ヒロアカ×ダークザギ  ネタ   作:蜜柑ブタ

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長い暑さの後の急な寒さのせいか、体調不良と共に生活の乱れが…。
早寝早起き、三食きっちり。
それで一時期うつ病がよくなってきたのに振り出し。
どーしたもんか…。



今回は、神野事件勃発?

ザギの復帰と共に、オールフォーワンとのバトル開始?

原作と違う展開を考えて考えて、色々とはしょった結果グダついてます。

あとオールマイトの原作での最大イベントがないです。
その代わりに、ある意味でザギと出久にあとを任せます。





それでもOkって方だけどうぞ。




いいですね?


第49話  ザギ復帰と、地雷を踏んだオールフォーワン

 

 

 

 神野にあるヴィラン連合のアジトにて。

 そこは都市の中で老朽化や住人がいなくなったことで半ばスラムのようになってしまった一画だ。

 

「ふ~~~~む、これは……。」

『どうにかなりそうかい? ドクター。』

「どうにかと言われてもの~。これは単純に……。」

「単純に?」

「エネルギー不足じゃ。」

 出久が寝かされたベッドの横に白衣の男、その横に死柄木。小さいモニターには、顔が見えない男。

 ドクターと呼ばれたのは白衣の男だ。

 眠ったまま起きない出久の体を調べた結果がそれだった。

 単純にエネルギー不足で意識を失っているという。

「あ~~? だから荼毘がぶっ倒れてた?」

「そうじゃな、個性の熱エネルギーごと体力…、生命エネルギーをちょっと吸われたんじゃろう。監視カメラにもきっちり残っとる。」

 最初に出久を放り込んでいた部屋で荼毘が出久に重なるように倒れていたのを発見されたので、設置されていた監視カメラの録画を確認したら荼毘の個性が強制的に発動して炎を吸い込まれて生命エネルギーも少し取られて力が抜けて倒れるまでの様子がしっかり映っていた。

 荼毘は彼に割り当てられている部屋に運ばれて休んでいる。酷いだるさはあるが命に別状はないらしく、ただ個性である炎を吸われたせいか炎の出力が落ちていてそこだけ回復に時間がかかりそうらしい。

「個性からエネルギーを吸収するほどじゃから、よっぽどエネルギーが足りておらんのかもしれん。自然に回復を待つとしたらどれくらい時間がかかるか……、そこまで待てるか?」

 ドクターが小さいモニターに話しかける。

 モニターに映る顔の見えない男が少し黙る。

『……あまり時間がかかるのはね。手近なエネルギーで補わせることは?』

「荼毘の蒼炎の火力もあまり足しになっていなさそうじゃからな……。そうじゃな…、脳無の格納庫の動力諸々を回せばあるいは…。急ぐのか?」

『ここをヒーロー達が発見するまで時間がない。できれば早くザギと話をしたいんだ。』

「うむむ…、せっかくの脳無が無駄になるが…、それなら…。」

「先生、なんでそんなにザギと話したいの?」

『それは…。』

「そもそも雄英で、新入生のひとりを攫って来いってのもさ…、ザギを捕まえて来いってことだったの? それがコイツだったから?」

 死柄木が眠っている出久を指さしてモニターに映っている相手に聞いた。

『すまないね。弔。私も本当に想定外だったんだ。』

「うん。酷い目にあったし。」

 死柄木はUSJでザギにしこたまビンタされたことと、両手両足の骨を折られたことを覚えている。

 それ以外にそれだけ痛めつけられたのに、殺す価値もないとばかりに無視されたこともだ。

 本当は無防備に寝ている出久の中にいるザギを崩壊させてやりたいが、それをすると彼が先生と慕う相手の意向に反するからやらない。

 死柄木が不平不満を感じながらも、ドクターは指示通り脳無の培養、格納を行っている場所の動力と脳無の持つエネルギーをザギを覚醒させるのに使用するために動く。

 無数のエネルギー送電ケーブルが延ばされ、出久の体に直接繋げられる。成長期の十代半ばの子供を中心に無骨なケーブルが直接繋げられた光景はまともな倫理観がある者が見たら青ざめそうな光景だ。

