ヒロアカ×ダークザギ  ネタ   作:蜜柑ブタ

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急な寒波がすごい、強風がとにかくすごかった。
雪が舞い上がって白い煙みたいに景色が見えなくなるってテレビとかでしか見たことなかった。


今回は、ヒーロー科の授業で新コスチュームを使用する回。

あと初めて出久がザギの補助ありで自力でウルトラマンのように空を飛ぶ。







それでもOKって方だけ、どうぞ。





いいですね?


第56話  奔走する大人と新コスチュームお披露目

 

 

 ヒーロー科にしかない専用の科目であるため、当然実技に特化したプロヒーローが担当するのだが雄英の場合はオールマイトが受け持っていた。とはいえマッスルフォームの維持に限界があったのでほとんど相澤が指導していたような形ではあった。

 なのだが神野での一件で個性の喪失ともにマッスルフォームを保つのが実質もう無理になったオールマイトでは直接手を出す形での当初の授業形態を指導できないと判断されて授業の進行を受け持つ教員についての会議が雄英内で行われていた。

 年齢もあるが過去の古傷による内臓のダメージが大きい今のオールマイトの体なので、教員として残り続けるにしても完全にヒーローを引退して隠居するにしても、その後の余生の送り方などなどオールマイトが自分で選択しないといけないことは多い。

 神野事件後の会議で担任である相澤を中心に、雄英で教師を勤めることを選択しているプロヒーロー達が日替わりでヒーロー科の専門科目を指導する形が取られた。

 一応根津がヒーロー協会とかを通して、臨時教師として他のプロヒーローを呼ぶ形を取ることを求めたりもしたのだが……。

 最寄りのプロヒーロー事務所からは首を横に振られる結果となった。

 県外の離れた土地に事務所を構えていたり、活動の中心にしているプロヒーローにも同じように頼んだのだが……。

「予想はしていたけど…、ここまで露骨だと今のプロヒーローの選定基準の見直しが必要になりそうだね。」

 お断りの返信メールが並んだパソコンの画面と机の上に並べたお断りのお手紙を見つめて、根津は深く溜息を吐いた。

 なぜここまであちこちからお断りされるのか……。

 

 原因のほとんどを占めるのは、ザギのことだ。

 いや、99.9パーセントは間違いなくザギが原因だ。

 

 体育祭での暴れっぷりに加えて、雄英内で個性喪失前のオールマイトがザギに嫌われて毎日のようにボコられていたという噂は漏れていた。

 プロヒーロー達がザギを最も恐れるきっかけきになったのは、保須市でのエンデヴァーのあの醜態が晒された騒動だ。

 最近だいぶ落ち着いてきたとはいえネットタトゥーという消えない情報として世界中のネットワークに広がったあの事件で下手にザギに絡むことを誰もが嫌がったのだ。

 そしてダメ押しとなったのが神野での事件で明らかになったザギの真の姿。

 あれが過剰も過剰な限界突破も生ぬるいダメ押しになった。

 Mt.レディより倍以上デカい巨人。(※50メートル)

 ついでに他者の個性を喰って完全に自分の物にし、奪ったとしても容易に戻せるし自分の中に残したまま他者に与えることもなんでも自由にできる能力を見せつけたこと。オールフォーワンの個性の上位互換をその場で発揮したことだ。

 個性をあっさり奪われて戻してもらってもそのうえで上位互換の力を見せつけられた挙句に、50メートルの巨人であるという真実が明かされたことでオールフォーワンという悪の帝王を自称して過去に大きな混乱をもたらした最強最悪のヴィランが心が完全に折れてしまうほどだった。

 いまだザギがどこからやってきたのか、どこで生まれて育った何者なのかはハッキリと本人の口からは発せられていないが、地球上の何者よりも圧倒的過ぎた。

 実際は一部の事情は出久が本人から伝えられたり、出久を通して周囲に一部認知されているがまだ広くは周知されていない。

 あまりに異質すぎて個性じゃない何かだという論争がすでに雄英以外の外部でも起こっている。

 神野で直に見た者達も、画面越しで見た者達も理解した。

 自分達があまりにもちっぽけで、井の中の蛙大海を知らずの蛙であったということを本能から理解させられてしまったのだ。だが空の高さは知っている。途方もない世界が目線を変えればそこにあるのだから。その途方もない世界に目を向けるきっかけがザギだった、それだけの話だ。

