ヒロアカ×ダークザギ  ネタ   作:蜜柑ブタ

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寒くなってきたせいか、頭痛がきつい今日この頃。
あれほど暑いのが嫌だったのにこれ。情弱だな自分。


今回は、ほぼ台詞で埋まっています。


会話をしているのは根津とサー・ナイトアイです。

二人はどういう心境でザギと出久を見ているのか、どう接したいのかを口にしています。
原作での世界観や設定などを考えるともっと厳しく、心理的描写もきついものなのでしょうが、このネタでは原作よりは割と丸い感じになっているいうことにしました。
ザギがあまりにも強くて巨大だから圧倒されすぎて逆に落ち着いちゃった……みたいな感じで。
あまりにも恐ろしい物を目にすると恐怖や絶望を飛び越えて逆に信仰してしまうという怖い物への畏怖を描いた小説表現に近い?




それでもOKって方だけどうぞ。





いいですね?


第80話  短命だが貪欲な知識欲と偽善

 

 1年生でインターン制度の利用という今年からの新たな試みを雄英校が実施してまだ1週間も経っていないのだが、目まぐるしい変化があったことについてあるインターン先から報告が入ってくる。

 ただしこれは出久とザギがインターンを利用することを決めてインターン先が受け入れた特例である。他のインターン制度利用者は、よっぽどのことがない限り定時連絡はしない。なにせ学生であるがプロヒーローとして扱われるのだから。

 

「ふむふむ! これは大発見じゃないか! よく見つけたね! 大手柄じゃないか、サー・ナイトアイ!」

 根津は、手元のタブレットに映された読みやすくまとめられたデータの内容を見て興奮して鼻息が荒くなっていた。

『…いえ、本当に偶然ですよ。根津校長。』

 テレビ電話でナイトアイとやり取りをする根津がナイトアイから伝えられたことに驚きつつ、喜んでいた。

 まるで我がことのように一喜一憂している。

 ナイトアイは偶然だと恐縮する。実際本当に偶然だったからだ。

「まさかフルーツがザギにとって家畜の肉や内蔵類より体に良かったとはね~! 盲点だった!」

『ザギも想定外だった様子です。うちの事務所でたまたまサイドキックのひとりがりんご農家の実家から送られてきた大量のりんごを消費してくれと頼んで事務所に持って来ていたこと。とある事件の被害で保護した子供のためにそのりんごの一部を食事にと出したところ、それにザギが目の色を変えて…です。調味料や調理で味変を試みてみないかと提案した矢先のことでした。……私が提案した内容は全く受け付けなかったみたいですが。』

 ナイトアイは、眼鏡を指で押さえ自分の出した案が失敗したことに軽くショックを受けているようだ。

 基本肉食だと情報をもらっていたため、魚介や肉を飽きないようナイトアイなりに考えて提案した案だったが、ザギの味覚の基準では地球人が使用する調味料は受け付けなかったのだ。

「最近、お肉の注文量が減ってきていておかしいとは思ってたけど、味に飽きてたと気づけなかったのは、こちらの完全なミスだった。ザギの機嫌を悪くさせる嫌な役をさせてすまないね。それで? どうしてフルーツと家畜の肉とじゃそこまで違いがあったのか。それは分かったのかい?」

『伝手を通じて朝一でりんご以外の果物を色々とを集めました。それで試してもらったのです。』

「結果は?」

『やはり果物の方が滋養としてエネルギーの足しになるようです。ですが、回復量は微々たるものでしかなくエネルギーを満タンにさせるには何年…何十年…、何百年…、それでいて恐ろしい量を食べ続けないといけないようで、あの勢いでは地球上の果実どころか植物を食い尽くしても足りなくなりそうです。』