 そうして準備が終えたドクターがエネルギーの流れを変えるレバーを下ろそうとした時だ。

 ドクターが握った瞬間に彼の手の力ではない力で勝手にレバーが下ろされた。

 そして膨大な電力と脳無から絞られるエネルギーが想定を超えたスピードと出力でケーブルの内部を走り、出久の体へと流れ込み始めた。

『ほう? ザギも急いでいるようだね?』

 設定を振り切ったエネルギーの送信の状況をカメラ越しに見て、モニターの向こうの男が感心したように声を漏らした。

 その中でひときわ太いケーブルを出久の手が握り、上体を起こす。

 エネルギーの送信の準備のために部屋の端に離れていた死柄木が冷や汗をかいた。

 体を起こした出久の顔などの見える皮膚に赤く光る模様が浮かび上がったのを見たからだ。

 それはUSJで遭遇した出久の意識を押し込めて体の主導権を奪ったザギの姿だったからだ。

 目を閉じたままなのに、もっとエネルギーを寄越せとばかりにケーブルを束にして握りこみ、そのせいかエネルギーの送信がより勢いを増す。

 脳無の格納庫側は地獄絵図だ。無理やり絞られるエネルギーが多くなったせいで大きな筒状のガラスのような容器の中に培養液に浸かっていた脳無が白目をむいて身をよじり、断末魔の叫びをあげるように激しく痙攣していた。中にはミイラのように萎んでいくものもいた。

 アジト内の電力も根こそぎ奪い、その周囲の建物の電力まで吸い取っても足りないとばかりに神野という地区の一画が大停電状態に陥った。

 結果的にそれがアジトに迫っていたプロヒーロー達や警察部隊の到着を早めつつも、いきなりのことに混乱ももたらした。

 そうして無理なエネルギーの送信でケーブルと機械が先に限界を迎えて焼き切れたり、ショートしてダメになる中、非常用の動力が動いて明かりが戻った。

『…ザギ? 足りたかな?』

 別にあった小さいスピーカーから、消えてしまったモニターの代わりにあの男の声がした。

 ザギは、焼け焦げたケーブルの束を握ったままベッドの上で俯ていた。

 少し間をおいて握っていた焦げたケーブルの束を手放して、顔を上げる。

 顔にある赤い模様と赤く光る目が怒りに燃えているように輝いてみる。

『〔……足りない〕』

 そう吐き捨てるように出された声。

 直後、死柄木の手がザギに延ばされていた。

 ザギの動きが悪いと見て崩壊させてうっ憤を晴らそうとしたのだ。

 だがその手首を逆に握られてしまう。

「なっ、うあぁっ⁉」

『弔! 手を出すな!』

 合気道のように捻るように転ばされて床に倒された。

 スピーカーからは、死柄木が先生と呼ばれている男の声が聞こえる。

 転ばされた死柄木の手が床についてしまう。そうすると五本の指が床に触れる。するとどうなるか。

「あっ。」

 っという間に、個性の崩壊の条件が揃って床が崩壊してザギがベッドごと床の下にある空間に落ちていった。死柄木はギリギリでアジトにいた仲間に助けられて落ちずにすんだ。

「死柄木! これどーいうじょーきょー⁉ あっちこもこっちも焦げ焦げじゃん! メッチャ停電してるし、脳無いっぱいいたのにほとんど死んじゃってるし⁉」

 トゥワイスというヴィランが大げさな動作と喋り方で状況確認しよう聞いてくる。

「なんてことを!」

 ドクターが頭を抱えていたが、間もなく別の問題が彼らを襲う。

 アジトにプロヒーロー達や警察の部隊が殴りこんできたのだ。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 地下室の下は、下水道だ。