 あまりにも圧倒的な存在を目の当たりにし、自分達の小ささ弱さを認識した世界はいい意味でも悪い意味でも激しく動く。

 平和の象徴として大衆とヒーロー達が縋っていたオールマイトが個性をザギに喰わせたことで露見した健康をすでに失っていて命すら危険な状態だったことが霞むほどザギの存在は大きすぎた。

 だから余計にザギと関わることを避けたがる。

 下手すると個性を奪われるかもしれない。そうなると死活問題だ。

 出久が頼み込んで戻してもらっても一度奪われた個性はザギの物になって、結果的にザギをより強くさせることになる。

 だからプロヒーロー達は、ザギとの接触を避けたがる。

「…向き合わないといけないんだよ。どれだけ怖くて目をそらして、現実逃避したって無意味なんだ。」

 根津は、表情を引き締め飽和状態のヒーローという職業に就く者達の甘さと未熟さに頭痛を覚えつつ、自分もまたそんなプロヒーロー達の育成にも関わる立場として反省しながら自分が学校の指導者として何をすべきかを考える。

「いつか……、遠い未来かもしれなくても、もしかしたらザギと同じかそれ以上に強くて大きい宇宙の住人達に出会う可能性だってあるんだから…ね。」

 A組でザギが語った話を根津も報告されていた。

 だからザギが遥か遠く広い宇宙のどこかからやってきた何者かだというのは核心が持てていた。

 だからいつか遠い未来に地球の人類が宇宙へ進出することがあれば、いつか出会うかもしれないのだ。

 ザギよりも下位か、同等か、もしくはそれ以上強力な力を持つ存在達に。

 フィクションのSF作品でも異星人とのコミュニケーションを題材にした物は多くある。

 実際に出会ってみないと分からないし、向こうが歓迎してくれるとは限らない。

 その時にならなければ分からなくても、それでも今……ザギという地球外からやってきて緑谷出久という少年の体に共生している存在とどう向き合うかが今やるべき課題だと根津は考える。

 少しずつだがザギは、出久を通して変化を見せている。

 完全に心を開いたわけでもなく、出久だけを過保護にしてそれ以外への強い敵意と無関心を持っているが、少しずつだが変わってきているのは確かなのだ。

 変わりつつあるザギとのことを壊して振り出しどころか、マイナスになる事態は避けたいが向き合うことを止めてはいけない。諦めてはいけない。

 かつて個性が異能として迫害されてきた歴史を経て、個性というものがあることが当たり前になるまでの浅い歴史の最中。個性よりも圧倒的に未知の領域の存在とはいえ、ザギを受け入れることはできるはず。

 なぜならザギにはコミュニケーションが取れる能力が備わっていて、何より高い知能を持つ。だからこちらの言語や文化を理解したうえで言葉や行動ができるのだ。地球上ですら言語の壁と習慣と価値観の違いにぶち当たって流血沙汰や最悪戦争沙汰に発展したという歴史が少なくないだ。そういう視点で見ればある意味地球人よりもザギはとても話が通じる相手なのだ。

 力では負けてしまうが、会話はできるし価値観の理解をする柔軟な理解ができるうえで自分の主張を曲げないだけで。

 出久がいるA組の生徒達は近くにいる分、その点について他よりもザギを受け止めて順応しているようである。

 子供達が柔軟にザギを受け止めてコミュニケーションを取ったり、ザギについて思考するのに対して、怯えて避けていては大人の面目は丸つぶれだ。

「はあ……、そこら辺のことを踏まえて、仮免試験のことも協議すべきだね。」

 そう考えながら根津は、パソコンのキーボードに指を走らせた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「ば…爆豪? だいじょーぶ?」

「…るせぇ。」

 胃を押さえて背中を丸めている爆豪の後姿を心配そうに見ている爆豪派閥と呼ばれるようになった男子三人。

 ヒーロー科の専門科目では、ヒーローコスチュームも使用される。使用されない時もあるが、それは実際にプロになった時に必ずしも万全な状態で出動できるとは限らない時の可能な限りの最大限を実行できるようにするための訓練のためだ。

 基本的にはコスチュームに慣れることとや、コスチュームに内蔵された装備などを活用する能力を訓練するためにコスチュームに着替えてから授業が多い。

 その過程でコスチュームの仕様を変更したいと要望があれば、雄英にコスチュームを納品している企業が対応してコスチュームを改造したりデザインを変更することもある。そういう意味でもコスチュームを使用したヒーロー科の授業を行うのである。