「…地球滅亡待ったなしだね。それでもエネルギーとしてザギが満足感を感じられた理由はあるんだから、家畜の肉にはない何かがあるはずだ。それについては?」

『私は専門家ではないので、あくまで想像の域でしかありませんが……、果物は植物が子孫残すため、自分自身から絞り出した多くの生命力を果物と中にある種に蓄えさせること。そして植物は、その多くが太陽光を浴びて成長、酸素の生産を行うなどの生態系にあります。……家畜は人間が人間のために食肉に適した品種改良によって野生からかけ離れ、人間の口に合う美味を追及した安全で安定した管理された環境で育てられる。ここに違いが生じているのではないかと私は考えます。りんご農家の実家をお持ちのうちのサイドキックが言うには、ご実家ではできる限り自然に寄せた農法でりんごを育てていると聞きました。ご先祖様が苗木の品種の選別をし丹精込めて先祖代々育てて、編み出した秘伝の農法らしいですがまだまだブランドとしては無名に近いようで……、ですが頂いたりんごのあの味ならそう遠くないうちに注目されることでしょう。……話が少し脱線しました。つまり何が言いたいかというと…、果物には植物の生命力と太陽光のエネルギーが詰まっている。ザギにしてみれば微々たる量でも、エネルギーにならず味に飽きてしまうただの嗜好品にしかならなかった肉類よりは遥かに飢餓感を緩和するものだったのでしょう。』

「太陽……、ああ、ソーラーパネルで太陽光発電もするし、太陽光や電球の光などによって電池交換なしで動く時計のような物も出回っている。人間だって体内の栄養の合成や健康管理に太陽光が必要なのだからそれをたっぷり浴びて実ったフルーツにそのエネルギーが宿っていないはずがないね! ……得られエネルギーが微量なのは仕方ないんだろうけど、これってザギが大きすぎるせいかも?」

 ザギの本当の大きさが50メートルなのだから生半可な果物の量では全く足りないのも仕方ない。

『ですので、ザギが今後注文する食材は海外産か旬の果物に変更すべきです。市場で高値が付けられる見た目や大きさなどで選別されたものじゃなく、いわゆる食品としては問題ないが、市場の値崩れをさせないために選別されて廃棄か、工場で安価で買い取られてなんらかの加工品の原材料になるか、生産した農家で消費される物で。そちらの方が市場に出回る数を減らさず、ザギが食せる量を確保できるでしょうから。』

「フルーツ市場の流通やお金の流れを混乱を起こさないためにも、その方がいいかもしれないね! もちろんタダでじゃなく、買い取る形で! オマケに廃棄処分の処分費用も負担するとかも付け加えれてばいいかもしれない! 早速今までお肉の提供に尽力してくれていたザギへの諸々の対応組織に提案してみるから!」

『……正直、国民の税金からなるお金をもっと必要なところに使うべきじゃないかと考えてしまいますが………、ザギという存在が色々な意味であまりに大きすぎるので世論も賛成傾向にあるのが救いと思うべきですかね。』

「怒らしたら地球終了待ったなしなぐらい…、本当に大きくて強すぎるからね。みんなそうするしかないって考えがまとまるのは良いことなのか、悪いことなのか……。幸いなのは、ザギが僕らを支配したり虐げる気も搾取する気もなくて、緑谷出久くん以外にはむしろ無関心な傾向のままなことさ。」

『ザギがこの地球に現れた時に最初に遭遇したのが彼でなかったらどうなっていたか……、想像できませんが、その時には恐ろしい破滅の未来が待っていただけだったと私は考えます。』

「…だね。あと、なんで海外産がいいのかな? それも君の想像が正しければ日照時間やフルーツの生育に適した環境がである土地ってことが影響してるって? 確かに現地では、こちらでは考えられないほど安価で一度に大量に購入できてしまうほどすぐに収穫できると見聞きしているけれど。」

『その通りです。温室で生育した日本産のものより、輸入品の方が僅かですがエネルギー量に差があり、輸入品を好んでいるようでした。ザギの味覚と体が得る満足感は、果物の味の素となる成分量などの品質よりもどれだけ太陽を浴びて、なおかつ植物自身が自分に適した環境で培った自然の力で実らせて果実に溜められたエネルギー量で決まるということだと思われます。』

「ということは、南国から輸入したフルーツが良さそうだね! 種類については?」

『熟していれば特にこだわりはないようです。今は、りんごがお気に入りのようですが。』

「最初に口にしたからかな? 本当にすまないね、ザギ対応組織が流通の手続きを済ませるまでのフルーツの費用はこちらで手続きして組織から事務所の口座に送金してもらうから安心してくれたまえ。」

『お気遣いありがとうございます。こちらはザギとの対話と交流と調査を目的としていたので今回のことを引き受けましたから、もしもの時に発生する大きな出費についても計算して覚悟はしていましたから大変助かります。』