 機材や脳無の材料や様々な薬品などなどを運ぶための秘密のルートとして使用していたが、死柄木の崩壊で天井が崩れ落ちてザギがベッドごと落ちた。

 崩壊の個性で微塵にならなかった瓦礫の上にザギが横たわっていた。

『ザギ! ザギ! だいじょうぶ⁉』

 外に声は出ていないが、体内では出久が必死にザギに声をかけていた。

 エネルギー切れで身動きが取れなくなったザギ。

 出久は、エネルギー切れで沈んだザギの意識に接触した。そうしてザギの犯した罪が積もった暗い世界を見て、ザギの話を聞けたし、出久の気持ちを伝えられた。

 ザギはその世界で出久から影響を受けて得た人間の感性と感情によって、自分が犯した罪への罪悪感と後悔と虚無感で血の涙を流して苦しんでいた。

 重い罪は許されない。裁かれるべきだ。だが……、出久は許したかった。自分だけは全てから許されないと苦しみもがくザギに許して一緒に苦しみを背負い、償う道を歩もうと決めた。

 無力で木偶の坊な自分では何の役にもたたないかもしれない。許すこと自体が無意味かもしれない。

 しかしザギは、出久のことを受け取って光の先へ出久を見送った。

 それはきっと出久の言葉を受け止めたザギが、自分の罪への後悔と懺悔で沈むだけで終わらせずに立ち上がる気持ちを持ったと出久は思いたかった。

 あれからザギからの反応も声も聞こえないためザギの状態が分からないため、声をかけ続けるしかなかった。

 急激な眠気の後に出久の意識が浮上し体の主導権がザギにあるというのを感じたのでザギの意識が戻ったと考えたからだ。

『ザギ! 答えて! 聞こえてる⁉』

『〔……聞こえてる〕』

『よかった! 無事だったんだね! それだけ分かっだけでもよかったよ!』

『〔足りない……。あと少し…、あと少し…エネルギーを……〕』

 ヨロヨロと瓦礫の上から体を起こすと、上の方で何か騒ぎが起こっているのか破壊音が何度も聞こえた。

『なに? なにが…。』

『〔ヒーローと…、警察…か? ここを見つけたようだな〕』

『そっか! ヴィランのアジトを見つけて救助に来たんだ! 合流した方がいいと思う! …ザギは嫌かもだけど。背に腹は変えられないと思う。』

『〔……分かっている〕』

 エネルギー不足でうまく動けないから、味方サイドに助けを求めるのが吉だというのはザギも理解しているが、プロヒーローを嫌うザギは不服そうだ。

 だが出久の言う通り背に腹は代えられないというのを痛感しているぐらいには、今の状態が良くないと理解しているからだ。本人のプライドもあるが。

 

「緑谷しょうねー--ん! ザギー---! どこだー---い⁉」

 

『〔アイツは嫌だ〕』

『そんなきっぱりとオールマイトだけはノーサンキューしないでー-!!』

 オールマイトの声が聞こえたので、ザギは速攻で頼るのを嫌がったので出久はツッコみを入れた。

 そうこうしていると、上の方で別の騒ぎが起こり、ついで破壊が起こった。

 降り注ぐ瓦礫、誰か分からない悲鳴、轟音。

 ややあって静かになった頃に、ザギは埋もれた下水道から地上に這い出た。

 

「やあ。まだ本調子じゃなさそうだね?」

 

『〔……?〕』

 

 ドクロのような仮面にも見える頭と顔をすっぽり覆った奇妙で不気味なヘルメットを被ったスーツ姿の男がいた。

 その声には聞き覚えがある。

 エネルギー不足で朦朧としていた中で聞こえた声だ。

 だが誰なのかは分からない。

「君がザギだね? こうして会って話をするのは初めてだ。申し遅れたけど、僕はオールフォーワンと名乗っている者だ。悪の帝王としてヴィラン連合をまとめてきた。雄英に襲撃をかけたのも、林間合宿でのことも、全ては僕の指示で行ったことだ。」

