天与呪縛観察日記   作:てんてりす

1 / 9
しょーどうがーきーしました。
よければ最後まで読んでくだされ。


日記1

 【¥月%日】

 

 今日から記録兼日記をつけようと思う。理由は『アイツ』の事を記録する為だ。それと今日で6歳になったからだ。本当は生まれて直ぐにでも記録したかったが流石に赤ちゃんが机に向かって文章を書くのは不自然すぎる。両親にはあまり迷惑をかけたくないしな。

 因みにこの記録はもしかしたら俺以外の誰かが読むかも知れないから一応書いておくが6歳でこんな漢字や文章が書けるのは俺には前世の記憶があるからだ。別に信じなくても構わない。俺に前世があると信じようと信じまいと俺には前世のある事実は変わらないからな。

 

 俺の事はこの辺にして『アイツ』のことだ。

 『アイツ』は俺が産まれた時から俺のそばにいる。見た目は女性で、ボサボサの髪を足首辺りまで無造作に伸ばし、煤?なのかは分からないがところどころ肌や服が黒ずんでいる。手足は少し細く爪は長い。服はボロボロで所々破けていたり右腕の袖が完全に無くなっていたりと酷い有様だ。恐らく和服系の服だと思う。

 

 そして肝心の顔なのだが分からない。

 顔にお札が沢山貼ってあるのだ。しかも一枚一枚釘で顔に打ち付けられている。普通に痛そうだ。

 喋れはしないと思う。「あー」とか「ゔぁー」とかを稀に言うが喋れる訳ではないみたいだ。普通に怖い。

 

 そういえば『アイツ』の存在は俺以外には見えていないようだ。両親にそれとなーく聞いてみたが見えていないし聞こえてもいないっぽい。学校に『アイツ』がついてきた時も誰も『アイツ』に反応は示さなかった。

 この事を踏まえて今からちょっと実験をしてみる。今から『アイツ』に触れてみようと思う。正直怖いが『アイツ』は今まで俺に何かをしてきた事は無い。つまり触れても平気な筈。というわけで触れてくる。南無三。

 

 

 

 

 平気だった。そして触れれた。普通に人肌と同じ感触で煤のようなものが手についた。幽霊みたいにすり抜けるのかと思ったが違った。ついでに水を手にかけてみたがちゃんと手が濡れて煤の様なものがとれて綺麗な肌が見えた。けど少し目を離したすきにまた煤だらけの手に戻ってしまっていた。どうやら『アイツ』は元の姿に戻る力でもあるみたいだ。試しはしないが腕が取れたとしても元に戻るのだろうか?

 

 他にも些細な事だが『アイツ』に付いて分かっているがある。一応まとめて書いていく。

 

 1. 顔に釘でお札が打ち付けられている

 2. 会話ができない(要検証)

 3. 元の姿に戻る力がある(限度は不明)

 4. 寝ていると良く枕元で正座をしている(稀に声を発する)

 5. 一日に一回のペースで10分程居なくなる

 6. 触れる

 7. 俺に対する敵意は無し(要検証)

 8. 女性?(要確認)

 9. 他の人に見えない(要検証)

 10. ご飯を食べない(要検証)

 11. 身長は190cmぐらい(デケェ)

 12. 腕が伸びる(ゴムのようにではない)

 13. 札には触らせてくれない

 14. さっき触れたせいか俺に触ってくる

 15. 基本俺のそばにいる(半歩後ろが定位置)

 16. 視覚はある(要検証)

 17. 学習能力は不明

 

 

 こんなところかな?

 まだまだ分からない事だらけだが取り敢えず害の有る奴では無いことは分かった。にしてもさっきからめちゃくちゃ俺に触れてくる。目が見えないから手で確認でもしているのだろうか?だが『アイツ』は電柱や人をしっかり避けて歩くから見えているとは思うのだがいかんせん顔が札塗れだがらなんとも言えん。

 

 今日はここまでにして寝るとする。もう眠い。

 

 

 【¥月#日】

 

 今日は雨。というわけでまた実験をしようと思う。

 

 今回の実験では『アイツ』に傘をさしてもらいながらコンビニまで行ってみる。今回の実験内容としてはまず傘が持てるか、それとコイツが傘を持っている場合他人には傘がどう見えるのかを確認するためだ。

 浮いているように見えたりしてもまあ何とか誤魔化せるだろう。では行ってきます。

 

 

 

 無事帰宅。

 結果は『俺が傘を持っているように見える』というものだった。どうやら『アイツ』には他の人の認識を変える事が出来るみたいだ。それと意外と俺の指示に従順ということも分かった。だが指示していた際少し問題が起こった。

 『傘を持て』まではスムーズにいっていたのだが『傘を開け』と言った途端動きが止まった。理由はとても簡単なことで『アイツ』は傘の開き方を知らなかったようだ。なので手本を見せてから『傘を開け』と言ったら俺の教えた通りに傘を開いた。『傘をさせ』も同様に俺が手本をまず見せてかないと行動はしなかった。

 どうやら『アイツ』は学習能力があるようだが基礎となる知識が全く無いみたいだ。それと色々試してみようと言う考えもない…まあ完全な指示待ち人間みたいなやつだ。このことから軽い仮説を立ててみた。

 

『アイツ』はまだ産まれたての赤ん坊の様なものと言う仮説だ。

 

