今回もオリジナル回。
出久とザギの新コスチュームの話。
今回は完成させて試着する回。
パワーローダーと発目の言葉遣いとキャラがちょっと分からなかったので、違うかもです。
違ったら活動報告かメッセージで教えていただけると助かります。
それでもOkって方だけどうぞ。
いいですね?
発目とパワーローダーから出された新コスチュームの案を受け、ザギのおかげで発展途上だった特殊素材を使用した設計図の欠点を解消されたことですぐにヒーローコスチュームを制作する提携企業に掛け合って開発に着手することになった。
発目曰く、完成させるには何徹夜もして早くて1週間ほどらしいのだが……。
「緑谷さー--ん、ザギさー---ん!! できましたー---!」
「はやー--⁉」
たった三日でヒーロー育成に関わる諸々の訓練以外の基礎学習授業中に発目がバターンと教室に入ってきて、出久とザギのために開発した新コスチュームの完成を伝えに来たのだった。
事情を知らない教室の生徒達は、目を丸くしていた。
「いや~、あははは…、ザギさんのおかげでとんでもなく捗って捗って…、楽しくて夢中になったら完成したって感じで…。」
「げっそりしてるし、目の下のクマ大変なことになってるよ⁉ 知らせる前に休んで⁉」
「だってぇ…、現段階での私の最高傑作のニュードットベイビーの晴れ姿……見る…た…め……。」
「発目さー---ん⁉」
「誰かリカバリーガール呼べー-!」
徹夜と無休で新コスチュームを作り上げた結果、ドッと来た疲労で発目は倒れた。
すぐに発目は保健室に運ばれ、遅れて来たパワーローダーが授業を中断してしまったことを授業をしていた教員に頭を下げていた。
リカバリーガールの診断結果は、過労と睡眠不足が原因だと分かりとりあえず命に別状はなかった。
だが若いうちからこんな無茶を続けたら心身に致命的な障害が残る可能性もあるので目を覚ました発目は、夢中になるのは良いが心身を労われないと将来が潰れるとこってり叱られたうえで日常生活での療養の指導が入ることになった。
***
授業が終わってから出久とザギは、サポート科へ向かった。
「うちの発目が最高傑作だと言っていた出来だ。さあ、見てくれ。」
前に新コスチュームの案について話をした場所で、パワーローダーが白い布で覆われていた新コスチュームをお披露目した。
「うわ……。」
『〔……ふん〕』
そこにあったのは衣服などのファッションを売る店舗で見られるマネキンを支える支柱で支えられた白い人形。
関節の節々や、通風孔と思われる穴などが見受けられるが、顔はのっぺらぼう、耳もない。関節があるせいでまだ着色も飾りも何もされていない組み立てただけのプラモデルのようにも見える。
だがザギは、一目でこの新コスチュームの意図を理解した。
出久もなんとく察しているらしく、ザギを見上げた。
「あの…これは、もしかして…。」
「察してくれているようで助かる。これは君らが身に着けることで初めて完成するコスチュームだ。ザギ、君のエネルギー…、その姿形のデータを注入する必要があって…。」
『〔あの素材の特性を活かすならそうなるな〕』
「そうか、そこまで見抜いていたのか。」
ザギが言う通り、新コスチュームに用いられたまだ実用化に至っていないが多くの期待を寄せられている特許素材は、その万能性にあった。
固い素材にも、柔らかく弾力性を持たせることも、用途も自由自在。
唯一不可能なのは、食品にできないことだけ。
一度素材にデータを覚えさせれば瞬く間にそのデータ通りの形と性能を持つ特性を持つのだ。
例えば失った手足に代わる義手・義足として、かかりつけの医者と相談しながら細かい微調整や特注することでかかってしまう高額費用を削減でき、しかも耐用年数についても最初のデータ次第で伸ばせるらしい。
研究が進めば、目や耳、内蔵の機能を難しい手術無しで再現できるのではないかという可能性も秘めており、だからこそ多くの期待が寄せられていたのだ。
目下の最大の壁だった問題部分をザギが解決したことで、全身を包むパワードスーツという形にできるまでに活用が可能になったことが業界内で大ニュースとして広まってちょっとした混乱となっているがザギには関係ない話だ。
「まあ、最初は着ぐるみを着る感じになるが、そのあとが大切だ。」
「はい! でも、どうやって着るんですか?」
「着せるのを手伝うから、ネクタイと上着だけ脱いでくれるかい?」
「分かりました。」
出久が上着とネクタイを外している間にザギもホログラムの姿を消した。
〔オレの情報をこれに書き込むか……。全部は無理だが、出久が扱える範囲で……、スペースビースト因子は絶対無し!〕
さすがに50メートルの本来の大きさは無理だが、出久が力を扱う時の負担の軽減とザギがスーツを通して動きの補助やエネルギーの増減を操る役をすれば、出久サイズでエネルギーの消耗を抑えたうえで出久がザギの力を扱える。
