今回から林間合宿編の始まり。
まだ序盤も序盤。
でもザギが原作通りにはしないです。
アンケート結果の物間が念動力ドリブルされるシーンがあります。
あと、ピクシーボブが軽く酷い目にあいます。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
林間合宿当日。
夏休み返上の長い日数を家から離れるのだ、家族と住んでいる者達の家族はとても心配し、念を押して準備が出来ているかを確認させ、出発時には念を押して身の安全を言い聞かせたり無事を祈る。
出久の家は父親が単身赴任であるためほぼ母子家庭状態の生活なのと、心配性な引子の気質もあってとても後ろ髪引かれるほど心配されながらの見送りとなった。
「ザギくん、出久のことお願いします! 必ず、必ず! 無事に帰ってきてね!」
特に念を押してザギに出久のことを任されてザギは若干タジタジになってしまった。
〔言われなくとも……。うぅ、ムズ痒い…〕
母親が子供を愛して心配する習性は理解している。だが言われずとも出久を守る気でいるザギである。
雄英に荷物と共に一度集合して点呼し、用意された雄英の送迎バスに荷物を積み込み、合宿に参加する生徒達がバスに乗り込んでいく。
バスの中は一部生徒が強化合宿であることは置いといて、夏の楽しい行事を行おうとテンションを上げていた。
一番テンションが高いのが峰田。エロの権化と呼んでもいいほど女体と性的なことに目がないのは、若さ故だがそもそもヒーローになりたい目的も女にモテたいという邪なものだったりするある意味揺るぎない男子生徒である。
宿泊する場所に温泉があることは前もって配られた合宿の資料で記されており、なおかつ学校では見られない私服の女子達との一時的な共同生活にエロ的な意味で思いをはせているのであった。
そのためのっけから同級生のA組女子達からは総スカンを受けているが、入学当初からこのキャラだったため早くも定番化してしまい早い段階で慣れてきてもいたので軽く流せていた。
ちなみに出久の右腕がザギの腕だった時に、峰田のお下品な話題と持ち込まれるエロ本などなどが出久の目と耳に毒だと判定されて軽~くチョップをもらっていたりする。
〔アイツは、そのうち秘密裏に滅した方が出久の情操教育に良い気がする〕
ザギが真面目に少しだけそう考えるぐらいには警戒対象だったりする。
どんどん山道に入っていくシャトルバス。
やがて途中の崖に面した脇道にシャトルバス2台が停車した。
トイレ休憩かと思って尿意を訴える者達が我先に降りていくが、そこには建築中の現場にあるような簡易トイレさえない。
もう1台のシャトルバスからはB組生徒達も降りてきた。
「やあやあ、A組の諸君! 聞くところによると追試者が出たそうだね!? B組にはひとりもいないのにど~~したのかな~~? 気でも抜けてて疎かになっちゃったのかい?」
物間がドヤ顔でB組に赤点になった者がいないことを誇示してきた。
A組にいる追試対象者は唇を噛んだり、悔しそうに俯いたりしていた。
〔あの試験でのあの組の生徒達の採点分は十分だったということか〕
急な試験内容の変更に翻弄されたがB組は無事に合格判定を受けるだけの実績を残せたということだ。
出久……いやザギが規格外過ぎたのから未熟さも相まって十分な活躍ができなかった部分も考慮されつつ、現段階でできることは全てやり尽くしたことを評価されて今後の課題として授業内容にも影響をもたらすこととなった。
B組生徒達の多くの視線が、試験で関わった出久に集まっていた。
出久の後ろに引っ付くぐらい距離近すぎなホログラムの姿のザギが立っていて、なんとも奇妙な光景である。
「あれ~~~? ザギくんってば甘えちゃって……、堂々と出てくるようになったんだね? 見かけによらず猫のようでいて、大きな犬のような……、って、どわあああああ!?」
「物間ーーーー!?」
「ちょっ、ザギ!?」
〔誰が猫だの犬だの…! 単純にウザい!〕
馴れ馴れしく笑いながら近寄った物間だったが、直後に見えない力で体が浮かされ、そこその高さで止まると速い速度で地面に叩き付けられる念動力ドリブルが始まった。
オールマイトがやられているものよりかなり加減されているが、十分痛い。
出久が必死でやめてくれと懇願してザギは渋々止めてやった。
「物間…、オールマイトがいつもザギに何されてるか忘れてたの?」
「…………忘れてた。」
「忘れたらヤバいこと忘れた!?」
「生き急ぐなよ…。」
「まだ死ぬ気はないよーーー!?」
「あっ、元気じゃん。」
〔手加減したからな〕
物間がすぐに起き上がれたのは、単純にすごく手加減したからだ。見えない力で自由を奪われて遊園地のGがかかるのが醍醐味のアトラクションみたいなことをされたショックの方が強かっただけで、ダメージ自体は少ない。
