今回は前回からの続き。
完成した新コスチュームの動作テストをする。
発目のキャラとかが色々おかしいし、筆者が生産業とかの権利とか法律とかがいまいちわかってないためそれっぽく書いてるつもりでおかしい部分だらけかと思います。
それでもOkって方だけどうぞ。
いいですね?
国という後ろ盾によって保護されたその特許素材は、多くの希望と同じかそれ以上の悪事にも利用されかねないという危険性を持ち合わせていた。
実用化が可能になるということは、つまりそういうことだ。
どんな物も使用者次第。
食物を安全に美味しく調理するための刃物である包丁が良い例だろう。美味しい料理のための道具は、使う者の考え次第で簡単に命を奪う凶器と化すのだ。
どれだけ情報を守るために対策してもどこかで流出する可能性はある。悪用された時の対策はもちろん考えていかなければならない。偉大な発明品が未来で平和利用されて生活をより豊かにするか、それとも悪事の道具として名を残すかは全ての人間達次第だ。
「すまない…。もっと早く許可を出せれたら良かったんだけど……。色々と立て込んでて…。」
心なしかゲッソリした根津が貸し出しを許可した雄英の敷地内にある訓練やサポート科で制作された作品の実験を行うための場所に立ち合いに来ていた。
「校長…、あの…無理はなさらず…。」
「いやいや、これは生産、製造業界の革命になる一大儀式なんだ! 立ち会わないなんて選択肢はないよ!」
「目の下のクマ! ぐらんぐらんしてますって!」
「あ~~、だいじょ~ぶだいじょ~ぶ……、これをグビグビっと…。」
「校長、私の記憶が正しければそれは非売品…。」
「しっ!」
フラフラの根津が飲んでるエナジードリンクを見た発目がうっかり口に出したのをパワーローダーが慌てて彼女の口を塞いで止めた。
「ふ~~~、よし! しゃっきりした!」
飲み終わった小瓶を瓶回収用のゴミ箱に捨てた根津は、顔色がまあまあ良くなっていた。あのエナジードリンクが果たして体に良いのかどうか…は、問わない方が良さそうだ。空気的に。
「準備が整いました! いつでもどうぞ!」
そうしていると提携企業から派遣された技術者や企画に参加している責任者がパワードスーツの記録を取るための機器などの設置と記録を取れる準備が整ったことを叫んで伝えた。
「始まりですね! これクリアすれば……。」
「ああ、緑谷くんとザギの新たな門出となる。」
二人も記録と見守る側としてそちらへ移動した。
ややあってパワードスーツに身を包んだ出久が入ってくる。
写真や映像記録ですでに知らされていたとはいえ、実際に目にするその完成度と迫力に発目とパワーローダー以外が思わず息を飲むほどだ。
「これはまた……、見たまんまのダークヒーローだね!」
根津の第一印象だ。
だが中に入っているのは、重度のヒーローオタクなだけの地味男子であるから所作や言葉遣いなどが外見とのギャップを生むだろうからいい意味でも悪い意味でもそのギャップで印象に残るタイプのヒーローになりそうだとも評していた。
『えーと…、まずなにをすればいいんですか?』
「まずはスーツの動きに不備がないか、負荷がかかってないかを調べたいので、ストレッチや体操とかをしてもらいます!」
『分かりました!』
発目の指示で出久が指示通りに動作をする。
ヒーロー科での激しい訓練前に行うストレッチに始まり、ラジオ体操をまずはゆっくり、それから速度をあげて同じ動作をしてもらってパワードスーツの節々や中にいる出久へかかる負荷を調べる。
危険と判定されたら即座に中止されてすぐにパワードスーツを脱がされるのだが、無事に最初の関門は突破した。
「試作段階からオールグリーン(※安全を知らせる表示色)とは…。」
パワードスーツの設計と開発に参加している熟練の技術者が無意識に驚きで唸るほどの数値が測定用の機械の画面とランプに表示されている。熟練の技術者の部下と思われる若い技術者らしき人達も師にあたるその技術者の様子を見てとてつもないことが起こっているのだと実感している様子だ。
「緑谷さん、ここから更に激しく動いてもらいますけど、だいじょうぶですか? 体が痛いとかなんか異変を感じたとかは真っ先にですが、喉が乾いたとかトイレ休憩とか欲しいならお早めに!」
『だいじょうぶです! むしろ調子が良すぎるぐらいです!』
「ほっほ~…、ザギさんがそれだけ緑谷さんに配慮してくれていると…。」
『〔うるさい。さっさと面倒なことは終わらせる〕』
「分かってますよ! 好調なようなので続けますね! 今からヒーロー科の実技で使用するロボットを投入します! ロボットを相手に接近戦のみで戦ってください!」
『分かりました!』
そして次のテストが始まる。
ゾロゾロと入ってくるのは、入学試験でも使用された仮想ヴィランであるロボット達だ。さすがにゼロポイントの巨大なのはいないが。
