪物が蠢くサバイバルホラーをクリアしたり、攻撃力最低の武器だけでRPGのラスボスまで倒すなどがあげられるだろうか。あとはノーセーブクリアとかだ。ゲームはセーブすることで負けても、セーブした場面からやり直せる、だが前提となるセーブをしないと負けた時点で全てが水の泡となり最初からやり直しだ。そういう自分から苦行のような設定のゲームにあえて挑んだり、そういう遊び方を好んでする人間をマゾプレイヤーなどと褒める意味だったり揶揄したりもされる。
ザギは、地球のネットを通して知った程度だが、今からやる試験は初見でノーコンテニューで、コチラからの攻撃ができないゲームを実体験させられるということでいいのだろう。
B組生徒達は、攻撃されないから遠慮無く攻撃を仕掛けてこれるし、自分達の期末試験の採点になるからやる気満々。組は違えど同じ学年のヒーロー科だ。ヒーローになる事を夢見ている個性豊かな人材揃いであることは間違いない。
ほとんど接触が無いためB組の生徒達の情報は不明な部分が多いから、冷静な観察眼と分析も必要になるだろう。
〔出久ひとりで全てを背負うのは無理だ。………なるほど、それが狙いか〕
ザギは、雄英側の意図を読み取った。
これはザギから進んで出久との対話、意思の疎通と協力を促すために設けられた舞台なのだ。
荒治療だが出久を追い詰める状況になれば、拒んできたザギは動かざる終えない。この試験をクリアするために、出久との意思の疎通をより円滑に、分かりやすく、仲を深めなければならないのだ。
〔出久は、オレを頼らなければならない。そしてオレは……〕
『これ以上質問がないなら、試験の開始をしてもいい?』
「………かっちゃん。」
「わーてる。」
爆豪はとうに腹をくくっている。
さっさと試験のために用意された機械を胴体に取り付けると、胸部辺りの位置になるランプのある部分が薄緑の光を発し始めた。恐らく身につけると自動で作動するようになっていたのだろう。試験に合格するか、不合格になるまで外れない仕様である可能性が高い。
「腹くくれ、出久。」
「………分かった!」
出久はもう引けないと不安と恐怖を抑え付けて表情を引き締めて強い返事を返した。
『じゃあ、オーケーってことでいいね? 先生方! 試験開始の合図を! そしてB組諸君! 準備はできてるね! さあ! 始めよう!』
試験開始の合図が鳴り、物間の背後の壁に隠されていた液晶パネルに制限時間の数字が表示された。
直後、エントランス内の様々な装飾品が浮遊し始める。
壁側のカーテンの内側からB組の生徒達が数名顔を出した。
階層ごとの仕掛けに合せた個性の持ち主が仕掛けを邪魔するのだろう。B組の生徒全員がその場にいるわけではない。
「早速お出ましだな。」
爆豪からも攻撃した場合も、B組が受けたダメージが自分にフィードバックされると理解した爆豪は手出しができない。
爆弾をモチーフにした派手なヒーローコスチュームは意味を失うが、爆豪は戦闘態勢を取らず、出久に視線をやる。
出久は周囲を見回し、床やエントランス全体の構造をザッと見て分析を始めたらしくブツブツと口に出しながら脳をフル回転させていた。
〔………床のタイル……。合図と同時に模様の配置が変わった。このエリアのクリア条件は床にある〕
何か意味ありげな模様に変わった床のタイルには、出久も気づいているだろう。まだ序盤だから手慣らし程度の簡単な問題ということか。
だが浮遊しているインテリア類が恐らく妨害と攻撃用として待ち構えている。タイルに踏み込んだ途端に攻撃が開始されるのだ。
どこかにある攻略のヒントと、いかに爆豪を守るかを出久は頭を使って考える。
〔面倒くさい〕
ザギは、ため息を吐きたくなったが、出久が困っているから無視できない。
ならやるべきことは……。
頭を悩ませている出久の右腕が動いて、出久の体を指先でチョンチョンとつついて我に返らせる。
それから右腕を動かして左右の壁にあるカーテンを指差す。
全てのカーテンには模様が描かれている。それが何を意味するか……。
「………ザギって本当に強いし、頭も良いんだね!」
あっさり攻略のヒントを見つけたザギに素直な賞賛をして目を輝かせる出久に、ザギはムズ痒さを感じた。
こんな素直で直球な褒め言葉や顔を向けられたことがあっただろうか?
ザギの遠い過去の記憶を辿っても……、数えるほどあっただろうか?
