体の痛みはだいぶ楽になった感じですが。
今回短め。
今回は、ヴィラン連合襲撃回その2。
ザギが軽く気絶させて追い詰めるが……?
ザギにも他のウルトラマン達にもある共通の弱点が発生します。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
宿泊施設前で相澤は、捕縛布を構えたまま目を丸くしていた。
青い炎を放とうとしてきた長身で顔や首など見える範囲で酷い火傷と縫い付けたような白い皮膚のせいで違うパーツを縫い合わせたツギハギのように見える。その顔と両耳には様々な種類のピアスが無数に付けられていて、実に奇妙な男が上から飛び降りてきたザギに踏まれてうつ伏せにされて倒されたのを見たからだ。
男の体は上から飛び降りてきたザギによって軽く地面にめり込んで動かない。たぶん気絶している。
「…ザギか?」
『〔……ふんっ〕』
倒されたヴィランの背中の上に両足を乗せて踏みつけているザギに相澤が確認のために問うと、ザギはいかにも機嫌が悪そうにそっぽを向いた。それが肯定する返事だと捉えた相澤は捕縛布を首に巻き直した。
「実体が…、ああ、緑谷が許可を出したのか?」
『〔関係ない〕』
相澤の問いかけにそっけなく返し、ザギは毒ガスが渦巻く方向へ片手を延ばした。
直後手から放たれた球体のようなエネルギーの塊が毒ガスが覆う一角の中心の宙で止まり、凄まじい速さで毒ガスを吸引し始めた。
「感謝する。」
『〔…ふんっ〕』
他の生徒のためにザギが動いていると気づいた相澤は素直に感謝を伝えた。
あっという間に新鮮な空気に変わった森の中で、男の悲鳴が微かに聞こえた。
どうやら毒ガスをなんかするために毒ガスが充満する中で行動していた生徒達が、ザギによって毒ガスが消されてから毒ガスを放出しているヴィランをちょうど発見して無力化させたようだ。
ザギは、踏みつけている男からどいてその後ろ首を掴んで持ち上げてから、そのまま宙に浮いて毒ガスが撒かれていた地帯の方へ移動した。
「飛べるのか…。」
ザギが音も無く飛べることに相澤は驚いていた。
***
毒ガスが消えた肝試しルートのある森の中では、他のヴィランと生徒達との攻防が行われていた。
もちろん真っ先にプッシーキャッツも出動したのだが、ラグドールが早々に消息を絶ち、テレパシーの個性を持つマンダレイが一方通行であるが全体への指示や状況確認を行っていた。
そこへ相澤が駆けつけ、ザギが出久の体の主導権を借りてヴィランを抑えるために動いていることを伝えた。
マンダレイは、驚いて目を見開くがすぐに持ち直して全体に伝える。
ザギがヴィランと戦いに行くことを。
「マジで⁉」
「隙あり!」
「うおお⁉」
爆豪と轟が相手していたヴィラン、マグネがマンダレイのテレパシーを聞き取って驚いた隙に、爆豪の攻撃を受けた。
だが相手は伊達に悪名をとどろかすヴィランのひとりではない。戦況が悪いと見るやすぐに退却した。
「チッ! 腰抜けヴィランが!」
「ザギが…。」
「まさかアイツがな…。出久…。」
ザギが出久以外のために動いていることに驚かされるが、爆豪はそれよりも出久が心配だった。
右腕だけをザギの物に変化させるのではなく、全身をザギの物に変化させているのだ。出久にどのような影響があるか分からない。
ザギのことだから出久に悪影響があることはしないだろうとは考えられるが、心配する気持ちが沸いてしまう。
「ギャンっ⁉」
すると夜の森へ逃げ込んだマグネの短い悲鳴が聞こえた気がした。
その悲鳴で二人の体が硬直したが、間もなく茂みからマグネの片足の足首を掴んだ状態で引きずりながらザギが現れた。
「ザギ!」
轟の顔がパッと嬉しそうに明るくなる。
だがザギは、そんなことは気にもせず、片手にツギハギ火傷男の後ろ首を持ったまま、マグネを地面に捨てて彼(?)が装備していた長い棒状の磁石を奪うとその場で手早く粉々に破壊した。