オールマイトよりも数段弱めでやったのだからその程度で済んでいる。
ザギが腕組みしてムスッとしていると。
「イレイザー! 予定時間オーバーしてるじゃん!」
「許容範囲だ。」
「あんた…、なんか違くない? どーした…って…例のアイツのせいか…。」
そこに現れたのは猫耳のカチューシャとメイド服を改造したような衣装を彷彿させるヒーローコスチュームの女性が2名現れた。
「ワイルドワイルドプッシーキャッツ!」
ヒーローオタク出久。すぐに相手の正体を言い当てた。
ワイルドワイルドプッシーキャッツは、女性4名で構成されたチームで活動するヒーローである。
マンダレイ、ピクシーボブ、虎、ラグドールの4名である。猫とメイド服風コスチュームという共通点はあるが、外見も能力も個性豊かだ。
その内の2名、ピクシーボブとマンダレイがこの場に待機していたらしい。
「全員聞け、今年の林間合宿の強化指導の指導役は彼女らが行う。」
「マジでーーー!?」
「さすが雄英! 林間合宿もプロヒーロー指導かー!」
「そりゃキャリアも十分だし、指導者として最高だと思うよ! なにせピクシーボブは…。」
「心は18!!」
「オブッ!?」
猫のお手々を模したグローブでピクシーボブから顔面に軽く張り手をされてそれ以上言うなと圧をかけられる出久。
結婚適齢期を気にする実年齢が30代のピクシーボブは、キャリア(年数)を言うのを避けたいようだ。
「ほんぎゃああ!?」
「わーーーー、ザギーーー!?」
『〔出久に…〕』
「ダメダメダメダメ!! お願い落ち着いてーーー! 僕は大丈夫だからーーーー!!」
サイコキネシスで一瞬にして頭が下に、足が上になって地面に転がされるピクシーボブ。頭に付けている猫耳カチューシャのような物が地面を擦って頭から外れそうになる。
そこを更に追撃しようとするザギを止めるべく、間に入って必死に止める出久。
ホログラム姿だが、背景に黒いオーラが見えそうなほど怒っているザギが獣のようにグルルル…っと唸りながら、感情のままに出久に危害を加えたピクシーボブへの怒りを露わにしてつい言葉まで発していた。
爆豪が頭を抱えていた。ひっそりと胃を押さえながら。
「…………事前にもらった資料以上に凶暴過ぎない?」
「緑谷限定の極悪な過保護だ。」
マンダレイと相澤が淡々と状況を観察しながら会話していた。
本当は助けに入りたいが、ザギを落ち着かせられるのが出久しかいないため見ていることしかできないのだ。
出久の懇願でなんとかザギの怒りから解放されたピクシーボブが四つん這いでヘロヘロな状態でザギから距離を取り、震える足を殴って叱咤するようにして立ち上がって相澤らの方へ来た。
「確かにあれは極悪過保護だわ…。」
ピクシーボブの体の汚れをはたき落としてやりながらマンダレイが続ける。
「エンデヴァーと同じ目に遭わないよう注意して接してくれ。」
「無茶言うわ! これからやることがやることなのに! どーしろと!?」
「せ、せんせ…、と、トイレ…と、トイレは!?」
峰田が膀胱の限界を訴えて股を押さえて相澤に声を掛ける。
「ああ、すまん。時間が推しているから、早速だが初めてくれ。」
「えっ?」
「林間合宿はもう始まってるってことよ!」
直後山道の反対側から土砂崩れが発生してシャトルバスから離れて集まっていたA組とB組を飲み込もうと迫ってきた。
これはピクシーボブの個性によって引き起こされたものだったが、これは事前に決まっていたことだった。
だが……。
「ええええええ!? 土砂が見えない壁に阻まれて止まったーーー!? それどころか逆に押し戻されてるーーー!?」
「ザギ! 君がやったの!?」
出久が力を使うより先にザギが対応した。
〔あの女(ピクシーボブ)の仕業か。ここからすでに合宿が始まることを初めから決めていたか〕
ザギが発生させた見えない壁で土砂が止められて、邪魔だから土砂を押し戻してしまったため、すぐそこにある高くない崖下に落とす手筈だったのが失敗。
ザギがジトッと相澤を見た。
「…予定だとこの土砂でそこの崖下から合宿をスタートさせるはずだった。お前の力を舐めていたわけじゃない。緑谷に危害を加えるという意味でもなかった。これも強化訓練の一環だ。」
これは夏休み返上の強化合宿の最初の洗練だったのだと、相澤はザギに説明した。
ザギは、そんなことは分かっているが出久が傷つくのは絶対許さんとばかりに赤い目を相澤に向けている。
予定通りにいかずに出鼻を挫かれたわけだが、相手が相手なので下手に言い訳して理不尽を押し通したら何をされるか……。
相澤は冷静さを保つよう努めているが、いまだ経験したことがないほど心臓バクバクだ。
