ヒロアカ×ダークザギ  ネタ   作:蜜柑ブタ

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季節の変わり目によるうつ病の悪化の波が来たのかな?
最近精神面での不調が酷くて。



今回は、前回の一件後のザギの様子。
あと洸太についてザギがある行動を起こす回。


洸太の両親であるウォーターホースとマスキュラーとの死闘の場面と、その後にあったお葬式の場面はほぼ想像で書きました。

傷心の洸太に対してザギがキツイ言葉をかけているので、そういう表現が苦手な方は注意!!





それでもOKって方だけどうぞ。






いいですね?




第44話  甘え度レベルアップと、洸太への干渉

 

 

「……次はどーしたんだ、ああっ!?」

「色々あったんよ~。」

 キレながら困惑する爆豪にニコニコした麗日が言った。

 昼食の野外炊飯から午後の訓練の小休憩後から大きな変化があった。

 ザギが出てきたのだ。

 しかも出久の後ろから出久を抱きしめるようにべったりとひっついて。

 ホログラムだから実体がないのだが上手く抱きしめた姿勢を保っているし、出久も受け入れてる。

 爆豪は6歳の頃にザギに殺されかけて救急車に運び込まれる時に見た、泣き叫ぶ出久の背後にいた赤い目と黒い影を思い出した。アレも出久を後ろから抱きしめているような形だったので、あの時は周りにも認識されていなかったが今のザギの状態と同じだったと思われる。

