すっかり生活サイクルが狂ったので直そうと思ってるけど大変です……。
今回は、仮免試験に向けて説明やら特訓などの序盤?
アンケート結果で選ばれたヒーロー名を出しています。
今回は、ザギが大人しい(?)です。
それでもOkって方だけどうぞ。
いいですね?
職業、ヒーロー。
この地球ではヒーロー(英雄)は、名誉や自称や世間での通り名などの曖昧なものではなく立派な職業なのだ。
しかも職業の区分としては、公務員ときた。
〔なぜ公務員? エンタメ要素満載の現状より前ならその方が良かったのか?〕
怪獣などの脅威を相手にする防衛軍のような組織ならいざ知らず、ヒーローを公務員認定しているこの地球での考えがイマイチしっくりこないザギであった。
しかし誰もかれもがヒーローとしてデビューできるわけではない。
当然だがヒーローとして認可されるために用意された試験という名のデカくて分厚い壁立ちはだかる。
今やヒーローが増えすぎて仕事にあぶれて副業で食っているエンタメヒーローが主流化しつつあるほどなのに。
自動車免許のように免許制だが、プロ免許習得前に仮免許の試験が存在する。
ヒーロー育成の名門の雄英は1年生の段階から仮免試験に参加することが通例みたいなほどの能力の高い子供が集まっているため他のヒーロー科のある学校よりも早い段階での仮免試験参加が可能なようだ。
だいたいは2年生や3年生、突出した才能を見出された1年生が先輩達に混ざって参加することはあるようだがそういう例は少ないようだ。
職場体験中にグラントリノ曰くであったが、個性を使用することは法的に禁止されており、よっぽどの理由がある時やプロヒーローがその場にいて責任を持つ形で許可を出したなら例外だが、ヒーローがプロの免許を取るのに躍起になるのは個性を使うことが許可されるからという理由もあるらしい。現在の飽和状態の前から活動している大ベテランのグラントリノはヒーロー活動こそ地味で知名度も低いが時代に合わせて個性を使うために免許を取った人だ。
しかし仮免とはいえ難易度は高い。その理由はプロヒーローの人数が増えて飽和した現在であっても仕事中に命を失う危険や家族や身内に及ぶ危険性の高さが原因だった。
単に世を騒がせるヴィランと戦い逮捕に貢献するだけではなく、自然災害や人災による救助活動で二次被害で命を落としたり、命を落とさずともその後の生活が困難になるほどの怪我をしてしまうことも少なくない。
だから年々個性の種類の増加や代を重ねて強化されていったり、別の個性を持つ者同士の親から生まれた複合型個性の子供達の世代が持つ可能性と危険性にあわせて試験がより難しく見直され続けている。
そのため仮免許の段階から大きな振るいにかけられて何年も合格できないでいる者達も少なくないのだ。それこそ有名な大学や資格習得のために受験し続ける浪人生にように。
そうなれば不合格の段階で自分には不向きだったと諦めをつけて別の進路を見つけるか、それとも諦めずに限界まで挑むかの二択ぐらいになる。多くは夢破れて別の人生を生きるために前者を選ぶだろう。夢破れたことを老いてから振り返り、若かった頃の恥ずかしい黒歴史とするか、誰もかれもが憧れて努力しても実現できない厳しい現実として相手に言い聞かせるための説得材料にするかは夢破れた過去を持つ者それぞれだ。
それでもヒーロー志望が実際にヒーローが増えすぎて仕事がなくて生活苦になったり、世間からの評価や自分の価値を示すランキングを気にしたりなどしてヒーローの質が落ちるのはどうなのか……。
っと、ザギは思う。
出久がヒーローになるという夢を頑なに目指すせいで、ずっと考えていた。
教室で今年の仮免許の試験についての説明と共に、オールマイトの引退問題やらザギのこともあって混乱する最中であることもあって今年の試験はより難しく設定されているいうことが試験に挑む予定の生徒達に宣告された。
