今回は、ほぼオリジナル回な感じ。
原作通り寮生活になりますが、世間の動きとか寮にザギを移す理由が原作と違います。
あと後半に、あるキャラ達が死に別れをします。
死に別れ? いや最後を看取るかな?
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
16歳の男子高校生の体内に潜むなにか。それは歴史の浅い超常能力である個性ではない。
宿主であるその男子高校生のことだけを守るために周囲に威嚇するなり、脅したり、時に男子高校生の体の主導権を奪って行動して直接排除しようと動いたり。
ハッキリとその存在が周知されたのは、本当につい最近の話でしかない。
男子高校生が4歳の時に宿り、当時の記憶を引き換えに超人的な身体能力と複数の超能力が身に付き日常生活に戻るのに苦労した。
小学校に入学してから彼の幼馴染から危害を加えられると入れ替わって過剰な反撃を行い命を奪いかけた。
以来、彼の幼馴染はいじめっ子だったのが改心したのか、幼馴染の彼のことを過保護にするようになった。
それは裏で脅されていたことと、周囲に危害が及ぶことを恐れて自分がなんとかしなければという責任感と強迫観念に縛られていたからだった。
そうして二人は、幼い頃からの夢だったヒーローになるべくヒーロー育成の進学校である雄英高校に入学する。
雄英に来てからだ。その存在がハッキリと周知されたのは。
男子高校生自身が、自分の中にいるその存在のことを知ることも含めて。
***
朝日が昇りかけた夜闇に照らされる黒い巨人の画像が世界中に拡散されるのに時間はかからなかった。
巨大化能力を持つヒーロー・Mt.レディの20.62メートルの倍以上の50メートルの巨人。
外見も人間離れ…、生命とかけ離れた異質さがあり、黒さのせいで禍々しいのに神秘的ささえ感じる見た目。
闇よりも黒いと思えるほど黒い体を映えさせるような赤い模様。胸部の赤いエナジーコア部分と赤い両目が特に目を引く。
悪の帝王を自称する強大な力を持つヴィラン・オールフォーワンをいとも簡単に物理的に圧倒して、精神的にもへし折って再起できなくさせたうえに、彼から奪った個性をきっかけに他のヴィラン達から個性を奪ってこちらも再起不能にして逮捕に貢献した。
いずれも指名手配されるほどのヴィランだったこともあって大きく報道され、それに加えて個人のSNSなどを通じて拡散。
そうしてその全貌が50メートルもの黒い巨人であったザギのことは世界中にその名と姿が知られていった。
「もうね……、どこから手を付ければいいか分からないってこういう時だね。」
雄英の校長室で、根津がげんなりした声色でそんなことをぼやいていた。
心なしかゲッソリした顔をしている。
「それで? 緑谷くんとザギは、総合病院に行ってるんだっけ?」
「はい。プッシーキャッツのメンバーのひとり、ラグドールの個性を戻すためだそうです。」
神野での誘拐された生徒の救出とヴィラン一斉検挙の大事件が終わってから数日と経っていないのだが、出久の頼みでザギがオールフォーワンに個性を奪われていたラグドールに個性を戻すことにしたのだ。
林間合宿でヴィラン襲撃時に行方不明になっていたラグドールは、この時にヴィランに拉致されており、神野にあったアジトで発見された。その時にはすでに個性を奪われてしまっていた。
オールフォーワンの個性は、他者の個性を奪い、自分の物として自由にできる他に奪った個性を他者へ付与することもできるチートとしか言えない個性だったが、それをザギに喰われてザギが自分の体に完全に記録したことでオールフォーワンに戻してもザギの中に残ったままになるようにした。これはザギが自らの自己進化能力で、例えるならパソコンなどに内蔵された記憶媒体に喰った個性を記録して、相手に与えるときはこの記録した物をコピーして相手に付与するので記録した物は無くならないということらしい。
ハッキリ言えば、オールフォーワンの完全な上位互換だった。
ただザギは、このチート個性を喰ったはいいが使い勝手が悪いとして活用する気はないと口にしているそうだ。
元々ある身体能力や各種超能力の方が慣れているのでそちらの方が本人的にいいのだろう。
