記憶はない。人間性も若干ない。元気しかない。   作:ささかま

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シノブちゃんちです

シノブちゃんと会った日

 

今日もわたしは元気でした。

遭難生活に飽き出して生み出していた虚無にちょっときょむきょむしてましたが。元気です。

ここは日本だそうです。聞いた事あるような、無いようなかんじですね。

シノブちゃんに聞きました。ロストっぽいけどロストでない奴は、鬼と言うそうです。頑張って手帳に書こうと思いましたが、いっぱいなんで、あとで貰った別紙に書いておきました。

挟んでおくから、忘れたら見てくださいね。忘れたわたし。

 

ここにはレヴナントを生み出す技術はなくて、人間が鬼と戦っているそうです。だいぶやべぇと思います。

でも鬼は日の光に晒されたり、特別な剣で首を刎ねれば本当に死ぬそうです。ロストになったら心臓を潰しても再構築されるロストより救いがあると思います。

鬼にも人間にもそれは救いだと思います。未だ自我を持っているわたしは元気です。

 

なのでわたしは人類が減らない様に鬼を殺す事にしました。あと単純に血涙が無いので、鬼から吸血するのが手っ取り早いかなって。冥血も貯まって渇きも治まるとか、すっこいお得感あるよね。

 

でも山のは意図的に集めて利用する用だったらしいので、吸血したら駄目なやつだそうです。

それにしても鬼は兵器への転用も難しそうな、なんといか、活用が難しそうです。

 

腕輪の子知らない誰かがわたしたちを運用が難しい、難儀な生き物と言ってた気がしました。

 

取り敢えず鬼が存在する間は鬼の食べ歩きツアーをして、人間の代わりにいっぱい殺すことにしました。けど、山から下りる道だけ聞こうと思ったら、シノブちゃんちにお世話になる事になりました。

 

わたしの見た目が大分死体なのと、組織の兼ね合いもあるそうです。大変だね。

臨時総督府は、従わないグループも点在するし、反発もあるし、あの世界を埋める大きな組織なのに、だいぶがばがばしてたけど。

それとまたいっぱい質問をされました。答が分かっている事は話せたけど、良く分からない事は答えられませんでした。

 

『レヴナントが人間を襲う可能性』を聞かれたけど、分からないとしか言いようがない。

そもそも誕生経緯は『人類の存続の為』ただし欠陥として『同族の血を欲する』となっている。存在意義的には人間を襲えない。まあこっそり『飼ってる』グループは居る。し、そもそもその存続させたかった人間が殆ど居ない。だから、みんな、血涙を求めて這いつくばって蹴落として、奪い合ってたから。

もし血涙が何も無くなって、人間だけが居るとなると、多分レヴナント同士で殺しあいが始まるんじゃないだろうか?

というか、そんな血涙0の環境とか、最早人間生きてないんじゃない?ロストで溢れかえってそう。

つまり、分からん。

シノブちゃんの意図的に、殺すか、であればきっとNOですね。レヴナントは人間を殺すことは無いとおもいます。

分かんないけど。だって堕ちたらレヴナントも人間も関係なく襲うし、自我が有ったら感情は人間と同じだから何か怨恨とかで殺人事件とかあるだろうし。

知らん!

 

まあいや。良く分からなくてもわたしは今日も元気でした。

 

シノブちゃんちは女の子ばっかりでした。みんなちっちゃくて可愛いです。わたしはでかいので羨ましいです。というか多分日本の人みんなちっちゃめです。日本の家天井低くて手を上げて軽くジャンプすると簡単に指が刺さります。刺さりました。怒られました。

あと布団から足がでます。

 

明日も元気です。

 

 

 

 

 

 

 

シノブちゃんちの最初の朝の日

 

わたしは客観的に見ると本当に死体っぽいみたいです。

シノブちゃんちの子(日本の人は年齢不詳で、シノブちゃん『の』子?と確認したら笑顔で脇腹どつかれました。まだぎり16歳だそうです。内臓に衝撃がきました)の年少な子達に全力で怖がられました。

でかいせいかと思いましたが、幽霊っぽいから怖いそうです。こんなに元気な幽霊は居ないと思います。

わたしは元気です。

 

こんな陽気な幽霊はいないと示す為に、元気に踊ってまた天井に刺さりました。怒られました。

その後いっしょに外で踊った。楽しかったです。

 

ところでぎり16歳って事は誕生日近いのかな?何月何日だろ。わたしは自分の誕生日も命日も蘇生した日も知らないけど元気です。

 

シノブちゃんの弟子っぽい子たちも何人か居るけど、今は皆どっかに鬼ぶっ殺しに行ってるそうです。わたしが代りにやるのに。

あと、アオイちゃんという子とめっちゃ消毒用の綿千切って丸めたり、洗濯の仕方とか教わりました。医療施設って洗濯もの多いよね。軍事施設も地味に多いよね。あとシノブちゃんちの薬品何か古めかしい。とっくに後発品出てるのとか多い。日本ってどんなとこなんだ?と首をかしげました。

 

カナヲちゃんはいっぱい聞いた事に答えてくれます。

最初は元気に挨拶しても、スルーされました。悲しいです。シノブちゃんが『記憶がない人だから、知ってる事は教えてあげて』と説明したら、知ってる事は教えてくれました。

 

どんな小さな記憶でも、沢山あれば死んだ時大事な記憶が残る可能性が上がるかも、と言って居ました。みんな色んな事を教えてくれたり、物の名前を教えてくれました。

 