 つまり『アイツ』の中身はまだスッカラカンで人間と同じようにこれから見て聞いて、体感して中身を埋めていくのだと思う。

 この仮説が正しいとなると『アイツ』が俺に敵意を向けたり攻撃してこないのは俺がまだなんなのか理解していないからと言うことになる。まだ俺が殺されるだけならまだ良いが俺を見て『人間はこういうものだ』『自分より下だ』『弱い』という印象を持ってしまったら俺ではなく人間全体に敵意をもってしまうかも知れない。それは不味い。何せ『アイツ』は俺以外には見えない。そんな透明な人間みたいな『アイツ』が人を大量に殺したとしても捕まえる事なんて出来やしない。

 

 

 少し変な方向に思考が偏ってしまった。

 まだ『アイツ』の事を俺は何も分かっていない。なのに決めつけるのは流石に阿呆が過ぎる。

 

 話題を変えるが『アイツ』の名前を決めようと思う。いつまで経っても『アイツ』や『オマエ』呼びでは些か不便な気がする。というわけで名前を十個ほど考えたので『アイツ』に選ばせてみようと思う。選ばせ方は適当な紙に名前を書いて俺がそれを読み上げ『アイツ』に指を指してもらうというものだ。気にいるのがあれば良いが。

 

 

 

 疲れた。そして名前は『エマ』に決まった。

 エマにはまず『選ぶ』や『好き』を教えたのだが苦労した。感情や常識的行動を言語化するのは難しい。それと上手く伝わっているのかが分からない。けれどさっきから紙にエマとひたすらに書いているところを見ると気に入ってくれはしたらしい。

 ペンや紙の使い方は俺を見て学んだのだろう。やはりエマは目が見えているようだ。どこから見ているのかは分からないが。

 

 今日これで寝る。明日は何を調べようか。

 

 

 【¥月○日】

 

 

 朝起きたら壁や天井に一杯に『エマ』と書かれていました。

 

 

 本当にびっくりした。

 どうやらエマは心底自分の名前が気に入ったらしい。最初の方は酷い文字の形だがだんだんと綺麗な文字になっていっている。まあ、あれだけ書けば上手くもなるだろう。

 今回のエマの奇行の原因だが見当は付いている。恐らくエマは俺が寝た後もひたすらエマと書き続けていき俺の用意していた紙を使い切ってしまった。そこで目に入ったのが壁や天井だなのだろう。

 まあよくある2歳児や3歳児が壁に落書きするのと同じことをしたのだエマは。怒られるは俺なのだが。解せぬ。

 

 

 エマを叱った。今朝の事をもうしてはいけないと理由を含めて言ってみた。正直無駄だと思ったがエマは頷いた。つまり肯定の意思を見せたのだ。恐らく誰かの肯定するという行動を見て学んだのだろう。居なくなっている時に何かを見て学んだのだろうか。

 この調子だとエマは後数年でもすれば基礎知識と自らの意志を持って行動できるようになるかもしれない。その時に俺のことをどう見ているのか少し怖くなってきた。

 

 色々考えてみたが正直解決手段は思い浮かばない。

 というわけで流れに身を任せようと思う。なんとなくだが常に優しく接しても拒絶をしても無駄な気がする。むしろ悪い方へと向かっていきそうなので俺は俺らしくエマと接して行こうと思う。

 だが、実験もとい検証は引き続き続けていく。なんだかんだエマの生態には興味がある。だが一方的にエマを知るのも不公平な気がするのでエマには俺の事を教えようと思う(理解できるかは分からないが)

 

 これで今後の方針は決定したので早速検証に移っていこう。

 

 と思ったが振り返ったらエマが居なかった。どうやら今日は居ない日のようだ。

 

 今日はこれくらいにする。

 

 

【¥月●日】

 

 

 エマは今日もいないようだ。

 書くことは何もない。

 

 

【¥月◇日】

 

 

 今日もいない。

 どこに行ったのだろうか。

 

【¥月◆日】

 

 

 今日もいない。

 

 

【¥月◎日】

 

 

 いない。

 

 

【¥月+日】

 

 

 町中を探してみたが居なかった。

 

 

【¥月*日】

 

 

 今日でエマの消失から一週間が経つ。

 エマは俺の幻覚だったのかと思う日々が続いている。だが柱にペンで掘られた『エマ』という文字のおかげでなんとか現実だった事を知覚出来ている。

 

 だが流石にこれ以上思い悩んでも仕方ないので今日もう一回だけ街を探してみようと思う。それで居なかったら柱の『エマ』の文字を削り取ってエマなんて居なかったと言うことにしよう。

 

 では行ってきます。

 

 

 

 

 結論から言えばエマは見つかった。

 だが同時に変な化け物を見つけた。まあ原型はあまり留めていなかったが。エマの手に化け物の血らしきものが付着していたので恐らくエマが殴り潰したのだろう。

 エマは俺が見つけて声をかけた時驚いていた気がする。(雰囲気だけでの判断だが)あの行動は俺にばれたくなかったようだ。

 今回のことで分かったのは時折俺の前からいなくなっていた時間は恐らくこの化け物を殺す為に費やされていたことだ。化け物についても、なんでこんなことをしているのかも分からなかった。

 

 あの化け物についてエマは何か知っているのだろうか?

 今後の検証はエマの生態の検証、意思疎通可能かどうかの検証に移行しようと思う。まあ可能だろうが時間はかかると思う。

 

 頑張って行こう。

 

 今日はもう寝る。足がもうパンパンだ。

 

 

 

 

 

 




最後まで呼んでくださりアザマス。

よければ感想書いてくださるとモチベが上がります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。