しかしオールフォーワンの個性に含まれていた他者から奪われた個性だけを奪われた対象にコピーして戻すということが可能であるらしく、それを知った出久がラグドールのためにやってほしいとザギに頼んで騒動が落ち着いてない中で秘密でラグドールが入院している病院に向かったのだ。
個性を失ったことでプッシーキャッツのメンバーとして活動不可能になったと気持ちが沈んだラグドールや、他メンバーに朗報だと病室に見舞い、ザギが手早くラグドールにラグドールの個性を戻してみせた。
戻った個性を認識できたラグドールは、驚きつつも今後もプロヒーローとして活躍できるようにしてもらえたことに涙を浮かべてすごく感謝し、他プッシーキャッツのメンバーも深く頭を下げてザギに感謝した。
一方でエネルギー切れで苦戦していたザギのために自分の個性を喰わせたオールマイトは、それまで隠していたガリガリのトゥルーフォームを晒したことになり、なおかつザギに個性を喰わせて個性を失った事実があの場にいた人間達にも見られたため、引退するのではと報じられたし本人も引退を表明しようとしていた。
だがその前にザギがラグドールに個性を戻したため、オールマイトが持っていたワンフォーオールも戻せると判明したため、戻すべきだという意見と、オールマイトの体の状態から見て現役を続けるのは彼の命を縮めるだけで酷なことだとする意見に分かれたためワンフォーオールの譲渡問題なども含めて正式な発表は遅らせることになった。
個性を喰って奪って、自分の意志で自由にコピーして相手に自由に分け与えられる。
この点もザギのことで世間を騒がせ、良い意味でも悪い意味でも討論がそこかしこで行われる原因になった。
特にある層がザギに注目し、実際に行動を起こして社会問題になりかけている。
全ての人間が個性を持つようになった今の社会で、逆に自分の個性で苦しむことになってしまった人間は少なくない。
異形型など生まれつきの見た目と個性の性質で差別されたり、社会で生きる選択肢が狭められることが少なくなく、田舎ではいまだに異形型に酷い偏見があるぐらいだ。都会でも隠れて差別がある陰湿さがあるぐらいだ。
そのため無個性が差別される一方で、個性さえなければ…っと願わずにいられない人間達がいる。
そうした人間達が絶望の末に命を絶ったり、ヴィランになってしまう悪循環が社会問題になっていた。
だからザギに個性を取ってもらって苦しい人生を変えたいと願う人間が出てくるわけだ。
ザギが個性を自由にできることが知られたことで、個性を取ってもらおうとする人間がSNSやネット掲示板で同志を集い、ザギの居所を特定して雄英や緑谷家に電話を入れたり、突撃訪問することが起こるようになった。
このままでは最悪暴動とはいかなくとも、集団心理による事件に発展しかねないため、雄英は警察とヒーロー協会と連携して出久の母親である引子を別の場所で保護して現住所から離れて生活してもらう形にし、緑谷家があるマンションのオーナーや住人達にも説明会が行われた。もちろん引子の居所は伝えられていない。
引子に用がある場合は、保護をしている機関を通すことになっている。それは単身赴任中の出久の父である久にも伝えられている。
そして問題を吸い寄せている大本の原因を宿した出久については……。
「ぜってーー--無理に決まってんだろー---!!」
雄英から発表されたことに爆発して絶叫する爆豪。
「落ち着け爆豪ー---! 無理って決まったわけじゃないから!」
「っるせー---、てめー-らは知ってんだろが! 今までのあの極悪過保護がやらかしやがったアレやコレをよぉ!!」
「うっ! それはその通りだけど…。」
「けど、だからって今は家に帰せないって状況なんだから仕方なくないか? 聞くところじゃ、緑谷の家が住めない状況って聞くし。」
「う…。」
瀬呂の言葉にグッと詰まる爆豪。
昔からの近所だから家の家族から伝え聞いていたので、出久の母親の生活や近所迷惑が起こっていることを加味すると雄英が提示した案に乗るしかないと分かる。それに自分達は義務教育は終わったが、まだ大人の庇護が必要な未成年であるから猶更だ。