 入学からの初授業からもう数か月も過ぎたため、一部でコスチュームの変更を行った生徒もいたが、特に大幅な変更をした生徒がひとりいた。

 緑谷出久だ。

「か……かっけー--!」

「ずりー-! 緑谷だけメチャクチャ贔屓じゃね⁉」

「なんというクールさだ……! だがそれでいて相手を威圧する荒々しい獣を彷彿とさせる…。」

「迫力が凄まじいですわ…。」

「ザギを全身アーマーにしたらこんな感じって感じだね! よかったね!」

 男子と女子で更衣室は違うが、更衣室から出てきてから全員であらためて出久とザギのために開発された新コスチュームを見たのだが、そのインパクトに全員が衝撃を受け爆豪に至っては胃痛がぶり返していた。

 一方で轟は、お目目キラキラで感動のあまりに小さい声で『かっけぇ…』って言っていた。

『えへへ…! ついにこれ着て授業ができて嬉しいや!』

『〔嬉しいか?〕』

『当たり前だよ! 僕とザギで二人でひとつってヒーローの形になってるんだから!』

『〔……そうか〕』

 これまでずっとザギは、出久をヒーローから遠ざけようとしていた。幼い時から何度も記憶を消すなどしてヒーローを目指さないようにしたがザギが預言して確定した未来のせいか出久はヒーローを目指すのを止めない。

 だからいっそ雄英や爆豪を始めとしたヒーローになる足がかりを消そうとまで考えていたのだが……。

 しかし今は二人でひとつという形でヒーローとして成り立とうとしている。

 

 

 〔なぜこうなった……。なのに……、悪い気がしないのはなぜだ?〕

 

 

 出久からザギと共にヒーローとして階段を上っていくことに喜びを感じ、ザギに感謝してくれる。

 4歳の時からずっと出久の中に潜んでいたが雄英入学から存在を周囲に知覚され始め、体育祭で存在を表に出し、ここまでに至るまでに出久と紆余曲折ありつつもコミュニケーションを取り、ザギは確かに変わりつつあった。

 あれほど出久がヒーローとして成長して形作られていくのを嫌がっていたのに、出久がザギがいてくれたからこそ夢が叶うことへの感謝やザギの足元に積み上げられた罪の山を見てもなおザギを抱きしてめてくれたことなど、ザギの中で少しずつだがザギに理解しきれない変化が起こっている。

 今まで不必要で他者がそれを持っていることを蔑んでいたソレを受け入れて変わりつつある自分自身を、ザギは戸惑いを感じながらも悪くないと受け止めていることにまた戸惑うというループだった。

 

「緑谷さー--ん! ぜひやってもらいたいことやって欲しいです!」

 

 

 〔またか…〕

 

 

 サポート科の授業はどうした授業は。というツッコみがクラスメイト達が思ったり口にしたりしているが、出久とザギのための専用パワードスーツの開発と製造に発目が大きくかかわっていることは知っているため彼女がここに現れることにそこまで抵抗はなかった。

『発目さん、やってもらいたいことって?』

「ザギって飛べるんですよね⁉ スーツ着用でも飛べるのかやってもらいたくって!」

 確かにザギは、翼もジェットも無く空中浮遊と飛行ができる。

 ウルトラマンの一族や近い系統の種族に共通している基本的な能力だ。しかもマッハという速度の単位で飛び回れる。

 ザギが飛べることを披露したのは林間合宿でのヴィランの襲撃の時だ。

 その時はスーツ無しで出久の体をザギに変身させてから飛行した。距離的にマッハという速度を出す必要もなかった。

 なので出久の意思で飛んだことはなく、ザギが移動するのに使っただけだ。

 ちなみにパワードスーツのテスト実験などには飛行をすることは項目になく、実践はしていない。

『ザギ…。』

『〔…飛びたいか?〕』

『できるの⁉』

『〔出久が望むなら〕』

『やったー! ありがとう、ザギ!』

 というわけで、授業を少し中断して新コスチューム状態で出久の意思で飛んでみるのを他生徒と授業の担当教員が見物することになった。

『ど、どうしたらいいの?』

『〔飛びたいと望むだけだ。好きにできる〕』

『う、うん!』

 気合を入れて飛ぼうと集中する出久。

 だが妙に力んだのと初めてのことだからか、全く体は浮かない。

『う~~…、浮かばない…、どうしたらいいの?』

『〔オレが補助する。感覚を覚えろ〕』

『わっ!』

 急にふわりと何の前触れもなく浮かび上がる出久は宙でわたついたが、すぐにザギの補助で体勢を整えて、あっという間に遥か上空まで飛びあがってしまった。

「行き過ぎだボケ!!」

「落ち着け爆豪! たぶん聞こえてない!」

 あっという間に見えなくなるほど高い位置に行ってしまった出久に焦りと共に憤慨する爆豪を落ち着かせようとする爆豪派閥。

 これにはさすがに今日のヒーロー科授業を担当するエクトプラズムも焦り、発目にどうするべきか聞いていた。

「あちゃー…、通信機忘れてました。」

「どうすんだコラ! 呼び戻せねーだろーが⁉」

 てへぺろっとうっかりしたことを舌を出して言う発目を見て爆豪がますます爆発した。

 