しかも夏休み返上の林間合宿でヴィランの襲撃あったせいで中断されてしまい、予定よりも鍛錬を積むことができなかったことも痛恨の一撃になっている。
もちろん今回の仮免を逃してもチャンスはある。
毎年受験できるのだから3年間の間に成長を遂げて成績ギリギリではあっても条件を満たせばプロヒーローになることはできるのだ。
だがそれでも雄英に入学して卒業するまでに仮免に合格できるとは限らない。先の卒業生達の中には、かなりの人数が仮免で躓いてしまうという世代もあったはずだ。そういった者達は自ら学校を去ったか、あるいは学校側から留年、あるいは除籍処分を言い渡されて去らざる終えなかったのだ。
……が、今年は別の意味で仮免を実施すべきかどうかを実施する側を大いに悩ませた。
そもそも雄英のとある生徒の試験を許可していいのかという問題があった。
試験に挑む次世代のヒーローの卵達の夢と覚悟のためにも差別なんてするべきでないことは分かっているのだが……。
問題なのは、緑谷出久の中にいるザギのことである。
「そうですよね~……。僕もだいたい予想してました。」
「そうか…。」
当事者なのだから本人が一番理解しているだろうと誰もが思った。
「ヒーロー協会は、八割がた賛成してるんだけどね。受験する他の学校から色々とね…。」
そう根津が溜息を吐く。
雄英以外のヒーロー科がある学校からすれば、ザギに大切に育てたヒーローの卵達を潰されたくないのが本音だ。だからザギと試験でぶつかり将来を潰されないかと心配してしまっているのだ。
それについては他の生徒達も気持ちは分かる…っと理解を示している様子だ。自分達が他の学校のヒーロー科だったなら絶対合格したい仮免でザギとぶつかることになるなんて聞いたら、きっと同じことを言いだしてクレームを入れている自信があるからだ。
出久が机の横に目をやる。
すっかりお馴染みの光景になったホログラムのザギが机に背中を預けるように床に座っている。ザギは、仮免の話には全く興味はないようだ。退屈そうに膝に肘を乗せて顎を支えていて、黒板や教壇の方で仮免の説明をしている教師達に目もくれない。
「ザギ、興味なさそうだね? 君としては、どーでもいい話題かな?」
根津が黒板の前の位置に立ったままザギに声をかけた。
ザギは聞こえてない風に無反応。
その様子でザギにとって仮免試験は本当にどうでもいい話題だということをこの場にいる者達は理解した。
「ね、ねえ…、ザギ…。僕…、仮免をどうしても受けたいと思ってるんだ。」
『〔…知っている〕』
「あの新コスチュームで仮免を取って、スタートしたいって思ってて…! 君と僕のヒーロー名で仮デビューを飾りたいし!」
「おおっと、そういえば緑谷くんのヒーロー名はまだ未定だったね! 色々ゴタゴタしてたから!」
「一応……、考えたのがあるんです。」
「ほう、じゃあここで発表できるかい?」
根津が出久に教室の前、黒板の方へ来るよう促すと出久は緊張しながら立ち上がりカチコチになって変な歩調ながら黒板の前に行き、チョークで自分とザギのヒーロー名を書いた。
【ウルティメイトD&Z】
「D&Zは、『ディゼ』。ウルティメイトD&Z(ディゼ)。ウルティメイトは、ULTIMATE(アルティメット(究極))をかけてます。Dは、僕……、デクのD。Zは、ザギ。僕とザギで二人でなれるヒーローの名前として考えました!」
「ほう! 二人で究極のヒーローと! ところでDとZの並びに拘りがあるのかな?」
「ザギが譲らなくって…。」
「あー…。」
出久としては力を貸してくれている恩人のザギの名前を先に置きたかったがザギが許さなかったのだ。