雄英が生徒を寮生活させるという決断を出すまでに一体何があったのか……。
雄英が度重なる事件から生徒達の教育と安全のために提示した案というのが、雄英敷地内に新たに建築される寮生活だった。
すでにヴィランの侵入を許したことと林間合宿で生徒が誘拐されるという大事件の前科については、セキュリティ強化がより強固な物にされたことや、USJでの侵入にもっとも貢献した問題のヴィランが神野の一件で再起できない状態になったこともあり同等の個性持つヴィランは早々現れないという判断もあった。
なにより、緑谷家に押しかけるザギに個性を取ってもらいたい人間達とザギが接触したらどうなるか……。
ザギは出久を害されるのを何より嫌い、それ以外には無関心か威嚇し、物理的に排除にかかるザギが不特定多数に救いを求められて縋りつかれて素直に応じるとは考えにくい。
雄英側としてはできればここでザギが向ける思考が出久以外に対してマイナスに転じるのを防ぎたいと主張している。
林間合宿は途中でヴィランの襲撃によって中止となったが、襲撃の前から少しずつであったがザギに良い変化が見え始めていた。
最も大きな変化は、ヒーローだった両親を持つ洸太という子供のために彼の両親の仇である更生不能のシリアルキラーであったヴィランを凄まじくぶち倒して二度と誰も傷つけられなくなるほど物理的にも精神的にも罰を与えたことだろう。これによって洸太は親の仇を討ってもらったという事実と両親の死という悲しみと絶望を乗り越えて前へ進むという気持ちを持つに至れたのだ。
ついでに洸太の将来が間違った方向に行かないように釘を刺すことまで言い聞かされたことを、後に詳しく話を聞いた洸太の保護者であるマンダレイが報告している。その点ではザギを参考に強さの求め考え方おかしくなった轟とは異なっていて洸太が将来の道を潰してヴィラン予備軍にならないよう導いたと取れなくもないとされた。
今まで出久以外のためにプラスになる何かをしようということを積極的にしなかったから、これまでのザギを知る者達からすればこれは大きな出来事だった。
だがそれを差し引いても……。
体育祭でとてつもない凶暴性を剥き出し、騎馬戦で暴れ(超手加減して)、最終種目のガチンコバトルで轟を殺しかけ、体育祭中にエンデヴァーを一発殴った後で光線一発をくらわせて、雄英校内では気にいらないと出久の制止も聞かずに攻撃を仕掛け(主な被害者はオールマイト)、職場体験では保須市で暴れ回る脳無の群れを沈静化させたが再会したエンデヴァーを再度ボコってネットで拡散する大騒動に繋げ、ステインを精神的にへし折って逮捕に貢献したり……。
結果的に良いことにも繋がった部分もあったが、それ以上に及ぼした害が多いのは払拭しようがない事実。
ザギのエンデヴァーへの敵意は、エンデヴァーがザギに喧嘩を売った部分もあったが、それ以上にザギがエンデヴァーを気に入らないからという理由の方が割合を占めている。
そのように基本的に周りに目を向けず、耳を傾けるのも嫌がって自分の基準で偏った選り好みする強大な力を持つ奴に自分が生まれ持った個性という力を取り除いてもらうことで救ってほしいという者達が縋ってきたらどうなるか?
プロヒーローの中でもベテランであるエンデヴァーやオールマイトが軽く転がされて埋められる程度で済んでいるのに、鍛えてもいないただの一般人が無事で済むとは考えられない。
つまりザギを守るためというよりは、ザギから弱い者達を遠ざけて守る……が真の目的となる。
圧倒的な力に加えて、本当のザギの姿は50メートルの巨人。
雄英でザギがその気になれば地球を砕けるようなことを脅しとして文字に起こして主張したぐらいだ。その気なればやれる。
いや、絶対やる。
そうザギが判断を下したら絶対やる。
エネルギー不足を起こす問題が林間合宿で露見したが、それが解決する術をザギが手にすることが神野で個性を喰うという行為などを経ていけば見つけられるようだから、エネルギー不足を誘発させてその状態に陥らせた状態を保って管理するのは完全に悪手。
なによりザギが怒ったら本気で地球を含めて色々終わってしまう。
じゃあ、どうするべきか?
