女子高が共学になったから通ってるけど、男子俺しかいなくね?   作:kiri kiri

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2話 男の子は女の子の事を放っておけない

「ゆーくん、明日の放課後は何かあるの?」

 

 

近江先輩の数学を教える約束を取り付け、帰ったら夕飯を作って待っててくれた幼馴染。

助かるし可愛いし……はぁ…しねる。

 

そんなありがたく、美味しい夕飯を食べた後にもはや恒例となった一言を言って来た

 

 

「明日は……勉強会?と言うか、場所確認かな?」

 

「勉強会?場所確認?」

 

「あー…なんか昼寝してたら先輩に声をかけられてさ、まぁ会話してくうちに勉強を教えてほしいと」

 

 

嘘は…言ってるが流れは大して変わらないはずだ。まさか一緒に寝てたとか言えない。いらん誤解して面倒なことになる未来しか見えないのだ

 

 

「ふーん……それで場所確認って?」

 

「その先輩はどうやらスクールアイドル同好会に所属しているらしく、場合によっては部室で勉強会になるかもしれないから場所確認だね。あとは同好会メンバーに変な誤解を受けないように軽い自己紹介をと言う感じだよ」

 

 

「そうなんだ……スクールアイドル同好会……

そう言えば聞いたことある!確か優木せつ菜ちゃん?って娘がいて、凄く人気があるスクールアイドルなのに学園でその姿を見た人はいないんだって!学校の七不思議の一つらしいよ」

 

 

「へぇ……そんな面白い噂が」

 

 

学園でその姿を見た人はいないか……まぁ同好会メンバーを除いてだろうけど、妙な噂だな。まぁ明日行けばその噂の優木せつ菜さんとやらにも会えるかもな。

てか、七不思議の一つって、残り六つが気になるわ

 

 

「ところで…そのスクールアイドルをやってる先輩ってやっぱり可愛い?」

 

 

「ん?…ああ、アイドルをやるには十分な容姿にスタイルだと思う」

 

 

「そ、そっか……」

 

 

「……まぁ、歩夢もアイドルをやるには十分すぎる容姿とスタイルだと思うよ」

 

 

「へ?……え、そ、そうかなぁ?///」

 

 

「ああ、歩夢は十分可愛いよ」

 

 

「そ、そっか〜///…」

 

 

この後歩夢がしばらく上の空になってしばらく反応がなかったのは別のお話

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ〜…お待たせ〜」

 

「お待たせと言うほど待ってはいませんよ。では行きましょう」

 

 

約束をした翌日の放課後。俺は件のスクールアイドル同好会の部室へと向かうべく、近江先輩と合流した。ちなみに歩夢は今日も今日とて夕飯をご馳走してくれるらしい。マジでしねる!……と言うは置いておくとして、しばらく近江先輩の案内で歩いているとスクールアイドル同好会と書かれた部室に到着した。

 

 

「さてさて…カギは……開いてるね〜。もう皆んないるのかな〜?」

 

「あー…近江先輩。俺は扉の横で仲が見えないように立ってるんで、先に入って安全を確認してから呼んでください」

 

「ほえ?…」

 

「いや、あの…俺男子なので」

 

こう言った配慮は俺にとって超必須スキルなのである!だって周りはほぼ女子しかいないんだもん!他の部活の手伝いとかでもこう言った紳士的に行動しなければ男子である私目は確実に抹殺されてしまうのだ。もし着替え中を見てしまったその日は切腹するしかないのだ

 

 

「ん〜?……あ〜!…着替えの事かな?大丈夫だよ〜ちゃんと更衣室があるから〜」

 

「そうなんですか、なら安心ですね」

 

「そう言うわけだ〜…と言うわけで久しぶりに彼方ちゃん参上〜!……あ」

 

「失礼しま…」

 

 

先輩から更衣室があると聞き俺は安心して近江先輩へと続き部室へと入った。

そう……この時俺はある一つの可能性を忘れていたのだ。

この虹ヶ咲学園と言う学園は、元々女子校だったためか極端に男子が少ない…って言うか今年入ってから俺以外の他の男子生徒を見た記憶がない。

つまりは9割……いやもはや男女比の99%を女子生徒の割合で占めていると言っても過言ではない。つまりはほぼ女子校。

もはやセクハラ的行動を男子から働きかけられると言う事がほぼない環境が整っているのだ。

 

