憧れのウルトラマン(旧ウルトラマン転生短編集)   作:あっ察し

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ウルトラマンの名前が決まらない。
いい加減光の巨人呼びはやめてあげたい。


光の器

惑星ヤブラツでは複合国家であるかの国から広がる謎の黒煙が星全体を覆うように広がっていた。

 

さらにその黒煙に包まれた地域では、大量の灰色の蛾の群が現れ、街灯やビルの光の周りに群がり覆い被さる事で街は完全に暗黒の世界へと化してしまうのだ。

 

原因調査の為、各国のGF支部で連携を行っていたのだが、各国に現れた蛾は光を覆い隠すために基地内に侵入し、設備を次々とショートさせてしまう。

 

惑星ヤブラツはかつて無い程の危機に見舞われていたその時、超兵器によって汚染された惑星ムルロアの大地では不思議な事が起こっていた。

 

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体を暖かい何かが包み込んでくれている。

 

心地よい感覚のまま()は目を覚まし、当たりを見回すけれど、周囲には優しい白い光が広がるばかりで自分が今何処に寝転んでいるかも分からない。

 

確か…、爆発に巻き込まれて…。

 

手足は…、あるみたいだな。

 

いい加減見慣れたこの手はあれ程の爆発に巻き込まれたと言うのに傷一つ無かった。

胸についている命の塊は濃紺色の奥から光が溢れる様に輝いてる。

 

自分が…光の巨人になれると分かった時、それでも自分は何処までもちっぽけ(人のまま)何だと分かった時、命も体も一つ、それなのにまるで2つの命が同居している様な感覚。

 

自分に何度も言い聞かせて来た。

"自分はウルトラマンだから"と言う言葉。

 

目指す姿は沢山あるし、この世界では実際に特撮のウルトラマンと同じ異星人がいる何て当たり前だったし、勿論怪獣だっていた。

 

知っている知識は役に立ったし、光の巨人の体は正直圧倒的で、自分の存在がどんどん膨れ上がっていく様な感覚に高揚感だって覚えた。

 

沢山の人から応援されて、ヒーロー何て言われたり、ありがとうって飛び立つその時にお礼を言われた時は心の底から嬉しかったんだ。

 

でも勘違いをしてた部分もある。

今までは偶々勘違いしたままでいられた。自分はウルトラマンと同じ光の戦士だから今回だってあの人達もわかってくれて実験を中止してくれるから大丈夫だろうと思っていた。

 

けれどそんな事は無かった。

 

ミサイルの発射も、惑星ムルロアの崩壊も止められなかった。

 

あのウルトラマンタロウが敗北し、地球全土を暗闇に包み込んだ宇宙大怪獣ムルロアは奪われた母星の復讐をしにヤブラツへと向かったのだろう。

 

なら、戻らなきゃ行けない。

戻って止めなきゃ行けない。

コレは…私が止めなければ行けなかった事だから。

 

そう思って立ち上がろうと体を起こした瞬間辺りの白い光は散り散りになって離れていった。

 

そうして、一面の焼け広がった大地が目に入った。

空は黒い煙に覆われて、大地光の熱で焼かれひび割れている。そんな大地が何処までも続いている。

 

光の巨人だからこんな風に思うのだろうか?

 

"守れなかった"荒れた大地の光景を見て絶望に落ちていく。

 

暗い気持ちが心に蓋をしてしまう様に思考が出来なくなっていく。

 

『こっちへ来て』

 

何処からとも無く聞こえた声に顔を上げるとそこには光の群れがくるくると渦を巻いてそこにいた。

 

『こっちへ来て』

 

もう一度呼びかけの声が頭に届いて光の群れは皆一定の方向へと進んでいく。

 

足はゆっくりと動いて彼らに着いて行った。

何があるのだろうか?彼らは何だろう?そんな事を今の自分に考える余裕は無くゆっくりと彼らの後を着いていった。

 