その考えの結果が、出久(+ザギ)が住む場所を雄英の中に移して外部から来るザギへの訪問者を塞き止めることだった。
そしてそれを聞いて一番難色を示したのが、小学1年生の時にザギに殺されかけた上にそれ以来日常の裏でザギから脅迫までされていてザギという脅威を最も身近で知っている出久と腐れ縁幼馴染の爆豪だった。
ザギを宿す出久が入学してからトラブルが相次ぐことから雄英への信頼と実績が大きく揺らぎ、そうでなくてもザギという恐ろしくも心惹かれる存在がいることから、雄英に入学した子供達を寮生活に移させることに親達は当然難色を示した。
それでも根気よく大人達が説得し、当の生徒達の熱意と決意も加わって、子供達の意思を尊重する選択をしてくれた親から承諾を得られていった。
その中で特に頭を抱えていたのが、轟家だったりする。轟焦凍の実父であるエンデヴァーが判を押すのを渋ったのだ。
ただでさえ体育祭以降から思考……思想が豹変した一番自分の野望達成に適した才能を持つ末っ子が、寮生活で同じ屋根の下で学業以外の日常を豹変の原因と一緒に過ごすと考えたら、最悪の展開になることばかりが頭に浮かんでしまうのだ。
だが聞くところによるとザギは、近寄ってくる轟を鬱陶しいと感じていて全然好意的な接し方をしていないという。
だからその点だけが持続することを信じるしかない。ザギが轟と親しくなりたくないという意思を貫いてもらうことを。
しかし一方でクラスの級友として轟と出久は普通に仲が良いというのが、ザギが轟に気を許す可能性に繋がるかもしれないという予感に繋がってしまう。だから素直に書類に署名と判を押せない。
だが、しかし。
「あまり渋ってると……、ご子息がどんな手段を取るか分かんないよ?」
根津が直接出向いて説明をしに来ていたのだが、そう忠告…いや脅迫(?)をしてエンデヴァーが即座に署名と判を押すよう促したのは彼らの間だけの話だ。
エンデヴァーは、保須で目撃したヴィランすれすれ思考の状態の息子がヴィラン化しないように、極力自分が犠牲になる形で息子の意向に従う形を取っているので根津からそこを突かれてしまったらそうするしかなかったのだ。
***
「ザギと一緒の場所で生活できるとか、嬉しい。」
当の轟焦凍は、寮生活で出久(+ザギ)と同じ場所で衣食住を共にできることにキラキラと嬉しそうだった。
エンデヴァー以外の轟家の家族達があんな嬉しそうな末っ子を見たことがない…っと驚くほどだから、本当に心の底から嬉しいらしい。
……一方のザギは。
〔なぜこうなる?〕
雄英に建設された寮・ハイツアライアンスに家から移される生活用品と新たに購入された個人の消耗品などが我充てられた寮の部屋に運び込まれ、各々が部屋づくりをしている中でザギは憂鬱だった。
出久の荷物の運搬と、自宅から持ってきた趣味の物などの配置などをサイコキネシスで繊細に手伝いつつ、絶対轟が絡んでくることを予測して普通に面倒くさいという気の重さを感じていた。
「ザギって轟くんのことそんなに嫌い?」
『〔面倒くさい…。懐かれる理由も分からない〕』
もうすっかり日常になったザギのホログラムとの会話風景。
部屋のコーデをだいたい終えて小休止中に、出久が学習机の椅子に座り、その隣で壁を背に膝を抱えて座ったザギ。
「轟くんは、ザギのおかげで体育祭で気持ちを切り替えられたって、ザギを恩人だって言ってるんだけど……。ザギはそんなことをした気は全然ないから、嫌な気分になってるってこと?」
出久が床で膝を抱え座っているザギにそう聞くと、ザギは少し間をおいて頷いた。
表情は変わらないが、雰囲気でザギが轟から好意的に接されるのが嫌なようだ。
嫌悪というよりは、やたら馴れ馴れしく甘えてくる犬や猫に邪魔される感じがして邪魔くさいという意味に近い。
前にいた地球でのザギなら都合よく扱える道具として可愛がったかもしれないが、今のザギにそんな気はない。
洸太のことは上手く避けられたが、轟をどうするかとザギは寮生活が始まることに頭痛を感じる気がしていた。
ザギがいかにもかったるそうに片手に顎を乗せる体勢を取って考え込んでいる様子を見せていた時、ふとザギがなにかに気づいた。
「どうかした?」
『〔……別に〕』
出久は感じ取れない程度のソレに、ザギは気づいた。