しかしその遠い過去は……。
〔ノアの身代わりを造った奴らへの賞賛と……、伝説になるほど遠い過去にあったノアの行いへの再評価……〕
自分(ザギ)へ向けられたものじゃなかった。
それに気づいたのは自己進化の過程で自我が芽生えてからだ。
自分じゃない、自分のモデルにされた存在の身代わりにされる意味。
自分(ザギ)を認識した時。
自分の生みの親達は、自分(ザギ)を見ていない、自分の形の基になった奴(ノア)しか見ていないと理解した時。
あの時に生まれたばかりの己の自我が最初に抱いた感情と呼べる物はなんだったのか……、ザギは思い出せない。
だが少なくとも良い感情ではなかっただろう。
その時には十分過ぎるほど知識を学んで覚えていたからだ。
ザギが見つけた攻略のヒントをきっかけに、床のタイルの仕掛けの解き方を出久が見つけた。
物間が立っている舞台みたいな階段の最上階の壁にデカデカと貼られた奇怪な模様とマークで構成された絵画のような物と床のタイルの模様がイッチしたのだ。だが位置はバラバラで、上下左右と向きも違う。
恐らく足でそのタイルを踏むなどして動かして壁の絵画と同じになるように揃えれば次のステージへの扉が開く仕掛けなのだ。
だが試験は2人ひと組で行う。しかも今回に至っては出久の相方となる爆豪は特殊な機械を身につけた状態で試験合格をするための絶対条件のひとつになっている。つまりタイルには二種類あり、ひとつは出久(+ザギ)が踏まないと動かないのと、もうひとつは爆豪が踏むことでしか動かないのに別れているのだ。
爆豪が出久と離れた隙を狙ってB組が爆豪に総攻撃を仕掛けるのは目に見えているため、スピード重視でタイルの模様を揃える必要がある。
タイルの回転数、回転の法則などを早く見抜いて最速で絵を完成させる。だが踏んでみないと分からない。
〔面倒くさい! ………ぐぅ……! こうなったら……!〕
イライラと出久の中で頭をかきむしっていたザギがついに決断をした。
その時、出久の右腕に変化が起こった。
ザギの右腕ではなく、出久の腕に戻ったのだ。
もちろん体育祭で握りつぶした傷は完治している。
「ザギ!?」
急なことに出久が驚いて声を上げた。
元々傷が治るまでの間だけザギの腕を被せていただけだ。治ったら戻す予定だった。そして治ったのが今だっただけだ。
その代わりにザギはある行動に移った。
右腕を気にしていた出久の体から飛び出す、黒い存在がタイルの仕掛けの方に着地した。
「なっ!?」
それに先に驚いて声を上げたのは爆豪だったが、全員の視線が一気にそちらに向き、試験会場に伝わっていないが試験を見守っていた雄英側も驚いていた。
〔………とうとうやってしまった〕
それはホログラム。
実体の無い、リアルな映像だけの姿だ。
突然の謎の存在が出現したことで凍った空気の中。
「………ザギ?」
出久が目を丸くしながら名前を呼んだ。
黒い色と赤い模様と右腕の形状を見てそうだと思ったから名前を呼ぶと、ザギが立ち上がり、首を動かして出久の方を見た。。
声こそ出していないが自分がザギだと返答したような動きを見て、その場にいる者達全員がコレがザギだと理解した。
三本線が縦に並ぶ人間と異なる赤い目が出久を映す。表情こそ変化はないが、ザギは内心半端じゃないほど緊張していた。生まれてこの方こんな緊張したことがないほどに。自分を偽ることを得意としていて良かったと初めてザギは自分の経験に感謝した。
ぼう然としていた出久の顔が徐々にキラキラしたものに変化していく。
それはずっと会いたかった相手にやっと会えたことを喜ぶ気持ちを前面に押し出した輝かんばかりのもので……。
「出久! 時間!」
真っ先に我に返った爆豪が出久に声を掛けた。
出久はその声でハッとして表情を変えた。爆豪の声で他のB組生徒も、それを見ていた雄英側の方もハッとしてた。
こんなことやっている間にも制限時間は少なくなっているのだ。そのことに気づいた出久は一瞬にして頭が真っ白になりどうするか焦ってしまった。
ザギはホログラムの姿で軽やかにタイルの上へ上へと特定のタイルの上に飛び乗っていく姿を見せた。だがホログラムであるため仕掛けは反応しない。その動きを違うタイルを踏む違うパターンで2、3回繰り返して見せた。
出久は一瞬訝しんだが、すぐに察して爆豪を見た。爆豪もすぐに察したらしく出久に目配せして頷く。
出久と爆豪が同時に動く。すると浮いていたインテリア類が爆豪を狙うように爆豪の方へ飛んで行った。
だが爆豪は先ほどのザギの動きを真似て跳んだり、走り抜けてインテリア類を避けてザギが踏んだタイルの上に行くとタイルが回転し、次に出久が踏んだタイルが回転すると爆豪が踏んだタイルが連動していて一緒に回転する。
その間にも浮いているインテリア類以外のB組生徒からの攻撃はあったが、それも攻略中に上手く回避。
ザギが踏んだ箇所と回数を瞬時に覚えた記憶力で2人は阿吽の呼吸のように仕掛けを最短時間で解いて見せた。
