本当に申し訳ない!
待ってた人いるのかな…。
今回は、短めです。
新章の始まりと、ついでに自分への執筆意欲への発破のためです。
ここからはオリジナルの敵にして、オリジナルラスボスとなる存在が敵として絡んできます。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
宇宙は、未知の世界だ。
今の地球から見れば、変な話だが深海と同じぐらい人間が立ち入れない魔境のような物だ。
かつて宇宙のあちこちを移動していたザギですら全てを見聞きしたわけではない。
地球も別の星から見れば星空に輝く星のひとつで、未開の惑星だ。それほど過酷で交流が難しい。
ザギが知る地球ではない地球であるため、自分がいた宇宙のどこかに限りなく同じ成り立ちで同じ呼び名の持つ惑星として生まれた場所なのか、それとも違う宇宙の違う地球なのか。実はザギはそこまで区別できていない。
気にならないかと言ったら嘘だがそこまで重要なことではないと頭の隅っこに追いやって深く考えていないだけだ。
目の前にいる出久だけのことを考えていればいいと考えて行動していたからだ。
だから、油断した。
この宇宙のどこかで勢力を広げる脅威が地球へとその侵略の矛先を向けてくることに。
<………強大なエネルギー…、これはなんだ?>
<これは? この星にはそれほど高い文明も知能も…。全く異なる>
<アレ…だけだ…。肉体がない>
<ならば…>
<まずは、情報を……>
<この惑星の生命体の調査も同時に…>
<我らの隷属物として、いかように使えるか、大気も、大地も、水分も、……我らのために>
その侵略者のいつもの手口が静かにジワジワと伸びてくる。
まず地球の軌道上を周る人の手で造られた人工衛星だ。
人工衛星の存在を感知したことでまずそこから情報収集を始める。
今や地球では当たり前になった電子ネットワークを閲覧するだけなら何ら問題にならない。
それが地球外からの閲覧でもあってもネットワークのセキュリティは、それを区別できない。
そうしてだいたいの情報を閲覧し終えてから、次の段階に入る。
侵略者を構成しているモノを地球へと落とし、地球の戦力や知的生命体の能力を観察する段階を踏む。
ソレを落とす先は決めていた。
タルタロス。
極悪人達を収監している最も過酷で最も高度な技術を結集させた監獄だ。
利用するには丁度いい素材がたくさんいる。
侵略者達が地球という環境に適応できるかも図れるのだ。彼らからすれば都合がいい。
約三日後、ソレは芽吹いた。
タルタロスの一画が謎の菌糸に包み込まれるという非常事態に見舞われたのだ。
***
「なんだありゃ⁉」
テレビで生中継されているタルタロスの異常事態をそれぞれの寮で雄英の生徒達が見ていた。
灰色のような黄色っぽいような網目っぽいような粘ついてそうな塊がタルタロスの一部を覆い、そこの部分にいた囚人達と看守達の安否が不明の状態だった。
救助のため、そしてこの異常事態を解決するために消防や特殊防護服を着た危険物に立ち向かう組織のチーム、危険な現場に先行する専門家やレスキューに特化した個性を持つヒーロー達が現場に終結していた。
カメラが回されているがタルタロスを覆っている謎の物体は、呼吸をしているのかゆっくりと上下しているように見える。
だからまずテレビのスタジオに呼ばれた別の専門家がアレが生物である可能性が高いと解説した。
カメラの映像を拡大し、表面の構造を目を凝らして真面目に観察する専門家は難しい顔をする。
曰く、これは、キノコの菌種のように見えると。
スタジオのセットの一部である大画面に専門家がパソコンから出力したキノコの菌種の資料が映し出される。
言われてみれば確かに似ているキノコが地球上に存在するのだ。必ずしもキノコと言えばこの形ではなく、キクラゲのようにキノコのイメージに入らない形の種類も存在する。
あとカビの一種にも似ていると専門家は、しかめっ面でカビの資料もモニターに映した。
