女子高が共学になったから通ってるけど、男子俺しかいなくね?   作:kiri kiri

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5話 男の子は珍しく女の子の頼みを断る

コンコン______

 

 

「どうぞ、お入り下さい」

 

「失礼します」

 

 

スクールアイドル同好会から半ば逃げる様に俺は生徒会室へとやって来た。

どうやら生徒会長以外のメンバーは出払ってるみたいだな

 

 

「っ……伊波くん」

 

「こんにちは中川さん。あ、今は中川会長と呼ぶべきだったかな?」

 

「他の生徒会役員がいれば会長と呼ぶべきだと思いますが……今は他に人もいないのでお好きな方で構いません」

 

「そうか…じゃあいつも通り中川さんで。何か、会長と呼ぶのは堅苦しい気がするし」

 

「そ、そうですか……それで、今回はどうしたんですか?此方から頼み事をお願いしてはいなかった筈ですが…」

 

 

生徒名簿を見せて欲しいとお願いに来たのだが、そうだな……本題に入る前に前から気になっていた事を聞こうかな?

 

 

「中川さん、実は今俺はスクールアイドル同好会の廃部の危機を救う手伝いをしているんだ。それで___「知ってます」

 

「___へ?」

 

「っ………………すみません。どうしたなんて質問は野暮でした。伊波くんがここに来た時点でほんとんど察していました」

 

 

「マジか…」

 

 

なんと!全てお見通しだったとは……流石は我らが生徒会長!と言えばいいのだろうか?

てか、情報掴んでいたのか…こっそり生徒会役員が見てたとかかな?

 

 

 

「………………」

 

 

 

「………………」

 

 

 

ふむ、俺から何か発するべきだろうか?

それとも待つべきだろうか?

彼女は何やら思い詰めている様だ。

彼女の顔は曇ってる、悩んでる、迷ってる。

そんな感情が読み取れる

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

長い沈黙_____

 

 

 

 

時の体感時間にして5分程度だろうか。

何となく気まずくなって夕焼けの光に目を奪われていたころ

 

 

 

 

彼女に目線を戻した時_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は静かに1人涙を流していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が……私が壊してしまったんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が、皆さんがいた大切な居場所を…壊してしまったんです」

 

 

彼女は少しゆったりした動作で三つ編みをとき、眼鏡を外した____

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

 

 

 

絶句した__

 

 

 

 

 

内心「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」と叫んでるが、非常に繊細な雰囲気をしてるため、何とか心の叫びは胸の内に抑え込んではいるが……流石に驚いた。

表情は冷静を装いつつも、驚きは隠せていないだろう。

まさか、あの中川さんが俺が写真や動画でみせてもらった優木せつ菜さんだったとはな。

そうか、ならば『俺の望んだ』予想とは違ったか……いや、別に…まぁ、俺の望んだ予想が必ずしもいい結果になるかわからんけど。

とりあえず、ここはあくまで俺は冷静ですよ的な感じでいこう。そうしよう

 

 

 

「驚いたな………中川さんが変装してるとは」

 

 

うむ、ありきたりな言葉しかでてこない。

いや、そんな感想はどうでもいい

 

 

「…………とりあえず、落ち着くまで外に出てるかい?このまま話すかい?」

 

「す、すみません…出なくていいので、す、少しだけ……少しだけ待って下さい」

 

「いくらでも待つよ。焦らなくていい」

 

俺は中川さん…優木せつ菜さんのいる机に軽くもたれかかる様に、寄り添うように…彼女の涙が流れ切るまで待つことにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

啜り泣く声も消えた頃、俺は中川さん、もとい優木せつ菜さんと向き合った

 

「いろいろとすみません…あ、そっちのソファの方で話しましょう。ずっと立たせてしまってすみません」

 

「わかったけど、別に謝らなくていいよ。事情はわからないけど、辛かったんでしょ?」

 

「………」

 

 

俺の問いに小さく頷き、ゆったりと向き合う形で互いにソファに腰を下ろした

 

 

「先ず、何から話せばいいでしょうか?」

 

「そうだね…なぜ変装してるかについては後回しにするとして、壊したとは?」

 

「私、スクールアイドルが大好きなんです。

でも、好きって気持ちが先行して….…部長であるのをいい事に私のスクールアイドル像を皆さんに半ば押し付けてしまったんです」

 

 

そう言えば___

 

 

『皆さんが来なくなった理由は…方向性の違いだと私は思ってます。私達って中々意見が揃わなかったじゃないですか?』

 

 

とか、かすみんが言ってたな。

なるほど、なるほど…少しだけ見えて来た気がするな

 

 

「押し付けて、皆それに従ってくれたのかい?」

 

「っ……いえ、渋々と言った様子で練習する事はあっても、納得はしてなかったと思います。特にかすみさんは反発して意見を言い合いました。もちろん他のメンバーとも言い合いになる事はありました。そんな噛み合う事のない気持ちがすれ違い続けて……バラバラになってしまい…私は向き合う事が怖くなって、逃げてしまいました」

 

「…うん」

 