「ほんと、全然会話してくれないでしょ⁉ 雄英教師陣、ほぼ全員脳天チョップ喰らってKOされちゃったからね!」

『ええ。しかも早々に私にとって最悪の弱みを握って優位に立つ始末でしたから、お手上げです。』

「おや? 最悪の弱みとな?」

『黙秘します。』

「ふーん? まっ、インターン始まりからいきなり大きな収穫だと僕は思うよ! 少なくともザギの飢餓状態の問題に大きく関わることに気づけたんだから! ……お腹がすくって肉体だけじゃなく、心さえも壊してしまう重大な問題だからさ。過去の小国同士の戦争や世界をまたいだ大戦や自然災害がもたらした飢饉……、長い歴史に様々な要因で発生する飢餓によって背景を知ったらその禁忌を犯した当事者たちを責められない悲劇がたくさんあったんだ。ザギからしたら同列に扱われたくないだろうけど、種族が違うからってずっとお腹を空かせたまま放っておけないよね。ある優しい正義のヒーローの絵本を描いた伝説の作家さんの作品も、そのヒーローの基となった最初の作品では悲しい結末で終わったものだったけれど、共通しているのはお腹を空かせることが一番つらいことだって伝えているんだ。……このことが裏があっての行動じゃないってことをザギが理解してくれていたらいいんだけど。」

『……私もそう考えています。』

 確かにザギは、今世界中で注目の的だ。

 闇よりも黒く見える体色。その体の色を強調するような赤く輝く模様と両目。

 あまりに大きく、強く、その姿は禍々しい。作り物のような印象がある生物的な要素が薄く見える外見だが、だがその姿はある種の超越した美しさもあり心奪われる者達も少なくない。黒と赤という色のバランスが良くてセンスがある見た目などと結構広く評されていたりもする。

 余談だがザギの外見をモチーフにしたオリジナルシャツなどがハンドメイドなどの通販で限定販売されていたりする。それを見た有名なデザイナーが自分も作ろうとしていたり、企業も企業で企画を出そうとしているとかしていないとか。

 ただ当人のザギがあまりにも地球人どころか、地球という星にも関心がなく、緑谷出久限定の極悪過保護ですぐに怒るし過保護が行き過ぎて出久の周りにすぐに危害を加える。そのせいで出久を泣かすことも多いくせに、出久を泣かしたくないと困り果てたり落ち込んだりとやってることとやりたことに矛盾が生じてばかり。

 表情筋がないとしか思えない顔の作りだが、態度と雰囲気でなんとなくその時の気持ちが読み取れるほどには分かりやすい謎な部分がある。ただ口が悪いが会話を好まない。自分のことを含めてあまり多くを伝えるのを拒否しているというべきか。そのせいで出久がザギのことを知った当初からコミュニケーションを試みたものの言葉による会話にこぎつけるのに時間がかかった。

 職業としてのヒーローを嫌っており、本心では出久が職業としてのヒーローである、プロヒーローになることを良く思っていないようだが出久の意思を尊重しているのかパワードスーツの製作案以降、積極的に自分の力の使い方を出久に教えたりもしている。

 そうすれば出久が喜んでくれるからというのが理由だと思われるが真偽は不明。

 神野区でのヴィラン連合とオールフォーワンとの戦いで他者から個性を奪う能力を手に入れたうえに、個性を奪う個性を持っていたオールフォーワンの上位互換としか言えない能力と本当の自分を見せつけて悪の帝王としてかつて悪事の限りを尽くしたオールフォーワンの心へし折り、ついでにあの場にいたヴィラン連合全員の個性を奪って無力化させて組織を壊滅に至らせた。

 一度個性を取り込めば自分で使用することも、他者への譲渡さえ自由であり、なおかつ自分の中に永久保存されているためザギ自身が死なない限りは無くならないという仕様。オールフォーワンから奪った個性をオールフォーワンに戻してみせ、その後にオールフォーワンの持っていた個性を使って見せたことであの場で上位互換を身に着けたことを示した。

 なので先にオールマイトからの願い出でエネルギー不足による瀕死を回復させるために嫌々喰ったワンフォーオールもザギの中に永久保存されているはずであるが、現状のザギの様子だと出す気はないらしい。