ついでに出久の名前としてデクの名前を使うのも嫌がったが、出久が麗日が頑張れって意味のデクだからと説得したそうだ。
出久の説明でザギ以外のこの場にいた全員がすごく納得した。出久最優先の極悪過保護なザギが出久を差し置いて前には出たがらないだろうと容易に想像できたからだ。
〔…はあ。なんか呪いのように思えてくるな……、ウルティメイト……そんなチーム名で行動しているウルトラマンの若造共の名前があった記憶が……、どうでもいいか〕
自分がウルトラマンノアの模造品だからか、ウルトラマンとの因縁という呪いが切れないのかもしれないと思い始めるザギ。
詳しく知らない出久は、Plus Ultra(プルスウルトラ)から名前のヒントを得ていることをヒーロー名を考えているのを見ていたザギはよく知っている。
ULTIMATE(アルティメット)をかけているのも、二人でなら究極のヒーローとしてどんな難敵にも災厄にも打ち勝てって救えるという意味をもたせているのだ。
出久なりに懸命に考えた、自分とザギ、二人で形作られるヒーローの像を思い描き、信念と想いと祈りと感謝を込めたヒーロー名。
込められた感謝は、ザギに向けた出久の気持ちだ。
ザギがいなければ今の自分はいなかった。ザギがいたから現在(いま)がある。ザギがいてくれたことへの純粋な感謝だ。
出久のためという理由で色々やらかしても、ザギが過去に積み上げてしまった非道な罪の一部を見ても、それでもザギへの感謝をする。
〔オレが見た未来……。出久がヒーローになる未来……。それにはオレも深くかかわっていたのか? それともオレが未来を見たからオレが外れないようになったのか?〕
ザギは、思考する。
出久がザギと共にあることで実現するヒーローの形を示すヒーロー名を考えていたことは知っていた。出久の体内に宿っているのだから知らないでいる方が難しい。
色々な候補のリストを見せてきて、ザギの反応を見たり、意見を求めたりしてきたりしてきた。
名前に出久という名前の頭文字を使うかで悩み、出久という字が読みを変えるとそう読めることをかけて侮蔑のために昔につけられて呼ばれていた木偶の坊を意味するデクを使うかと言いだした時は、やめろと口出ししたが結局押し切られた。麗日から受け取った頑張れって意味でのデクという意味として使いたいと説得されて。
ザギは、出久が最終的に選んだヒーロー名のDとZの並びだけは譲れないと強固に出て、その結果があのヒーロー名である。
〔……この地球に来る前のオレが、今のオレを見たら馬鹿笑いするか、失望してこれ以上ないほど蔑むだろうな。……間違いない。オレならそうするって容易に想像できているから…〕
ザギは、腕組して首を後ろへ軽くのけぞらせるようにして宙を仰ぐような体勢でハ~っと長い溜息を吐いた。
〔笑うか? ノア。今のこのオレを。あれだけお前をぶっ倒すことに固執してきたこのオレが……、たったひとりの弱小の知的生命体のためだけになにかすることが最優先にしている今のこのオレを……〕
ザギの顔に人間のような表情筋で動く構造があったなら、感情が顔に出ていて出久に心配されたりこの場にいる者達全員に訝しげに見られただろう。
きっと今にも泣きそうな顔で苦笑していただろうから……。
***
そうして仮免試験に向けて必殺技を身に着けるための訓練を実施することが伝えられた。
すでに名称を付けた技を持つ生徒もいるが、それはそれで鍛えてより磨き上げていくことになる。
必殺技といっても攻撃型以外に高速移動や防御能力の技も含む。
ふくらはぎに個性の特徴が出ていて高速移動に特化した個性を持つ飯田がその例だろう。燃料となるオレンジジュースを一気に消費して短時間だけ超高速で動く技だ。
生徒ごとに個性が違うため、必殺技も被らない。被せられないが正解か?
