ヒロアカ×ダークザギ  ネタ   作:蜜柑ブタ

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勢いがあるうちに書けるだけ書いてみた。



今回も前回からの続き。
仮免試験、二次試験の後半戦。

無理をして出久の意識がなくなったらザギが出てきちゃって……?

というオリジナル展開です。


ちょっと短いかも。




それでもOKって方だけどうぞ。






いいですね?


第66話  誰も予想していなかったザギの行動

 

 

 どこにいてもどんな不測の事態が起こっても不思議じゃない。

 だから予め予備知識をつけたり訓練をしておくことで、その不測の事態に冷静に対応して乗り越えたり解決させられるようにする。

 病気で例えるなら季節の巡りに合わせて周期的に流行る流行り病にかからないために前もって病院などで専用のワクチンを注射して予防するように。

 

 

 だが……、これはさすがに対応できない。

 長くて百年程度の寿命の地球人がコレに遭遇する可能性はどれくらいか?

 たぶん一生遭遇しない地球人が大半じゃないか?

 だからこの存在が落ちてきたこの地球はかなり不運だったと言えるかもしれない。

 同時に緑谷出久という地球人の子供がこの存在と出会って、緑谷出久を何よりも誰よりも優先する対象として選んだことが最大の幸運だった。

 それが逆にピンチ招くという不幸も含めて……。

 

 

 様子が様変わりした。

 あえての猫背。

 パワードスーツの赤い色の部分が嫌に光が強まっていて、ギラギラした感じが不吉さと凶暴さを垣間見せ、見るものを本能的に青ざめさせて、後退りさせる。

 あとついさっきエンデヴァーの頭を片手で掴んで凄まじい力で地面に叩きつけるようにしてエンデヴァーの頭が埋められた。

 不意打ちで頭だけを埋められたせいで膝を立てて尻を高くした屈辱体勢になってしまったエンデヴァー。指先が時折ピクピク動いているのでたぶん命は無事…だと分かる。

 首元と顎や後頭部の排気口から時折プシュ~と蒸気のような白い煙が漏れるせいで、まるで飢えた獣が涎をたらしながら呼吸しているような錯覚を覚える。

 誰もが言葉を失い、冷や汗が垂れて落ちるほどの緊張がその場を支配する。

 一応はこの展開になることを今年の仮免試験の試験官達や実施する組織も想定したうえで緑谷出久の受験を許可した。

 だがテレビや資料越しに見てたり知ったりするのと、実物は全く違うのだと否応なしに思い知らされる。

 これこそヘビに睨まれたカエルというべきか。あまりに強い捕食者を前にして肉体に備わった動物としての本能がそうさせてしまうのか。

 

『〔…………さっきから…、さっきから、お前達は…〕』

 

 ザギが低く怖い声音を吐きながら、ゆっくりとギャングオルカの方へ歩を進めだす。

『〔出久を……傷つけたな…。〕』

 出久限定極悪過保護。爆発。

「ま…、待て! これは仮免試験の一環で…。」

『〔死ねか?〕』

『ギャングオルカ!』

『〔お前もだ〕』

『えっ…、きゃああああああああああああああああ⁉』

「リューキューー----⁉」

 我に返ったギャングオルカが出久への攻撃は試験だから仕方なかったと弁解しようとしたが耳を貸さないザギ。

 リューキュウが慌てて間に入ろうとザギに手を伸ばした瞬間、とてつもない力で空の方へ吹っ飛んで行ってしまった。

 ザギの片腕が伸びているので、どうやら片腕の力でリューキュウの巨体を張り飛ばしたと分かった。

「ぐ…、ぅう! 一度ならず…二度までも……!」

 地面に埋められた頭を自力で引き抜いたエンデヴァーが首と顔をさすりながらザギを睨んだ。

 ザギは、自分の背中に向けられるエンデヴァーの刺す視線を気にせず軽くストレッチをしてから拳を握ったり開いたりした。まるで準備運動をしているかのように。

『〔攻撃は、最大の防御。邪魔は先に片づける。その方が楽だ。〕』

「なっ⁉」

 直後ザギが消えた。

 そしてギャングオルカの後方でバタバタと倒れていく同じコスチュームと武装を纏っていたサイドキック達がいた。

 ギャングオルカが慌てて振り向いた時には、ザギがシュバッと先ほどいた場所と同じ場所に戻ってきていた。

 倒れたサイドキック達は、意識がないものや意識があっても動けず微かにうめき声を出す者がいるが、全員息があるようだ。目にも止まらぬ速さで戦闘不能にさせたらしい。

「ザギーーー!」

『〔学習しろ。〕』

「ぬっ⁉ うおおおおおお⁉」

 後ろから殴りかかってきたエンデヴァーの背後に一瞬で回り込んだザギがエンデヴァーの胴体に両腕を回して拘束し、軽々と持ち上げ……。

 凄まじい轟音と共に小さいクレーターができるほどのジャーマンスープレックスが決まった。

 エンデヴァーは、白目をむいて意識を失ったようでザギが手を放しても動かなかった。息はあるのでたぶんだいじょうぶ?

