やはり俺たちが看病するのはまちがっている   作:陽陰 隠

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いつも通り短いです


問題

「どうしよ.....」

 

俺、比企谷八幡(ひきがやはちまん)は窮地に陥っていた。

ほぼ全裸の美少女(動けない)と脱衣場で二人きりとかどういう状況?

だが、そんな事を考えていても埒が明かないので取り敢えず服を着ることにする。

 

一色(いっしき)、服着てくるから待っててくれ」

 

そう言って一色の居る脱衣場から、誰もいないリビングに移動しようと足が痛まないようにゆっくり足を動かそうとすると、その足を思い切り掴まれた。ホラー映画かな?

 

「い、一色さん?痛いんですけど」

「...こで......さい」

「え?」

「...ここで着替えて下さい」

「は?」

 

は?この子何言ってるのん?聞き間違いじゃないよね?新手のセクハラかこれ。

 

「も、もしリビングとかにどちらかが降りて来ていたらどうするんですか?」

「そ、それもそうか.......じゃああっち向いててくれ」

「.....わかりました」

 

俺は一色が言ったことがもっともだと感じたので、一色には見えないようにしてもらい、その場で着ることにした。それにしても、俺が目の前で裸になっても何も思わないの?あ、目の前ではないか。でも私この子の将来が心配だわ。

 

「先輩、終わりましたか?」

「ああ、もう良いぞ」

「じゃあ次は私ですね~」

 

そう言うと、一色は地面に腰を下ろしたまま、体に巻いているタオルに手をかけた。

 

「お、おい、ちょっと待て!」

「先輩は見たくないんですか?」

 

いや、見たくないことは無いかもしれないことも無いけど!

 

「倫理的にマズイだろ!」

「先輩はほんっとにヘタレですね~」

「うるせ」

「じゃああっち向いてて下さい!」

「へいへい」

 

一色が視界に入らないようにしたのは良いが、布が擦れる音と一色の息づかいが鮮明に聞こえるため、かえって背徳感が凄い。

落ち着け八幡。落ち着いて素数を数えろ......1って素数に入るっけ?

 

「先輩、もう良いですよ」

「おう。お前もう体調は良いのか?」

「落ち着いてきましたがまだ立てそうには無いです。てか可愛い後輩のパジャマ姿ですよ?何か無いんですか?」

「はいはい可愛い可愛い」

「むぅ、ちゃんと言ってくださいよぉ」

 

一色は俺の感想が不服そうに口を尖らせる。いや本心だが?実際可愛いしな?

まあそれは今はどうでもいいことで、問題は別にある。ということで、先ずは作戦を練らなければならない。

 

「そんな事よりここからどうするかだ」

「そうでしたね」

「じゃあ念のため俺が先にリビングを偵察してくるから」

「了解です!」

 

随分と簡素な作戦会議を早々に終わらせる。今度こそ脱衣場から音を立てないように脱出し、リビングの方をゆっくりと覗き見たが、誰かいる気配は無い。これならなんとかなりそうだ。取り敢えず一回脱衣場に帰還することにする。

 

「あれ、ヒッキー?」

 

パターン桃!使徒です!まさかガハマエルとエンカウントするとは....

 

「ヒッキー足大丈夫なの?」

「おう、おかげさまでな。あとでまた湿布貼ってくれるか?」

「ヒッキーが頼み事してる......」

「そんなに珍しいか?」

「珍しいよ!ヒッキーいっつも一人で依頼とか色々やっちゃうし......」

 

由比ヶ浜(ゆいがはま)が言っているのは文化祭や修学旅行のことだろう。あの時の由比ヶ浜と雪ノ下(ゆきのした)の顔は忘れたくても忘れられない。

重くなってしまった空気を察したのか由比ヶ浜が口を開いた。

 

「そ、そういえばいろはちゃん見なかった?」

「みみみ見てないぞ?」

「そ、そっか」

 

危ねぇ、動揺して噛んじまった。由比ヶ浜が鈍感で助かったぜ。

 

「一色はどこ行くって行ってたんだ?」

「ちょっと下に用事が....って言ってから戻って来てないんだよねぇ」

 

あいつそんな適当な誤魔化し方したのかよ......、もっとましなのあっただろ。

 

「どうせトイレとかだろ。取り敢えず上に戻――」

「じゃあ先にお風呂入らせてもらお♪」

 

おいおいおい、死んだわ俺。あんなの見つかったら本当に死刑宣告されるって。ここはなんとか由比ヶ浜を思いとどまらせねば。

 

「由比ヶ浜、悪いんだが脱衣場に服を脱ぎっぱなしにしていてな。取って来るから風呂はまだ待っててくれ」

「早くしてね?」

「了解だ」

 

咄嗟にでた言い訳としては上出来じゃないか?国語三位の実績がここで役に立つとは、皆も勉強しよう!

取り敢えず時間稼ぎが出来たから脱衣場に一旦撤退する。

 

「おい、一色。戻ったぞ――」

「ふぇ?」

 

脱衣場に戻ると、何故か俺の脱いだ服に顔を埋める一色と目があった。




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