USJであっさりヴィラン連合を退け、体育祭で暴れ、右腕だけでもオールマイトを毎回軽く転がし、エンデヴァーを犬神家にしてその動画が拡散されてネットタトゥーが残って世間を騒がせ、出久の右腕の治療が終わったから出久の腕に戻したが実体の内ホログラムの姿でも見えない力で物間を軽く転がし、年齢のことを言われたくないでつい手を出したピクシーボブも手も足も出ない恐ろしい存在だ。
それを唯一止められるのが出久だけなのも問題となっている。
期末試験が終わった後、ホログラム姿で堂々と出てくるようになったが、出久以外の言葉にはほぼ絶対応えないし、無視してくるのがデフォルトだったのだから教師達やプロヒーローの言葉を聞くはずがない。
実体がないホログラムであったため物理的に邪魔にならなかったことだけが救いか。
「ねえ……。」
「言わなくても分かってるよ。」
「私達……生きて帰れると思う?」
「五体満足でいられたら500万点以上ってことで、なんなら遺書でも書いとく?」
「いや~~~~~~!!」
個性で予定通り土砂を起こしたピクシーボブが、マンダレイとそんな会話をして、これからザギというとんでもない猛獣(?)と過ごさないといけないことにたまらず涙目になって悲鳴をあげていた。
結局、土砂で落とすのは変更されて、高くない位置から生徒達が下に降りてピクシーボブが用意していた土で作られた魔獣が蠢く敷地内の森を進んで昼ご飯の時間までに到着しないとご飯抜きという最初の難関に挑むことになった。
トイレに行きたいと訴えていた生徒達は、マンダレイの所有する敷地内の森の中で用をたすしかなかった。もしものために持っていたティッシュで用をたしたあとの衛生を保つことができた。こうなることは想定しての合宿の開始であったため、使ったあとの紙類はその場で捨てて良しということだったので本当は良くないが今回はポイ捨てしていった。
なお戦況によっては敵に存在を隠すために用を足す時の簡易トイレを持ち歩くこともあるため、それは後々に雄英で行うサバイバル訓練の授業でやることになっている。
本当ならピクシーボブが用意した土の魔獣達と険しい森の中の荒れた足場を制限時間までに乗り越える強行軍のはずだったが……。
「も~~~~!! チート過ぎるのやめてよ~~~~!!」
「そ、そう言われましても……。」
『〔しょぼすぎだ〕』
「うわーーーーん!!」
「ざ、ザギ! オブラート!」
『〔弱すぎる弱者だ〕』
「オブラーーートーーーーー!!」
折角用意していた土の魔獣達は、あっさりザギに全滅させられ、土砂によるダメージもないため森の中を急いで足を進めたくても、剥き出しの地面と転がる大小様々な石と森の生育する草木の枯れ枝や落ち葉、低位置に生える草と日差しが届かないことで残った水分の多いぬかるみなどの影響による大変さこそあったが、想定していた以上に疲労は蓄積されずほとんどの生徒が割とケロッとしていた。
ついでにザギがボソッとピクシーボブの個性による試練がしょぼすぎたということと、弱すぎるとストレートに言ってしまったため、ショックを受けたピクシーボブが蹲って泣き崩れたため慌ててザギを窘める出久だったが、ザギは腕組みしてツーンッとそっぽを向いてしまうだけだった。
実体がないせいで喋るのを止められないのも、また問題だ。
ワンワン泣きまくるピクシーボブを合宿のための施設で昼食を用意していたラグドールと虎が慰め、マンダレイは生徒達を食事を用意している場所へ案内した。
A組、B組共に、プッシーキャッツの面々を気の毒そうに見ることしかできなかった。
相手が悪すぎた。もうそれしか言えないぐらい今年の1年生にイレギュラーがいたことが不幸の巡り合わせだったのだ。
どうするか悩んだ末にこのネタのザギなら土砂を止めるんじゃね?っと思ってこの展開にしました。
あとヒーロー歴(※実年齢)を気にしているピクシーボブが、ヒーローオタクで詳しい出久を黙らせるシーンが原作であったのでザギから怒られるという光景が浮かんでしまったので申し訳ないけどピクシーボブが軽く酷い目に遭う展開にしてしまいました。
さすがに犬神家にはされませんでしたが、広大な丘で転がって遊ぶ特殊な遊具を体験するようなことをされました。
追い打ちで土の魔獣をしょぼいと言われるわ、弱いと言われるしで踏んだり蹴ったりにさせてしまいました。ピクシーボブのファンの方には申し訳ないです。
ザギに色々と台無しにされたので、原作ほど疲労困憊にはならず、割と簡単に全員が時間内に昼食にありつけました。
実体の無いホログラムなので、口を塞いで黙らすとかってことも不可能だから言われたい放題なるってことに書いてて気づいた。
露天風呂……、どうしようかな?
目玉のおやじみたいにするか?
いや、その前に洸太のことも……、ザギがスパルタなことするとか?
悩む…。