お礼にわたしの知ってる事も教えてあげたかったけど、わたし何も覚えてなかったや。

なんか役立ちそうな事と思った結果、テルミット焼夷弾の作り方を教えてあげました。

怒られました。

 

一日でいっぱい色んな事を記憶しました。記憶が増えて嬉しいです。今日も元気でした。

 

 

 

 

 

最初の日の夜

 

今日の記録を書いた後に、シノブちゃんと鬼を殺しに行きました。人間は死んだら死んじゃうから、わたしだけでいいと思います。

でも、鬼は日輪刀で首を切らないと死なないので、わたしだけだと殺すのに朝までかかるし、今のところちゃんとした処遇が決まってないから、絶対付き添い居るらしいです。

面倒だね。

あと山に居たのは凄く弱い奴だから、わたしがうっかり死んで記憶無くなってそのままどこかに行かない様にだって。

 

そんな感じで、二人で行って、元気に二人で帰ってきました。

 

首切らないと殺せないって言ったのに、シノブちゃんも首切れない人でした。でもヴェノムがえぐいレベルで削り切ってました。多分、シノブちゃん付与のヴェノムくらってる鬼から吸血牙装なしで直でいくとわたしも付与されそうな位でえぐいよあれ。でも気になるから今度ちょっと舐めてみます。アンチヴェノム持ってないけど。というか何も持ってないけど。杭と元気と基本的な装備しかもってなかったな、わたし。

 

山にいたやつは、弱いから吸血したあと日が昇るまでに回復出来なくて死んだらしい。

と言うのはシノブちゃんの考察です。吸血した後に首を落とすように、包丁位でいいからその日輪刀とかいうの欲しいなと思いました。

 

それと、なんだか今日の鬼は山に居たのより冥血が多く取れました。でも渇きが癒える、潤う感じがちょっと少ない気がしました。

不思議です。

 

 

 

 

 

 

 

 それはまさに『鬼』だった。

 

 夜陰に浮き上がる真っ白な輪郭は、人ならざる者だという事を誇示している。白濁してはいるが、人懐っこく細められ感情を如実に表していた瞳が赤く発光する。

 蒼白いを通り越し、死蝋の様相でありながらもころころと表情を変えていた顔を不気味な鬼面が覆う。

 

 それが吸血鬼という者の能力なのか、仕組みはこの国の誰にも理解出来ないが、ゆらりと長く垂らして居あ襟巻が金の粒子に解けたかと思うと、獣が爪を立てる様に地面を穿つ。すると地面から地獄の針山の様に、数多の剣が突き出し距離詰めて来た鬼を串刺しにする。

 

 暗赤色の飛沫が四方八方に吹き散り、鈍い雨音を響かせる。

 

 全身を串刺しにされ、突き出た剣が引っ込めば、刻まれた身体がバラりと散らばる。

 勿論不死と見紛う治癒能力を持った鬼が、それで死ぬわけはない。近くに転がる部位が癒着し始める。だが吸血鬼は間髪入れずに、どうやってか派手に燃える炎を放つ。

 

 まるで鬼共の使う血鬼術の様だった。

 

 肉の焦げ付く臭いと酷く汚い悲鳴が響く。溢れる血が業火によって蒸発する音と、独特の臭いが空気に流れる。

 真っ白な吸血鬼は、自身の足元の炭化した肉塊を見下ろす。死んでは居ない。

 

 彼女が藤襲山で『牙』を突き立てた者は、大体からだがばらけれると目視では判断できない程ゆっくりとした修復しかできず、日の出と共に死んで居た。

 

 だが今目の前の鬼は骨まで炭となりながらも、目で見て分かる程に修復が進んでいる。

 哀れな事に。

 

 未だ異臭を発する骨や肉が結合し、瑞々しさを取り戻そうとしていく様を目撃した吸血鬼は、再び炎を放つ。喉は焼けたままだったのか、今度は悲鳴が上がらなかったが、繋がりかけた四肢が滑稽に宙を掻いた。

 

「お腹は膨れましたか?」

 

 地獄の刑罰の様な光景を、笑顔の形を張り付けて眺めていたしのぶが尋ねる。

 

「お腹は変わりません! なんというか、乾きとしか! あと山でいっぱい吸血したので! 特に変化はないです! あ! でも冥血はいっぱい貯まりました!」

 

「レブナントさん達は、思ったより小食なんですね。その冥血と、練血でしたか? もう少し詳し聞いてもいいですか?」

 

 そろそろこの無駄に明かるく声の大きい吸血鬼に慣れた、というよりも諦観を抱き始めたしのぶは静かに、殆どの刃の無い刀を抜き鬼にトドメを刺す。

 本当に憐れな事に、彼女の戦法により、それは慈悲の刃とは成らない。

 

「はい! 良いですよ! あと血は主食ではなくて! 自我を失わない為の薬みたいなものなので! 耐えられるって程度なら、結構少量でもいけますよ! 限界が来ると、知らない間に堕ちるかもですが!」

 

 偶然彼女達に当ってしまった鬼が、漸く息絶えた。

 

 




レヴナントちゃんの日記は大分がばがばで、自分の感じた事しか書いて居ません。消す方法は線を引く位です。
記録の方は当人の性格とか印象と結びつかない程、客観的に淡々と記録されていえちょっとキモイです。
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