「それじゃあ先輩!オセロしましょオセロ!」
「お、おう」
なぜかさっきから一色のテンションが妙に高い。
まあ何をするべきか全くわからない俺には、これぐらい相手が先導してする事を決めてくれる方がありがたいのだが。
「そこの棚の中にある箱に入ってるので取ってください」
「おう」
指示通りに棚の方へ向かう。
結構片付いていたのでそれらしき箱は直ぐに見つかった。見つかったのだが―――
その箱を元の場所に戻そうとしたところ、その奥に『0.01』と大きく書かれた金色の小さな箱を見てしまった。
いやおいおいおい、なんでこんなとこに仕舞ってんの?てかなんで常備してんの?遊び道具の裏にあるってそういう事?これも『オモチャ』って事なの?
だんだん頭が混乱してきた。しょうがないじゃん、童貞だもん。
「先輩、どうかしましたか?」
「い、いや、ななななんでもねぇよ?」
「なら早くしてくださいよぉ」
動揺し過ぎだろ俺。自分でも引いたぞ。
自分の行動に引いたことによって少し冷静さを取り戻してきたので、大人しくオセロだけ持って一色の元へ戻る。
「じゃあ後輩である私が先行で!」
「オセロに年齢は関係ないだろ....」
「....ダメですか?」
目を少し潤ませ、上目遣いで問いかけてくる。やめろ、その聞き方は今の俺には効きすぎる。
何がとは言わないが危なかったので、仕方なく了承する。
「ふっふっふ、私に先行を譲ったのが運の尽き。ボコボコにしちゃいます!」
「.....うぅ」
「ふはははは、さっきまでの威勢はどうした?」
「こ、こんなはずじゃ....」
目の前に置かれているオセロ板には、全てのマスにまんべんなく俺の白い石が置かれていた。
いくらなんでも弱すぎじゃありません?
「ぼっちの先輩になら勝てると思ったのになぁ」
「残念ながらこの手のゲームは小町とやりこんでいるんだ」
「先輩に罰ゲームとかさせようと思ったんですけどね」
不穏なワードが聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。世の中知らない方が幸せな事もある。
「先輩、小腹空きませんか?」
「お、おう。そうだな、少しなんか腹に入れておきたい」
いきなりの話題転換に少し動揺してしまった。話に前後の脈絡無さすぎんだよ....ただでさえさっきのアレを見てから一色の口から放たれる言葉に敏感になってんだから。
「さっき布団持ってくる時に下からチョコレート持ってきたんですよ。それ少し食べません?」
「おお、良いな」
俺の肯定の言葉を聞くと、一色は雑に置かれた布団の中からちょっと高級そうな箱を出してきた。
「戸棚漁ってたら出てきたんですよね~」
「....それ勝手に食っちまって良いのか?」
「戸棚は家族共用なので大丈夫です!....多分」
「多分かよ....」
「そんなのいちいち気にしてたら身が持たないですよ!」
そう言うと、一色はチョコを一つ口に放り込んだので、俺も一色に倣って一つ頂いた。
「なんか食ったことある味だな」
「......」
「こんなんいつ食ったっけ?」
「......」
「一色、これなんてチョコ――」
なんてチョコだ?と聞こうとして一色の方を向くと、そこには顔を耳まで赤く染めた一色が焦点の合っていない目で俺を見つめていた。
おいおいまさかこのチョコって――
俺は放り投げられた箱の蓋を確認すると、予想通りの文字が書かれていた。
「やっぱウイスキーボンボンじゃねぇか....」
説明しよう!ウイスキーボンボンとは、その名の通りウイスキーなどの酒が入っているチョコレートの事である。ちなみに飲料ではないので未成年でも普通に頂くことができるが、普通は酔わない。かくいう俺も昔親に食わされたが、普通に美味いなくらいの感想しか出てこなかった。
だが、目の前のこいつは見るからに酔っている。それはもうベロベロだ。なんか左右に揺れてるし.....酔ってても可愛いなこいつ。
さてどうしたものかと一人考えを巡らせていると、一色がおもむろに立ち上がり、千鳥足でドアの方へ向かい、本日二回目の施錠をした。
「せんぱぁい、あそびましょ?」
....ここは風呂に入ってるあいつらが戻ってくるのに賭けるしかないようだ。
ここ最近やらなければいけないことが増えてきたので時間がある時に少しずつ書いてはいますが、更新頻度がしばらく落ちるかもしれません。
でも俺負けないよ。え~、もじだっ、文字たちが躍動する俺の二次創作を、皆さんに見せたいね。
不定期更新ではありますが、一週間に一回は更新したいなぁと思ってますので、感想・評価お願いします!