ヒロアカ×ダークザギ  ネタ   作:蜜柑ブタ

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パソコンの設定に悪戦苦闘と、寒さで体がしんどかったり…。
主にメール設定がうまくできずに落ち込んで体調を崩しているが多いかな?
機械音痴な己を痛感して落ち込む……。



今回は、前回から続き。

ヴィラン連合襲撃回。

マスキュラーが大変なことに⁉

相変わらずザギの喋り方や性格とかが違うかも……。

洸太との約束は守ってます。


一部残酷な描写と流血描写があります、注意!!


マスキュラーの個性をいまいち把握できないため、実際この方法でボコれるか分からないため、もしおかしいというご意見がありましたら、メッセージか活動報告にお願いします。
感想欄で書くと削除される可能性がありますので。




それでもOKって方だけどうぞ。





いいですね?



第45話  約束を守るザギと、マスキュラーに下る罰

 

 

「ねえ、ザギ。あれ、本気だったの?」

 洸太と約束を取り付けた翌朝に出久が洗面所で自分の後ろにいるザギに聞いた。

 ザギは驚いて出久の顔を見た。

「なんで知ってるかって思ってる? 僕さ…、体育祭からなんだけどなんとなくザギが自分で何かしてる時のことが分かるような…感じがするようになったんだ。だからザギが昨日の夜に何かしてたのかも…。」

 他に人がいるので詳しく話さない気でいるようで、あえて内容は伏せている。

 爆豪だけは強く怪しんでザギを見ていた。

 ザギは、少しオロオロしたが知られたなら仕方ないと肩を落とし、洸太との約束のことは秘密だと自分の口の前で人差し指を置く仕草を見せて出久にその旨を伝えた。

 出久もザギの意思を汲んで無言で頷いていた。

 むしろ嬉しそうに笑っている。

「なににやけとんだ…。」

「んー、なんでもないよ。」

「はあ…。」

 お前何かしたんか?とザギをすごく疑う目を向ける爆豪。

 ザギは知らんぷりして何も答えなかった。

 その時、ザギは予感した。何か嫌なことが起こる兆候のようなものを感じた。

 

 

 〔何が来ようが関係ない〕

 

 

 自分がやることは何も変わらないと、ザギはそれだけを決めている。

 

 ザギが感じた嫌の兆候の正体は、その日の夜に起こった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 夏休み返上での強化訓練の合宿とはいえ、多感なお年頃の少年少女に何も思い出がないのはしんどいだろうと教師陣とプッシーキャッツが会議していたらしい。

 そのため入浴時間と就寝時間を少し削って肝試しイベントを夜間に開催することを知らされた。

 夏と言えば肝試し。夏の夜のほどよい涼しさは、お盆という亡くなった人が帰ってくる日があることもありなぜか肝試しや怪談を夜にやるのが楽しいイベント扱いになっていた。

 肝試しの定番の場所は墓場などの絶対何か出そう…っと思わせる怖い場所を選ぶが、場所を間違えると最悪私有地に不法侵入する危険と、道端に火のついたロウソクなどを設置するなどして最悪山火事やボヤなどが発生する可能性もあるため、肝試しをする場所をある程度しぼることで警察沙汰や最悪な事故を避けねばならない。

 幸いなことに合宿場所はマンダレイの私有地であるため、どこで何があっても私有地だから警察沙汰は避けられる。だが逆に言えば警察関係の管轄じゃないため、そこでなにが起こっても助けに入れないということでもある。まあ今回は肝試しで誤って私有地に入る危険がないというだけの話なのでその問題は置いておく。

 肝試しには、A組とB組が交代で肝試しで通るのだが、決められたルートで脅かし役をそれぞれの組が交代で行うという内容だ。

 肝試しで脅かしポイントを仕掛けるのも楽しみのひとつだろう。実際遊園地のお化け屋敷でもお化け役と脅かすための仕掛けがあるのだから、これを生徒が工夫を凝らして切磋琢磨するライバルのクラスに仕掛けるのだ。これはやる気が燃え上がるだろう。

