ザギさんの心配とか。
過保護な爆豪と、過保護だけど無自覚ヤンデレなザギさん。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
ついに、雄英の受験日を迎えた今日。
「頑張ろうね、かっちゃん!」
「デェク! お前落ちたらぶっ殺すからな!」
「かっちゃんこそ凡ミスしないようにね! まあ、みみっちいから見落としないだろうけど。」
「ああ!?」
「頑張ろうね!」
「あっ、おい、デクーーー!」
二人は、こんな感じで受験会場に入った。
〔受験落ちるようにしようか……〕
出久の中のザギは、割とマジでそう考えていた。
正直な話、ザギは出久をヒーローなんてくだらないモノにしたくない。というか、あんなクソ(※ザギ主観)弱っちいのの中に、出久を放り込んで仲間入りさせたくない。
しかし自分が見た未来では、出久はヒーローになっていて……。過程は分からないが。
実は受験日まで、何度か記憶を弄ってヒーローを目指さないようにしようとしたが、全部失敗。未来予知による運命の確定がちょっと恐ろしくなった。
〔なぜ…、なぜなんだ出久…?〕
ザギの疑問は尽きないが、結局どうしようもなかったので今日を迎えたわけで、もうこうなったら出久がヒーローになるまでの間に邪魔になりそうなのを自分が排除して手助けするしかないと考えた。ちなみに未来のために出久になくてはならないと分かった爆豪も一応その対象である。しかし、出久の未来のために必要な人間だから排除できないのでものすごくもどかしい。
出久は知らないまま、出久の中でザギが足抱えてブツブツ言っている。
そうこうしていると会場で、受験についての説明が始まり、まず筆記試験となった。
頭の良い出久は緊張で多少のド忘れはあったものの、持ち前の精神力と機転で乗り越えた。
筆記試験が終わったら、次は実技試験。
こちらは、仮想ヴィランとして、ロボットが使われ、このロボットを倒したヴィランポイントと、ヴィランを倒さずとも、他者を気遣ったりする行動などが完全審査員の批評で評価して出されるレスキューポイントで点数が決まる試験だ。よってこちらは攻撃型の個性が有利となる。別会場にいる爆豪は放っておいても問題はないだろう。ただしあの周りを見ずに敵に勝とうとする攻撃性では、レスキューポイントは難しい気がするが。
そうして始まった実技試験で出久は頑張った。しかし本人は無意識だろうが他人への気遣いを優先しつつも、敵を倒す、そういう感じであった。この分ならレスキューポイントで点数が相当高いはずだ。もしこれでレスキューポイントの点数がないと言うのなら、採点する側がクソ中のクソである。
出久がそうして順調に試験に挑んでいると、試験会場である場所の奥から何人もの受験生達が逃げてきた。
実技試験の説明の時にあったが、仮想ヴィランには、0ポイントという大型ロボットがいて、コイツについては出会ったら逃げろと説明されていた。そのため出くわしたら受験生達が逃げてきたのだ。
0ポイントの大型ロボットが周囲を破壊しながら受験生達を追って来る中、出久の目が0ポイントの進行方向のすぐ横に瓦礫で身動きができなくなっている少女を捉えた。
このまま行けば確実に踏み潰されてしまう。しかし受験生達は逃げるのに必死で気がついていないらしい。
出久は風のように走り出し、動けない少女に迫っていた0ポイントにタックルして数歩後ろへ吹っ飛ばした。
「だいじょうぶ!?」
踏み潰されると覚悟したらしい少女はその声に驚いて閉じていた目を開けて出久を見た。すると少女は目を見開きかなり驚いていた。
出久はそのことを気にする暇もなく、とにかく0ポイントから少女を守るため迫ってくる0ポイントに向き直った。
『排除シマス!』
電子音の声が響き、0ポイントが腕を振り上げ振り下ろした。
その腕を出久は片腕を振るって弾き飛ばし、わずかにヨロついた0ポイントの体を出久が登った。