硬質な棒のような物を手にしているが、これはパワードスーツの高度と弾力性の耐久値や中にいる出久への影響を計るためだ。
人命第一なので、問題があると判断すれば即座に中止となる。万が一に備えてリカバリーガールを中心とした救護班も待機しているし、消火や事故や災害での人命救出時に用いる装備を準備した班も待機している。
四方を取り囲むロボット達を前に出久は構えた。
その構えはザギの戦闘スタイルであった。パワードスーツに記録させたのはザギの戦闘経験も含まれている。出久にザギの力を使用させるには、無意識な形で自然とザギの戦闘のテクニックを出久が使える仕様にすればいいというザギの判断だった。ただし出久の体に負担がかからない程度に抑えてはいる。
ただしザギが表になった際は、その抑えた部分を解除して使う気だ。
「スタート!」
発目の合図でロボット達が一斉に出久に襲い掛かる。
四方八方から振り降ろされる硬い棒。
だが出久の姿が消えた。
目にもとまらぬ速さでしゃがんだ出久が、片足を伸ばして一回転すると最前列にいたロボット達が足払いされて足を破壊されて倒れていった。
倒れたロボットにつまづくすぐ後方のロボットの頭部に強烈な突きをお見舞いしてもげる頭が更に後方のロボットの頭に命中してその頭ももげて更に後ろのロボットへ……。まるでビリヤードやドミノ倒しでもしたのかいうぐらい見事に一列のロボット達が戦闘不能に。
残ったロボット達が足をやられたロボット達を乗り越えて出久の背を狙うと、出久が軽々と素早く跳躍して群れてくるロボット達の後方に着地した。
ロボット達の反応が遅れて振り返るより早く、拳が脚が、ロボット達の頭を的確に破壊し、もげていく。
まるで格闘ゲームや多数の敵をひとりでバッサバッサと倒していくタイプのアクションゲームのような、速く、攻撃力に富み、荒々しくもつい目を奪われてしまうほど見事な動きだった。
そうしてロボット達が全部地に伏した瞬間だった。
突如パワードスーツの装甲の背中の片側の一部から通風孔じゃないのに蒸気が吹きあがり、汚い灰色になって剥がれて落ちた。
「中止! 中止です!」
「ああー--! 初号機のベイビーがー----!!」
テストの中止を叫ぶ企業の一同と、パワードスーツの破損に頭を抱えて悲鳴を上げる発目。
すぐに破損したパワードスーツを脱いで状態を調べると、脱ぐだけでスーツのあちこちにも変色が発生してひび割れて砕け落ちる有様だった。
『〔遊びが足りなかったな〕』
「やはりですか…。」
「遊びって?」
パワードスーツを脱いだ出久が聞いた。
「商品やカタログの説明欄などに記載された最大値よりも高い数値に設定しておくことですよ。これくらいならだいじょうぶでしょ、って大抵の人は思っちゃうからついつい記載された数値以上の使い方しちゃいがちだし、もしうっかり最大値以上にしてもだいじょうぶなように安全のために余裕をもたせるんです。今回は、それが甘かったんです……。ザギさんのエネルギーの強さを舐めてかかっていました……。」
発目は落ち込んだ様子で崩れ落ちた部位を拾い、焼き切れた回路やひび割れたり焦げて変形した基盤らしき部分を精密機械の整備や組み立てに用いる手袋をはめた指で触ったり目視して溜息を吐いていた。
「ですが……、記録したデータとかを含めて改善点は見えました! すぐに2号を用意しますね!」
「待って待って! また数日徹夜なんてこと…。」
「だいじょうぶです! 初号機ベイビーのために最初に造った特注機械と専用の型とかと基礎となる制作工程のマニュアルがありますから、そこまで時間かける必要ないんです! まあ……配合とか回路の強度計算と調整の細かい部分は機械じゃ無理ですから、あと利権とかの関係で協力企業の職人さんの方々の協力なしで持続して使い続けるのもメンテナンスも、今のままじゃできないんですけどね。」
「な、なるほど!」
もしこのパワードスーツでプロヒーローとしてデビューするならば、継続して同じ物を提供してもらったり、素材不足などに備えて代わりになる素材を用いる柔軟性と発想、新たな問題が発生した時に問題を解決する改良を加えた物を開発する体制が整っていないといけない。
そのためにはまさに縁の下の力持ちたる者達として、その道の熟練者である職人といわゆる下請けを職場とする人々の存在が絶対必要になるのだ。
一寸の狂いもなく、クオリティを保つだけの技術力を持つ者達だけで完結せず、その技術を引き継ぐ人材の育成と再現するための基礎資料を揃えて、それを他へ流出させないことと悪用されないための体制も築かなければならない。実際に退職した大企業の技術者が海外企業に雇われて海外に技術が流出してパクられたという事例があるから人間を管理することがどれだけ大変なことか……。
これから今回協力した企業やその他関係者は頭を悩ますことになるだろう。
「本当は私の専売にしたかったんですけど……、特許のライセンス契約の都合で……。」
