忘れていました、通形ミリオとの模擬戦闘。
ナイトアイがワンフォーオールの後継者として推してたし、もっとも№1に近いと相澤が語るほどの実力者で、外見も内面もオールマイトに似てる部分があるし、おまけにPixiv大百科で調べたら誕生日が出久と同じときた。
忘れてて慌ててザギとどう絡むか書いたけど、これでよかったかとてつもなく心配……。
通形のキャラをちゃんと書けたかも含めて。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
インターン前にやるべき試練があるということで体育館のひとつにA組が集合。
「おはようございます!」
そこに元気が人型になったんじゃないかというほど明るくデカい男の声。
やってきたのはすっかり成長期を迎え切ったような肉体の金髪の青年。オールマイトには及ばないが長身でムキムキでいかにも肉体派だと分かる。
整った鼻筋や顔の輪郭をしているのだが、両目にちょっと特徴が…。なんかシンプルな漫画みたいな…。
そんな青年が体育館に駆け足で入ってきて相澤の横に到着するなり、すぐさまある人物に顔を向けた。
出久の後ろにいるザギにだ。
「彼がザギなんですね⁉」
輝かんばかりの笑顔で指さして相澤に確認を取る男。
「ああ、そうだ。この学校にいて知らん奴はいないと思うが……。」
「確認は必要ですよ! 間違ってたら失礼ですし!」
「……うちのクラス基準で見れば、すでにじゅー---ぶん失礼だがな…。」
「はあ?」
汗をにじませている相澤の様子に気づいて、あらためてザギの方を見た男はギョッとした。
赤黒いオーラみたいなものを背後に燃やしているようにして赤い目をぎらつかせているザギがそこにいたのだ。
出久は冷や汗ダラダラで、直立不動で固まっていてザギが殺気だっているのを感じているようだ。
「あれ? あれれ⁉ なんかものすごいことになってる⁉ 俺なにかしました⁉」
「たぶんだが、お前のキャラクターが気に喰わないと俺は想像している…。」
「スーパー理不尽⁉ どうしろと⁉」
「原因は間違いなくオールマイトにあるだろうから、恨むならオールマイトを恨め。最初の頃に暑苦しく強引触れ合いタックルしまくって馴れ馴れしくするなと機嫌損ねまくったんだ。」
「オールマイト……。」
分かりやすく床に両手両膝をついてズ~~ンと項垂れる男。
「あの、先生。そちらの方は?」
飯田が気になっていたことを質問した。
「ああ、コイツはヒーロー科3年B組の通形ミリオ。この雄英でビッグ3と呼ばれるうちのひとりだ。」
「僕らの先輩だったんですか⁉」
確かに体格から見て1年A組生徒一同よりも年上と分かったが、まさかの3年で雄英でトップクラスの実力者の代名詞としてあるビッグ3のうちのひとりとは思わずざわつくA組生徒達。
「特にこの通形は、プロを含め俺が知る限りもっとも№1ヒーローに近い男だ。今回は、インターン前にプロの厳しさと壁を身をもって知ってもらう。」
「つまり先輩と戦うってことですか?」
「そうだ。」
「№1に近い男…!」
「なんでも合理合理っていう相澤先生が言うから説得力がすごい!」
「そんな奴と戦えなきゃインターンどころかプロも無理ってことかよ…。」
「爆豪、青山。仮免不合格者はインターン制度の資格がない。お前達だけは見学だ。」
「うっす…。」
「残念だな。☆」
「せ、先生ぃ……。だ、だいじょうぶ…ですよね?」