 あまりに速い、速すぎるザギの動きに対応できず、体に残るダメージもあるがギャングオルカは何もできずにいた。残された仮想ヴィランはもう彼しかいないのだ。仮想ヴィラン側の敗北は明白だ。

 もはや誰にも不機嫌なザギを止められないという絶望が広がる中。

 ザギが誰も予想だにしていなかった行動をした。

『〔……おい。何をしている?〕』

「⁉ んだよ…。」

「なんだ、ザギ?」

 エンデヴァーを戦闘不能にさせてすぐに爆豪と轟達の方を見たザギがそう声をかけると、爆豪あからさまにビクッと体をはねさせてしまったが、轟は至ってマイペースに首をかしげていた。他はガチガチに固まって震えていた。

『〔…救助はどうした?〕』

「は?」

『〔試験の課題なんだろう? まだ終わっていない。〕』

 思わぬザギの言葉にその場にいた意識がちゃんとある者達は驚いた。

 まさか暴れ狂うと思われたザギが至極まっとうに仮免試験について言及してくるとはまったく予想していなかったのだ。

 これにはひとり取り残された形になっていたギャングオルカも脱力して腰が抜けて座り込みそうになるほどの感覚を覚えたほどだ。

 ザギは、出久に代わって防御に徹するのではなく、邪魔をしてくる敵を速攻で無力化させて救助活動の安全を確保する選択をしただけだと分かったからだ。

 確かに効果的だ。救助活動中に攻撃されたりする心配が一切なくなるのだから。

 強い戦力があればその方を優先する方がいいだろう。ギャングオルカは、何も言えず押し黙るしかなかった。

 出久の選択も間違いではないが、持続力の面で見たらザギが取った行動の方が正解に見える。

 そうこうしていると、要救助者が全員救助者を集める場所に無事に集まったことと共に二次試験の終了のアナウンスが流れた。

『〔フン……、無駄にエネルギーを使うだけになったか。〕』

 ザギがだるそうに首をかく仕草をした。

「おい…。」

『〔出久を休ませろ。じゃなければ…〕』

「わーてる! てめーにとっちゃそれが何より最優先事項だろ⁉」

『〔理解しているなら…。〕』

 直後ザギの体から力が抜けて、パワードスーツの赤い部分から光が消えて前に倒れそうになったため爆豪が走り寄って慌てて受け止めた。

 見かけによらずとても軽いパワードスーツの重量のおかげで出久の体重分に加算しても軽いので難なく受け止めて、爆豪ひとりでも救護室に運ぶことができた。

 パワードスーツは、運ぶ途中で灰色に変色して一部が崩れ落ちた。ザギが表層化した時には耐久値が限界だったようだ。

 『あーこれは、サポート科の発目と提携企業が阿鼻叫喚案件だな…』っと、パワードスーツの開発に血尿が出そうなほど努力している企業チームとサポート科の一部にこのことが伝わった後のことを想像して同情してしまう雄英受験生一同であった。

 

 一方で恐ろしいストレスから解放されて脱力したのが、仮免試験に関わったヒーロー協会などからの試験官達やらであろう。

 ザギが表に出てきて暴れ狂う想定していたが、実際に目の当りにしたら何もできなかったという自分達の痛恨の甘さを思い知らされたのだ。

 リューキュウは、数キロ先で発見されダメージも思ったより軽かったようだがドラゴン化を解いて自力で帰ってくる途中だった。

 ジャーマンスープレックスをくらったエンデヴァーも病院に運ばれたが脳震盪と打撲程度で検査入院程度で済んだ。あんな強烈な攻撃だったのにすごく手加減されていた事実に意識が戻って怪我の具合を医者から聞いたエンデヴァーは、激しく憤慨したらしい。

 ギャングオルカのサイドキック達も打撲などの怪我はしたが、骨や内蔵にも問題なく日常生活に戻れた。

 ギャングオルカ自身は、出久が張っていたバリアに攻撃を加えた際のダメージの方が大きかったようで数週間の入院生活となった。つまり仮想ヴィラン役の中で彼が一番重傷という結果となったのだ。

 入院中、ギャングオルカは酷い悪夢にうなされて不眠気味になったという。

 どんな夢を見たか覚えていないが、彼にとっては最悪極まりない悪夢であったということだけはなんとなく覚えていたそうだ。幸い後遺症が残って日常生活やプロヒーローとしての活動に支障が出るほどのものじゃなかった。

 その間に夜勤の看護師や監視カメラを見ていた警備員が、ギャングオルカの病室前の扉に黒い何かが立っているのを見たという本当か嘘か分からない怪談話のような話題が噂となり、それを耳にした雄英側は、もしかしてザギが…?という疑惑を持ったが証拠がなかったし、ザギがツーンとそっぽを向いて黙秘していたため絶対犯人だろうと分かっていても止めることは不可能だと判断されたし、ギャングオルカの退院までには悪夢を見せるのをやめたようなので咎めきれなかった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 夢を見た。