 ザギからしたら個性は使い勝手が悪いらしく、自分が使い慣れたもとからある能力だけで今までやってきたし、出久もザギから教わったり、許可を得たザギの力を使用している。

 どんな個性も喰って無個性にしてしまうため、神野区事件を機に生まれ持った個性で苦しむ人々がザギに個性を取ってもらおうと殺到し、デモ事件になりかけたことがあったが雄英を始めザギの怒りを買う恐れあるため、国をあげて封じ込め、なんとか瀬戸際で抑え込めている状態だ。

 なにせザギにとって個性は、ゲロ不味いらしく、背に腹は代えられなくなっても食べたくても食べられないほどらしいからだ。なおかつザギは、過去に地球人のような知的生命体にいる星々を渡り歩き、その存在を食い尽くしてきたという経歴があるらしい。そのため本当ならエネルギー回復には人間を食べるのが効率がいいらしいが、個性持ちの人間は個性がゲロ不味いからか更に上を行く食べれない不味い味らしい。

 それなのに個性を取ってくれと人が集まったらどうなるか?

 ザギがストレスマッハで、ぶち切れて何をやるか分からないからだ……。それこそ八つ当たりや報復で地球を叩き割るような大変な事態になったらと想像するだけで恐ろしい!

 ……今のところ出久のことが最優先でそうなる事態は低いが、可能性がゼロじゃないので個性をザギに何とかしてほしい勢力を、ザギを怒らすと絶対やべぇからやめろ勢力が上回ってるため抑えている状態じゃないかと評論家やら公安などは考えているようだ。

 ザギがそれを知っているかは不明だが、知ったところで手を差し伸べるとは到底考えられない。なぜなら先に述べた通り、味が不味いから食べたくない、だからやる気が起きない、無理強いされたら怒って攻撃してくるほど攻撃的で緑谷出久以外の地球人に無関心だからだ。

 仮にデモ行進して押しかけたとしよう……、出久の意識より前に出て一瞬の間に50メートルの大きさになりひと踏みでプチッてやってしまえばすぐ終わるのだ。仮に踏まれてもダメなら光線一発で焼いちゃえば跡形もなく消されて終わる。

 個性を何とかしてほしい勢力に今のところ大きな動きがないのは、50メートルという巨大さを恐れているのとザギの凶暴性が体育祭や職業体験でのエンデヴァーの件で通じて知れ渡ったの影響が考えられるらしい。暴れられたら誰にも止められないのは分かり切っているから、自分の個性を何とかしてもらうためだけに勝手をしてしまうと下手なヴィランや大規模な自然災害なんかより圧倒的にヤバい事態になることが簡単に予想出来てしまうから動けないという理性が彼らを動かせさせない原動力になっていることも考えられる。

 実際はどうなのかは不明だが、いずれにせよザギは頼りたいが、頼ることへのリスクがデカすぎるし、向こうから何かしてくる気もない未知の猛獣。

 そして様々な星を渡り歩いて知的生命体を喰らっていたことが示す通り、遥か遠い宇宙のどこかからやってきたことも本人が出久らに伝えている。

 今の地球人の力、そして技術力ではザギには手も足も出ない。それが現実であり、自分達が井の中の蛙大海を知らずを体現していたことを神野区の事件でザギが真の姿を表わした時に世界中の地球人達が知ったのだ。

 畏怖する者、救いを求める者、憧れる者……、反応は様々。今現在もその感情のうねりは常に変わっている。

 ただ……、ザギと接するうちに出久を通してであっても見えてくるものがある。

 例えば今回ナイトアイが報告したようなこともだ。

 ザギが常に飢えている、お腹を空かせていることを生徒達の寮生活制度を取り決めた雄英を中心にヒーロー協会などにも報告されてた。

 そのために家畜の肉を飢えを紛らわせる嗜好品として提供する体制をすぐに組めるようにザギ専門の組織を国が作ったりもした。

 しかし肉の注文量の変動によって家畜の肉の味に飽きてしまっていることが露見し、ナイトアイの案をきっかけにりんごを始めとした果物で飢えを僅かでも凌げることが判明もした。

 これらの行いは、ヒーローとしてザギを利用しようとしてのことではないことを明記しておく。

 根津も同じだ。

 