仮免試験の不合格者である爆豪と青山が相澤の方へ向かったのを見送った後、出久が恐る恐る聞いた。
出久の背後には出久の首と肩を抱きしめたまま、怖いオーラを出しっぱなしのザギ。絶対この後よくないことが起こると分かる。だって出久のクラスメイト達はザギがホログラム姿で出てくるようになってからザギの無駄に敏感な地雷原の広さと懐の狭さを目の当たりにしているのだから、何も起きないで済むはずがないとすでに覚悟していた。
途端、相澤がプロを含めてもっとも№1ヒーローに近いと評した通形の実力と実績が霞んでしまった。
ザギの方が色んな意味で悪目立ちしていることを思い出したからだ。
「……通形。言わずとも分かっているはずだが…。」
「はい! けど、だからって挑まずに逃げる気はありません! 俺は、ヒーロー『ルミリオン』! ありったけたくさんの人々(ミリオン)を救うヒーローだから!」
「……へし折れないよう気をつけろ。ガチのマジとかで済まされないほど次元が違うぞ。」
「えっ⁉ そこまで⁉ 確かに50メートルの巨人の姿が本当の姿だっていうのは聞いてるし、映像も見てますけど? そこまで…?」
せっかくかっこよく決めた感じになったのに相澤の後ろ向きな言葉と脱力した声色に思わずギョッとして相澤を見てしまう通形。
「ああ…。」
遠い目をする相澤の様子に通形の顔色が変わった。輝かんばかりの笑顔と自信に満ちていた顔が雲った。
「死にはしないだろうから、とりあえず予定通りやれ。」
「う…、ま、負けないからな!」
というわけで1年A組vs通形ミリオのバトル開始。
先手必勝と個性で攻撃すると通形が身に着けていた体操服が床に落ちて攻撃が通形の体をすり抜けた。
いきなりの男の裸体に年頃少女達は悲鳴を上げ、男子達はびっくり。
「隙を見せたら終わりだよ!」
次の瞬間には通形の姿が消え、それに焦った隙に後ろに回り込まれていてクラスメイトが後ろに現れた通形に攻撃されて床に倒れ、慌てて攻撃に転じようとしても再び通形が消えて目にもとまらぬ速さで次々にクラスメイト達が床に倒れていく。
そうしてあっという間に出久以外の生徒は立っていない状態になった。
「さあ、最後は君だ! あ、違った、君達だ! 失礼!」
「……ザギ…。」
出久は、眼前でファイティングポーズを取る上半身裸状態の通形を前に恐る恐る背後にいるザギを見上げた。
ザギは、気に喰わなさそうな雰囲気を出しっぱなしで、今すぐ噛みつきに行きそうな狂犬のように喉をグルル…っと鳴らしていた。
「通形先輩……、悪いことは言いませんから止めた方が……。」
「Plus Ultra!! だよ!!」
「分かります! 分かりますけど! 止めましたからね! もう! 知りませんから!」
もうやけくそになった出久。どうやってこの危機を回避するか悩みすぎてプッツンしたらしい。
そして出久もファイティングポーズを取る。それはザギのファイティングポーズを模倣したものを出久が自分に合わせて少し変えたものだ。
一見隙だらけに見える構えだが、分かる人間には分かる。隙が無い。
むしろ隙があると見て攻め込めば途端に激しい攻撃と共に喉笛を噛み切りに来る。そこに武道にある精神や洗練された物はない。ただ敵を徹底的に打ち倒すのみ。
それを感じた通形の表情と構えに力が入る。自分から動いたらまずいと本能と3年間の経験値で得た直感で気づいたのだろう。
どう来る? どう攻撃してくる? どちらが先に動く?