ほんの少しの時間だけ、ゆっくりと乾き燻る大地を踏み締めて歩くと光の集まりはそこで止まった。

 

『これを見て』

 

そこにはまだ確かにこの星の命があった。

大きさとしては大型犬くらいだろうか…この巨大な体躯ではとても小さく儚く見える命達。蚕の幼虫のようにも見える彼らはこの星で守り育てられていた命だろう。

 

『あなたのおかげで守れた』

 

この姿では出るはずの無い涙が溢れ出て行く様な感覚がした。

 

頰に伝っていくそれは悲しみの冷たさも喜びの暖かさも含んでいた。

ゴチャゴチャの感情がない混ぜになったそれはこの表情の無い自分の顔に確かに表情を刻んで行く。

 

涙のラインがこの顔に…この姿に刻まれた。

何か変わる訳じゃ無いけれど、このままのゴチャゴチャした感情でもやるべき事はわかった気がした。

 

「ありがとう。生きていてくれて。」

 

光はまた私の周りに集まってあるイメージを見せる。

 

黒い煙を吹き出し悲しみに泣くそれは…ウルトラマンタロウにいたそれよりも蛾の要素が強く出ているが紛れもなく宇宙大怪獣ムルロアだろう。

 

『彼は悲しくて怒ってる』

 

『助けてあげて!』

 

『帰って来て欲しい』

 

この星を包む白い霧は彼がこの星の命を守る為に出した結界だったのだろう。

 

沢山のイメージが私の中に流れ込む。

純白の姿をしているムルロアはあの光に焼かれてしまった。

 

美しい羽もやわらかな体毛も全てが煤けて黒く染まってしまっていた。

吹き出す煙はこの星の命を蝕む黒煙に変わり、この星にはいられなくなってしまった。

 

沢山の同胞が彼と同じ様にこの星にいられない姿になってしまったのだろう。

だから…復讐に向かった。

居場所を穢され、自身らは故郷を離れなければならないような体にされてしまった。

 

それでも故郷の同胞は彼らの帰りを待っている。

だからこそ、その思いを…、優しさ()が力になる。

決意を込めて拳を握る。

 

「必ず…、必ず連れ戻します。」

 

光の巨人としてでは無く心からの言葉。

 

決意を聞いた光の群れは天に登る。

そうして出来た光の柱はやがて光の巨人を包み込み巨人の頬に出来た涙のラインに

眩しい金色が宿る。

体の赤銀のラインを縁取る様に金色のラインが駆け巡る様に現れ、巨人は黄金の輝きを放ちながらそこに立つ。

 

その両の手を空に翳すと、やがて巨人から大きな光の本流が天へと向かって溢れ出す。

 

 

「この星の優しさ()を受け取ってあの空を晴らすなんて…まるで本当に×××みたいだな。」

 

黒煙に侵された空まで伸びる光の本流はいつしか黒煙に大きな渦を作った。

多大な汚染物質を含んだそれは段々と浄化されていき元々の白い霧へと姿を変えていく。

 

霧の隙間からは光が所々差し込みその下を見れば大地から命が溢れ出す。

 

『この星は、大丈夫』

 

『あなたが来たから大丈夫』

 

『ありがとう×××!』

 

 

光の巨人はこの星の光に向かって頷くと背を向ける。

 

ムルロアに星の思いを届けるメッセンジャーとして、命を守る戦士としてまた立ち上がり飛翔する。

悲劇を止める為に、手遅れになる前に彼は飛び立つ。

 

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ここは彼の国にある避難シェルターにて一人の男が呟く。

「私は何を間違えたのだろうか?」

 

男がポツリと呟いた言葉に周りにいる黒服の者たちでは言葉を返す事も出来ない。

この男こそが今回の超兵器実験を強行させたグループの実質的のリーダーであり、複合国家の副大統領でもある男だった。

 

大統領は現在元防衛チームの一員という事で、本来リーダーを務める筈の隊員と連絡が出来ない状態にある為急遽国家の奪還作戦にリーダーとして参加する事になっている為不在だ。