パワードスーツは、あくまでエネルギーの増幅と、追いつけない動きに対応する補助装置として使えるようにしたい。
その方が出久は喜ぶだろう。
パワードスーツにザギのデータを書き込めば、ザギが出久の体でザギの姿になった時の感覚に近い状態になるのでザギと共にいるという実感がより味わえるのだから。
そうしてパワーローダーに手助けしてもらいながら一見不気味な白いスーツで全身を包んだ出久。
なぜかほんのりお線香みたいな匂いがして、通風孔が不十分であるため息苦しさと分厚いゴムを全身に纏ったような重たさと不快感があった。
「ザギ、君のタイミングに任せる。」
「ザギ…、だいじょうぶ?」
パワーローダーの言葉と、出久の心配する声を聞きながらザギは、改めてパワードスーツの構造を分析し、情報を入れられる容量や、再現できる範囲も予測してからザギは自分の情報をパワードスーツに流し込んだ。
瞬く間に白いマネキンのようなスーツの表面が気色悪く蠢き、収縮したりして凹凸ができ始める。
形が変化し終えると、仕上げとばかりににじみ出るように黒い色と赤い色がスーツを染める。
数分とせず変化が終わると、必要な工程が終わったことを告げるようにスーツのあちこちにある排気口からプシューっと蒸気が漏れた。まるで忙しさが落ち着いて一息ついて脱力したような様子にも見える。
「おお…!! これは…すごい!」
パワーローダーが予想以上の出来栄えにたまらず声を漏らした。
『〔……出久。どうだ?〕』
「うん…。」
出久は完成したパワードスーツ…あらため新コスチュームの状態を確かめるように腕を動かし、手を握ったり開いたり、体を捩ったり、首を動かしたりと色々な動きを試した。
変化させる前の息苦しさも重たさも息苦しさも無くなっていた。
それから出久がパワーローダーの方に顔を向けると。
「鏡、あります?」
「ああ、こっちにある。」
出久に言われ、パワーローダーが姿鏡を持ってきてくれた。
「うわぁ! ザギだ! すごい! ザギになってる!」
そこに写った姿を見て出久は喜びと興奮を隠せないようだ。
まさにザギの姿を模したパワードスーツがそこにあった。
パワードスーツらしい無骨さと機械的な部分もありつつ、ザギの獣のような攻撃性を表すような荒々しさを表現するような凹凸やトゲトゲした部位も見られるが、その姿形のモデルがなんであるかが知っている者ならすぐに分かる外見は完璧に揃っている。
目の形は多少鋭くなっているが、赤い輝きは胸部のエナジーコアの形と同じだ。
顔は本来のザギよりも軽く前に尖ったようになっており、両頬には口の端から左右にギザギザの歯が並んだ口を閉じているように見えて、相手を嚙み殺すぞと相手を睨んでいる肉食獣を彷彿とさせる。
パワードスーツの装甲の厚みの分、出久の身長よりも目線が高くなり、全体的な体格もその分厚みができているが、それでも装甲や弾力性と柔軟性のある素材の厚みのあるパワードスーツというにはスマートでパワーや防御面で心配されそうだ。やや太い細マッチョぐらいだろうか。
だが出久の身長に合わせているため180センチでザギのホログラムの姿よりは身長は低い。
最初にあった重たさやお線香みたいな妙な匂いは消え、不快感も息苦しさも一切ない。かといって全身が包まれたことによる蒸れや通風孔があることでそこから出入りする空気でスースーする感じもない、恐らくほぼ隙間もないのだろうが関節を動かしたり全体的に身動きしてもギチッとなったするキツさもなく、皮膚が擦れる感じもない。
まるでパワードスーツが体の一部になったような不思議な感覚だが、この感覚には出久は覚えがあった。
ザギに直接包まれて一体化しているという出久にしか分からない心地よさに近いのだ。
「体への負荷とかはどうかな?」
「だいじょぶです! まるでザギが体を使っていた時の感覚に近くって……、ザギに包まれてるっていうか……、すごく一緒にいるって感じで…!!」
「そうか。つまり希望通りにできたということか。」
「はい! 発目さんにも…。」
「あー----ー--! もうやっちゃったんですかー--!! 私がいないところでー--!! 酷いー---!!」
そこへ乱暴に扉を開けて駆け込んできた発目。
白いマネキンみたいだったパワードスーツがすっかりザギの姿形をモデルにしたものになっているのを見て、その変化の過程を見たかったと憤慨していた。
「すまない。一応カメラに映像記録を残していたんだが……。」
「それならまだいいですけど……。実際にこの目で見たかったです……。一生かかっても恨み切れないってこういうのを言うんですね……。」
「すまんかった! 時間が押していたから!」
「う~~~、ライセンス契約の都合での企業との合同だったとはいえ…、こういう時に利権って嫌なんです…。なにかをイチから生み出して守るためには大事なのは分かってても…。」