 プロヒーローの中にはヴィランとの戦いや捜査などよりも芸能界の活躍などのエンタメを主な仕事にしたプロヒーローも少なくない。プロヒーローが多すぎるせいで副業をしないと生活ができないという世知辛い理由からそうならざるおえなかったのだろうが、その結果ステインのような狂信的な英雄思想に傾倒する輩も出ることになったがそれはひとまず置いておく。

 もちろん相手を怪我させるなどの過剰なことは禁止だ。驚きすぎたりなど、途中で体調に問題が発生したら即救助と肝試しの中止もあり得るとのことだ。いくら若い生命力溢れる若者でも心臓に悪いことは体に悪いから問題が起こればすぐに伝えるべきことだ。プロヒーローとして体調面の管理も仕事だからだ。

 そんな感じで二人ペアを組んで決められたルートを周り、ゴールを目指す肝試しが始まる。

 ところがだ……、残念ながら赤点生徒は補講があるため参加不可能ということが相澤から言い渡され、赤点生徒達は相澤の捕縛布で縛られて泣きわめきながら宿泊施設へ引きずられて行った。

 なのでA組はペアを組むとひとり余ることに。

 ジャンケンで決めたのだが……。

「僕は問題ないから……。」

 結果余ったのは出久だった。

「テメーはひとりで二人だろうーが。」

「だな。」

「普段の状態を見れば分かる。」

「爆豪の言う通りだろ。」

「いつも二人で寂しくないね! 羨ましい限りだよ!☆」

 ポリポリと頬を指でかいて自分が単体で肝試しルートに挑むことになったが、爆豪を初め他の面々も出久にはザギがいるので全く問題ないと納得していた。実際今もホログラムのザギが出久の背後から出久を抱きしめている姿勢なのだ。ハッキリ言って孤独とは無縁だ。

「俺と代わるか? それとも組むか?」

「とどろきー、それ絶対無理だから。」

 ザギと仲良くなりたい轟は、ポヤポヤして悪気なしでそんなことを申し出てくるがそれは無理だと周りがツッコんだ。

 実際ザギも嫌そうに轟から距離を取ろうとしている。出久に抱きついたままだが向きを変えた。

 下手に刺激しすぎて念動力でぶっ飛ばされる危険があるので正直見ている方は内心冷や冷やだ。特に爆豪は胃が痛いようだ。

「逆にザギがB組をビビらせたりして?」

「ありえそうだわ。」

「お可哀そうに…。」

「待って、まだやられるって決まったわけじゃなくない?」

「ザギ、反撃しちゃダメだよ?」

 驚かせに来るB組に対して反撃しないよう出久がザギに頼む。

 ザギはムスッとした様子だったが渋々頷いていた。

「ザギ、ちゃんとデクくんの話を聞き入れてくれるようになったんだね!」

 麗日がザギの進歩を見て嬉しそうにしていた。

 麗日の言葉に、周りにいた生徒一同は確かにっとハッとしていた。

 

 

 〔お前達のためじゃないぞ?〕

 

 

 ザギは、言葉に出さず、だがよくわからないムカつきを感じていた。

 自分がそうしたいからそうしているだけであって、出久以外のためじゃないと言葉に出さずにグルグル言い訳をしていた。

 そんなこんなで肝試しが始まる。

 だが、ザギは夜闇に紛れているお邪魔虫の気配に気づいた。

「……ねえ、ザギ。」

 出久も気づいたようで、恐る恐る小声で後ろにいるザギを見上げて聞いた。

 ザギがどうするか考えていると、間もなく自分を呼ぶ声を聞き取った。

 ここからは離れている。

 だが確かにザギは聞き取ったその声は……。

『〔出久、頼みたいことが…〕』

「うん。いいよ。」

『〔いいのか?〕』

 即座に返事を返す出久にザギは少し焦るが、出久はすでに腹を決めている顔をしていた。

 出久の承諾を得られたザギは、子供と交わした約束を守るために出久の体を借りる。

「出久⁉」

 真っ先に異変に気付いたのは爆豪だったが、次の瞬間には黒い光がほとばしり、そして出久がその場からいなくなっていた。

「緑谷! なんだ、なにがあったんだ爆豪!」

「知らねー! こっちが聞きてぇわ! だが何かやべーことが起こるぞ!」

「ん…? なんかくせぇ?」

「こりゃ……、ガスだ!」

 肝試しルートの森の方から微かに流れてくる風に乗って、鼻の粘膜を刺激する異臭と奇妙な色の煙に気づいた。

 それが毒ガスであることが異臭と鼻の奥に感じる違和感ですぐに分かった。

 