 

「何故、何故こんな事になってしまったのだろうか。」

 

男の言葉に誰も答える事はしない。

ただ男は絶望に打ちひしがれるしか無いのだ。

 

何を間違えたかと言えば大統領や強硬派の裏切り者、よく言えば密告者によって彼の行った不適切な惑星調査と超兵器発射時の強行姿勢はここにいる皆が知る所であった。

 

男はただ自らの行為により望まない結果になった事が整理出来ていないのだ。

だがその男は今尚副大統領の地位にいた。

 

「何故誰も私を罵倒しない…。何故誰も私を見ない…。何故誰も私を罰しない。」

 

男は罰を欲していたのだ。

 

自らが招いたこの星の危機と言える事態に誰もが漢を責める筈だった。

だが、誰も彼に文句を言う者はいない。

 

そもそもだが、今避難を行なって来た人々にそんな暇は無いのだ。

友を、家族を、同胞を大切にするこの星では今の状況で彼を罰する暇などない

のだ。

 

一人のピット星人の子供が男の元へとテクテクとやって来る。

護衛の一人が動き子供を止め、どうしてこちらに来たのかを聞く。

 

「おじさんの顔が元気が無いから心配なの。」

 

何も知らない純粋な子供は彼の様子を見て心配している様だ。

そう遠くない距離で子供が言ったその言葉は男の耳へと届いた。

 

「だからね、私伝えに来たんだ!また巨人さんが来てくれるから!きっとまたお空が見える様になるからって!」

 

気づけば男の目からは涙が溢れていた。

自分が何の為にこの国の副大統領にまでなったのか。

 

それは守りたかったからだ。

 

男にはいつも人々の幸せを守りたいという思いがあった。

今回の実験を強行した理由に関しても、それはこの実験により兵器のデモンストレーションを行い、その威力にて抑止力化を狙っての事だ。

 

だが、何処かで男は凝り固まってしまった。

最短を求め過ぎてしまい最善を尽くす事が出来なかったのだ。

 

何て、何て情けの無いことだ。本当に…本当に情け無い。

後悔の念は断ち切れないが、だが、今は開き直ってでもやらなければならない事がある。

 

ひとまずはあの子供には御礼を伝えよう。心配してくれてありがとう…と。

 

男は頭の中で今行うべき事を考える。

今は罪の意識に苛まれている場合では無い。全てが片付いてから罰を受ける。

そう決めて男は思考を巡らせていた。

 

「確か…このシェルターには一昔前前の通信設備があったな。私にも出来る事がありそうだ。」

 

 

 

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場所は代わり、此方は生存者の捜索と救出の為に作られた仮拠点へと移る。

 

「大統領!生存者の大多数の身元確認と避難が確認出来ました。

シェルター内の倉庫に埃を被っていた骨董品ですが、国内であれば何処でも通信は可能です。

親機もシェルター内にある為通信妨害の影響は遥かに少ないと感じます。」

 

「そうか!副大統領はやってくれたな!あいつはいつも皆んなが忘れてる事とか覚えてくれてるし、頭も回るから頼りになる。

後今は私は大統領では無いぞ!全権は副大統領に丸投げだからな!

全隊員に連絡だ!今から私の事は隊長と呼ぶ事!

破ったら罰ゲームだ!急いで救助に向かっている隊員達と情報を共有しろ!

遊ばせている人材がいないかチェックだ。」

 

「了解であります!大統…隊長!更に良い報告があります!