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
動きを司ると思われる頭に向けて拳を振り下ろし、首の隙間に腕を突っ込み、肩に足を踏ん張ってベキベキメキメキと頭を引っこ抜いた。
黒いオイルが漏れ、電子回路がバチバチと放電しながら0ポイントは膝を折って機能停止した。
0ポイントが動かなくなったと同時に、試験終了のブザーが鳴った。
他の受験生がポカーンとしている中、0ポイントから飛び降りた出久は、腕をオイルで汚したまま動けない少女のところへ移動し、彼女を拘束している瓦礫を掴んでどかした。
「だいじょうぶ!?」
「へ…? う、うん…。」
助けられた少女は、声をかけられてビクッとなり何度も頷いた。しかし足を負傷しているらしく立ち上がらない。
すると担架を運ぶロボットが来たので、出久は少女を抱き上げて担架に乗せ、少女は運ばれていった。
そんなこんなで試験はすべて終わった。あとは採点の後、家で合否の通達を待つだけだ。
帰る時に爆豪と合流したが、相当イラついてる様子だった。
「どうしたのかっちゃん?」
「うっせー。」
帰り道で爆豪がボソボソと語るが、実技試験中、0ポイントと遭遇したが時間内に倒せなかったのだそうだ。
〔まあ爆破ってのは威力はあるが、攻撃そのものが広がって深い位置まで攻撃が入らないし、細かい攻撃は難しいからな。しかも両手の汗腺からだし〕
爆豪については、今後そこらへんの課題があるだろう。完全攻撃型個性は、敵を倒すのには向いてるかもしれないが、ただそれだけだ。攻撃は最大の防御とは言うが、倒す以外に使うのは難しい。エンターテイナーを重視するなら派手な方がいいだろうが、おふざけ、お遊びが嫌いなストイックなこのクソガキ(爆豪)がそう言われたらキレるだろう。
〔あんのクソガキ(爆豪)…、落ちねーかなー…〕
近所にあるそれぞれの家に帰るときぐらいにザギは、そう思った。そうすれば一番のお邪魔な存在がいなくなるのに、と。
なので家に帰った出久が疲れて仮眠したところで入れ替わり、携帯のメールで爆豪に『受験落ちろ』と送ってやった。するとすぐに『落ちてたまるか、手応えあったわ、クソが』と返信が来た。もちろんそのやりとりの痕跡は消しておき、出久に自分の存在を隠す。
後日、合否結果が入った封筒が届き、立体映像を映し出す小さな装置からオールマイトが現れ、出久の合格を告げた。
その喜びを母に伝えた後、爆豪にも伝えようと電話を取ろうとしたが、直後に向こうから電話が来て『テメー、落ちてねーだろうな!?』っと聞かれ、お互いの合格を伝え合ったのだった。
こうしてザギの心配を余所に、出久も爆豪も無事に雄英校へ行くことが決まった。
〔あの逃げ回っていた腰抜けガキ共も合格したのか? ……よし! いたら退学させよう〕
ああいうのが、将来ヘドロヴィランの時に何にもしなかったヒーロー達になるのだろうと勝手に考えたザギは、そう考えたのだった。
もちろん出久に気づかれないようこっそりとヤるつもりだ。
「余計なことすんなよ? バレたらデクが泣く。」
合格祝いのため、久しぶりに両家族で食事会をしたのだが、爆豪がなんか察したのか小声でそう釘刺してきた。
出久が泣くと聞かされ、ザギが他の合格者にちょっかいを出すのを思いとどまるのであった。
出久が泣くのはイヤだ。ザギはそう思い我慢した。
***
そしてついに入学式を迎えた。
新しい染みひとつない綺麗な雄英の制服を身につけ、今後の通学路となる道のりを進み、受験の日以来、再び潜ることとなる雄英の校門の前に来た。
「ドキドキするね…!」
「なに緊張してやがんだ?」
「そういうかっちゃんこそ立ち止まって…。」
「うるせー! テメーが動かねーからだろうが!」
「僕のせいにしないでよ。かっちゃんが動かないなら僕が先に…、っ、わっ!」