 

 異変はすでに合宿開催をしている敷地内で起こっていた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 一方、そのころ。

 敷地内にある岩山で、洸太が大柄な男に詰め寄られ、岩壁に追い詰められていた。

「あ~? どーした? さっきなにを呼んだんだ? ざぎ? なんだそれ? んなヒーローいたか? ま、いいや。その帽子くれよ、いいよな?」

「う、あ……。」

 ごつい手が洸太に延ばされる。

 洸太は、涙があふれかけている目をギュッとつむって、先ほどとは違い声に出せないが心の中でも呼んだ。

 ザギのことを。

 

 両親を殺した敵が現れたら呼べ

 凄まじくぶっ倒してやる

 

 夢で交わした約束を信じるしかなかった。

 ザギが約束は守ると言ったから。

 その時。

 

 

『〔オイっ〕』

 

 

「はっ?」

 背後から聞こえた低い声に大柄な男が洸太に手を伸ばすのを止めて振り返った瞬間、男の体が洸太から見て右へ吹っ飛んだ。

「ぁ……、ざ、ざ、ザギ…!」

『〔ちゃんと約束通り来てやったぞ〕』

 そういうザギは、宙に浮いたまま蹴った体勢を戻してふわりっと地面に着地する。

 洸太はそこで気づいた。

 ザギがホログラムじゃないことに。

 実際着地したときに柔らかい部分の地面が凹み、小石がぶつかれば小石が転がった。大柄な男を蹴った体勢だったのだから実体があるのは間違いなかったが、洸太にはそれに気づく余裕がなかった。

 実体を持ったことで黒い色を基調とした体全体の艶、その黒色を映えさせる赤い模様がより鮮やかに輝いていて、胸部にあるエナジーコアという部分の輝きと目の赤い色がより目を引く。