こちらはGFの戦闘用航空艇のスカイホエールが向かっているとの報告が上がりました。

連絡の取れない状況下でありながら危険を顧みずに向かって来てくれた様です。

ですが、蛾の群れも現在スカイホエール目掛けて集まっている状態です。

このままでは航行中に被害が出る可能性が高いです。」

 

「成る程、とりあえず副大統領に指示を仰げ!私の頭では群れに強襲をかけるか町の明かりを無理矢理灯して気を引くぐらいしか思いつかないが、そもそも細かいやり方はアイツに任せた方が上手く行く。」

 

「了解であります!」

 

そう、実はこの国の大統領や、国民にもそれなりに問題はあったのだ。

皆んな副大統領を信頼し過ぎていた。

だから彼の事を止める声が少なかった。大統領も副大統領のやる事に口を出さなかった。

信頼によって起きてしまった悲劇、そしてそれが惑星全土への危機へと繋がってしまった。

 

そして、誰もムルロアの憎悪と悲しみの強さを誰も理解してはいなかった。

 

 

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キリマ

「コンダ長官、やはりあの生物は例の実験の影響で現れたと思いますか?」

 

キリマの言葉にコンダは少しの間を置いて答える。

 

コンダ

「あの怪獣が地球へ降りた方向や宇宙に残る有害物質の濃度が観測出来る範囲では惑星ムルロアの方向と同一だった。

あの黒煙のなかにいる存在がムルロアから来た可能性は高いだろう。」

 

キリマはコンダ答えに目を瞑り、苦虫を噛み潰した様な顔をした。

 

キリマ

「彼は…、どうなったのでしょうね…。

惑星ムルロアの破壊は彼により防がれた様です。

観測班は兵器が効果を発揮した後にムルロアの周囲を探索しましたが、ただそこにあったのは黒く染まっていく霧に包まれた惑星がそこにあっただけの様です。」

 

コンダ

「そうか…。」

たったそれだけの言葉…、その中に含まれるのは悔恨や諦観、自己嫌悪にそんな負の感情がゴチャまぜになっているのが伝わった。

 

二人が、その後も外の暗い空を睨みつけながら見ている所へオオダが現れる。

オオダは張り詰めた雰囲気に思わずたじろぐが、キリマとコンダに一部通信回線が復旧したのを報告した。

 

オオダ

「長官、隊長、お二方にほ、報告します、彼の国との通信が回復した様です。

現在状況把握を行い首都奪還の作戦を検討する為一度ブリーフィング室へ移動をお願い致します。」

 

オオダの言葉にキリマとコンダは短く了承の意を示す。

この時オオダはメチャクチャ冷や汗が出ていたのであった。

 

 

 

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「こ、これは!」

 

ここはGFヒノモト支部にある他惑星の観測と研究を行う施設である。

現在ここの最高制度の天体観測用望遠鏡は、惑星ムルロアを常に観測し続けていた。

そして、その惑星ムルロアにとてつもない変化が起き始めたのだ。

まず、星を包む黒い雲の一点からまるで吹き出す様にそれは漏れ出した。

 

それは光の飛沫だった。

 

そしてその光は波の様にゆっくりと惑星ムルロアに広がり、黒い雲を洗い清めていったのだ。

 

この場にいる職員達は今自分たちが見ているのがどんな現象で、何をしているのかは理解出来なていない。

 

だが、あの星で奇跡が起こっているのはわかる。

 

あの光は、優しく輝いている。

 

この場にいる彼らはあの巨人の最後を知っている。

爆発に飲まれ、その存在が跡形もなく消えてしまう所を見ている。

だから、涙を流す者もいた。

口を押さえ、嗚咽を漏らす者。

 

何度も目にした見返りを求めず、ただ寄り添い、悲劇を終わらせてくれるあの巨人がこの奇跡を起こしていると理解出来るから。

 

やがてその輝きは星を覆いつくした後、ゆっくりとその光を薄れさせた。

 

そして、元の綺麗な白に戻った星がそこにはあり、その星から銀色に輝く光がその残光を伴って飛び出す。

 

その使命がどんなに辛く、困難でも彼はそれを果たす為に行動するのだ。

それが"xxxxxx"だから。

 




次回やっと戦闘シーン。

主人公ちょっとだけ強くなってますが、デフォルトが強化されただけです。
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