 

故に……わざわざ更衣室で着替える必要性が皆無なのだ

 

 

この結論に至れなかったのは油断としかいい用がない

 

 

フッ……………………完全にフルハウス

 

 

 

 

 

「あ、ああ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ////」

 

 

 

 

 

 

「すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

とにかくダッシュで部室から出て行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ〜…まぁ、と言うわけでして……後輩くんはちゃんと危惧していたから今回は彼方ちゃんが全面的悪いから……」

 

 

「いえ、近江先輩………この不詳、伊波結衣はどんな経緯があれ見てはいけないのものを見てしまいました。煮るなり焼くなり好きにし下さい」

 

 

俺は部室を飛び出した後、いろいろと落ち着いてから再び部室に入ってひたすら一年の後輩である中須かすみさんの前で正座し、土下座していた。ちなみに近衛先輩もほぼ同罪なので一緒に正座して謝っている。流石に土下座まではしてないけど

 

 

「はぁ……いえ…今回はかすみんにも非があります。ほぼ女子生徒しかいないとはいえ一応共学校ですし……でも男性の方がいるなら一応ノックくらいしてほしかったです!///」

 

 

 

「面目ないよ〜…」

 

 

「煮るなり焼くなり…「それはもういいですから!」

 

 

「あ、はい。スミマセン」

 

 

「とりあえず先輩の誠意は伝わりましたし、彼方先輩も謝ってくれました!そして私にも非がありました!なのでこの件は忘れましょう!特に伊波先輩は!いいですね!」

 

 

「「は、はい!」」

 

 

「分かればいいです。とりあえずテーブル席に座って下さい」

 

 

中須さんの示すテーブル席に腰を下ろしてようやく一息つく。

マジで煮るなり焼くなり切腹なりを考えていたが良かった……まだ命は切り捨てる必要は無さそうだ。マジで寛大な後輩ちゃんで良かった良かった……ちなみだが、そんなにしっかりと目撃した訳ではない。せいぜい下着の色を……いや、忘れなくては!今の思考すら無かった事にしなくては!

 

 

 

 

「で、です!まぁいろいろありましたが、彼方先輩!どうして最近来てくれなかったんですか?」

 

 

 

おぉ…そうだ。いろいろありすぎて忘れかけてたが、元々の目的があったんだ

 

 

 

「い、いや〜…最近勉強の方が著しくなくてね〜……彼方ちゃんはしばらく勉強に打ち込んでたんだよ〜…ってあれ?言ってなかったけ〜?」

 

 

「あー…確かに勉強が大変だとは言ってはいましたが、しばらく来ないなんて言ってません!」

 

 

どうやら近江先輩はどこか抜けてる部分があるみたいだな……

 

 

 

「ご、ごめんなさい……でも、もうすぐ本格的に戻ってくるからもう少し待っててね〜」

 

 

「まだ戻って来てくれないんですか!?勉強上手くいってないんですか!?」

 

 

「いや〜…数学以外は何とかなりそうなんだけど〜……数学は自力では難しくて…そこで数学を教えて貰えるように後輩くんに頼んだのだ〜!」

 

 

「な、なるほど。それで伊波先輩に…って先輩は二年生ですよね?三年生の範囲が分かるんですか?」

 

 

うむ、まぁ当然と言えば当然の疑問だな。まだ一年生で日が浅いだろうし気がつかないのも仕方ない。

しかしこれもこの学園ならではの特徴である。

学科の種類が多く、それぞれの科目の範囲や進行速度に違いがあるからこそである。

科目によっては一年生が三年生を教えることも不可能ではないのだ

 

 

「まぁ三年生の教科書を見た感じね。ライフデザイン学科と普通科で進行速度や範囲も違うおかげで何とかね」

 

 

「なるほど!そう言えば学科の違いがありましたね!」

 

 

「まぁそう言う訳で〜…場合や日によっては部室で勉強したいと思ってるんだよ。いいかな〜?」

 

 

「まぁ別にお休みの日なら構いませんが…」

 

 

「ありがと〜う!………ところで〜…他のメンバーはどうしたの?」

 

 

「………………」

 

 