 ただお腹を空かせて苦しんでいる姿をなんとかしてやりたかっただけだった。

 

 そんなただの偽善と呼ばれる行動だということを。

 辛いと苦しんでいる者が何者であろうと関係ない、ただ助けたい、その一心なだけだということを。

「きっとザギは、余計なお世話だってそっぽを向くだろうねぇ。職業としてのヒーローを始め、僕らのこと嫌いだからさ。僕としては色々話をしてみたいんだけどね。だって数万年も生きてるそうだし、僕らの頭じゃ到底追いつかないほどの経験や物を見て聞いてきただろうからさ! 少しでもいいから損得なしの会話ができるようなったらいいな!」

『私も……そう願っています。ワンフォーオールのことは最優先で…、個人的な興味関心ですが。』

「だよね! 地球外から来たんだよ! そりゃ興味が湧くさ! 利用しようとかそういうの抜きで! あー-! 地球外生命体との友情をテーマにしたSF映画のようにはいかないのが歯がゆい! まあ…、向こうが嫌がってるのに無理強いはいけないけど……。どうしても…、気持ちがねぇ? 仲良くなりたいって気持ちが抑えられないんだよ……。いい年した大人がさぁ…。雄英の校長として情けない限りさ。」

『お気持ちは分かります。私だってオールマイトとオールマイトからの申し出であったとはいえザギに移ってしまったワンフォーオールのことが無ければ……、もっと別方向からアプローチをかけていますよ。会話が可能な地球外から来たなんて……、それこそフィクションの域を出ない夢物語でしかなかったんですから。』

「だよね! そうなんだよそうなんだよ! ………超ご長寿のザギからしたら僕らなんてミジンコみたいに短命で、仲良くなる意味が見出せないのかもしれない。だから無関心でいれば勝手に僕らの方が寿命でいなくなるって分かってるからツンっを貫く気なのかもしれない。緑谷くんは、ザギと分離不可能らしいし、きっと地球の生命体を遥かに超えた時間をザギと一緒に過ごすことになるんだ。それもあるから彼にだけは例外なのかもしれないね。………僕らには、つまらない会話をする価値もないって思われてるってことの表れなのかもしれないし、僕らがザギに強要するのはいけない。僕らだって嫌がる相手に無理強いをするのはダメだって教わってきたし、教える立場なんだから僕らがそれをしちゃいけないんだ。頭じゃ分かってるつもりなんだけど。難しいねぇ……。短命な癖に強欲って、なんて酷いことなんだ!」

『まったくです。だから嫌われるうえに、それ以上に無関心なのかもしれません。』

「そうだよね~……、あっ、ごめんね、長々と話に付き合わせちゃって。報告ありがとう。それで? 保護した女の子と別の事件が繋がりそうなのかい?」

『ザギの情報提供と、その中の予測に基づいて裏どりをしているところです。確固たる証拠が掴めればもっと早く、治崎……オーバーホールに対し正式に動けるのですが……。』

「ってことは、相当な助言をもらったんだね? ザギに。」

『遠回しなようで直球で伝えられて、逆に動きづらくなってしまいました。……経験値の差を思い知らされた気がして非常に悔しいです。あと諸々の法的な問題とか……、ああ、これさえなければって思ってしまうぐらいには、動けないことに苛立ちを覚えます。』

「伊達に数万年単位で生きていないってことだね! そこまで君を困らせる内容ような形で伝えたってことは……、たぶんだけど君に対する意地悪じゃないかな? あくまで予想だけど。」

 職業ヒーローが嫌いだから、あえて困らせてやった。ザギならやりそう。いや、アイツはやる奴だ。それぐらいこの地球での職業ヒーロー嫌いだ。

 自分が助言しても諸々の縛りですぐに動けないこと知っているうえで意地悪く助言を出したのだろう。

 容易に想像できたのか、ナイトアイはTV電話の画面の中でピキッと血管が浮きかけたが落ち着こうと深呼吸を繰り返していた。

 それから息を整えて再び口を開く。

『……あの性根の悪さは矯正できるものならしたいところです。』

「絶対無理だからやめとこう! あれでもまだ初めてコミュニケーション取れるよなった頃に比べたら丸くなった方がなんだから!」

『いったい過去に何があって、ああなったのか……。聞いて分析したいところですが、無理だと分かり切っています。』

「うん。それは僕も聞きたいことだ。でも、自分のことを打ち明けるって普通の人間同士でも中々できない場合ってあるじゃないか。例え気心知れた仲であっても墓まで持っていきたい自分だけの話がね。僕らでもできないことを、ザギに強制させられないし……、仮に緑谷くんがすでに知っていてもザギのために口を閉ざして語らない可能性がとても高い。彼はザギのことをとても気遣っているからね。」