それから再度マグネの足を掴んで、宙に浮き、別の場所を目指して飛び去る。
「ザギって飛べるのか!」
「…マジか。」
ザギの万能さにただ驚くしかない。
その時、別の場所から凄まじい破壊の音が響き渡った。
獣の咆哮にも似た声が夜の世界に響き渡る。
夜闇を照らす弱い月の光の中、森の木々を越える巨大な黒い物体が顔を持ち上げた。
それは常闇のダークシャドウだった。
「ダークシャドウ? 常闇に何かあったのか?」
「……すげぇ。」
クラスメイトに起こったであろう異変に気を引き締める轟と、ダークシャドウの想像を絶する迫力と力に魅入る爆豪。
二人は急いで現場へ走った。
その途中で障子と合流した。肝試しで常闇とペアを組んでいたのだが、障子がヴィランの攻撃を受けた際に個性で複製させていた腕の一つを千切られたのを見て激しく動揺した常闇がダークシャドウの制御を失い暴走させてしまったのだと。
ダークシャドウの特性として、影の濃さと範囲に影響される。そのため太陽がない闇の時間帯である夜間こそが最も力を出せるが、個性の持ち主である常闇でも制御ができなくなる危険性があった。
だが一方で闇に影響されるからこそ強い光に弱いのだ。
体育祭でもその弱点をつかれて爆豪に敗退している。
だから急いでダークシャドウに爆破の光を浴びせるか、轟の炎の明るさを浴びせる必要があった。
〔……ああいうのもあるのか〕
飛んで移動中に怪獣のごとく暴れるダークシャドウを見つけたザギが、少しだけ感心した。
個性は取るの足らないと思っていたが、条件が揃えばこれだけの力を発揮できる物もあるのだと。
だが強すぎるがゆえに常闇ひとりでは扱いきれないのがもったいない。
ザギは、すぐに思考を切り替えて次のヴィランを無力化させるために急いだ。
宙を飛びながら超能力でヴィランの位置を確認する。
ヴィランの動きが変わっている。一か所に集合しようとしているように見える。
ザギが攻撃してくると知って脱出を優先しているのか。
なら、一か所に集まったところを一網打尽にするのが早い。
そう考えたザギは、動きを観察しつつそこへ移動する。
やがて残るヴィラン達が一か所に合流する地点に到達したところで、急降下して地面にわざと派手に着地した。
「ひえええ! 来ちゃいましたー-! うわー、ザギ様、実物かっこいいです!! 赤い目と胸の赤い模様がすっごい素敵!!」
女子高生のような格好のヴィランの女がザギの降臨に驚きつつ実物のザギを見れて興奮しているようだった。
格好もだが見た目からして恐らく出久達に近い年頃の少女のようだ。
「荼毘⁉ マグネ⁉ くっ…、マスキュラーも戻ってこないということは……。」
爬虫類の異形型個性らしき男が苦虫を嚙み潰したような顔をした。
「これは想定外ですよ…。とんでもないピンチです。」
マジシャンのような格好のヴィランが努めて冷静さを保とうとしているようだが、動揺を隠しきれていないようだった。
ザギは、そんなことなど気にせず自分が運んできたヴィランの二人を彼らの方へ捨てるように投げた。
「荼毘くん! マグ姉! ううっ、息も心臓も動いてるけど…。」
気を失っているとすぐに分かったが、状況の悪さは全く解決しないことに女子高生のようなヴィラン、トガヒミコが声を震わせる。
そうこうしていると、ラグドールを抜くプッシーキャッツと相澤、そしてA組、B組の生徒達が集結してきた。
「逃げ場はない。大人しく捕まれ。」
相澤が捕縛布を手にヴィラン達に声をかけた。
ザギという最強の手札がある以上彼らがこれ以上の抵抗は不可能だと判断すると考えたからだ。
それプッシーキャッツ達も考えていたようで、どこか余裕がある。
他の生徒達も実体化しているザギに驚きつつ、ザギがいるという安心感を得て余裕を持てている。
だがそれは間違いだったと、敵も味方も想像していなかった。