「発目、君はまだ学生の身だ。それを差し引いても現時点でライセンス契約の条件を満たせていない。君の今後の努力次第でその目標を達成することだって夢じゃないと思わないか?」
「……はい。分かってます。」
自分が出久とザギの新コスチューム作りと提供を独占したい野望をボソボソと口にしている発目に、パワーローダーが今の発目ではそれが叶わないことと、その目標が今後の努力と実績次第で叶えられると説いた。
それは発目も十分理解しているようで、渋々な様子であったが頷いていた。
〔この娘は……、化けそうだな。来訪者や光の国の技術ほどとまではいかなくとも、文明レベルを根幹から変えるほどのことはできそうだ。そうなれば、この地球の知的生命体がいつか宇宙に進出するのも……〕
時代が追いつけていなかった。というぐらいの天才はいつの時代にもいて、あまりに突出した才能が原因で悲劇的な末路を迎えたりすることは少なくない。
バカと天才は紙一重などという言葉があるぐらいで、天才とは常識を逸脱した発想や行動をするため常識の範囲内で生きる多数大勢から奇異に見られたり迫害される。
天は二物を与えず。突出した才能の代償か、どこかに欠落が見受けられる場合もある。それを乗り越えて周りを認めさせ、歴史に名を残すほどの結果を残せた者はきっと少ない。
多くは歴史に埋もれて無かったことにされたり、他者に陥れて奪われてしまうということもあっただろう。あるいはその人物たちが後世になって再評価されて発掘されて歴史認識や書物の記載内容が書き変わることだってある。
発目は果たして、どういう人生を送り、何を成すのか、何を残すのか、何者になるのか。
ザギは、出久の未来がヒーローになれるということを確定された反省から、未来視をするのは避けているので、発目の未来を預言する気はない。
〔まあ、今はせいぜい役立ってもらう。出久が喜ぶからな〕
ザギが発目の案に乗ってやったのは、ただそれだけの理由だ。
〔使い物にならくなったら……、地球上の全人類といなかなくとも、日本の中から同等かそれ以上の才能の人間は探せばすぐに見つかる。娘が製造工程の外せない基礎に全てを確立して、なおかつ必要な道具の設計図を含めて資料にまとめているなら、そこいらのそこそこの学と手先の技術を持つ人間が数いれば事足りる。替えが利くならいなくなろうとさして気にする必要はないな〕
それがザギの発目への評価と価値だった。
ザギがそんな風に発目に対して辛辣な評価をしていたが……。
「ニューコスチューム2号をお届けに参りましたー-! 早速テスト全部クリアして今度こそ承認もらいましょう!」
〔…………生まれ持った才能は、狂気があってこそ開花と成長が促進される…か……〕
中止した動作テストから半日後の夕食時間に寮に駆け込んできた発目の登場に、夕食中だったA組面々が驚いた衝撃で口に含んでいた物を吹き出したりと軽く阿鼻叫喚になったのだった。
ザギは、上記のことを思いながら少し遠い目をしてしまっていた。
新コスチュームであるパワードスーツであるが、後日再び行われた動作テストでテストをクリア直後にまたも破損してしまい、結局3号になってやっと必要な検査とテストの基準値をクリアできて緑谷出久の新しいヒーローコスチュームとして授業その他で使用することが正式に承認されるのだった。
その知らせを受けた特許素材のライセンス契約で組んだ協力企業の社員達どころか役員達までもが狂喜乱舞して社内が常軌を逸したレベルでカオスになったという話が、その会社の黒歴史な伝説に残るのは別の話である。
新コスチュームのパワードスーツは、動作テスト中に破損したため結局3号まで作り直してやっと実用の承認がおりたという流れにしました。
問題だったのは、ザギのエネルギーを循環させたり増幅を補助する基盤などの精密機器部分です。
ザギのエネルギーの強さに耐えられないかつ、省エネで高パワーに増幅する機構が当初の設計では不十分だったから。
パワードスーツの根幹となる部分を作る製造ラインや専用の型とかは、すでにあるため上記の精密機器類の作り直しと交換をしても三日徹夜しなくてもすぐに替えを作れるようになってます。
発目としては、パワードスーツの製造と改造を自分が独占したいところだったけど、特許とライセンス契約の都合で叶わず。でもこれからの努力で条件を満たせれば叶う可能性はある。
ザギ的には発目は、都合の良い駒ぐらいの認識だったけど、生まれ持った才能を早熟させる狂気的な熱意を見て、『こいつ、いつかこの地球の地球人を宇宙に進出させるんじゃ?』とぐらいに認識を変えてます。
まあ……承認された3号のパワードスーツも実戦とかで光線を使ったりしたら、数回で破損して4号、5号と代替わりが早いかも?
仮免試験では、破損しないよう授業で光線を使ったら破損したから代替わりしたってことにしようかな?