『〔はあ……〕』

「そんな心底ど~でもいいって顔と声出されると普通に傷つくなぁ。一応、僕もわけあって君と話がしたくて緑谷出久くんを狙ってたんだよ?」

 それを聞いたザギの顔が一変する。

 まとう雰囲気が一気に殺気と怒気に変わり、オールフォーワンどころか、周囲にいたヴィラン達とプロヒーロー達までもを威圧する。

 ザギが放つその攻撃的なオーラに圧されて、騒ぎが鎮まるほどだ。

「乱暴な真似をしたことは謝罪するよ。でも、どうしても君と直接会って話をしたかった。そして君の力を欲しいと思ったんだ。それで…。」

 言い終わる前にオールフォーワンの体が後ろへ吹っ飛んだ。

 見えない力で吹っ飛ばされて、斜めに倒れた建物に激突した。

「先生!」

 死柄木が叫んだ。

「ちょ、ザギ! いきなり不意打ち⁉」

 オールマイトが軽く青ざめていた。

『待ってザギ! 轟くんは? 轟くんがいるはずだよ!』

『〔?〕』

『ごめん、君の意識がまだハッキリしてない間にちょっと超能力を使ったんだ。そしたら轟くんも攫われてたみたいで! 拘束されて身動きが取れないみたい! だから先に助けて!』

 出久の頼みは断れない。

 渋々ではあったが、ザギは、轟が捕まっている場所をプロヒーロー達にテレパシーで映像を送り、そこへ向かわせた後、轟を拘束している強固な手術台の拘束具部分を解錠して轟を保護させた。

 轟は麻酔で眠らされていただけで、命に別状はないだろう。あと少し遅かったらドクターによって別の薬品を投与されたうえで脳無の材料として色々されていただろう。実はかなりギリギリだった。

『ありがとう! ザギ!』

『〔…ん〕』

 出久からお礼を言われて喜ばれて、ザギは照れてしまって素っ気ない返答をしてしまった。

「ザギ! 本調子じゃないんだね⁉ ならば、下がりなさい!」

『〔うるさい〕』

「即答で拒否⁉ 辛そうなのに、それでも私へのツンっは健在なんだね⁉ オジさん悲しいよ!」

「へえ…、嫌われているとは情報を得ていたが、実際に目の当たりにすると少し気の毒に思えちゃうよ、オールマイト。君がそこまで嫌われているとは。」

「んな! いや、私は…、うう…! 反論できない! とにかくオールフォーワン! 貴様の思い通りにはさせん! 緑谷少年とザギのことは私が守る!」

「とことん嫌われているのにかい? 君のその狂った善意はいまだ健在なようだな。ザギ? 君困ってるでしょう? オールマイトに絡まれまくって。」

「何を!」

『〔迷惑〕』

「ドきっぱりとー---⁉」

 オールフォーワンからの問いに、あっさりきっぱりと迷惑と言い切ったザギに、オールマイトはついうっかり膝をついてしまった。

「そんなに嫌なら、こっちにくればいいじゃないか。そうだろう? 君が大切なのは、緑谷出久、ただひとりなのだから。」

「オールフォーワン! 聞くな、ザギ!」

 オールフォーワンの誘いを遮ろうとオールマイトがザギに声をかける。

 だがザギは、黙っていた。

 だがその表情は……。

「……すっっっっっごい不服な顔してるね。つまり僕のことも嫌いってこと? オールマイトよりも。」

『〔目くそ鼻くそ〕』

『言い方ーーー!!』

 ザギがきっぱりはっきりとオールフォーワンもオールマイトも同じぐらい嫌いだという意味で言った言葉に出久がツッコみつつ叫んでいた。なお出久の声は外には出てない。

 オールマイトもその発言が刺さったらしく、ズーンと落ち込んでいた。

「はは……、そこまで嫌がられてしまうと、さすがの僕もショックだな。できたらもっと早く君と会って、もっと話をできていたら違ったのかな? まあ、もう過ぎたことだし、それなら……。」