『〔………ぐっ⁉〕』
急に背中を丸めて自分で自分の体を抱きしめるようによろめくザギ。
その異変に敵も味方も驚いてザギを見た。
ザギの胸部にあるエナジーコアが点滅を始めていた。
それはまるで警告。これ以上は無理だという危険信号を発しているとしか思えない。そんな様子だ。
『〔…く、そ…! こうなるとは…! オレ…とした…こ……とが………〕』
ザギが苦しそうに声を漏らし、やがて前に向かって倒れこんでいった。
倒れる最中にその体が出久の姿へと変わって、出久が地面に力なく倒れた。
「ザギー-ー!」
「轟!」
倒れたザギを見て慌てて駆け出した轟が出久のところへ近寄った瞬間だった。
その姿が一瞬で消え、倒れて動かない出久まで消えた。
「なっ⁉」
「これは運が良い! 予定外でしたが、予定通りになった!」
マジシャンのようなヴィラン、Mr.コンプレスが二つのビー玉のような物を手の上で弄びながら嬉しそうに言葉を発した。
二人を奪ったのはあのヴィランだとすぐに分かったからプロヒーロー達が即座に動こうとしたが、それよりも早くヴィラン達の背後にA組には見覚えがある黒い霧が発生し、ヴィラン達は倒れている荼毘とマグネを引っ張って霧の中に入っていき霧は彼らを別の場所へ転移させることに成功してその場から消え去った。
「い、出久…!」
爆豪の声が震える。
すぐ目の前でザギに異変が起こり、倒れた出久がヴィランに攫われた。
ザギという最凶の過保護がいるからと安心しきっていた部分があったから、まさかあんなことになってザギが引っ込んでしまい出久を守ることができなくなるとは予測していなかった。
その事実を目の当たりにしたショックの大きさに、爆豪はその場で両手をついて項垂れた。
あまりに手早く、そして有利に運んでいた状況からの最悪な結末に大きな混乱が伝染する中、ひとりだけ動揺しつつも違う様子の生徒がいた。
「…お茶子ちゃん?」
「デクくん…。」
「だいじょうぶ、だいじょうぶよ。あなたが一番分かるでしょう?」
「梅雨ちゃん…。」
「もしかしたら……、核心はまだ持てないけど…、あなたなら…、二人を…。」
蛙吹が麗日を落ち着かせようと抱きしめながら、言い聞かせるようにそう話す。
それは二人が肝試しのペアを組んでルートを進んでいる途中で交わした会話で得た麗日の秘密が関係していた。
それがヴィラン連合に攫われた出久と轟を見つけ出し、同時にヴィラン連合のアジトを発見する重要なカギとなる。
もっと細かく書くべきだったかと思うけど、神野事件を早く書きたくてこうしてしまった。
予定から外れてザギにもウルトラマン共通の弱点が発生するって設定にしました。
そうじゃないとただのチートだし、ある程度制限ないとダメかという考えが浮かんでしまって。
ウルトラマンのカラータイマーも、元々は放送時間の都合で設定されたものっぽいし。
だからシン・ウルトラマンには本来の設定でカラータイマー無しだったはず。
マスタードは、ザギに毒ガスを消された後にA組とB組の共同戦線で倒されました。
動揺してたので拳銃で応戦もできずあっさりと。
原作通り毒ガスを発生させている犯人を止めるために動いていたけど早い段階でザギが毒ガスを消したからもっと早くマスタードの無力化に成功。
そのため毒ガスによる被害は原作より少ない。
ムーンフィッシュは、影も形も出てませんが原作通り暴走したダークシャドウに倒されてます。
トガヒミコとスピナーは、ザギが実体を持って攻撃してくることを知って退却場所に集合した。そのため原作と違って麗日達へ攻撃してないし、相澤とも戦っていない。
今回の敗因は、ザギに頼り切っていたことで集中と警戒が薄れていたことかな?
今までザギがチートしてたから。急に倒れるとは想定外。それは敵側も。
ザギが急に力尽きた理由は、次回ぐらいに書こうと思ってます。