キノコもカビも菌界と呼ばれる種類に入り、生態がとてもよく似ている。
キノコとカビの違いは、キノコは大きく成長してから胞子を飛ばして繁殖するのに対し、カビは大きく成長せずに胞子を飛ばして繁殖する。
だが専門家は、タルタロスを襲った謎の物体について初めて見る菌種だと答えていた。
個性によって暴走したキノコかカビがこの事態を起こしたのか、それとも裏組織が生物兵器として研究していた物が外に漏れてこんなことになったのか。これからそれを調査するのだが、その前にまずは人命救助だ。
透視能力の個性によって内部に生命反応が確認できている。キノコ(?)に覆われているが、キノコ以外の生命反応は人間だと特定できた。
中に突入してみないとどういう状況になっているか分からないし、生命反応があっても果たして助かる状態なのか……。
『〔地球の在来種じゃないな。かといって、個性でもない〕』
「えっ! 分かるの?」
ザギの言葉に出久だけじゃなくその場にいた全員の視線がザギに集まる。
『〔昔見た奴に少し似ている気がするが……、別の種類だろう。隕石に胞子でも入ってたか?〕』
「隕石って…、そんなの落ちてきたってニュースは…。」
「それは間違いだ。隕石は頻繁に地球に落下しているというのを本やテレビで見聞きした覚えがある。ほとんどは落下中に地球を覆う大気との摩擦で燃え尽きてしまい地上には到達しないそうだ。」
そう常闇が語った。
「そういえば、人工衛星も使い終わったら落下させて燃え尽きさせるってネットで見た気がするな。」
「あっ、それって何年も前にあった探査機の話?」
「気象衛星や通信用の人工衛星もって話だろ?」
「探査機のってあれでしょ? 小惑星探査機をモデルにして映画あるけど、あれ泣けたわ~!」
「テメーら…、話がズレとる。で? さっきの話はマジなんか? 隕石に胞子がどうのって…。」
『〔そういう繁殖と種の存続をする奴もいる。オレが知っている奴とは多少違うがな〕』
「宇宙…、魔境やん…。」
「ザギが知っているのってどんなの? 似てるけど違う理由って?」
『〔オレが知っているのは、成長すれば自力で動き回れる菌種。だが、今中継に映っているのはカビにも近い。キノコとカビ……、どちらの特性を持っている。さっきから成長している様子がない。中の生物を養分にしていない。地球の空気が合わなかったか? それにしては……、…ん?〕』
「えっ?」
「なっ、なんだ⁉」
「なに、なに、あれ⁉ ふ、膨らんでる⁉」
ザギがテレビ画面を見ながら自分なりの考えを口にしていると途中で言葉を止めた。
テレビの画面に映されたタルタロスの一画を覆っていたキノコ(?)が変形を始めていたのだ。その生中継を見てこの場にいる者達の半数が慌てだす。
風船ガムのようにプク~と内側から表面が歪に膨らみ始め、それと共にタルタロスに張り付いていた部分が枯草のようにボロボロと黒く変色して地面に崩れ落ち始めた。
そしてカメラマンが他のリポーター達とヒーローの退避という言葉をマイクで捉えながら走る映像で画面が酷く揺れる中、膨れた個所が破裂した。
黄土色の粘液と共に姿を現したのは、コウモリの翼で身をくるんだような赤黒い色をした巨大な人型だった。
膝を抱え、背にある羽で身をくるんでいた巨大な何かは、ゆっくりと動き出す。
羽を畳み、立ち上がる。
手足が細くて異様に長く、胴体も骨が浮き出るほどガリガリで胴長であるがそれが人間だというのを理解させられた。
理由は簡単だ。
「うそ……。」
この場にいた者達の誰かが思わず声を漏らした。
カメラに映されたそいつの顔。
それは……。
「ステイン⁉」
顔立ちがほぼステインの顔だったのだ。
ステインがタルタロスに収監されたということはすでに世に出回っていた。
もしもあれがタルタロスに収監されていたステインが謎のキノコ(?)によって巨大な謎生物に変異させられたのだとしたらいまだかつてない大事件だ。
ステインと思われる怪物は、翼を大きく広げて元の声とは異なる高さの咆哮をあげて空へと舞い上がった。