途中で中断されることになったが林間合宿で個性を強化する訓練が活きる時だ。
個性の強化の過程で日常では気づけなかった自分の個性の違う特性に気づくことができたり、違う使い方を思いつくきっかけになったりできたのだ。
真っ先にそれを示したのが天才肌の爆豪だった。
ハウザーインパクトという技を持っていたが、それ以外の新たな必殺技として爆発を一点に集中させて放出させる技を編み出し、分厚い壁などの対象を貫くほどの一点を破壊することに特化させた『A・Pショット(徹甲弾)』という必殺技とした。
雄英の教員のひとりであるプロヒーローのセメントスが個性によって造った屋根のある体育館で作り上げた山あり谷ありな訓練場、トレーニングの台所……通称TDL(※某超有名テーマパークにあらず)で各々が切磋琢磨していた。
だが雄英のヒーロー科は、2クラスの構成だ。
そのため時間が来れば別クラスのB組が使う予定になっている。
もちろんB組も仮免試験を受けるためにここで訓練をするので、やる気満々だ。
訓練に夢中になってB組が来たことで時間が過ぎてしまったことに気づいたほどだったが、B組生徒達はそこで目を丸くするものを見た。
「あれって……、ザギ⁉」
「いや、メカメカしくない⁉ ホログラムでもなんか無機物っぽい見た目だったけど、なんか違うような…。」
「あれは緑谷くんだ。」
「ブランドキング先生?」
「緑谷くんとザギのためにサポート科で造られた特注の新コスチュームだそうだ。」
B組担任のブランドキングが生徒達を見渡し、笑顔でそう答えた。
B組の生徒達の目線を集めているのはTDLの宙にいた。
新コスチューム(4号)となるザギを模したメカメカしい見た目のパワードスーツに全身を包んでいる出久は、TDL内で地上に降りずに浮遊していたのだ。B組の生徒達はそれに目を奪われていた。
単にふわふわ浮いているのではない。右方向左方向に正確にズレずに移動したり、上下、斜め、あらゆる方向に時に加速をつけて空中での移動をする動きをしていた。逆さまになって同じように移動してみたりとあらゆる体勢で空中移動に対応できるようにしているようだ。
麗日のゼログラビティのように重力を失って否応なしに地上から空へ浮いていく中で無重力の中をもがくのとは違う。漫画やアニメのように種も仕掛けもない不思議な力で浮遊して自由に飛んでいる姿はメカメカしい外見と相反した神秘さえ感じさせる。
『う~~~ん……、コツは掴めてきたと思うんだけど…。』
逆さまで浮遊したまま考えことをするのに無意識で腕組してるのがなんともシュールだが、頭に血が上ることもないため平気だ。集中しすぎて周りの視線や声に出久は気づいていない。
『〔オレがやるから問題ない〕』
『ザギに頼り切りなのは……、あっ、違うよ! ザギのことすっごく頼りにしてるけど、もしもの時に自分でできることは自分でできるように身に着けて学んで覚えたいってだけで…。』
出久は、慌てて訂正しているがこれは少し前に飛ぶ練習をしていた時にザギがずっと補助をするから心配するなと言ったことに対してザギに頼ってばかりじゃダメだと返したところ、ザギが半端なくショックを受けて落ち込んでしまったのを見てしまったので出久の考えと気持ちを伝えてザギを立ち直らせるのに苦戦したからだった。
面倒…とは思わないが、子供のようにすぐ拗ねるし、カッとなりやすいし、傷つくとずっと引きずる。
出久は短期間でザギの特性を少し理解しつつあった。
「緑谷! 時間だ、降りて来い!」
下から相澤が声をかけてきたため我に返った出久は、慌てて地上に降り立った。
初めて飛んだときは勢いあまって隕石のごとく墜落したが今度は足からふわりと綺麗に降りたてた。
『うわっ⁉ なに⁉ なんかめっちゃ見られてる⁉』
「今頃気づいた⁉」
降りてきてからTDLの出入り口でB組生徒達からジロジロ注目されていることにやっと気づいた出久のリアクションにA組一同がツッコみを入れた。
この後物間がデザインもかっこよく精巧な造りの特注パワードスーツを出久が使っていることについて、彼だけズルい!と声を上げたが、ザギのエネルギーの消耗を少なく済ませるための試みの途中だと説明されて、林間合宿でザギが倒れた原因を知らされていた物間と他B組生徒は納得した。
ヒーロー増えすぎって設定なのに、ジェントル・クリミナスのように退学寸前になるほど仮免で浪人生なる人が出るほどの難しい試験を突破した猛者が多いってこと?っとヒロアカの世界観やヒーローの試験制度についてふと思った。
それとも試験の難易度が時を経るごとに上がっていっただけ?
増えすぎたヒーローは、出久達が受けた試験よりは簡単なレベルだった可能性もあるのかな?
個性の多様化に伴ってヴィランも多様化して殉職率と失業率が高い公務員って括りなのかな?
次回から仮免試験編になります。
たぶん間にいらないオリジナルエピソードを入れたりとかもするかも。
アンケートについてですが、応募してくださった方々、並びに投票をしてくださった方々、本当にありがとうございました。
結果は、私が考えたものが選ばれる結果となり私的に少し納得できない気持ちがありますが、アンケートに投票をしてくださった方々のご期待に応えられるように執筆は続けていきたいと思います。
本当にありがとうございました。