 するとオールフォーワンの雰囲気が変わる。

 それで危険を察知したオールマイトがザギを庇おうと前に出たが、そのオールマイトの体がザギのサイコキネシスで持ち上げられて後ろへ飛ばされていた。

 直後、巨大化したオールフォーワンの拳と腕がザギへ向かってきた。

『〔……力尽くか〕』

 対話が無理なら拳で語るということになる。もしくは圧倒的な暴力での制圧だ。

 その巨大な攻撃は、ザギの前で止まる。

 ザギが片手で止めていた。

「…驚いたな。こうして攻撃を止められてしまうと……、だがこれで終わりじゃない。」

『ザギ! まだ調子が悪いけど、いけるの⁉』

『〔………なにか…、エネルギーになりそうな…。クソっ〕』

「ザギ!」

 ザギがエネルギー不足について吐露したのを聞いたオールマイトがザギに駆け寄った。

「エネルギーが足りないのかい⁉ それなら……。」

『〔?〕』

「喰え!」

 そう言って差し出してきたのは、オールマイトが自分の頭髪から千切った数本の髪の毛であった。

『どゆこと⁉』

『〔いらん〕』

「待って! 聞いて! これで私の個性をエネルギー源として使えるってことだから!」

『オールマイトの個性を⁉ ワンフォーオールを⁉ どうして!』

『〔どういうつもりだ…〕』

「君はここで倒れてはいけない! 君はきっと……真の意味で平和を築けると、私は信じている! だからこそ! 私が君の礎になろう! そのためなら…。」

『〔興味ない〕』

「分かっているさ! 分かっているとも! 君がその他大勢には興味関心が薄いことを! 緑谷少年だけが君にとって…、全てであることを! だが、私は君達のことを守りたいと考えている! それは事実だ、誓っていい! 君達のために使ってくれていい! それで……君達が救われ、それが平和へと繋がるのなら、私の犠牲など大したことじゃない!」

『お、オールマイト…。』

 必死に懇願するオールマイトの様子は、出久とザギだけじゃなく、その周囲で見ていた者達にも伝わっている。

 オールマイトがヴィランよりも圧倒的な危険性を秘めたザギに自分の力を与えて自分を犠牲にしようとしているのだ。それがなにを意味するのかは、オールマイトが平和の象徴として社会の支えとなっていたのを知る者達にとってはどれほどのとてつもないことであるか。

 だが、口出しできない雰囲気だった。

 オールマイトが自分を犠牲にしでもザギに託そうとする姿に、何か意味があるという期待があったからかもしれない。

『〔そこまで言うなら、……知らないぞ〕』

「えっ?」

『ザギーーー⁉』

 次の瞬間、ザギが開けた口が捉えたのは、オールマイトが差し出してきた髪の毛ではなく、オールマイトの肩だ。正確には首と肩の間だ。

 ガブリッと噛みつかれ、食い込んだ歯がオールマイトの太い血管の一部が損傷して血液があふれ出る。

「ぐっ⁉」

『〔……癪だが、背に腹は代えられない。それだけだ〕』

 嫌そうに顔歪めながら口元についた血を乱暴に腕で拭ったザギの体が一瞬黒い光で包まれて、黒い光が弾けた。

 そこに現れたのは、実体を持ったザギだ。ホログラムではない。

「……そう来るか。ザギ、君が喰ったそれは…。」

『〔どうでもいい〕』

 ザギは喰って取り込んだオールマイトの力を自己進化能力ですぐに分析、解析していた。

 その個性、力の正体を含めてだ。

 だがそんなものはザギには本当にどうでもいい。

 足りないエネルギーの足しになればいい。

 オールマイトから得た、ワンフォーオールは、地球の環境に適応しきれていなかったザギを地球に適応させるのに少し役立った。完全ではないが、エネルギーの消耗を減らしつつ、エネルギーの回復の時間を少しだけ早められる。

