ヒロアカ×ダークザギ  ネタ   作:蜜柑ブタ

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やっと書けました。

時間かかった。
中々書き切れなかった……。



今回は、ヒーロー基礎学の戦闘訓練。


ペアについては、爆豪のペアが違います。


ザギがちょっと顔出し?

爆豪がちょっとビビり?







それでもOKって方だけどうぞ。






いいですね?






第5話  贋物の神と炎氷の少年

 『やったぞ! ついに…、ついに…、我々は“神(××)”を創り上げたのだ!!』

 

 

 

 それは、どれぐらい遠い遠い過去の話だっただろう。

 

 生まれてから年老いて死ぬまで長生きしても100年程度の地球に住む人間では到底覚えていることすらできない、遙か遠い過去の話だ。

 

 後に別の宇宙の地球にて、来訪者と呼ばれることとなる高度な文明を持つ知的生命体がいた。

 

 彼らは、かつて“神”に救われた。

 

 “神”が去った後、自分達を再び襲うであろう恐怖を克服するべく、かつて自分達を救った“神”に似せた武器を創った。

 

 “神”によく似た姿で創られた、その贋物の神は、創造主である来訪者達のために戦い続けた。

 

 しかし、やがて自分が何者であるかを理解する意識が芽生えてしまい、そして理解した。

 

 “贋物”は、“本物”がいる限り、本物にはなれない。

 

 そうしなければ、本当の意味で救うことも、創造主が望む『永遠の平和』も、なにも実現できない。

 

 だから、本物を滅ぼして、本物にならなければならない。

 

 

 だが、贋物が抱いたその想いと考えを、贋物を創った創造主である来訪者達は、認めなかった……。

 

 

 

 

 

「……また変な夢か…。」

 

 轟焦凍は、目覚まし時計が鳴る前に目を覚ましたが、眠っている間に見た夢にうんざりしたようにため息を吐いた。

 この夢は、いつ頃から見始めたかは忘れたが、忘れた頃にたまに見る。今回は久しぶりに見た。

 頭の良い謎の連中が、神を創ろうとして失敗したという内容だ。轟はそう認識している。

 目的があって創って失敗した。

 その行動自体は悪ではないだろう。成功と失敗を重ねることは更なる高みに上がることに必要不可欠だ。

 宗教的な冒涜云々を抜きにして、それは無機的なモノであればさして問題なかっただろうが、生物的な意識が関わると途端に問題視される事柄だ。

 動物愛護を否定する気はない。もちろん同じ人間の誕生と生き死を無理矢理ねじ曲げるのは悪だと思う。

 それは轟自身の経験も影響している。

 たまに見るあの奇妙な夢に出てくる、失敗作の神の贋物には多少同情するが、しょせんは夢の話なのでどうしようもない。

 推薦入学によって雄英に入学した轟は、夢のことを頭から排除して登校する準備をした。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 ザギは、機嫌が悪かった。

 せっかく試験という試練を乗り越え掴んだ合格が消える除籍の危機という入学初日からの波乱を乗り越え、始まる雄英での学校生活に大きな不安と緊張しつつもそれ以上に楽しみにしている出久とは裏腹に。

 出久に認識されていないため、ザギの心境や感情が出久に伝わらなくて本当に良かった。

 出久が入学式(出られなかったけど)の次に始まる、本格的な学校生活で楽しみにしていることがある。

 それは、被服控除という決まりで、サポートアイテムを売り出している会社からヒーローコスチュームを作ってもらうことだ。

 コスチュームの形や性能などは、提出する書類に理想のデザインのイラストや欲しい機能を記載する。その人間の個性を最大限に活かせるようにも作るため、身体データと個性のことも伝えないといけない。なので個性に合わない希望だと再提出になることも。まあ個性が当たり前になった今のご時世で自分の個性の長所短所を把握できていないというのは稀だ。それに対応する会社側も時代に乗り遅れないように進化しているので希望が通らないというのは今ではほとんどないだろう。

 

 

 〔出久をヒーローなんてくだらないモノにさせたくはない……〕

 

 

 ザギの機嫌が悪いのはその理由があった。

 この世界のヒーローというモノに、あまり良い感情を持っていないザギにとって、そんなくだらないモノの職業に出久を関わらせたくないのが本音だ。

 雄英というヒーローの育成の名門学校で学校生活が始まるということは、四六時中将来ヒーローになるために人生を捧げるということだ。

 実は合格通知が来てからも何度となく出久の記憶を弄ってヒーローになる夢を止めさせようとしたが、全部失敗。そして入学初日、そして…今日の日を迎えた。

 