それは今にも消えそうだが、さ迷っているようだ。
たどり着きたい場所に行けず、迷った末にたまたまここに現れてしまったのだろうが、それが運がいいのか悪いのか……。
出久が部屋の荷物とコーデを終えて部屋を出る際に、ザギはソレをこっそり拾い上げて自分の中に留めさせた。
今にも消えそうだが、ザギが少しだけ延命を助けてやったがそう長くはない。
だからその夜に、ザギはコレが行きたい場所へ行く手伝いをしてやることにした。
〔……何をやっているんだオレは〕
そんなことを考えながら警察の管轄にある場所へホログラムの姿で入り込み、ある一室に侵入した。
「んなっ⁉ なんでここに⁉」
「ザギ…。」
そこには解剖用と遺体を安置するための手術台に乗せられた白い布で全身を被された誰かを前に、項垂れていたプレゼントマイクと相澤と監察医と警察関係者がいた。
場違いなザギの登場に驚く面々を無視して、ザギは胸部に右手を置いてから青白い光の塊を取り出すようにし、それを乗せた右手を手術台の方へ向けた。
すると手の上に乗っていた青白い光がフワフワと漂うように移動し、白い布で覆われた誰かの遺体に吸い込まれるように消えた。
すると白い布の下がモゾモゾと動いた。
それを見て目を見開き、睨むようにザギに目を向ける相澤とプレゼントマイクにザギは腕組してふてぶてしい態度を見せ。
『〔……10分だ。最後を嚙み締めろ〕』
「……うぅん…、消太……、……ひざし…、そこ…にいるのか?」
白い布が被せられていた遺体の顔の方から出た声に、相澤とプレゼントマイクが表情を一変させてそちらを見た。
その間にザギは、姿を消した。
彼らのことに関与する気はない。これはただの自分の気まぐれでやったことだ。
悪意によって捻じ曲げられた死後からの、人間として、同じ夢を持った友との最後の永遠の別れを体験するなどそうそうあることじゃない。
かつて友と夢を叶えるために切磋琢磨した学校に迷い込んでしまったのは、過去の記憶で特に強く輝いて残っていたからだろう。
ザギに見つかり、気まぐれで会いたい相手と自分の体のところへ残り少ない時間を与えてやったのは、本当に運が良いのか悪いのか……。
サギにはどうでもいいことだ。
後日、白雲朧の二回目の葬儀がひっそりと親類縁者だけで行われた。
当時、A組の3バカというトリオでつるんでいた相澤と山田ひざしことプレゼントマイクも参列した。
白雲の親族が一度亡くなったはずの故人がヴィランに悪用されていたことを知らされた時の混乱と絶望と怒りは計り知れない。
だがザギによって改造に使用された個性と一緒に洗脳改造が解除されたようで、脳無・黒霧から白雲朧としての意識を取り戻せた結果となり、本来なら死体に戻るだけのところをザギによって与えられた現世にとどまれる最後の時間で親しかった友達が立派にヒーローになった姿と、再会できた懐かしさを享受し、しっかりヒーロー業と天寿をまっとうしたらこっちに来い、それまでに土産話をたっぷり用意してやると約束し、本当の最後の別れを終えられたことなどを相澤とプレゼントマイクから聞かされ、白雲の親族達は生前の彼のことを思い出しあい、泣いたり笑ったりして本当はやるべきじゃない二度目の弔いを済ませたのだった。
後半の元黒霧から白雲に戻った彼と相澤達との別れのシーンは描くか迷いましたが、ザギがいるし、やろうと思えば…という思い付きで描くことにしました。
もう消えかけていたさ迷う白雲の霊魂をザギが拾い、現世にとどまれる時間を稼ぐためのエネルギーを分け与えられて10分程度の最後の別れができるようにさせました。
残念ながらすでに一度死んだ身であるため、白雲の魂が限界で長時間留まるのは不可能だし蘇生も不可能なため、10分の会話が終わったら成仏して死後の世界へ逝くしかありませんでした。10分以上無理をさせたら魂がダメになって魂が消滅するなどして輪廻転生も不可能になっていた。
ちなみに警察の遺体安置所(?)に運ばれた黒霧として改造された体は個性を抜かれたことでほぼ死体に戻っていました。
相澤とプレゼントマイクが来ていたのは、本人確認のためでした。
今後は、ヴィラン連合抜きの原作のイベントとオリジナル展開と、オリジナルの敵とオリジナルラスボスを出す予定。
うまく最終回まで書き終えられるよう頑張りたいです。