そんな緊張感が体育館内を支配する。倒れていた生徒達も意識を取り戻し、緊張した空気に支配されてただ見守るしかできない。
しかし、その空気を破ったのは…。
『〔動くまでもない〕』
ザギの一声だった。
「ふっ!!」
「なっ…⁉」
拳を握った出久の右腕が一瞬前に動いた直後、通形が見えない力で弾き飛ばされ、体育館の端の壁まで吹っ飛んで背中からぶつかった。通形に何かがぶつかった瞬間だけ半透明な何かが見えたが瞬くほど一瞬で視認できた者は少ない。
通形は、吹っ飛ばされる瞬間まるで雷にでも打たれたような衝撃が体を走ったの感じ、そのダメージでまともに動けなかった。
「緑谷…、今のは?」
「…バリアを……、小さいサイズにして飛ばしました。」
「バリア? ああ…。なるほど。」
出久の説明を聞いて、相澤は仮免試験で要救助者役達を仮想ヴィランから守るために出久が使用した強力なバリアを思い出した。
それを攻撃に転用したのだ。右腕を少し前に突き出したのはバリアを飛ばした瞬間だったということだ。
透明だから見えなかったが恐らく適当な厚みの長方形などの形の鉄板みたいかつ通形の身長のサイズにしたバリアを通形に向けて飛ばした結果、大きなドラゴンの姿のリューキュウでさえ弾かれるほどバリアの表面には攻撃性のある力が含まれており、強度もあるうえに触れるだけでプロヒーロー達がかなりのダメージを受けるほどのバリアを無理やり押し付けられてしまい、通形はたまらず吹っ飛ばされてすぐに身動きが取れないほどダメージを負わされたのだ。
あのバリアは、攻撃を受けると一瞬だけ半透明な色と形が視認できるためバリアが通形に衝突した瞬間だけ半透明な何かが見えたのだ。
どうやら仮免試験後にも研鑽を続けていたようだ。いや、仮免試験でバリアを保てなかった反省があるからバリアに拘ったのかもしれない。
まさか先輩とはいえ、通形を使って初披露するとは……。
相澤は、思わず苦笑してしまっていた。
「ぐぅ、う…、い、いてて……、うぅ…まるで雷に打たれたみたいだ…。電気じゃないのに、体の芯までビリビリきた感じがすごい……。」
やっと立ち上がった通形がふらつきかけながらそう呟いていた。
「ご、ごめんなさい、通形先輩!! できるだけ早く勝負をつければ最善だと思って…。」
「な、なるほど…。確かにその方が被害は少なくてすむ…。うん、それは正しい選択だと思うよ…! あっ…。」
「通形⁉」
「うわー---、出力抑えたつもりだったのに加減間違えたー---!!」
出久ができるだけザギから通形を守ろうと考えた末の選択だったと知り、笑って返す通形だったがダメージが大きすぎたようで足がもつれて倒れてしまった。
思わず叫ぶ相澤が駆け寄り、出久は抑えたつもりでいたが加減が間違っていたと理解してショックを受けた。
「泣いとる場合か! はよ治せ!」
「う、うん! そうだ、忘れてた!」
爆豪に発破をかけられ自分には相手の傷を治す能力もあったことを思い出して慌てて通形のもとへ走り寄った出久が急いでヒーリングで通形を治療した。
「君すごいんだね! 傷を治療することもできるなんて! 俺にはできないことだから素直に羨ましいよ!」
治した途端に体のバネを利用して器用に起き上がって見せた通形がグイグイと出久に声をかけたため出久は思わずのけ反った。
「あ、は、はい…。痛みはだいじょうぶですか?」
「うん、治ったよ! なんか疲れも取れた感じで絶好調だ! ありがとう!!」
大げさに腕を回したりして見せたりして体調が万全なことを示す通形。
〔あ~~~…、いちいち暑苦しい…〕
ザギは、嫌そうに通形から顔を背けていた。
いちいちリアクションをする通形の超明るい系キャラクターが、生理的に無理っとザギは感じたのだ。
「…なんか俺、ザギにメチャクチャ嫌われちゃってるみたいだ。何が気に入らないんだろう?」
「すみませんすみません!」
「君が謝ることじゃないよ!」
ザギの様子を見た通形が真面目に自分の何がダメなのか悩む仕草をしたので、出久が慌てて頭を床に擦り付けて謝るものだから通形は焦った。
「だが最初の頃に比べれば、これでもだいぶ落ち着いた方だぞ。」
「そうなんですか⁉」
相澤がそう通形に伝えると通形は驚いて相澤を見た。
〔……未来視した因果が絡むから、何をしても修正力がかかるからだ。お前達に配慮したわけじゃない〕
相澤が勘違いしてるようだが、ザギは訂正する気がないので心の内でそう吐き捨てた。