 

 〔オレが未来予知さえしなければ……〕

 

 

 ザギの未来予知が出久の未来を確定させた可能性は高い。もうここまで来るとそう考えを固めざる終えない。

 

 

 〔未来が違えられたら、あんのガキ(爆豪)も抹殺できるのに!〕

 

 

 本音の本音は、爆豪を殺して消すことだったりする。

 2人が6歳だった頃のあの時に…、爆豪をなぶり殺しにしている最中に未来予知で爆豪が出久の未来に必要だと知らなければ……っと、過ぎたことをずっと考えていた。

 しかもあの時にザギが入れ替わった一件で、爆豪が一転して出久に過保護になったのは想定外だったので、もしかしてこれも未来の確定が影響しているのかとも考えたが、爆豪の様子を監察し続けてみて、爆豪が出久に構う本当の理由が出久の中にいるザギを警戒し、誰にも頼れない中、自分でなんとかしないという脅迫概念にも似た使命感だったっぽい。出久に危害が及ぶとザギが出てくる。だから極力出久に危害が及ばないように、そしてそれが原因で周りに被害が出ないようにザギから周りを守っていたのだ。

 クソな悪ガキのくせにいっちょ前に被害を未然に防ぐか……っと、ザギはそんな爆豪を嘲っていた。

 精神性はともかく、それなりにヒーローとしての心得はしているらしい。そういえばヘドロの事件の時に何もしてなかったヒーロー達にキレていた。自分がプロヒーローになったらああいうヒーローは一掃すると宣言していた。クソガキの割りには今のヒーローという職業全体が腐っていると感じているのだろう。いっちょ前に。

 

 そんな感じでザギは悶々としながら、ヒーロー基礎学の授業を受けるため、サポート会社が制作したヒーローコスチュームを身に纏う出久がロッカーの内側にある鏡を見てコスチュームを確認しているのを見て、着替え終えた出久は他の男子生徒と共に外へ出た。

 ヒーローを夢見る、文字通り個性豊かな生徒達のコスチュームも、実に個性豊かだ。

「うわぁ…、かっちゃん、そのコスチュームって爆弾モチーフ?」

「テメーのは…、こざっぱりしすぎだわ。上下ツナギってお前……。地味ナード臭ぇ。」

「そういうかっちゃんは、クソ目立ちたがりの、攻撃あるのみ!防御ゼロ!って感じじゃん! なにその頭のトゲトゲ飾り!」

「ウサギ臭ぇ覆面してて言ってんじゃねーぞ!」

「ウサギじゃないよ! オールマイトリスペクトしただけだよ!」

「あっ、それオールマイトの前髪のアレか…。」

 出久の覆面マスクがウサギっぽくて疑問に思っていた生徒達は、出久の言葉で形の意味を理解した。

 

 その授業の時間になり、今日やる授業内容の説明を受けているのを出久の中から聞いた。

 

 

 〔対人戦闘訓練か……。基礎って割には、ぶっつけか。まあ、下手に予習するより今の力量を測るのは出来るかもな〕

 

 

 ヒーロー基礎学の授業を担当するオールマイトが、カンペを見ながら今回の訓練について説明している。

 簡単に説明すると、ヒーローと敵に別れて、核爆弾を奪う奪われないを競う訓練ということだ。

 しかも2対2の戦い。ヒーローは今や人気職ゆえ、飽和状態、サイドキックという相方や、即席で知らない味方ヒーローと組むことも多々あるため、入学したての1年A組の生徒はまだお互いに詳しいことを知らない者同士、くじ引きで引いた組み合わせで強引ではあるが打ち解けこれから先切磋琢磨しようという試みだろう。

 そして公平なるくじ引きの結果……。

 

「よ…、よろしくね、デクくん!」

「ふえっ!?」

「えっ、もしかしてダメだった?」

「あ、びっくりしただけだよ。けど、あんまりデクっていうあだ名は好きじゃないかな…。」

「えっ? 私はデクって頑張れて感じみたいに感じたんだけど…。」

「!」

「ご、ごめん…。好きじゃないのにイヤだよね…?」

「う…ううん。そんなことないよ。ありがとう! 麗日さん!」

 まるで希望が見えたように顔を輝かせた出久にお礼を言われ、麗日はその迫力にびっくりはしたがすぐに耳まで真っ赤にして俯いた。

 

 

 〔異性として意識してるだけなら、まだ問題はないか…〕

 

 

 ザギは出久の目を通して麗日については、その程度ぐらいに考えた。

 

 そして出久と麗日が相手をするペアは……。

 

 

 〔………………ここまで腐れ縁だと、ある種の呪いとして考えてしまう…〕

 

 

 運命はそこまでして出久から爆豪を離れさせないようにするのか?