「悪化しとる…!」

 出久の甘やかしでそうなったと考えた爆豪が頭を抱えた。

 ザギの極悪過保護がより悪化したしたと思ったのだ。

「ザギは緑谷が好きなんだな?」

 轟が危機感ゼロで二人の方に近寄ってそんなことを悪気ゼロで聞く。

 ザギは轟のことを懐かれる理由が分からなくて面倒くさいとしか思ってないから、嫌そうにプイッとそっぽを向くが出久からは離れない。

「ま、まあ、仲直りできたんならよかったんじゃね? よかったな緑谷。」

「うん! 僕も言いたいこと言えたし、ザギと話もできたから!」

「なになに~? なにか良いことあったんだ?」

「けど……、まだ俺らと喋る気はなさげだな?」

 ザギはいまだに出久以外と喋る気が起きないらしい。

 目を合わせようとすると、ツーンと顔を背けられるか無視される。

「はいはい! そろそろ小休憩は終わりだから、訓練に戻ろうねー! 時間の無駄遣い禁止!」

 プッシーキャッツの面々が訓練の時間が推していることを言いに来た。

 集まっていたA組生徒達は渋々だが強化訓練に戻るために散っていく。

「んじゃ、仲直りしたっぽいし、今度こそお話しようよ!」

 出久は引き続き、プッシーキャッツの一部が中を取り持つ形でザギとの対話を試みることに。

 レジャーシートの上には、長い会話のためにお茶とお菓子まで用意している。

 変わらず出久に抱きついているザギは、やっぱりツーンとそっぽを向いて出久以外との会話を拒む。

「うむぅ! やはり我らと会話をする気はないと?」

「う~~ん、そ~か~…、しょうがない、じゃあ緑谷くんとお話しよっか!」

「えっ?」

「ザギにとって緑谷くんが一番なんでしょ? 同じ話題なら話したくならないかなって。」

「う~ん…。」

 ラグドールの提案に出久は難しげな顔をした。

 後ろにいるザギをチラッと見ると、ザギが嫌そうなオーラを出している。

「おい。」

「えっ?」

「洸太くん! 今は訓練中だから来ちゃダメだよ!」

 そこへ洸太が現れて出久に話しかけてきたが、ラグドールが待ったをかけた。

「これのどこが訓練だよ!? おやつまで用意して何やってんだ!?」

「えっと、これは…。」

「訓練はそれぞれなのだぞ。」

 レジャーシートの上に並べられたお菓子類を指差して声をあげる洸太に虎がこれも訓練だとざっくり言うが洸太は納得していないようだ。

「さっきメチャクチャベソベソ泣いてたくせに!」

「えっ?」

「その黒いの抱きしめてたりとか…、意味分からねぇ! 体育祭で暴れてたとか、エンデヴァーをボコッたとか聞いてたからどんな奴かって思ってたのに…。全然…、っ!?」

 洸太が出久をビシッと指差して幼いなりに言いたいことを叫んで、ふとザギの方を見たとき、洸太の顔が強ばった。

 ザギの赤い目が洸太を見ている。

『〔……見てたのか?〕』

「ーーーっ…。」

 ザギの低い声と怒気を受けて洸太は目を見開いたまま、ハクハクと口を開閉するが逃げることさえできなくなっているようだ。

「ザギ!」

 出久が呼ぶと、ザギの雰囲気が変わる。

 金縛りのような状態から解放された洸太はその場に座り込んでしまった。

「だいじょうぶ!? 洸太!」

 異変に気づいたマンダレイが駆けつける。

 地面に座り込んでしまった洸太の尻と足の間に水分がにじんだ。

 出久を初めこの場にいる面々が洸太が恐怖で失禁したと気づいたが、当の本人である洸太は羞恥と恐怖による混乱からか涙目になって顔を赤くして震えた。

「洸太、だいじょうぶ、だいじょうぶだから。」

 マンダレイが洸太を落ち着かせようと声を掛けて背中を支える。

「洸太くん!」

「わぶっ!?」

「ちょっ、緑谷くん!?」

「すみません、浴室に行きますんで着替えを!」

 体操服の上着を洸太に被せた出久が素早く洸太を抱き上げ、マンダレイ達にそう言葉を残して宿泊施設へ走り込んだ。

 出久の素早すぎる動きに一瞬ポカンッとしてしまったプッシーキャッツの面々だったが、すぐに我に返ってマンダレイが虎とラグドールに訓練のことなどを任せて宿泊施設に戻って洸太の着替えを取りに行った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 男風呂のシャワーを使い、失禁による汚れを洗い流させてから脱衣所に置いてあったタオルで濡れた洸太を拭いてやった。

「気を遣ってくれてありがとうね。ほら、洸太。お礼言いなさい。」

 遅れて洸太の着替えを持って脱衣所に入って来たマンダレイが出久にお礼を言い、タオルで包まれた洸太にお礼を言うよう促した。

「いえ、お礼はいいですよ! 当然のことをしただけですから! プッシーキャッツ以外の目が無いところで良かったと思いますし。」

 洸太が頑なにお礼を言えず唇を固く閉じて俯いていると出久が焦った調子でそう言った。

「……本当にありがとう。」

 出久以外は洸太の身内とその身内の同じ職業仲間の大人達だけにしか目撃されなかった。洸太の尊厳を守ってくれたことにマンダレイは頭を下げ、それから脱衣所の端に置かれた洗濯物を投げ込む籠を指差した。そこに失禁して下半身を濡らした洸太を包んだことで汚れた体操服の上着を入れろということだ。

「あとは私がやっとくから戻っていいよ。」

「はい。ん…、洸太くん?」

「洸太?」

 後のことを引き受けたマンダレイが外に戻るよう出久に言い、返事をした出久が洸太を拭くために両膝をついていた床から立ち上がって行こうとしたら洸太の手が体操服のズボンを掴んでいた。

「洸太くん? どうしたの?」

「…………りがと…。」

「えっ?」

「…………べ、別に礼なんて言うかよ!」

「洸太!」

 ツンツンな態度で背中を向けながら出久から手を離してそんなことを言ったため、マンダレイが洸太を叱った。

 そんな洸太の様子に出久は苦笑した。

 

 

 〔素直じゃないガキだ……。しかし…〕

 

 

 ザギは、素直じゃないツンケンな洸太に少し呆れたが、子供の精神面での成長の過程で通らないといけない反抗的な行動の時期だろうと判断したが、なにか引っかかるものも感じた。

 

 

 〔なにか過去にヒーローに関係することで何かあったな?〕

 

 

 初対面の時からヒーローの卵である雄英の生徒達に敵対心に近い感情を見せていたのだ、恐らくヒーローに対してマイナスな感情を持つに至る出来事が過去にあったというのが想像できた。

 プロのヒーローという職業が飽和した社会であるのなら、飯田のように家族がプロヒーローであるせいで家族を失う危険に晒されやすいことが容易に考えつく。名が知れた有名人や権力者の身内であればその影響でいつ不幸が降りかかるか分からないということ。いつの時代も、別の宇宙でもそういう社会構造や価値観の共通があるのならどこでも起こりうる厄なのだろう。

 

 

 〔マンダレイとかいう女ヒーローの従甥だったか……。親の身内がプロのヒーローだから…、違うな、もっと近い血縁……、なら、実の親か〕

 

 

 ヒーローの家系をという珍しい飯田の家ほどじゃなくとも、ヒーローが増えた影響でそういう家系が増えてくるはずだ。

 轟も父親がエンデヴァーというプロヒーローだ。表立って家族が顔出しするのは危険だろうが、エンデヴァーは息子に期待してるせいで公言しているし、飯田は自分がヒーローの家系であることに誇りを持って名乗っている方だ。