巨大な謎生物の登場にその場にいたヒーロー達では対応はできなかった。
現場での生中継は中止され、緊急警報と共に今起こっている非常事態について実況するためのスタジオが映された。
「な、なんなんやのあれ⁉ あれって、ザギが知ってる奴なん⁉」
『〔全然〕』
麗日が思わずザギに聞くがザギはきっぱり知らないことを伝えた。
「全くの別物かぁ!」
「さっきザギがそう言ってたじゃん! 似てるけど違うって!」
「スッゲーでっかくなかった⁉ なんかもう怪獣ってサイズじゃん!」
『〔軽く40メートルくらいだな〕』
「お前よりはチビでも、十分すぎるほどデッケぇだろーが!!」
「……ねえ、あのステインっぽい大きいの…、誰が、どうやってなんとかするんだろ?」
場の空気がシーンと静まった。テレビからやかましいぐらいのリポーターやらの声が響く。
視線が再びザギに集まった。
ザギは、腕組して宙を仰ぎ見るように首を動かした。
クソめんどくせ~っという雰囲気がだだ漏れだ。
「ザギ…、ダメ…かな?」
出久が困り顔でザギに聞く。
出久に頼まれたら断るわけにいかない。ザギは、断りたくない。
『〔……分かった〕』
「ありがとう!」
「緑谷くん、いるーーーー⁉」
そこへ根津を始めとした教師陣と警察や他のプロヒーロー達が数名一緒に駆け込んできた。
彼らの目的は分かっている。
「あのステインっぽい怪獣退治ですよね⁉ 今、ザギと一緒に戦ってもらう許可貰いました!」
「なんだって⁉ 話が早くて助かるよ! ザギもありがとうね!」
『〔お前らのためじゃない。出久が望んだからだ〕』
それ以外でもそれ以上でもないと腕組して不機嫌オーラマシマシな声で言ってくるザギ。
「ん? 待てよ? ってことは……。」
クラスメイト達が気づく。
現在40メートル級の怪獣と化したステインらしき物を倒すためには……。
「ザギの本当のデカさでやり合うってこと⁉」
神野区事件で披露されたザギの本当の姿、いや、大きさを知っているから数十メートル級が暴れただろうなるかと想像して青ざめるクラスメイト達。
彼らの脳裏に特撮物の街が破壊される映像が過る。
リアルでアレが行われるとどうなるか……、あまり想像したくない。あれはフィクションだから巨大同士の戦いによって実際に発生する被害がどれほどのものになるか分からないのだ。
「自衛隊やプロヒーロー達が全力で住民の避難と怪物の誘導をするさ! ザギにも可能な限り街中を避けて安全圏までアイツを移動させてから戦闘してほしいんだよ! できる?」
『〔知らん〕』
「お願い、ザギ!」
『〔分かった〕』
「なんで出久の言葉にはだけは、手のひらドリルが半端ねぇんだよ…。この極悪過保護…。」
爆豪が頭を抱えてボソボソツッコミを入れていた。
それは今に始まったことじゃないと、その爆豪の声を聞いた者達は心の中で思った。
こうしていまだかつてない非常事態に、ひとりの高校生の身に宿るザギが本当の姿で対処するためにしゅつげきすることとなった。
その様子を遥か空の上から観察している存在を、ザギを始め、まだ誰も知らない。
ラスボス予定のこの敵は、まだ名前は明らかになっていませんが、ヒロアカ地球の宇宙にジワジワと侵略域を広げていた存在です。
キノコとカビの両方の特徴を持ちつつ、知能を持ち、宇宙空間でも活動が可能で、地球の大気にも適応する生命力を持ちます。
ザギのことをすぐに発見し偵察のためにタルタロスに収監されていたステインを怪獣に変異させて差し向けるという行動に移す。
ザギは、出久以外への興味の薄さからまだこの侵略者のことに気づいていない。
約40メートルとザギよりは小柄であるものの、ザギ以外に対応できる戦力がいないため出久に頼まれて渋々ザギは出撃します。
ヒロアカ原作での敵勢力をさっさと片づけちゃったからメチャクチャ展開をどうするか悩みました。
ここから一気にザギが真のウルトラマンへの道へ進む物語が加速していくかもです。