 くじ引きで公平に決まったのだが、爆豪は相当イラ立っている様子だ。

 爆豪とペアになったのは、鮮やかな紅白色に半分半分になった頭髪に、顔の左側に火傷痕が生々しく残っているがそれを補ってあまりある美しい少年だった。

 ペア決め後、ヒーローとヴィランに役割分担のクジが決まり、出久と麗日がヒーロー、爆豪達がヴィランになった。

 先にヴィラン側が核爆弾の場所、そして後からヴィランの悪巧みを制圧して阻止するヒーローを迎え撃つという流れで、訓練舞台となる訓練用に作られたビルの中に爆豪達が先に入り、訓練開始までの時間が設けられた。ヴィラン側は、ヴィランの思考や犯罪の際の心境を理解し、ヴィランに対応する行動が出来るようにすること、一番は訓練初日なのでこれから個性伸ばしと個々の課題を作る上での基礎となる模擬訓練が今回の授業である。

 そして準備が終わり、訓練が始まった。

 これも公平にくじ引きで決まった順番で、ヒーロー側出久チーム、ヴィラン側爆豪チームの模範となる。

 出久が麗日とビルに入る前に潜入する地点と、敵チームの動きについて話し合う。

 その間に出久を通してザギが透視を使って爆豪達の様子を伺った。

 音声までは聞いてないが、口の動きから察するに、チーム中は最悪らしい。特に爆豪とペアになった轟というのがツンっとしていて、一匹狼な空気を放っており、爆豪からの忠告などを完全無視して話を聞かないようだ。

 背中を向けている轟の後ろで、爆豪は黒いマスクで覆った顔半分の下で軽く青ざめているようだ。理由は分かる。出久の中にいるザギの逆鱗に触れさせないように立ち回りたいのだ。6歳の時にザギにボコられ、三途の川の向こうが見えかけた爆豪はザギのことが完全にトラウマで、できたら接触なんてしたくないに違いない。ザギが暴れれば出久の周りがどうなるかという恐怖もあるが、根底にあるのは本人もあまり自覚のない死の淵を体験したトラウマだ。

 そうこうしていると出久と麗日がガラスのない窓枠から気配を殺してビルに潜入を開始。同時に轟が動き出す。爆豪も早熟の天才だが、才能はおそらく轟の方があるのか、それとも個性の特性か、入学前から積み上げていた経験か、下の階に直感で出久達が来たことを察知したようで爆豪に核爆弾の模型を任せてさっさと出て行ってしまった。爆豪は青ざめ、制止を促すが轟の方が早かった。

 すると。

「な…なんか寒くない?」

「これは…! マズい、氷が走ってくる!」

 ビルの中の温度が急激に下がり始めたことに気づいた二人。直後、ビル全体が凍り付くほどの冷気が発生した。

 

「………………そう来たか……。」

 

 氷に包まれたビルの中、ひとり平然とした足取りで歩いてきたのは轟。

 霜を身体の右側に纏った彼は、廊下の天井を見上げた。

 そこには麗日の個性『無重力』で宙に浮いた出久と麗日がいた。

 直後、出久が横の壁を殴って手を突っ込み、壁を抉り取って天井と壁を同時に崩壊させた。

 たちまち視界がコンクリートの破片の煙で見えなくなる。

「う、うっぷ…。」

「麗日さん、先に行って!」

「うぅ…、れ…、でもぉ……。」

 触れた相手の重力を無効化し、浮遊させるという力は平衡感覚を狂わせ、とてつもない吐き気が来る。まあいわゆる絶叫マシンの、アレみたいなものだ。それは個性の持ち主である麗日も例外じゃなく、むしろ本人の方が強く感じているようだ。