出久がプロヒーローになるという未来の姿以降に到達したら、未来視による確定された未来までの因果による修正力が無くなりザギが自由にできるからそれまで待っているだけだ。
〔なにがビッグ3だ。なにがもっとも№1に近い男だ。たかが小粒の分際で粋がるな。あくまでこの星の、知的生命体が定めた職業ヒーローの1番というだけだろう〕
ザギからすれば地球人なんてどれもこれもちっぽけだ。
だが別の地球でそんなちっぽけな相手が起こした奇跡に負けた事実があるから、蔑んでいても油断はしないでいる。
面白いとか、今後次第では相当な実力をつけそうな人物には多少の興味は湧いたりはしても、ザギの基準がおかしいのでどうしてもこの地球のヒーローが気に入らない。
だから出久になってほしくないという一方で、自分がうっかり未来視をしたせいで出久がヒーローになる未来が確定してしまったから現在があるから仕方なく身を任せている部分がある。
出久にザギの力をすべて扱わせるのは不可能だから、無理のない、可能な範囲でザギの力の一部を使うことを許可している。
出久はそのことにとてつもなくザギに感謝してくる。
それが妙なムズかゆさを感じる原因になっているが、いまだにザギはそのムズかゆさの正体を理解していない。
だが出久が望むなら…という気はずっとある。
4歳の時に言葉を交わしたあの時からずっと……。
だが出久という小さな存在にたいしてザギはあまりにも大きすぎたから、出久が耐えられないだろうからかなり抑えた状態でザギの力の一部を使わせているだけに留めた。
それでもこの地球上では脅威であるらしく、相澤が次元が違うと言い切るぐらいだ。
完全な状態のザギが地球に出現したならどうなるだろう?
その時の反応を見てみたいという興味はあるが、そのためには滋養が足りないし、かといって食べて滋養になりそうな物が少ないから無理ゲーに近い。だって一番滋養になる知的生命体の地球人が個性をもったせいでゲロ不味いどころじゃない不味い味だから食べたくても食べれないのだ。
少しずつ時間をかけて地球の環境に自分を適応させてはいるが、まだまだ時間がかかる。いったい何年……最悪うん百年?かかるかもしれない。
いくら自己進化能力があって、かつ後天的に手に入れたスペースビーストの特性を使わずに断食状態で復活までの回復を待つのには時間がかかりそうだった。
血肉を食いたい欲求は、人間が食す家畜を嗜好品感覚で食することで誤魔化しているがザギが復活する回復の滋養にはならない。味覚を一時的に満たすだけだ。
〔この地球の人間共が不味くなければ……〕
そのことが本当に残念だと、ザギは思った。
通形のような前向きな感情しかないような人間が根元からへし折れるほどの痛みと恐怖と絶望を味わって立ち上がれなくなった瞬間の血肉はさぞや美味いだろうにと考えると涎が垂れそうになるが、この地球人類の個性持ちの味の悪さを思い出すと途端に食欲がなえてしまってザギは軽く憂鬱になったのだった。
通形は原作通りの強者ですが、ザギとザギの力が宿って強化されている出久には手も足も出ずに敗北したという展開にしました。
バリアを攻撃に転用したシーンは、ゲーム『ラクガキ王国』のバトルシーンでのコマンドのひとつバリアをイメージしました。ゲームでは魔法攻撃を無効化し相手に跳ね返すなどの効果のある攻撃手段。
あとエヴァンゲリオン〔破〕で登場したゼルエルらしき使徒のATフィールドの使い方を参考。
仮免試験後にバリアを張り続けられなかった反省から応用するための訓練を行ったということにしました。
バリア自体が強固うえに当たるまで見えないし(見えても半透明)、触ると仮免試験で巨体のドラゴン形態のリューキュウでさえ雷にでも打たれたみたいなダメージが体を走って弾き飛ばされるという極悪な技ですね、これ……。
最後の方、味さえ悪くなかったら通形を甚振り尽くして喰おうと考えるぐらいにはいい食料として評価しているザギさん。
ザギに味覚がなかったら本当にヤバかったという表現として書きました。
スペースビーストをまき散らさないだけかなりマシという……。
ナイトアイには、前にザギが滋養として知的生命体の負の感情と生食が良いということを雄英の教師陣と出久に話したことが伝わっているのでその点とかを含めてザギとの対話をする形にしようかと考え中。
間違いなくザギに嫌われるという前提で。