 なら他の家族はどうなる? 公言することで他の家族が危険が及ぶと考えれば公言しないことが普通になるだろう。家族を守りたいのなら、なおかつ自分の立場を守りたいなら隠すはずだ。

 国家機密などに関わる職業であるなら、家族にも秘匿しないといけない規則があるだろうが、それはそれ。

 ザギは、洸太がヒーローにマイナスな感情を持つ理由が実の家族がプロヒーローであったからか、もしくはそれに近しい関係者であったことからその命が失われことが原因だと分析した。

 妙に出久とザギにつっかかるようなことをしてきたことや、泣いていたのを見て苦言を悪態をついてきたことから、体育祭と保須での出来事をニュース媒体を通して見聞きし、ザギの台詞が気になったのだろう。轟が影響されたように。

 

 

 〔面倒くさい……〕

 

 

 轟その2ができても困ると思ったザギは、洸太のことを片付けることを決めた。

 命を奪いはしないが、少なくともヒーロー絡みであろう過去のことを清算させて自分と出久から興味を逸らさせるためだ。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 午後の訓練が終わり、露天風呂、夕食、赤点生徒は補講を経てやっと就寝。

 連日の厳しい訓練でヘトヘトになり、いくら体力も回復も早い青少年とは言え疲労からすぐに就寝してしまった。

 初日はまだ枕投げなどの余裕があったが、その余裕さえ無くなっていた。

 慣れるまでの辛抱だろうが、今の彼らに夏休みのイベントを暇を見つけて楽しむ余裕は無い。

 そんな最中、寝静まった出久からホログラムのザギが抜け出てある場所へ移動した。

 移動先は、洸太とマンダレイが宿泊している部屋だ。幼い子供の保護者として傍で世話をしないといけないマンダレイは、洸太をひとりにさせることができないため同室だった。洸太は当初は嫌がったようだが渋々受け入れて同じ部屋で布団を二つ敷いて並んで寝ている。

 眠る洸太の傍にザギが近寄る。

 熟睡していても眠りが浅くなるタイミングがある。洸太は、何かを感じて顔をしかめながら眠気眼を開けた。

 目を開けてすぐに視界に映ったのが、真っ赤に光るザギの目だった。

 悲鳴を上げかけた洸太だったが、次の瞬間には世界が変わっていた。

 ザギの力で仮想の精神世界へ送り込まれたのだ。

「え…、あ…!?」

 洸太は混乱しながら周りを見回すがマンダレイはいないし、宿泊施設の部屋でもなかった。

 どこかの道路と住宅街。

 悲鳴や破壊音が聞こえ、洸太は固まる。

『〔これがお前の過去の傷か?〕』

 ザギの言葉で何かを察したらしい洸太だったが、直後に洸太にとっては二度と聞くことができなくなった男女の声と、それとは違う狂的な男の絶叫が聞こえた。

「ぱ、…パパ! ママ!」

 洸太が振り返った時、目にした光景は……。

 皮膚から露出した筋繊維の塊のようなものを腕や胴体に纏った男が男女のヒーローを殺害した瞬間だった。

 男は血が溢れ出る片目を手で押さえ、怒り狂っている。

 息の根を止められた二人のヒーローを訳の分からないことを叫び、遺体を蹴りつけ踏みつけ、片目を潰されたことへの恨みをぶつけているようだ。そこへ群がるように駆けつける他のプロヒーローや武装した警察部隊。

 それからまた景色が変わった。

 次は葬式の光景。

 多くの参列者がいて、その中にはヒーローコスチュームを纏っていない喪服姿のマンダレイもいた。

 二つの棺に縋り付いて泣きわめく洸太がいた。

 二つ並んだ遺影には洸太の顔立ちと面影を持つ男女が映っている。それだけで二人が洸太の親であることが分かる。

 洸太は震えながら、ただただその光景を見ているしかできない。

 当時の光景が脳内に蘇らされたのだ。

『〔父親と母親がヒーローか…。ヒーローの増えすぎたこの社会ならではということか。それでヒーローを育てる場所、それに参加する者達に消極的だったのか。お前…、憎いか?〕』