 夜の闇の中で禍々しくも、不思議な美しさを持つザギが洸太から先ほど蹴り飛ばした男のほうへ顔を向けた。

「うがあああ! なんだお前ー--⁉」

 そう言って立ち上がってきたのは、ただでさえ強面の顔に大きな傷、傷のある方の目がメカメカしい義眼になったヴィラン。マスキュラー。

 この男こそ、洸太の両親であるヒーロー・ウォーターホースを殺害した張本人だ。

 義眼は洸太の両親がつけた傷を治療した後に付けたのだろう。

 仇であるマスキュラーが洸太の前に現れた。そして洸太はザギと交わした約束を信じてザギを呼んだ。そしてザギはやってきた。

 凄まじくこの男をぶち倒すために。二度と誰も傷つけられなくなるほどトラウマを植え付けるために。

 マスキュラーがザギを見て、怪訝な顔をしたがやがてパッと顔を輝かせた。

「お前…、つよそーだなー⁉ 絶対そーだろ⁉」

『〔うるさい〕』

「ブゴッ⁉」

 ザギを強者と見たマスキュラーが喜んでいるようだったが、すぐにザギに額をデコピンされてのけぞり背中から派手に倒れた。

「な、なな…、いつの間…、に⁉」

 一瞬で距離を詰めたザギの動きが見えなかったため、マスキュラーはおでこを押さえながら混乱した。

 痛みに悶えていたマスキュラーの頭にザギが片足を乗せて踏みつけた。

 マスキュラーの顔が横向きになった状態で地面に押さえつけられる。

「ぶふっ⁉ こ、この…、さっきから…、い、イデデデデデデデデデ⁉」

 そこからドリルのごとくグリグリ地面に押し付けながら擦り付ける。

 聞こえちゃいけない嫌な音と共に、あまりの摩擦で煙がプスプス出ているほどだ。もちろんマスキュラーは激しく暴れてザギから逃れようとしている。

 だがザギより体格のいいマスキュラーがいくら暴れてもザギは微動だにしない。

『〔少しは期待したが……、弱いな〕』

「ー--ああ⁉」

 弱いという単語に過剰反応したマスキュラーの体が膨張した。

 皮膚の下の筋繊維のような物が服を突き破って体を包み、その勢いでザギの足をどかせたことでザギが後ろへ跳んだ。

 立ち上がったマスキュラーは、倍に膨らんだ体で凶悪な顔をしてザギを睨む。頭の横の短髪が摩擦で焦げて色が変わっていた。

「誰が! 弱い⁉ ってぇ⁉」

『〔お前が〕』

 間髪入れずに弱いのはお前だと指さすザギに、キレたマスキュラーが絶叫をあげてとびかかってきた。

『〔さらに頭も悪い〕』

「!」

 鎧のようにまとった筋繊維を突き破る突きが、マスキュラーの顔面に命中した。

 その強力な一撃にマスキュラーは岸壁に叩きつけられ、岸壁に埋まった。

「ぅ…うぉおお…。」

 へこんだ鼻は形がメチャクチャ、鼻の穴から血がダラダラ。

 いくら筋繊維の防御力と攻撃力があってもそれを突き抜けて急所にダメージが入ったら耐えられない。

 泡でも突き破るように簡単に拳と腕が突き抜けてきたことはマスキュラーには想定外過ぎた。

『〔まだだ〕』

「あが…!」

 頭を掴まれて持ち上げられる。

 ザギの目線に持ち上げられて、赤い両目と目が合う。

「な…なんでゃ…、お、おお、おまえぇぇ…?」

 マスキュラーは、ザギのあまりの異質さに気づいて思わず聞いていた。

『〔オレは、ザギ。それ以外に言うことはない。お前には無意味だ〕』

 瞼のないため瞬きをしない赤い目。縦線が三つ並ぶ奇妙な赤い目。

 表情が読めない仮面のような質感の顔。

『〔その個性…、どれくらい耐久力があるんだ? 試すぞ?〕』

「へ……?」

 ザギの言葉に思わず間抜けな声を漏らしてしまったマスキュラーは、脱獄してきたことを激しく後悔する酷い目にあうことになる。

 体にまとわせていた筋繊維の塊をもう片手で掴むと、そのまま下に向けて引っ張って剥ぎ取った。

 テーブルクロスを一気に引っ張り取るか、カワハギの皮を一気に剥ぐように。

 千切られた筋繊維に混ざっている血管が破れて飛び散る鮮血。

「ぎゃあああああああああああああ⁉」

 マスキュラーは大きな絶叫をあげてあまりの激痛に暴れ狂う。

 個性である筋繊維は体の一部なのだから、いきなり剛力で引きちぎられたら痛いに決まっている。

 マスキュラーから引き剥がした筋繊維の一部を持っていたザギは、つまらなさそうにゴミをポイ捨てでもするように放り捨てた。

 べちゃりと嫌な音を立てて筋繊維の塊が地面に落ちて、血が地面に染み出す。

『〔異形型だったか? お前のような個性は。体の一部を自由にできても、千切り取られたらこのざまだ。辛いな? しんどいな? 面倒だな? ……つまらない〕』

 途中まで嘲っていたが、最後だけは無になったようにスンッとしてそう言うザギ。

 マスキュラーは、痛みのあまりに白目をむいて涙と鼻水を流して、涎を垂れ流す口をハクハクと開閉しているだけだ。

 他のヴィランやプロヒーローと交戦した経験はあっても、ここまでのことをされた経験はなかったのだろう。

『〔目を覚ませ〕』

「ブッ⁉」

 ザギがマスキュラーを正気に戻すためにビンタした。

「うう……、うぎぃぃいい…。な…なんでぇ……? 俺は強い…の、に…?」

『〔この程度で戦意喪失か? なんでか? お前が弱い。それだけだ。お前の考えだろう? 強いことが正しい。殺されるのも悪くない。殺される方が弱いから悪い。じゃあ、今のお前は? 強い? 弱い?〕』