『うわ~、そういうのってあり!? そういうことできるって後出しが酷いじゃん!』
タイルの仕掛けが解かれて、物間の背後にある壁が崩れるようにして、次のステージへの階段が現れた。
物間はその場から飛び退いて隠し通路へ姿を消した。他のB組生徒達も他にある隠し通路へ姿を消した。
「ありがとう、ザギ!」
床タイルの仕掛けを無事に解いた後、階段下の方で待っていたザギのホログラムに出久が駆け寄ってお礼を言った。
ザギは、プイッとそっぽを向いたが、それが明らかに照れ隠しによるものだと分かるのが不思議だ。表情も顔色も変化無いのに。右腕だけだったときも妙に分かりやすかったのだ、等身大になったらもっと分かりやすい。
すると出久がザギに手を伸ばした。しかしその手はザギの体をすり抜ける。ホログラムだから仕方が無い。
「これって…、立体…………ホログラム?」
「だろうな。床の仕掛けが反応してなかったろーが。」
「あっ。」
踏むと動くタイルの仕掛けがザギが踏んでも反応しなかったのは、ここにいるザギに実体が無かったからだ。背景が見えるないほどの濃い立体映像であるためうっかり実体があると勘違いしそうだが、ザギの大元はまだ出久の中にある。
ここにあるホログラムは、出久の中にいるザギが視界を共有した分身のようなものだ。
出久がザギに触れずすごく残念そうにしていて、ザギは胸の内がチクリッとする感覚を覚えた。
「とっと次行くぞ! 時間が惜しい!」
「わ、分かってる! ザギ、行こう!」
爆豪に促され、先を急ごうとする出久がザギに声を掛けると、ザギもそっぽを向いていた顔を戻して頷いてついていった。
***
一方その頃。
試験監視のために用意された部屋にて。
「………あれがザギの全貌!?」
「なるほどなるほど…、これはかなり格好いいじゃないか! 中味は凶暴極まりない過保護だけど。」
なんてオールマイトと根津を始めとした教師陣がザギのホログラムを見て各々感想を持っていると……。
最初のステージをクリアした後の次のステージへの階段の途中にある監視カメラのひとつに向かって、ザギがギロッと顔を向けて明らかにカメラの向こうにいる存在である根津達を睨む動きをした。
ザギからの視線を受けてその場にいる全員がドキッとして変な汗が出たが、すぐにザギは出久を追って行ったためカメラから視線を外した。
「…………完全にこっち見てたね?」
「ええ…、見てました…。もしかして、カメラの位置まで分かっている可能性が?」
「ありえそーだよね。ううん、分かってるのが当たり前なぐらい?」
ザギの姿形についてそれぞれが感想を持った瞬間にコッチを睨んできたような動きをしたので、コチラの存在どころか動きまで把握されているとみられた。
「物理的なパワー…、目に見えない力の多彩さとレベル……、どれを取ってもチートだと、本当に僕らじゃどうしようもない……。いや、地球上に存在しないかもしれないよ。緑谷くんがいなかったらどうなっていたか…、考えてたくないね。」
実は正解。
最初にザギを見つけたのが出久じゃなかったら地球が危なかったのだ。
「僕らの想像も及ばない文明を持つ宇宙人だって可能性が大正解ってことなのかな? いつか本人が話してくれたらいいんだけど……。」
いまだ一部で差別意識があれど見た目だけで損をしがちな異形型個性も一般的になりつつある昨今。
ザギの見た目は、地球上の生物に当てはまらない。全体的に人型に近く、二本脚であることや言語や文字の読解力など、非情に高い知的生命体に分類できるかもしれないが、如何せんなんというか……生物的じゃない印象が強く感じ取れるのだ。
そう、まるで作り物。等身大のフュギュアっぽい。
広い宇宙を探せばそういう外見の生命体もいるのかもしれないが、地球にある雄英という学校の教師達からのザギの姿に対する最初の印象は作り物っぽいという印象だった。
ザギの決断は、自分の本当の姿を映したホログラムを出すことでした。
でもまだ喋る気になれてない。怖がってる。
かなり勇気出してホログラムを出して、出久の試験を手助けするって行動を取りました。
なお実体の無いホログラムなので、仕掛けを直接触れないし、動かせないし壊せない。
そしてここから出久の右腕の治療が終わったため、ザギの右腕ではなくなります。
体育祭で出久がザギを止めるために握りつぶした箇所を治すのに、ザギが自分を腕に変異させて腕を貸しつつ治癒させていただけなので治療が終われば元に戻す予定でしたが、それが今だっただけです。
ウルトラマンの造形の都合ではありますが、生き物より無機質な作り物っぽいという印象をもたれても仕方ないかな?と思ったので雄英の大人達がそう感じたという流れにしました。
ザギは、テレパシーで読心し、誰が作り物だ!?って癪に障ったのでカメラ越しに睨みました。カメラの位置は全部把握している。
次のステージはどうするか……、色々と参考にして考えないと…。
5ステージぐらいでいいかな?