しかも二次試験も始まってない。直前ぐらいの時間軸。
イナサが自分を鼓舞する意味も込めて出久とザギに次は負けないと言っちゃったせいで……?
という展開です。
さすがに大変なことになりませんが、何かされそうという不穏さです。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
仮免試験の二次試験は、本当に突然始まった。
町や公園、郊外の自然を再現したフィールドのあちこちが爆発し倒壊してあっという間に大地震のあとの惨状のような有様になり果てた。
一次試験を通過した者達が集まっていた小休憩室がパカーンと箱が外に向かって広げられるように開かれて、まだ粉塵が混じった空気が立ち込めるフィールドに放り出されたような気分にさせられる。
そして放送マイクから流される二次試験についての説明。
要救助者のプロ!
HELP・US・COMPANY(ヘルプ・アス・カンパニー)。略して、HUC(フック)。
……たぶん救助訓練の救助者役を専門とした役者の会社なのだろう。
老若男女のHUCの社員達は血糊で顔を汚し、怪我をしていることを示す出血痕のあるボロボロの衣装や火傷などを再現した人工皮膚を貼り付けるなどして準備は万端なようだ。
恐らくだが主役より難しいとされるやられ役や危険なアクションを演じれる鍛えられたスタントマンだけを厳選した会社かもしれない。
〔一次試験は、素早い行動。単身、あるいは気心の知れた仲間同士での連携による早期解決の能力を…。次は、人命救助。これは最初の試験とは違い、いかに己を殺して助けるべき対象を優先できるか、助けるために出せる勇気と知恵を問うか……〕
下手なプライドや見栄で協力できなければ、目の前の助けられる命は簡単に消える。
プライドを捨てるぐらいなら死ぬ方がマシだ、などという戯言を宣うヒーローに、そのせいで助からなかった要救助者の身内達は許すだろうか?
それを目撃した者達やその情報を知った世間はどう感じるだろうか?
まずヒーロー失格のレッテルを貼られるだろう。
ある程度のプライドはあっていいだろう。他者に従って望まれるままに流されるばかりで自己がないというのはそれはそれで問題だが、自分の中の譲れない物と目の前の助けられる命を天秤にかけて後者を選べなければヒーローになる資格がないという烙印が押される。
だが焦って助けようと突っ走るだけでもダメだ。
レスキューにおいて求められるのは、状況を冷静に分析し、最適な選択とその時に必要になる知識と技術を使えるかどうかだ。
得意不得意が当然あるわけで、レスキュー向けの個性を持つ者、腕力や体の頑丈さや逆に柔らかさを売りにした個性を持つ者、実に多彩だ。戦闘型が派手で目に見える簡単なヒーローの演出になりがちな傾向があるようだが、繊細かつ1分1秒の時間で生死を分けるかもしれない救助は個性の有無より本人の精神的な強度も大きく関わる。
レスキュー向けでなくとも人命救助を行わなければならない場面に当たるだろう。
自分だけでは無理なら救助要請などで助けを求めるなどの行動することも最適な人命救助に繋がる。自分だけでもできるという自惚れで救助者ごと自分まで命を落とす二次被害になる恐れもあるからだ。
その時に最適な選択と行動をできるかどうか。それが二次試験の採点基準となる。
しかも点数を減点していく方式。
つまり救助活動での最適な行動じゃないと判定されれば容赦なく減点されて減点数が少ない者が合格を勝ち取れるということだ。
ヒーロー科では、他校でも当然レスキューの訓練や知識を学ぶ授業があるわけであるがそれを活かせるか…ちゃんと身に着けているか、その時になってちゃんと体と頭を動かせられるか…。
〔この点はナイトレイダーではあまりなかった覚えがある〕
ザギが潜伏していた対スペースビーストの激厳しい組織ナイトレイダーでは、スペースビーストの謎を解き明かすことと、スペースビーストによる被害を広げないために手段を選ばなかった。まあ、あの時点ではスペースビーストに対抗する力も知識も少なく、そうせざる終えなかったという理由があったわけだが。
住民に何も知らせず街ひとつをスペースビーストの餌にしてスペースビーストを倒す作戦だってやるし、スペースビーストが恐怖心を糧に進化すると分かるとレーテという記憶を吸い取る装置でスペースビーストとウルトラマンに関する記憶を人間達から消すことだって厭わなかった。結果的にこのレーテをザギが自分の復活に利用したし、記憶から消されまくったせいでスペースビーストから人間達のために戦ってきたノア(ネクサス)も完全復活までに時間がかかってしまって何人もデュナミストをとっかえひっかえしないといけなかった。