 林間合宿で攫われる前に起こった警告を知らせるような胸部のエナジーコアの点滅はなく、力強く輝いているように見える。

『〔お前は……、オレを知っているのか?〕』

「ああ、ある情報でね。君が暗黒破壊神で、暴虐を尽くしていたことを。」

『〔!〕』

『あんこくはかいしん?』

『〔……それだけか?〕』

「詳しいことは…。だが、君がその二つ名に恥じない強大な力を持つ存在だということだけは理解しているつもりさ。だから僕は悪の帝王として、君を勧誘したいと考えた。君と話がしたかったのはそのためだ。どうだい? 破壊神として僕と手を取り合うというのは〕』

 そう言って手を差し出すオールフォーワンだったが、緊張が走る空気の中で、ザギの心底どーでもいいとばかりのなが~~~い溜息だけが木霊した。

「……その溜息は、断るってことと捉えていいのかな?」

 オールフォーワンが念のために聞くと、ザギは当たり前だろとばかりにわざとらしく肩をすくめて見せた。

「そうか…。なら仕方がない。」

 オールフォーワンが本気を出す気になったようだ。

 自分の力を示して、ザギの興味引こうということらしい。

 しかし……。

 

 

 〔……甘い。甘っちょろい。そして危機察知能力も……〕

 

 

 オールフォーワンは、ザギがかつて暗黒破壊神を名乗って畏怖され、暴れていたことをは知っていても、ザギの全てを知らない。

 つまり本当のザギのことを何も知らない。

 ザギの本当の姿(大きさ)すらも知らないということだ。

 上辺だけしか知らないが、誰かからもたされたその情報とザギのここまでの所業の情報から仲間になる可能性を信じたのだろう。

 ノアに完全な敗北をしたあの時の自分なら、それを逆手にとって利用してやっていただろうが…、今は違う。

 

 

 〔オレのことが目的で何度も出久を……、ふ ざ け る な〕

 

 

 ザギは静かに、だが怒りの業火を燃やした。

 ただ倒すのは無意味だ。

 なら徹底的に教え込んでやる。

 ザギという存在を。

 ザギの全てを見せてやる。

 そうすることで出久に降りかかる全ての厄がなくなるのなら、何も惜しくはない。

 

 

 〔この星にいる人間共に知らしめればいい。オレを、このオレを、恐れさせて出久が守れるのなら、なんでもしてやる。正義? ヒーロー? 悪? そんなものは……、オレにはいらない〕

 

 

 今のザギの一番優先すべき物は……、緑谷出久、ただひとりだけなのだから。

 そう、オールフォーワンは読みを間違えていた。

 もうザギは……、暗黒破壊神ダークザギではなく、ただのザギとして出久と共にいること、出久を守るために生きることを最優先する存在に変化していたのだ。

 

 

 ザギにとっての特大地雷を踏んでいたことを、オールフォーワンが知るのはもうすぐ……。

 

 

 

 




次回は、たぶん勝負にすらならない戦いと決着になるかもです。
ザギが周りに思い知らせる? 牽制する?ために本当の姿(大きさ)を出す予定。

オールマイトのことはかなり悩みました。
ワンフォーオールをどうするか悩んで、結果ザギが復帰するためのブーストに使うためにザギに喰わせるという展開にしてしまいました。
ただしザギは、すごく嫌々喰ったけど足りなかったエネルギーの補充と、ついでのように地球の環境に適応するための栄養源にしてます。
念のため補足すると、受け継がれた個性と残留思念は残ってますよ。ただザギの出久へは干渉はできない感じで。ザギの方が色々強いし。
個性は使おうと思えば使えるけど、ザギはたぶん使わない。使う気がない。

オールフォーワンは、どこからかザギが暗黒破壊神として色々やっていたことを知って、協力してもらおうとUSJに襲撃してザギのことを確認しに行き、確認出来たら林間合宿で拉致。
ネクサスでのザギなら逆利用する程度にオールフォーワンや連合やその他ヴィランも好き勝手に使い捨ててたかもですが。
でもザギがもう前のザギと違うことをオールフォーワンは、見誤っていた……。その結末は……?
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