「!?」

 ザギが洸太に問うた。

 我に返った洸太がザギを見た。いつの間にか涙を流していた洸太はにじむ視界の中、ザギの顔を見上げた。

『〔憎い敵を……、お前を親を殺した敵を…、その手で殺し、父親と母親の仇を討ちたいのか?〕』

「ーーーっ!」

 洸太は、歯を食いしばりザギを精一杯の強気で睨む。

『〔お前は弱い。そしてお前の親も弱い。だから死んだ。〕』

「うるせーー!! パパとママを馬鹿にするな!」

 洸太が叫んだ。

「パパとママ……、ウォーターホースを……! 馬鹿にすんじゃな!! ウォーターホースはすごいんだ! 格好よかったんだ! 弱くなんて……なかったんだ!!」

『〔だが、子供のお前を残して死んでいるぞ? それで弱くない? 弱くなければ…、ずる賢ければ生き残る選択があった〕』

「!」

『〔自分の命を守るだけなら後ろ指を指されても生き残る手段を選ぶことはできた。それを選ばなかったのは、ヒーローというもののプライドか? ヒーローという道を選ぶきっかけになった正義感か? その結果命を失って、残ったお前はどうなった? 他に親戚もいただろう? だが引き取りを拒否した。殉職したプロヒーロー夫婦の子供というレッテルのある子供を育てるという重荷を避けた。結局お前を引き取ったのは、同じプロヒーローだったマンダレイという女だけだった。プロヒーローであれば、いつどうなるか分からない。お前の親がそうだったように。マンダレイも死ぬかもしれないぞ? ある日突然……。もしくは、ほんの少し目を離した隙に…〕』

「……。」

 唇を噛んで涙をボロボロと零して俯く洸太は何の言葉も出せないでいた。

 ただザギからぶつけられる言葉を幼いながら受け止め理解して、打ちのめされる。

『〔お前は弱い。親の敵が現れても何も出来やしない。……それなら、オレが力を貸してやろうか?〕』

「……?」

 弱々しく顔を上げた洸太は、ザギの顔を見上げた。

『〔お前の親を殺した敵がお前の前に現れたら……、オレを呼べ。声の限り叫んで呼べ。名前はもう知っているだろう? そうすれば、必ず、お前の敵をこのオレが……、お前の親を殺したあの男が二度と立ち上がりたくなくなるように、二度と誰も傷つけず、何も殺せなくなるほど心を折るほどに……凄まじくぶち倒してやる!〕』

「!?」

『〔お前がこの提案を受け入れるならいいが、拒否するならこの話は無かったことになる。二度と無い。どうする? 決められるのはこれが最初で最後だ〕』

 ザギは、洸太の前に腰を落として洸太に目線を合わせるようにした。

 ザギの表情が分からない仮面のような顔にある赤い目と顔にある赤い模様が不気味に光る。

 だがそれは催眠をかけたり、脅すような奇怪さや威圧感はない。

 ただ、洸太にザギから出せる最良の提案に対する洸太からの返答を待っている。

 洸太は、涙を止めて、考えた。

 時間の経過が分からない仮想世界でじっくり考えた。

 そして。

「……本当に? 嘘じゃない?」

『〔オレは、オレのしたいようにする。お前の親を殺した敵……、殴りがいがありそうだから。それだけだ〕』

「……約束…、して。」

『〔約束は必ず守ってやる。これは、オレが決めたことだ。反故にする気はない〕』

 顔をクシャクシャにする洸太にザギが右手を差し出した。

 それがまるでザギとの間に交す約束の証だとばかりに。

 洸太は、震える手でザギのその手を握った。

 

 そして仮想世界が消え去る。

 目を覚ました洸太は、まだ太陽が顔を出し始めたばかりの早朝だと気づいたが、ハッキリと記憶に残っているザギとのやり取りが頭を駆け巡り、二度寝をするができず、だが起床することもせずにただ布団に横になった。

 手にはザギの手の感触が残っている。確かにあの手を握ったという感触の記憶があった。

 

 

 

 

 

 しかしザギは、まだ感知していない。

 林間合宿に狙いを定めるヴィラン達のことを。

 

 

 

 




洸太のことをどうするか、どう絡めるか考えた末にこういう形にしました。
ひょっとしたらザギが都合の良い手駒にすることとか以外で初めて自分から誰かに手を差し伸べた出来事かも?
オレが殴りたいからオレがやってやる。これってスクライドのノリかも?
ダークヒーローってだいたいそんな感じな気もして。

ヴィラン連合がいつ襲撃してきたのかがいまいち覚えていないので、合宿開始から数日経ってから襲撃があったという展開にしました。
内通者がいたとはいえ初日すぐじゃないだろうという想像です。


別の案として、1回限りの変身能力としてファウストかメフィストの力を洸太に与えて2分程度に制限時間付きでマスキュラーと直接対決するっていうのも考えましたが、ここまでのザギの行動を読み返すと、そこまでしてやる気は起きないかなと思って却下しました。
あとの後遺症とかも考えたら…無しだなとも。


次回は肝試しからのヴィラン連合襲撃を予定してます。
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