前の地球での人間達の行いがノアの足を引っ張ったが、逆にそれが最後の決め手となる絆と希望を大きくさせてザギが手も足も出ないほどの圧倒的に倒す力をノアにもたらす結果になったのが皮肉だ…と今のザギは思い返す。
〔救助しても記憶消去処理をする人員達に機密工作をして、スペースビーストの犠牲者の死因を事故死とかに改変させたりとかな…。この地球にスペースビーストを撒いたら……、どう動くのか…〕
ナイトレイダーの活動を人の皮を被った状態で見て関わってきたからこそ、ザギは知っている。
未知の恐怖に対抗するために未知の恐怖を研究しつつ倒すための作戦行動に、何も知らされていないただのその他大勢を囮にするぐらいのことを冷酷に選択して決断を下すだけの潔さを地球人類は持っていることを。
街ひとつの犠牲でそれ以上の大人数が救われるなら…と。
スペースビーストの性質を理解してそれに関する記憶を奪い取って忘れさせることでスペースビーストの進化と増殖を防ぐのも理に叶っていた。
この地球でならレーテの代わりになりそうな個性で特定の記憶消去もできるだろう。個性を使えば何も知らないその他大勢を犠牲にせずとも囮の代わりを作ることもできそうだ。
ただし、スペースビーストがそれを見抜いて学習してしまったらもう使えなくなる。逆に個性を利用してスペースビーストの脅威が広がるかもしれない。
ザギから見て美味そうな新種の個体がたくさん生まれそうである。
個性持ちの人間は喰えたものじゃないが、スペースビーストに変異させればかなり変わると思われる。
〔スペースビーストを撒いてみるのが今のところ一番面白そうで退屈はしなさそうだが……、出久に嫌われくらいならやめとくか〕
ザギは自分の退屈を解消するより、出久に嫌われることを嫌がった。
地味に地球の存亡の危機が訪れなかったことを誰も知らない……。
……かに思われるが?
「……爆豪? どーした?」
「……別に。」
二次試験開始までの少しの間、嫌な予感を感じたらしい爆豪が出久を見ていたのに気づいた切島が声をかけたが爆豪は青い顔で冷や汗をかきつつ素っ気なく返した。
一番長く出久と幼馴染してて、ザギに脅されてた経験から危機察知能力が変に過敏になった爆豪であった。
『救助…か……。だいじょうぶ…、だいじょうぶ…! 僕とザギならできる…!』
出久は二次試験への緊張と焦りから、自分を鼓舞して言い聞かせるように独り言をブツブツ言っていた。
二次試験開始を告げるアナウンスの時には頭部のパーツを被りなおしている。
「デクくん! だいじょうぶや!」
『う、麗日さん⁉』
「ほら、うちだって緊張して震えてるし! …気持ちは同じだから!」
麗日は無理をしているせいで笑顔が引きつり、緊張のあまりに震えてしまう手を見せる。
「すっごい頼りにしてるから! うちだけじゃない、みんな! デクくんと…ザギのことを! だから……うんとうちらのことも頼って!」
『!』
出久は、ハッとしたようにクラスメイト達を見まわした。
麗日の鼓舞する声を聞いて顔を出久の方へ向けているクラスメイトの面々。その顔は麗日と同じく、出久とザギへの信頼と、自分達を遠慮なく頼れという決意が見て取れた。
『ー--うん! ありがとう!』
こうして出久は、気持ちを切り替えることができた。
〔…………前のオレなら、馬鹿馬鹿しいと吐き捨てて嘲笑して踏みつぶしてただろうな。……なんでこう子供は眩しいんだか〕
ザギは、出久を通して見る彼らのひたむきさと一途に夢に向かって共に切磋琢磨する姿が眩しく感じた。
完全復活を果たした自分を、自分が復活に利用するために破壊したレーテから漏れ出て戻った記憶から逆に自分達を助けるために戦ってくれたウルトラマンへの感謝と祈りと希望と絆で復活した神を宿したあの男とそれを応援するちっぽけで弱いだけの人間達の輝きを思い出すのだ。
出久を含めて、出久のクラスメイト達はまだ大きな挫折や絶望にぶち当たっていないだろう。
まだ若い未成年の子供達は、大人になるまでに、あるいは大人になってからきっとぶつかる。
どうしようもない絶望の壁にぶつかった時、果たして立ち上がれるのか、泣いても笑えるのか、諦めずにいられるのか。
全員がそんな英雄になれなくとも、何らかの形で何かを成す人生を送るだろう。
ちっぽけな光が、絆が、繋がりやがて大きな絶望も恐怖も打ち倒す奇跡に繋がるかもしれない。
柄にもなくステインに語ってやった自分の体験談を交えた言葉を思い出し、ザギは自分の胸中に、記憶にとてつもない大きな消えない傷(トラウマ)のように、前にいた地球でのことも思い出してしまいひっそりと溜息を吐いた。
そんな風にザギが物思いにふけていると。