詫びるパワーローダーに、むくれる発目。
「発目さん、本当にありがとう! こんなすごいものを作ってくれて本当に本当にありがとう!」
新しいコスチュームを三日で完成させた発目に感謝を伝えたくて、禍々しいその外見で一瞬で発目の眼前に迫ってしまったが発目は想像以上の速度に反射的に後ろに軽くのけぞったが必要以上に驚いていない。恐らく出久がこう動くことを想定したのだろう。
「そう言っていただけると…、造った甲斐がありました! じゃあ、次は動作テストですよ!」
「待て、それをするには校長の許可が……。」
「もー、先生! それくらい早めにやっといてください!」
「今、校長はとても多忙を極められていてだな……。タイミングが…。」
「そんなに忙しいんですか?」
「ああ…、あまり君達には話せない内容で申し訳ないんだが……、ざっくりとまとめるとザギのことについてでの話が占めていてね…。」
「えっ⁉ ザギのことで!」
『〔だろうな〕』
「心当たりあるの⁉ それって……、あっ。」
「そういうことですか。そうですよね……、ザギさんの真の姿が世界中に知られちゃったから……。私としたことが、映像越しだったとはいえ、現実逃避しかけましたよ。それぐらい衝撃的でした。」
雄英内で教員達がバタバタ動いているのを出久や発目をはじめとした生徒達は知っていたが、その詳しい内容までは知らない。
生徒に知らせないということは大人達の間でしか話せない重要なことであろうと察して、深読みは極力避けていた。秘密を厳守することもヒーロー科を始めとした他の科の生徒達も心掛けていることだ。情報を流出させないことや情報戦もプロヒーローには欠かせないことであるからだ。ひとつ間違えばとんでもない大事に発展しかねない。
あまり深入りすることで情報漏洩を起こせば生徒といえど懲罰の対象となり、最悪退学処分や裁判沙汰となって前科前歴が付く可能性すらあるのだ。
「そう…ですよね……。あの…ザギは、どうなるんですか? どうするんですか?」
出久はザギのことを心配していた。自分の身に宿っているのに、自分よりもザギを優先して心配していた。
「それはまだ……、決定すれば追々伝えることになるだろう。それよりも、まずは新コスチュームの完成ということで、君のコスチュームの変更を受理するまでの手続きをまとめなければいけない。そのためにも、後日動作のテストなどの詳細なテストでデータを収集し、関係各所に提出して承認をもらわなければならない。」
「すぐには使えませんか…。」
「こればかりは…、なにせこの素材の初の実用化のプロトタイプとして資料にする必要があるから。そこはどうか我慢して欲しい。」
「分かりました。」
出久は残念そうにしながらも、新コスチュームを外して脱いだ。
ザギの意識とも直結しているため、ザギが脱がそうと思えば勝手に脱がせることもできるし、逆に着衣させることもできる。
脱ぐ過程でさっきまでピッタリサイズだったのがブカブカの余裕のある大きさになっていた。
次からは身に着けるとブカブカ状態から体にフィットするよう自動で縮んで扱えるようになるのだ。つまりザギの意識でスーツを移動させて手元に持ってくることが可能ということでもあった。
脱ぐ工程と、専用のケースに詰める工程を発目はがん見していた。
発目は、自分の今までの人生最高傑作が完成した喜びと、これから自分の作品が活躍する喜びで胸いっぱいのようだ。
だからこそ最初のザギの形にまとまる工程を見れなかったことが悔しいのである。
後日、根津から動作テストを行うために雄英内の施設の使用する許可を承認してもらった一方で、出久とザギの新コスチュームの完成を見に行くために発目が1日安静を言い渡されていたのに腕に打たれていた点滴を勝手に外したうえにリカバリーガールの目を盗んで逃げたことがすぐにバレて、またこってり怒られたりしていたそうだ。
前にあとがきで予告した通り、漫画『ULTRAMAN』のウルトラマンスーツを参考にしています。
あれのザギバージョン。
見た目は、若干ベリアルっぽさも入ってる感じをイメージしています。
相手に噛みついて喰って自分の滋養にして進化する点を強調したらベリアルみたいな顔になるか?という想像しかできなかったので、ギザギザの口の分顔が前に少し尖った見た目になりました。
実際には噛みつく機能はないです。つまり口は開かない。
次回は、動作テストや省エネでの攻撃力とかのテストを行う予定。
そこからやっと授業やインターンで使える許可が下ります。
耐久力の面では実戦で使用してみないと分からないので、最初のがダメになったら改良を加えりして2号、3号と交換していくと思います。じゃないと最後まで使えないから。
青山のこととか……、その前に仮免試験がありますからスーツの完成と実用を先にして、それからヒーロー名をつける流れにしようか考えています。