『…甘やかしているように見えてしまいます。』

「いいじゃないか! 二人はああいう関係なんだってあたたかく見守ろう! 必要な時に助けられるように備えておけばいいのさ! あまり口出しするとザギが怒るからその加減が難しいんだけどね。」

『インターンでこちらに来たからには、充実した経験を積ませますよ。一方的に負けてばかりじゃいませんから。』

「うん! やる気は認めるよ! でも命大事にね! 社会的に燃やされるないように気を付けて!」

『分かっています。元№2のようにはなりませんので。』

 

 

 長々と話をしたが、こんな感じで出久とザギのインターンでの出来事をナイトアイから報告を受けた根津は、通信が切れたテレビ電話の画面を切り、タブレットを眺め長い溜息を吐いた。

「少なくとも今回保護された女の子への対応を考えたら、ザギも緑谷くん以外に目を向け始めている気もするんだよね……。そうだといいな。」

 初めてザギの存在が明らかになり、最初の暴走やコミュニケーションを取れるようになってからのことを考えたら、本当にザギは丸くなったと思う。

 ザギ自身が会話を避けているからその内心を知ることは困難だが着実に何かが変わりつつあると、根津は願っていた。

 

 




本当は、りんごで回復後の描写も書こうとしてましたが台詞が増えすぎて断念。
次回にします。

果物については、完全なる捏造です。
何が言いたいかというと、果物に多く含まれた植物の種を残そうとする生命力と太陽光などのエネルギー量が関係しているということにしています。
なおザギは、基本肉食。エネルギー不足過ぎて何でもいいからエネルギーが欲しいから果物が美味く感じて貪った。
これだと雑食ですかね?

今回は、全員が全員ザギを都合よく利用したいとかって考えていないことや、少しだけ書きましたが世間はザギをとんでもない存在だと認めつつ、それぞれの解釈や価値観でかっこいいと思ったり、ザギを怒らせちゃダメだって動いたり、ザギが地球人に無関心だというのを理解していてそっとしとくのが一番だって考えたりと色々ですが、全体的な割合はザギを受け入れるために動くか、できるだけそっとしておこう派が多いということにしました。
そのためザギに個性を取ってほしい人々の暴動を抑えたりするのにも一役買ってたりして、雄英での寮生活が脅かされないで済んでいる状況が作られています。

根津は自身の個性から来る知識欲もあって個人的にザギと会話したいと願ってるし、ナイトアイも似たようなもの。
立場や事情を抜きにすれば個人的な理由でザギと友好的になりたいって願っているということにしました。
なにせフィクションでしか描かれない宇宙人だし、とんでも長寿だから知識も豊富なのも分かっているから色々聞いてみたいってクソナードじゃないけど、心がワクワクしちゃうというか……。
空腹なのを放っておけないのもザギに貸しを作って利用しようということじゃなく、目の前で苦しんでいるのを放っておけないという偽善の行動です。
某顔がパンのヒーローの作者のコメントだったかな?
「お腹がすくことが一番辛い。」
それを解決するヒーローの理想として描いたってことで、更に元ネタとなる物語はパンを配っていたことが誰にも称賛もされず悲しい死を迎えたという結末だったはず……。
それを少し思い出しつつオールマイトの原点にも関わっているのも書いてて思い出しつつ、ザギが常時飢餓状態で苦しんでいるから解決策を出久以外の周囲が損得なしで真面目に考えていることを書きたくなったので今回は説明回みたいになってしまいました。

都合よすぎるかな?
ザギが強大すぎるせいで逆に民度が良くなったというか…、なんか色々飛ばして上手くいったという展開はありかなしか……。

次回は、壊理ちゃんと治崎などの件を片付けるのとインターンでザギと出久の成長にナイトアイがグラントリノとは違う方向からアプローチするなどを書きたいと思います。
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