「次は負けねーーーっすよ! ああ~…、ええ~~と……。」
「緑谷のことか?」
「あっ! そうそう! 緑谷とザギに俺と俺ら士傑のは負けねからなー--!!」
「こら、イナサ! 煽るな!」
闘争心剥き出しのイナサを咎める他の士傑の生徒達。
ちなみにイナサに出久の苗字を伝えたのはたまたま近くにいた轟だ。
「今度こそえびせんべいにされても知らないし~。自分の責任だからね?」
「次は耐えるから問題ない!」
「いや、絶対無理っしょ。エンデヴァーみたいに四方八方にピンボールみたいに吹っ飛びまわされて超超往復ビンタと殴られ投げられまくって最後に犬神家でフィニッシュになるシーンしか思い浮かばないもん。」
あの時のザギは、出久の右腕を治療するため出久の右腕を自分の腕に変化させていたので右腕1本でそれをやった。
「いいいいいいい、いやいやいやいやいや! さすがにこの場であそこまでのことはされ……。」
現身の忠告にガクブルしだしたイナサは、チラッと出久の方に視線をやると……。
出久の守護霊のようにホログラムで出てきているザギが右手の中指立てて、イナサを睨んでいた。
背景に漫画表現でゴゴゴゴゴゴゴ音の文字が見えそうな黒いオーラが見えているのが錯覚なのか錯覚じゃないのか……。
この瞬間、イナサは悟った。
あっ、これ……現身の言う通りにされる、…自分、終わった…、と。
まだ何もされてないのにイナサが走馬灯が見ていた時、試験開始のカウントダウンがアナウンスされる。
『ザギ、落ち着いて! よく分かんないけど何か気に障ることあったんだよね? でも今は…、今だけはこらえて! 無駄にエネルギー消費するのはザギだって避けたいでしょ⁉ 試験終わってしっかり休んでからでもいいんじゃないかな⁉』
それ実質イナサへの処刑宣告じゃないか⁉
試験後にエンデヴァーのようにされるってことだろ⁉
っと、士傑からの受験生達は思ったが口に出せなかった。
出久はザギの気をそらして、その間に気を紛らわせられればいいと考えてこう言っているだけである。つまりイナサがザギに何かされるないように必死に止めようとしているのだ。
出久のクラスメイト一同は、こういう形で出久が不機嫌になったザギの気をそらしてその後の暴れるのを防いだ実績を見て知っているのでむしろ自分達が余計なことをしてザギが余計に機嫌を悪くするのを防ぐために努めて落ち着いていた。
その様子が他校の生徒にどう写っていたかはさておいて、二次試験が始まる。
現身と肉倉を入れたオリ展開が思いつかなくて変に長引かせてしまいました。申し訳ない。
本当は二次試験を書くつもりだったんだけど……。
ウルトラマンシリーズは、子供の純粋さと大人にない子供故の強さが顕著になるシーンがよく描かれてる気がする。まあ一応子供向け特撮だし?(一部は…うん…)
ネクサスでも子供の声援が最後の一押しのようなタイミングでノアの完全復活の名シーンがだったから、これから未来を創る子供の存在はザギには眩しいかも?という勝手な妄想です。
ネクサスでの完全敗北の経験がトラウマになっていて、取るに足らないと分かっていてもそう感じてしまう。
ネクサスでのナイトレイダーが、まだスペースビーストに対抗する戦力や情報が少なかったこともあって手段を選んでいられなかったという背景があったというのもありますが、ナイトレイダーの組織の人間として潜伏していたザギもそれを見て一緒に仕事してたからスペースビーストをヒロアカ地球に撒いたらヒロアカ地球人達がどう立ち回るのかを見るのが面白そうだし美味しいスペースビーストを食べれるかもと興味を持ってるけど、出久に嫌われたくないから即座に却下したけど、嫌な予感を感じた爆豪は内容は知らないけどとんでもない危機が去ったことをひとり感じていた。
ザギは、エンデヴァーほどイナサを嫌ってませんが、ザギがオールマイトが嫌いなことと、いちいち所作や言動がオールマイトを思い出させるからちょっとイラッとしてて、出久がヒーロー仮免試験を受けることへの不満も相まって不機嫌スイッチが押されやすいためほぼとばっちりです。
後々まで引きずらない程度のご機嫌斜めなので、別のことに意識が向けば気にならなくなるのを出久達は知っているのでイナサを守るためにザギの気をそらそうと頑張ってます。
ご機嫌斜めの度合いは出久には分かるので基本出久だけが立ち回っています。知ってる周りはザギの機嫌を悪くさせないように静観。
仮免試験の二次試験の描写は本当に難しい…。
単純な戦闘ではないため、どういうシチュエーションでの救助となるか、どういう方法で救助するのかを描くのが……。
しかも減点方式だし。
あと不合格者をどうするかも。