俺も最初からずっ〜と思っていた疑問を先輩が中須さんに聞いてくれたが、返事は無言で暗い表情だったが……どうやら意を決したようだ。

これまた面倒事みたいだな……

 

 

 

「…………今はかすみん以外のメンバーは、今日来てくれた彼方先輩を除いて誰一人来ていません………そしてこのままだとスクールアイドル同好会は…月末で廃部になってしまいます」

 

 

「なんですと!?」

 

 

「………」

 

 

事態は俺が思っていたよりも深刻なようだな。

仲違いだけだと思っていたが、まさか廃部なんて言葉が出るとは予想外だ。

それに月末までか……あまり時間はない。

まさに廃部寸前か

 

 

「か、かすみちゃん、なんでそんな事になってるの?」

 

 

「……皆さんが来なくなった理由は…方向性の違いだと私は思ってます。私達って中々意見が揃わなかったじゃないですか?」

 

 

「確かに…」

 

 

意見の食い違いか……まぁ個性と個性がぶつかり合った時に必ずしも、良い化学反応を起こすわけじゃない。

こうして悪い結果になる事だって別に珍しくない

 

 

「一人しか活動してない同好会を同好会としては認めらないと生徒会長に言われました。でも皆んな退部したわけじゃなくて、何か理由があってと言ったんですけど……あの堅物会長は容赦してくれませんでした」

 

 

堅物会長って………まぁ、中川さんは成績優秀で人付き合いも悪くなく生徒会の業務もしっかりと真摯にこなしてるイメージが俺にはある。困ってる部活や同好会に対していろいろと助言したり、出来うる範囲で協力し、問題と一緒に向き合っている筈だ。

 

……中須さんと中川さんの会話を直接聞いたわけじゃないが……中須さんの話してる雰囲気的にどうにも冷たく当たってる感じがある。

 

何か少し擁護する言葉はなかったのだろうかと疑問に思うが……さてさて、俺がこの問題に首を突っ込んでいいのだろうか?

 

 

 

「う〜ん…でも皆んなが戻って来てくれたら解決するんじゃないかな〜?」

 

 

「やっぱりそれしかないですよね……よし!

正直気まずくて今まで聞けてませんでしたが、一人一人話を聞きに行きましょう!彼方先輩のように何か問題があれば一緒に解決して絶対に戻って来て貰います!」

 

 

「うんうん…元気が出たみたいで何よりだよ〜……本当にごめんね、しばらく一人にしちゃって」

 

 

「全くですよ〜…でも、やっぱり思ったとおり何か問題を抱えていただけですもんね!」

 

 

うむ、なんだかいい感じで話がまとまってきたな。それに何だか中須さんと近江先輩の絆が深まった感じがする。

なんかこう言うの部活や同好会ならではの青春してるな〜と感じますな。さて…部外者はお暇しますかね

 

 

「近江先輩、どうやら勉強は同好会の存続が決まってからの方がいいみたいですね」

 

 

「そうだね〜…とりあえず同好会を存続させなくちゃいけないし〜」

 

 

「頑張って下さい。勉強の日取りは連絡してくれた時に調整して決めましょう。それじゃあ中須さんも頑張って、応援してるよ」

 

 

俺はそう言って。立ち上がってリュックを背負い、部室を後にしようとした……が

 

 

「あれ〜?……後輩くん?」

 

 

ガシッと近江先輩に腕を掴まれてしまった。

ふむ、何かめちゃくちゃ力入ってないか?

わりと痛いです

 

 

「あの……先輩?不詳、伊波結衣なぜ引き止められてるのかわかりません。先程までの流れだと、これから二人で廃部寸前の同好会を復活させよう!おー!的な感じで、必死の説得で、バラバラのメンバーの元へ行き、最終的に上手くいってキラキラッとした青春を謳歌する流れだったじゃないですか!?俺が入る隙など一ミリもなかったと思うんですが!完全に部外者だったんですが!」

 

 

「そうだったかな〜?彼方ちゃん、ちょっとわかんないや〜?かすみちゃんは?」

 

 

「かすみんも〜?先輩が何言ってるか全然わかりませ〜ん?」

 

 

ふむ、何かこの娘急に喋り口調があざとくなったな……まぁ元気を取り戻した証拠なのかもしれないが

 