 ザギの言葉を聞かされていたマスキュラーが不意に目を見開いて残った筋繊維を膨張させてザギの顔面に拳を叩き込んだ。

 見ていた洸太が目を見開いたが、当のザギは微動だにしない。動かないうえに、声の一つも出さない。

 つまりノーダメージ。痛みも痒くもない。全く効き目がない。

「うぁ…?」

 マスキュラーは、抜けた声を漏らした。

 逆に傷ついた自分の拳が信じられない様子だ。そしてザギに全くダメージが入っていないこともだ。

『〔……覚えておけ〕』

「えっ?」

 ザギがマスキュラーの頭から手を離した。

 落とされたマスキュラーだったが、背中を無理やり向けさせられた。

 その直後再び人生最大の激痛が襲ってきた。

 背中から膨張している筋繊維をザギに引き剥がされたのだ。筋繊維の塊が背中の方が固く胴体に張り付いていたからか、剥がされた量も多く、結果背中の骨が肋骨まで露出した。

 マスキュラーは、もはや声にならない悲鳴しかあげられない。

『〔自分が誰よりも優秀な捕食者であると強さを誇示し、自惚れれば……、それ以上に強い捕食者に出会う。今、この時のように…な?〕』

 ザギは再度剥がして取った筋繊維の塊を放り捨てなが言った。

 マスキュラーは、激痛にのたうち回りながらザギが笑ったのを知った。なぜ分かったのか分からない。だがザギは笑っていた。言い聞かせながら笑っていた。

 マスキュラーは心の底から恐怖した。

 ザギの言う言葉が脳内を侵食するように駆け回る錯覚をするほど我が身で体験していることを認識した。

 強い強いと弱者を踏みにじり、心行くままに弱者を傷つけ殺してきたら、それ以上に圧倒的に強い奴に笑われながら傷つけられ殺されることになるのだと。

「~~ゃだ…。」

『〔ん?〕』

「いやだぁ……、死にだぐなぁぃいい…! こ、ご…ごろざないでぇぇぇ…!」

 マスキュラーは恥もなくプライドもかなぐり捨てて許しと死にたくないと懇願した。

 土下座せんばかりの勢いで座り込んで頭を下げ、祈るように両手を合わせる。

 自慢の筋繊維を大きく剥がされ、自分の血で血まみれに汚れて、背骨と肋骨の一部が見えてしまっている見るからに痛々しい有様。

 それはマスキュラーが傷つけ殺してきた人々が命だけは…と懇願するその姿と変わりないことにマスキュラーは気づいていなかった。

『〔お前が言うか? お前が乞うのか? お前が? 今までお前が傷つけ、殺した奴らも同じことをしなかったのか? 今のお前のように殺さないでと言わなかったか? どうしてお前だけが許されて生き長らえれると思う? 弱いから死んでも仕方がないんだろう? その時はお前が強かったから。じゃあ…、今のお前はなんだ?〕』

「ごべんんなざいいいいい! お…でが、俺が悪がっだでずうううううう! じにだぐないいいいい!」

『〔おい、どうする? お前の敵が謝ってるぞ? 許すのか?〕』

「?」

「!」

 ザギが顔を後ろに向け、洸太に意見を求めた。

 グシャグシャに体液で汚したマスキュラーはわけが分からない様子だが、洸太は硬直した。

 幼いながらザギの言葉を汲み取って考えているようだ。

 洸太がマスキュラーを見た。

 その顔には、最初に遭遇した時の恐怖はない。

 冷めきった、憐れむような静かな感情しかない。

「……あの…?」

「…………ねえ…。」

「?」

「お前…、パパとママを……ウォーターホースを覚えてる?」

「…うお…た…? 誰だ?」

 目をぱちくりさせているマスキュラーの様子に、洸太は長い溜息を吐いた。

「ダメだこりゃ。もういいよ。こいつマジでダメだ。ガキの俺でも分かる。全然ダメだって。」

 洸太がひねくれた子供なりの語彙力でマスキュラーの救いのなさに呆れて首を振り、ザギに自分の答えを伝えた。その表情は無だ。もはや情けとかそういう温情は消え去っている。

