憧れのウルトラマン(旧ウルトラマン転生短編集) 作:あっ察し
惑星ヤブラツから、黒煙の空が消え去る時に人々は見た。
あるものは直接、また、ある物は映像越しに…、
その時彼らは銀色の巨人の姿に'"神"を見たという。
_______________________________________
銀色の巨人の正体はこの星に迫る災いを防ぐ為に現れた救済者、あるいは神の使い、はたまた神そのものだろう。
壊滅的な被害を芸術の都に齎しヤブラツ全土へと暗闇の世界を広げるほどの影響を及ぼすある種神話のような災厄であった宇宙怪獣を撃退(沈静化)した彼を、無業の人々は特別な存在だと思い込み神聖視してしまっていた。
そんな世論に対してGF内で事情を知る者達により彼が神や救世主として扱われる事を避ける為…、
「彼を正式なGFの隊員に?」
GF基地の支部司令室にて、支部司令と遊撃部隊長と今まさに渦中の"彼"との間で相談が行われていた。
_______________________________________
「緊急の招集がかかってる?」
「ああ、支部司令から各隊長達へ通達があった、副長達から部隊員へ連絡を頼む。
午後一に新メンバーの紹介がしたいから全員を集めてくれ。」
キリマ隊長からオオダへと何とは無しに連絡があった。
何でも訳ありらしく、ヒノモト支部司令が直々に紹介するそうだ。
「しかし、こんな時期に入隊とは…、優秀な者であっても'"彼"を特別視してしまう様な者でない事を祈りたいですねぇ…。」
オオダは遊撃部隊副長という立場と、GF隊員の養成校においても副学長として在籍している。
元々は副学長メイン出会ったが、兼ねてから交流のあったキリマがたっての希望で遊撃部隊へと引き抜いたのだが、なんやかんや理由をつけて学長の方がオオダを完全に手放さず兼任となっている。
彼はとことん補佐が上手いので、引っ張りだこなのだ。
そんな立場上、養成校内での生徒達の様子をしっており、親戚や友人を巨人に救って貰い恩義を感じた者達が多く、無償の奉仕を続ける巨人に対して感銘を受けて入隊し、人々を助けたいと心の底から思っている者が多いのだ。
そして、今回の事件の顛末…、ある種あの光景は神話の一部として世間でも取り沙汰されているような状態で…。
「彼のシンパ達の事か、まあ、今回の新人に関してはそれは無いな。」
「どうして言い切れるんです?」
「会えばわかるさ。
訓練生のシンパ達がどうなるかは分からないがね。」
含みを持たせた隊長の弁に訝しむ視線を向けるが、キリマ隊長は準備があるからと、席を立って部屋を出ようとする。
そして扉を開ける際に態とらしく言い忘れた事に気づいた様な仕草で、
「あぁ、集合場所は第3飛行場だ、今日は天気がいいからな。」
「…了解です。」
絶対何か大変な事が起こる。オオダは確信していた。
_______________________________________
「どうだい?ここの食堂で食べた生姜焼きは?」
「緊張して味がしなかったです…。」
「ハッハッハッハ、やはり君はいいねぇ!いい意味で普通だ!」
_______________________________________
「しかし、こんな時期に新人とはねぇ。」
澄み渡る空の下、第三飛行場に集められた支部の面々達は各部署ごとに整列し、各々が時間までの会話を楽しんでいた。
おしゃべりの際の話題は、やはり今から紹介される新人についてであり…
「基地中の人間を集めてやる様な新人の発表と言えばアレじゃないか?有名な技術者のあの良くテレビに出てるバルタン星出身の人とか。」
「おいおいあの人は確かに凄いけど事軍事に関わる事にはアレだろ?母星で色々合ったわけであんまり関わりたく無いって話じゃないのか?今だってやってる事が凄いだけで超科学コメディアンな訳だし」
「だとするとどうなんだろうなぁ?一番あり得るのは他の国防系の組織からの編入かなあ?」
の様に色々な憶測が交えられた会話が飛び交っていた。
間もなく時間は13:00を迎えようという時に、声も消え、風の音だけが辺りに聞こえる。
数分前に現れ、マイクの準備をする司令と、準備に駆り出された隊員達を見ながら時間を待つ。
基地の指令が壇上へ上がり、隊の後方から隊長が点呼を取りながら先頭へと進んでいく。
各隊問題ないと、号令が落ち着いた所で司令が一礼するも声をかける。
「迅速な集合御苦労!全員休め!」
「これより入隊式を行う!先に伝えておこう!今から何が起きても特に問題ない!」
「では、新隊員は私の横へ!」
そう言うと、司令の後方から眩い光が噴き出すかの様に天へと昇っていく。
余りの事態に状況を飲み込めないもの、身構えて腰を抜かすもの、既視感からまさかと目を見開くものなどがいた。
不思議と光の眩しさに目を閉じてしまう者は少なかった。
柔らかく、そして暖かい包み込むかの様にある光はやがて集まり人の形を成していく。
一瞬である筈のそれはしかし、永遠とも思える程に、数多の種族が暮らす世界であっても間近で見たそれは幻想的な光景だった。
光が収まる。
「え〜、新隊員のコードネーム"unknown”改め、"knows"、彼の名はノーズだ!」
隊員達が呼吸を忘れて面食らっていると司令が紹介を続ける。
開いた方が塞がらない隊員達を見て事情を知る者達は笑いを堪える者や、そりゃそうだよなと言うように死んだ目をする者など様々だった。
名を呼ばれた巨人は素早く気をつけの姿勢を取ると勢い良くお辞儀した。
因みにその勢いで最前列の者達がビックリして腰を抜かしたり立ったまま気絶したりしている。
『初めまして!紹介に預かりましたノーズです。』
テレパシーが隊員達の混乱した脳に襲い掛かる。
『ご挨拶と共に、私の事を皆々様に…』
そこで語られる光の巨人の驚愕の真実(自己紹介でしかもカバーストーリー)を聞き、驚愕する隊員一同。
さらにさらに、一般的なヤブラツ人と変わらないヒューマノイド形態に変身(こちらが通常)した際には意識を取り戻した隊員達が、再度気絶した。
今日この日から、彼の名は星中に伝わった。
誰もが彼を知る。
平和の為に戦う彼の名を…
アンノウン編終了です。
次回作にご期待下さい。