 それはいつもの遥か遠い、知らない場所、きっと宇宙のどこかの過去の出来事を見る夢。

 たぶんザギの記憶の一部。

 二次試験の途中で意識が遠のいた出久はその夢を見ていた。

 もう何度も見てきた断片的なザギの過去。

 今回のはかなり血みどろな記憶だった。

 見たこともない、恐ろしい異形の怪物達が地上のあちこちを堂々と歩き回る混沌とした光景。

 その光景から逃れてどこかに隠れたザギを創造した者達が頭を抱えて話し合っている姿も見た。

 ザギは、怪物達の中から良い感じなのを見つけると戦いを挑み、打ち倒すと生きたまま貪り食った。

 時にザギが圧倒されかけることもあったが、途中でザギがそれ以上の力を出すようになり反撃して倒して喰う。

 その繰り返し。

 最初は石像のような色合いだったザギの体の色は、いつの間にか黒く、模様も目も真っ赤に輝くようになっていた。

 異形の怪物の返り血と貪って啜る血の色がそうさせているのか、それともありとあらゆる知識と力を強めて重ねていくことで多種多様な色が混ざって濁ったのか、出久が知るザギの姿に近づいていく。

 そうした日々が過ぎていく中で、異変に気づいたのかザギは天を見上げた。

 地上を照らしていた地球でいう太陽の輝きがおかしかった。

 ザギが何事か叫んでいた。

 宇宙船らしき物に乗って星を離れていく自分の創造主の一部と、ザギを足止めするのに徹して残った多くの創造主達の仲間に向けて。

 目元の赤い模様のせいか耐えがたい感情のままに泣き叫んでいるように見えた。泣いて抗議しているようにも見えた。

 遥か天の彼方へ飛んでいく船に必死になって手を伸ばす様子もあった。

 

 やがて膨れ上がった太陽が惑星もろともザギと怪物達と、ザギを足止めしていた創造主達を飲み込んで近くにあった他の惑星をも巻き込んで爆発して燃え尽きた。

 

 

 どれくらいかして爆発が落ち着いた後、燃え尽きて跡形もなく消えた惑星があった場所に、ザギだけが呆然とした様子で宇宙空間に取り残されていた。

 ノーダメージでは済まなかったようだが、徐々に回復していく自分の体など気になっていないようだ。

 ただ俯いて、拳を握りしめて行き場のない感情に耐えているようで……。

 出久の感想だがまるで親に見捨てられてひとり置いていかれて、どうしたらいいか分からず途方に暮れる……幼い子供のように見えた。

 太陽が失われた宇宙のどこか、そのどこまでも真っ暗な宇宙空間に、ザギの赤く光る両目と赤い模様が一層強く光って見えた。まるでザギの中で恐ろしい勢いで燃え滾り出した何かを暗示するように。

 

 

 

 




かなり考えて考えてこの展開にしました。
あれ、現身の活躍場面が無くなちゃった……。戦闘向けっぽくないし、かといって救助活動向けとも思えなかったし書けなかった……。

ザギがなぜ自分の感情より出久が受けている仮免試験を優先したかというと、さっさとプロヒーローデビューさせて、自分が見た未来が実現してからすぐに引退させるためです。
ザギが未来予知で出久がヒーローになる未来を見ちゃったせいか、ザギの妨害があっても着実にヒーローへの階段を上っているためさっさと自分が見た未来が来るよう仕向けた方がいいという判断です。
確定していた未来の先はもうなんの縛りもないため色々手が出せるようになるので早くそうしたい。
そうしないと爆豪達も殺せないから。

仮想ヴィラン役を務めたプロヒーロー達は、一応後遺症もなく無事です。
一番大怪我したのはギャングオルカで、怪我の理由は出久が張っていたバリアへの連続攻撃によってバリアから伝わったダメージが蓄積されたから。
ザギの嫌がらせで夜な夜な最悪の悪夢を見せられて軽く不眠にさせられてますが入院中だけにどどめられたので以降は無事です。
悪夢の内容は記憶に残ってないけど、ギャングオルカにとって一番嫌な展開が酷く現実的な形になったものです。

全力で防御に徹するか、真っ先に敵を殲滅して安全確保をするか……。
活動限界時間があるならどっちが正解かちょっと分からなくて……。
ウルトラマンは、それぞれの能力と性格とやり方で戦っていると思いますが。
このネタでのザギは、後者を取りましたが。

最後に出久が見たザギの過去の断片の記憶は、来訪者達がザギを超新星爆発で滅そうとした時の場面です。
その時の様子は筆者の妄想です。
ザギが生きてきた期間がとても長いのでかなりはしょって重要な箇所しか夢で見ていない設定です。
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