「今日は私の家に泊まって下さい♪」
「は?何言ってん――」
「あ、でも雪ノ下先輩と結衣先輩をどうにかしないといけないですねぇ...」
「あのなぁ...」
「何か不満でも?」
そう言って
悲しいけどそこから動く足も遠ざけるために一色に触れる勇気も持ち合わせてないのよね。
「まぁ、この際先輩が居るなら別にいっか!」
「俺にも俺の帰りを待ってくれている人が居るんだ。小町って言うんだが――」
「お米ちゃんなら大丈夫って言ってますよ」
すると一色は、待ってましたと言わんばかりにスマホの画面を見せつけてきた。
そこには、お米ちゃんと書かれたトーク画面に、
『先輩今日は私の家に泊まってくそうです♪』
『了解です!お兄ちゃんをお願いします!』
と表示されていた。
いや待って何してくれてんの?外堀埋められたらどうしようも無いんですが?今帰ったら絶対小町に「なんで帰ってきたのさ。これだからごみいちゃんは...」とか言われるじゃん!
「これでもう逃げられませんねぇ?」
「...もう好きにしろ」
「やった!」
「はぁ......」
どうやら本当に俺を泊める気らしい。
もう八幡お婿に行けない....
「それじゃあ先輩は泊まるとして、雪ノ下先輩と結衣先輩はどうしたら泊まってくれますかね?」
「別にお前が誘わなくてもあいつら泊まる気だぞ」
「そうなんですか!?」
実はついさっき由比ヶ浜からメールで、『今日はいろはちゃんの家に泊まることにしたよ!』とメールが来ていたのだが、それを言ってしまうと墓穴を掘ることになるので言わなかったのだが、もう意味が無くなってしまった。
「じゃあとりあえず私はまだ体調が悪いフリをするので、先輩は秘密でお願いします!」
「それが2つ目か?」
「え?違いますよ?使うならもっと普段出来ないような凄いお願いをしますよ!」
「え...急に怖くなってきたんだけど...俺殺されないよね?」
「ふふ...どうですかね♪」
一色の言葉で急に背筋が寒くなってきた。一色は小悪魔どころか死神だったらしい。
ついでに尿意も込み上げてきたので、トイレに逃げることにする。が、それが間違いだった。
「ちょっとトイレ――痛ッ!」
「わわ!ちょ、せんぱ――」
――痛ぇ...また足のこと忘れて転ぶとか老人かよ...
ん?なんか柔らかい...?
「せ、せんぱい...あ、あんまり動かれると...」
え?なんで床から一色の声がするの?
俺が状況を理解できずにいると、部屋のドアが勢いよく開く音がした。
「凄い音したけど大丈――え?」
ドアの方に目をやると、そこには呆然と立ち尽くす由比ヶ浜とゴミを見るような目をこちらにむける雪ノ下がいた。
「――最ッ低」
次回 八幡、死す。デュエルスタンバイ!