 出久が開けた二階への穴から浮いて出たが、直後に穴の下から氷の柱が生えてきて氷に掴まった轟が登ってきた。

「わ、分かった…!」

「逃がすか。」

「解除!」

 氷を放って先に行こうとする麗日を捕獲しようと轟が動こうとした直後に麗日が個性を解除し、無重力から解放された出久が床を蹴って轟に掴みかかった。

 押し倒された轟だったが、巴投げで出久を投げ飛ばし、出久は空中で体勢を整えて着地するとフッと消えて轟の視界の外から拳を振るおうとしたが、首筋を狙ったその手は当たる寸前で腕ごと氷に包まれた。

「分かりやすい動きだ。愚直な攻めにはカウンターだろ? 大人しくしておけ、下手に剥がそうとすれば…、っ…。」

 腕が凍り付いてしまった出久にそう警告しようとした轟だったが、出久が強引に腕力だけで氷を破壊したのを見て目を見開いた。

 再び迫ってきた出久の拳を轟は寸前で氷の壁を作って防ぐが、氷の壁は強引に力で破壊され、飛礫が飛び散り思わず腕でガードしてしまった。

 轟の後ろに回った出久が首筋を狙う。すると。

「こんなところでへばってるわけにゃいかねーんだよ!」

「うあああ!?」

 爆発するような凄まじい冷気が放たれ、出久の四肢や下半身近くが氷に包まれて氷が二階のほとんどを包み込んでしまった。

 右側をわずかに凍り付かせた轟が振り返り、張り付けにされた出久を見た。

「………………これが、個性と無個性との差だ。」

「ぐっ……。」

「さすがにそんな体勢じゃ、どんなパワー持ちでも身動きがとれねーだろ?」

 轟が目を細めてヤレヤレと息を吐く。氷のせいで息が白い。

 直後、ミシッ、ベキッという音などが聞こえたため、ハッとした轟が氷を重ねて発動し、出久をより強く氷で拘束した。

「首から下まで全部…、いやこの部屋ごと凍らせた方がいいか?」

「……ねえ…。」

「あ?」

「辛そうだよ…? 寒いんじゃないの?」

 更に氷を重ねて発生させる轟に出久が聞いた。

「……敵の心配してる場合かよ。」

「今は訓練で敵同士って設定だけど…、僕ら、クラスメイトだよ? 心配するよ。」

「いらねーよ…。」

「でも…。」

「……お人好しだな。」

「うん…、よく言われる…。」

「っ………………お前のような始めから成功した事しか知らない奴に、闇を語っても理解できないだろうな。」

「えっ?」

 ギリッと歯を噛んで俯いた轟が、地雷を踏んだ。

「お前はいいよな……、無個性だからいらない期待もなにもなかっただろ?」

「ぼ、僕は…。」

「俺は………、無個性が良かった……。」

「なに言って…!」

「だから教えてやる。超えられない壁ってやつを……。」

 出久は一瞬分かってなかったが、出久の中にいるザギは言葉に反応していた。

 爆豪が心配していた事態を起こす地雷。そんなこと知るわけもない轟は更に地雷を踏み抜いた。

「闇も知らない、お人好しなお前にはわからないだろうな。」

「どうしてそんなこと言うんだよ!」

「………………闇を知れ、緑谷。」

 

 

『〔………………はあ?〕』

 

 

「はっ?」

 その声色を聞いて轟が顔を上げた。

 直後に、バリーンと氷が砕け散り、出久が床に着地した。

 床に着地した出久の、赤く光る両目と、轟のオッドアイの目が合った。

 その瞬間には、轟が出久の変化を頭で理解する前に出久(?)のアッパーカットが決まり、吹っ飛ばされた轟の上半身が天井に刺さってピクリとも動かなくなった。

 そしてすぐ後に、ビルに設置されている放送用の拡声器からオールマイトと相澤の声が聞こえ、訓練の勝敗が決したことを伝えた。

 まっすぐ立った出久(?)の髪が黒からもとの緑色に戻り、赤く光っていた目も、顔に浮かび上がっていた赤い模様も消えて元に戻った。

 ボーッとしていた出久だったが、爆豪に肩を掴まれてハッと我に返り、あれ?と声を漏らした。

 そのまま外で教師と、生徒による講評となり、出久は爆豪が轟の味方をも巻き込む氷で氷付けになったところを、吐き気を必死に我慢しながら浮いてきた麗日が核爆弾の模型に触り勝負がついたという勝敗内容を聞いた。

 なお轟については、オールマイトが急いで天井を破壊して助け、救護ロボットの担架で保健室に運ばれたそうだ。なお運ばれていく轟を見て、氷から解放された爆豪が頭を抱えていわんこっちゃないと嘆いていたそうだ。