 

「いやいや…あくまで俺は近江先輩の勉強を教える目的でここに足を運んできただけなんですが…」

 

 

「可愛い可愛いかすみんがこれから頑張るんです!それにここまで話を聞いたからには先輩も協力してくださいよ〜」

 

 

「うんうん…どの道このまま廃部になったら勉強教えて貰っても頑張れる気がしないし……彼方ちゃん的には後輩くんに頼ってばかりで申し訳ないけど〜…」

 

 

「………」

 

 

「お願いだよ……後輩くん…」

 

 

 

俺は……基本的に女の子の頼み事やお願いを断る事はない。

あ、別に下心がどうこうではない……多分。

まぁ、内心面倒だし嫌だなと思う事は多々ある。

まぁ信頼や信用を得たいが為にと言う理由があるにはある。

少々偏見が過ぎるかもしれないが…断って、嫌な噂とか流されるのが怖いのもある。でもそんな理由は二の次だと思ってる。

思ってる……思いたい………いや実際頼りないとか噂流されたりするとメンタルやられるし辛いけど……内容次第では断るし、予定が重なったりしても流石に断る。

と、とにかく二の次なのだ!

 

 

まぁ結論を言うと……俺が放っておきたくないだけだ

 

 

「わかりました……まぁ可能な限り協力しましょう」

 

 

「ありがとう〜!後輩くん!…」

 

 

「うお!?」

 

 

突然近江先輩に抱きつかれて床に倒れ……そうになったがギリギリ踏ん張って抱き止めることに成功。

そしてあかんアカン!男の子に不用意に当たっては行けないものが当たってるんですが!?

 

 

「ちょ、彼方先輩!?」

 

 

「本当にありがとう……後輩くん…」

 

 

「いや、えっと…感謝の言葉なら全てが解決した時にして下さい。まだ何も解決してませんよ」

 

 

「大丈夫だよ〜…後輩くんがいればきっと」

 

 

一体何を根拠に言ってるのやら……と思うが口にするのは野暮だろう。

先輩が期待してくれてるのであれば全力で応えるのみだ。

 

 

「彼方先輩!伊波先輩!そろそろ離れて下さい!思い立ったら即行動です!」

 

 

「おっと……ごめんごめん…つい…」

 

 

中須さんの言葉にはっとしたのか、近江先輩はゆっくりと離れていった。

とりあえず…いろいろ凄かったと、それだけ言っておこう。

 

 

「で、中須さん。先ずは誰から声をかけるんだい?」

 

「あ、先輩!これからは共にスクールアイドル同好会復活を目指す仲間です!なのでかすみんの事はかすみん♪と気軽に呼んでください」

 

 

かすみんか……まぁ、本人が希望するのであれば別にそう呼ぶのも…仕方ない。

若干距離が近い気がするが……本来彼女には事故とは言え嫌われても仕方ない出来事があった。にも関わらず、こうして角質なく接してくれてるのだ。

俺は気にするなと言われたものの、割り切れない部分があったが……それは彼女に対して失礼だろう。

彼女から歩み寄ってくれるなんて俺からすればありがたい事この上ないのだから。

 

 

 

「わかった…かすみん…でいいんだな?」

 

 

「!?……はい!」

 

 

何かちょっと驚いてた気がするが…まぁ気のいい返事が返って来たし大丈夫だろう

 

 

「後輩くん…かすみちゃんの事あだ名で呼ぶんだ〜…じゃあ彼方ちゃんの事も名前で呼んでよ〜」

 

 

まぁ…勉強の事もあるし、先輩とは長い付き合いになりそうだ。

先輩からそう言ってくれるのであれば、やぶさかではない

 

 

「先輩がそう言うのであれば…彼方先輩」

 

 

「うむ〜…じゃあ話を戻そうか…かすみちゃん」

 

 

「…そうですね!先ずはしず子から行きましょう!と言うわけで演劇部のいる講堂に向かいますよ!」

 

 

ん?……演劇部?今演劇部と言ったのか?

てか演劇部にメンバーがいるの?

 

 

「えーと……演劇部?」

 

 

「はい、演劇部です!」

 

 

 

そうか……虹学はめちゃくちゃ広い学校なのだが…思ってる以上に俺の世間は狭いようだ

 

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