そんな言い合いをしていて天邪鬼な爆豪が意地を張るので出久が軽い意地悪で先に進もうとするが、こけそうになった。
爆豪が掴んで倒れないようにしようとした瞬間、出久の体がフワッと浮いた。
「だいじょうぶ?」
「えっ、あっ…、びっくりした。君が助けてくれたの?」
「入学初日からこけちゃうなんて、縁起悪いやん。」
雄英の制服を纏う少女は、そう言って笑顔を見せた。
するとあれ?っと少女は首を傾げ、マジマジと出久の顔を見た。
「な、なに?」
「君! 受験の時に助けてくれた人! ねえ、覚えてる!? 足怪我しちゃって動けなくなっちゃってたの!」
「あ…、ああ! あの子! 君も合格してたんだね!」
「うん! あん時は、もう絶対不合格やー…って思っとったんだけど、合格してたよ!」
「もう怪我はいいの?」
「うん! リカバリーガールのおかげで。私、麗日お茶子っていうの! 君は?」
「僕? 僕は緑谷出久だよ。」
「緑谷…くん…か…。」
「?」
大事に噛みしめるように名前を口にし、ポッと顔を赤らめる麗日に出久は首を傾げた。
「デク…、コイツ誰だ?」
「誰やねん、この目つきクソ悪いの…?」
「ああ!? んだと、この丸顔!」
「えー、そんな顔丸くないもん。」
「失礼だよ、かっちゃん。」
「よろしくね、かっちゃんくん。」
「かっちゃん言うなゴラァ! 爆豪勝己だわ!」
「ん? ああ! ヤバいよ! 時間が! 入学式が始まっちゃう!」
「初日から遅刻なんてヤバー!」
「だー、クソ!」
三人は急いで校内に入り、職員の案内で入学式前に自分達がこれから学ぶこととなる教室に急いだ。
〔早くも出久にいらない虫が!〕
ザギは、出久の中でそう思って地団駄を踏んだ。
1年A組の教室に入ると、三人以外のクラスメイトとなる生徒達がすでにいた。
ワイワイとお互いに自己紹介したり、受験の時に一緒だったね、とかそういう話で盛り上がっていると。
「お友達ごっこしたいならよそでやれ。」
なぜか床で寝袋に入って寝ていたおっさんが、そう言い、ビックリする生徒達にいきなり自由な校風ゆえの洗礼を与えて来た。
1年A組の担任だと名乗った、相澤消太というプロヒーロー教員は、有無を言わさずA組生徒全員にジャージに着替えて運動場に出ろと言い、出て行った。
〔クセしかねーな! この場所(というか学校)!〕
ザギが第一印象の感想を呟いている中、教室にいた時も、更衣室に移動する時も、軽く頬を染めた麗日がチラチラと出久を見ていたのだが出久もザギも気づかなかった。
雄英での1日目は、合理的という名の理不尽による洗礼から始まることとなった。
〔ヒーローってのは、こんなことばっかするから、あんなのがいるのか?〕
ヘドロヴィランの時のヒーロー達を思い起こし、オールマイトのキャラクターや、相澤の逆なところなどを含めて、どいつもこいつも無駄に見た目と動きだけが目に映る舞台役者みたいだなぁ……っと、ザギは思った。
あと、楽しみにしていた学校生活の最初の一大イベントである入学式に出られず、ガッカリする出久に、ザギが、相澤をボコろうかとマジで考えたりもした。
爆豪は過保護だけどヤンデレではないです。
ザギは、自己進化能力で強くなるために知識は高いけど精神(心)は未熟。それゆえの(依存、執着)無自覚ヤンデレ。
ザギの強さについて活動報告で頂いたけど、このネタではどれぐらい強いってことにしようか……。
少なくともノアと互角になるほど頑張って強くなったということにはしたい。ノアの弱体化抜きで。
その頑張りについて幼い頃の出久に認められた結果、ザギが出久に無自覚ヤンデレとなったとしたい。
だから……。
ザギは、イージスがないことや、自分の基になった本物になりたいって頑張り続けたけど、力以外の大事な部分の成長ができなかったから神さまにまで登り切れなかった贋物(模造品)という感じで、そんな中でヒロアカ世界で真にウルトラマンへと成長するきっかけを得るという物語にしたい。
難しいかな…?