「緑谷少年! 君、途中でちょっとだけ人が変わったようになったが、あれはなんだい?」

「えっ? あ、あの……、僕…、全然覚えてなくて…。」

「覚えてない?」

「はい…。」

「どの辺りから記憶が? 意識が?」

「えーと……、なんというか、訓練の内容もぼやけてて…、すみません…。」

「この部分だ。」

 相澤が訓練で撮っていた映像を画面に映して見せようとした。

 しかし、ガガガッというようなノイズを出しながら映像は勝手に砂嵐に包まれてしまった。

「どういうことかね、相澤くん?」

「……映像修復班に依頼してみます。」

「あの……、僕…。」

「緑谷のことについては追って伝える。授業を続けましょう。」

「ううむ…。」

 いまいち納得がいかないが時間も押しているため、訓練は続行。

 青ざめて出久は震えた。

「デクくん…、だいじょうぶ?」

「ご、ごめん……。」

「本当に覚えてないの?」

「うん…。どうしよう…、僕、轟くんに酷いことしちゃった…。」

「うじうじしてんな、クソデク。」

「だって…。」

「だっても屁でもねーわ。これは実戦を想定した訓練だ。ここにいる全員、怪我は承知の上だってことを忘れんな。」

 爆豪はそう言ってフンッと鼻を鳴らした。

 プイッと背中を向けた爆豪だったが、内心では冷や汗ダラダラだった。

 爆豪は見てはいないが、直感で出久の中にいたザギがやったのというのを感じていた。爆豪の心配も忠告も空しく、轟はザギの地雷を踏み抜いたのだろう。

 あと、訓練中の出久の記憶がぼやけてるのも、映像を消したのもザギだ。絶対。たぶん完全に消すと、あとで教師とクラスメイトからの情報が引き金で、今まで消した記憶が全部戻ることを防ごうとしたのだろう。中途半端にぼやけていた方がそちらに意識が行くと踏んで。けれど雄英に来た段階で、そして出久が夢のために人生をかける過程で、いずれはザギの存在にぶち当たるだろう。周りが見て見ぬ振りをすれば良し、もし手を出してくるならあの手この手で撃退するだけだから。

 

 

 〔レーテがあれば楽だったんだがな…〕

 

 

 かつていた別宇宙の地球で使用されていた、人間の記憶を消去する目的で作られ、吸い取った記憶をため込む装置のことをザギは思い出す。

「なあ…、緑谷…。マジで覚えてねーの?」

「うん…。ごめん…、本当に覚えてない…。僕…、なにしたの?」

「あちゃー…、こりゃマジで心当たりないっぽいな?」

「ううん、そーでもないよ。」

「っというと?」

「小さい頃から記憶が無くなることはしょっちゅうで、忘れないように日記付けてるけど、日記を付ける前に消えたのはどうしようもなくて…。」

「そうだったんだ。」

「僕、どうなってたのかな?」

「えーと……。なんつーか…。髪の色がまず変わって…。」

「顔つきが変わったわね。」

「あと顔とかに模様みたいなのがあった気がする。」

「それに心当たりはないのか?」

「ない…。」

 変化について聞いても心当たりがない出久はがっくりと項垂れた。

 爆豪は、顔にも態度にも出さないようにしていたが、心の中ではハラハラドキドキしていた。同級生達がザギの地雷を踏まないかを。

 出久は、自覚も記憶も無くて困り、訓練の授業後、放課後に教室に戻ってきた治療後の轟に土下座の勢いで謝りまくり、正直に訓練中の記憶が無いことや轟をぶっ飛ばして天井に埋めた記憶もないことを伝えた。

 出久のあまりの謝罪の勢いに圧され、戸惑った轟だったがややあって我に返って出久にもういいからと言い謝罪を止めさせた。

 

 その後、落ち込んでいる出久の後ろ姿を見る轟の目には、怒りにも似た炎が揺れていた。

 

 

 

 




これでザギと轟のフラグが立ったかな?

ザギが怒ったのは、『お前、個性があるくせに、無個性の出久の絶望も知らないくせに!』って感じだったんです。無自覚過保護ヤンデレなので。
あと、軽々しく『闇』という言葉を吐くなって感じかな。

なお、まだザギは轟の事情は知りません。知ったら見方を変えるでしょうが。


序盤の轟が見ていた夢については、ザギはなにも知りません。
たぶん後々知る。
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