 

 

 一方、空へ飛びあがった出久とザギは……。

『うわぁ……。』

 雲よりも高い位置。

 飛行機よりも高い位置で浮遊して、その世界を眺める経験をしていることに思わず声を漏らしていた。

 宇宙へ飛ばされるロケットや衛星画像とかで地球と宇宙の中間を映した映像や画像を目にしたことがあるが、実物を見るのとは違うのは当たり前だ。

 パワードスーツのおかげか、まったく寒さも空気の薄さも感じない。

 重量に囚われていない浮遊している不思議な感覚は、前に麗日に彼女の個性を使ってもらった時とは違う感覚だった。麗日の無重力は、体勢を整えるのが困難で三半規管が大変なことになってしまうが今の浮遊している感覚は昔アニメや絵本で見たピーターパンの宙を自由に飛ぶ光景を実現したものに感じられた。

『〔初めて飛んだ気分はどうだ?〕』

『すごい…、すごいよ…、なんて表現したらいいか分からない…。でも……これってザギには当たり前な世界なんだよね?』

『〔……まあ…な〕』

『僕…、今、ザギと同じ世界を見れてるんだね? 同じ世界に立ててるんだね? ……それが嬉しいよ!』

『〔…!〕』

 まさかそんな言葉をもらうとは思わず、ザギは思わず言葉を失った。

『あっ! このままひたってちゃいけなかった! 戻ろう!』

 ハッと我に返った出久が慌てて雄英に戻ろうと方向転換した。

 しかしこれがいけなかった。

『あ、あれ…、わ、うわ、わ~~~~~!!』

 スピードの制御のやり方をまだ覚えていないのと、地球の引力が相まってちょっとした隕石のごとくグラウンドに落下してしまった。

 赤い光に包まれて超高速で落下してくるものに慌てて散開するA組と発目と教師。

 そして落下するとクレーターができ、クレーターの中心に変な大の字っぽい形でうつ伏せでめり込んだパワードスーツの着用状態の出久が倒れていた。土煙が晴れてもプスプスと小さな煙がスーツからあがっている。

『〔……やると思った〕』

『うう…、そんなに痛くはないけど…、ザギ、補助してよ…。』

『〔出久の好きに飛べるようにした方がいいと……思った…。練習のためにも…〕』

 例えるなら補助輪無しで自転車に乗る練習をしていた合図無しで手を離されてから手を離されたのに気づいて盛大にこけたような感じだ。

『そっか……、ごめん、僕が早く飛び方を覚えるよ。』

「緑谷、あとザギ! 授業後に空いた穴を埋めろ!」

 騒ぎに気づいて駆けつけた相澤がクレーターから這い出てきた出久とザギにそう叱った。

 発目は、良いデータが取れたとホクホクしていたのだが、大気圏突入という大きなダメージを受けたせいで着替えた時に3号のパワードスーツが突然壊れたため、大気圏突入にも耐えられるように改良を新たに加えた4号がすぐに造られて納品されるのだった。

 

 

 




ヴィラン連合が絡まない展開に苦戦しています。
潔癖ヤクザと異能開放とかも後々解決させるために絡む予定ですがそこまでの展開をどうするか……。

ガンダムでも初代から描かれてますが大気圏突入ってとんでもく危険で、中にいる人を生きて地球に降ろすだけの技術がどれだけ大変かが現実でもありますから、せっかく授業で使えた3号のコスチュームは、大気圏突入のダメージで壊れて、大気圏突入にも備えて改良された4号に交換されました。

空を飛ぶ夢って寝ていて見ることはよくありますが、実際にウルトラマンのように飛べたらどんな感じだろうって想像してみたりします。
なんとなく気持ちよさそうってイメージ。羽を羽ばたかせたりする労力もないだろうし、重力とか空気などの抵抗を感じさせない感じがする。
ウルトラマンコスモスで子供時代のムサシをコスモスが手に乗せて飛んでいるシーンが大人になった今すごいいいな~って羨ましくなったぐらいです。

出久はその後自主練して、飛ぶ能力を磨いていきます。
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