『〔ふんっ。約束だからな。というわけで…〕』

「え…、え? なんで、です…か?」

『〔あのガキ(洸太)と交わした約束だからだ〕』

「あ…え…あの?」

『〔二度と誰も傷つけたくなくなるように〕』

 ザギが構え、右手に紫色のエネルギーが集中する。

『〔凄まじく、ぶち倒す!!〕』

「うわあああああああああああああああああああ!!」

 顔から出る体液をまき散らしながら無様に背中を向けて逃げようとしたマスキュラーに、無慈悲にザギシュートが命中して岩山の一角が爆発して崩れてなくなった。

『〔…満足したか?〕』

「……分かんない。」

 目の前の道が崩れて無くなった場所の傍に立つザギが洸太に聞いたが、洸太が俯いたままボソリとそう答えた。

「おかしいな…、パパとママの仇を取れたのに……スッキリしねー…。」

『〔復讐はスッキリするとは限らない。……性根が優しすぎると特にな。お前は悪を許せる人間だった。だからそんな気分になる〕』

「俺…。」

『〔お前はまだ子供だ。弱い。だが、オレにはなれない。お前の性根じゃ、オレにはなれない。だから、オレを参考にするな。オレを真似をするのにはお前は向いていない〕』

「!」

 ザギからザギのようにはなれないと否定され、洸太は目を見開いてザギを見た。

 禍々しい外見、そして赤い目が洸太を見ている。

 自分とは全く異なる存在だと分かる見た目からしてハッキリしているザギという存在。だからどれだけ努力してもザギの強さや精神性などを真似られないということだ。洸太は幼いながらそれを理解した。

 洸太は、自分に言い聞かせるように、ザギへの少なくない憧れを断ち切るように頷いて見せた。

『〔………オレは、もう行く。お前はこの辺にでも隠れていろ〕』

「えっ?」

 ザギの言葉に驚いて聞き返すと、ザギが森のほうを指さした。

 森の一角が広範囲で奇妙な色の煙に包まれていた。

「えっ⁉ な、なんだよあれ⁉」

『〔さっきの男以外にも敵がいる。オレが片づけてくるから、お前は朝まで身を隠せ。味方が来るまで耐えていろ〕』

「う、うん!」

 洸太の返事を聞くより早くザギが浮き上がり、一瞬にしてすごいスピードで煙に包まれた方へ飛んでいった。

「あいつ飛べるのかよ…。」

 ザギに飛行する能力があることを知って、洸太は驚くしかなかった。

 

 

 

 

 ちなみにマスキュラーは、岩山の下の瓦礫に埋もれているが幸い窒息する状態ではなかったため命だけは助かる状態だった。

 だが、二度と誰かを傷つけられないトラウマを負い、自分の強さを誇示することすらなくなるのだ。

 強さをひけらかせば、やがて自分より圧倒的な捕食者(強者)に出会うことになるという運命を思い知ったからだ。

 

 

 

 




洸太と交わした約束をきっちり守ったザギ。
ある意味でこれが自分と出久以外のために自分の意志で行動を起こした初めてのことかも?
一応洸太が根が優しいからザギのようにはなれないって釘も刺しておいて、轟みたいなグレーゾーンな状況にならないようにもしてます。
洸太は、ヒーローの両親とマンダレイを親族に持つから性根が優しいし善良だと思いたい。だからザギのように容赦のない強さの追求とか自己中心的にはなれないという意味で、釘を刺し感じでザギに憧れるのを諦めさせた。上手くいったかは置いておいて。

ザギが出久に頼んだのは、体の主導権をザギに渡すことでした。
そのためザギの本当の姿で実体化し、出久の姿よりも本来の力を出せるようにしてます。

マスキュラーは、とにかく自分より弱いという理由で他社を殺傷するシリアルキラーなので、好き勝手に強さを誇示してたらやがて自分より圧倒的に強い奴に殺される側になるってことを教え込む形で倒しました。
死んではいませんが、二度と誰も傷つけられない精神状態になります。


このあと、ヴィラン連合をボコる予定ですが、ザギが完全に表に出ることによる弊害をウルトラマン作品共通の弱点として出す予定。
そこから神野事件に繋がるようにしていきたいです。
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