「先程、なぜ変装をと言ってましたが…両親にスクールアイドル活動や漫画やアニメを禁止されているんです。バレたら多分辞めさせられるので……だから優木せつ菜としている時、本当の自分でいられる気がしました。大好きな物を大好きと言えるスクールアイドル同好会が大好きでした」

 

 

「………」

 

 

「私は自分の「大好き」の理想を他の人に押し付けてしまったんです。相手の「大好き」を無視して…いつも後になってから後悔する事もあったり………優木せつ菜になるとつい暴走してしまうんです。だから___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからもう…優木せつ菜はおしまいにします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優木せつ菜はおしまいに…そう言った彼女の顔は泣きそうな…泣きたい自分を抑えて、酷い笑顔で笑ってるフリをしている

 

 

「伊波くん…これは生徒会長や中川奈々としてでもなく、優木せつ菜として、優木せつ菜の最初で最後のお願いをします。どうかスクールアイドル同好会を助けてあげて下さい。そしてどうか皆さんの「大好き」だけは否定しないであげてほしいんです」

 

 

「…………」

 

 

俺は基本的に女の子の頼みを断らない。

あ、女の子だけとは限らないよ多分!仕方ねーじゃん。

だって周りは女子ばかりなんだからさ!

でも今回は__

 

 

 

 

 

「ごめん。その願いは聞き届けられない」

 

 

 

 

「っ……ど、どうしてですか!?伊波くんがお願いを断る事は滅多にないと聞いた事があります!」

 

「その通りだ…余りに無茶なことや、タイミングが悪くない限りは引き受ける様に心がけてるよ」

 

「なら、どうして……私の言ってる事は無茶なお願いなのでしょうか?」

 

 

ふむ、無茶なお願いかどうかと聞かれても度合いがわからないからなんとも言えない。

そんな事を思うが、それはどうでもいい

 

 

「まぁ理由は1つだな。彼方先輩とかすみんに同好会の廃部を阻止するためにメンバー全員に同好会に戻ってもらう様に協力する事。そしてその中の戻って来て貰わなくちゃいけない最後の1人は間違いなく君なんだ」

 

 

ちなみに理由が一つと言うのは嘘である。

 

 

「でも私は!__

 

「君が同好会で揉めたのは本当なんだろう。

でも、今みんな君を探してる。それはきっと君が言う「大好き」を守るために」

 

「でも私には戻る資格なんて__「あるよ」

 

「もし君の事が本当に嫌な奴なら、探したりしてまで戻って貰おうだなんて思わず、きっと、新入部員を探していたと思うよ?」

 

「……!」

 

 

彼女はハッとした顔で、驚いた表情をみせる。

 

 

「それに、しずくちゃん何かはせつ菜先輩のステージには自分が追い求める理想があるとか。かすみんもせつ菜先輩は凄いスクールアイドルだと言ってたよ。彼方先輩もね。

ヴェルデ先輩は…さっき知り合ったばかりだからそこまで知らないけど、一時帰国してただけみたいだし、スクールアイドル同好会に顔を出したって事は気にしてないんじゃないかな?」

 

「…………そう、ですか」

 

「うん。だからさ、部室、行こうか?」

 

「ち、ちょっと待ってください…」

 

 

俺は立ち上がって彼女に部室に向かう様に施すが、当然彼女は渋る。

まぁ、今日いきなりと言われてもな…とは思うがここは多少強引に

 

 

「気持ちはわかるけど、こう言うのは早めにした方がいいよ」

 

「うぅ…でも」

 

「大丈夫だよ。何かあったらフォローする」

 

「そ、それは確かにありがたいですが…」

 

 

ふむ、正直もう手でも引いて連れて行きたいが……変な噂が流れてもな…てか最悪セクハラとか言われてしまえば終わる。マジ終わる。

ここは殆ど女子しかいないから庇ってくれる人はいない。まじしんじゃう(社会的に)。

手なんか引いて許してくれるの歩夢くらいしかいないんじゃ?…え?大丈夫だよね?

歩夢に訴えられたら俺まじでしんじゃう。

 

 

「明日ではダメでしょうか?」

 

 

ふむ、その逃げ方は大抵の場合「また明日に…」と言うパターンがオチだな。

まずい!まずいぞ!何か、何かないのか!?

この状況を何とかする方法がないのか!?

何とかセクハラリスクを回避しつつ彼女を部室に連れて行く方法は?………くそ!説得しかないか

 

 

「優木せつ菜さん、このままでいいのかい?

中川会長…君自身が決めた月末までの廃部期限が迫ってる。残りの猶予に甘えている様だと後悔するよ?」

 

「うぅ…わかってます!わかってますが!」

 

涙目で子供が駄々をこねるように立ち上がる気はないらしい。

涙目で上目遣いでこちらを見る姿はとてもよろしくない。すげー…可愛い//

俺がHSS持ちなら発動している自信がある。この例えでわからない人は、トニカクカワイイとだけわかってくれればいい。

まぁ、そんな感想は煩悩退散…と言う事で。

 

 

 

 

 

……仕方ないな

 

 

 

 

 

「大丈夫だよ」

 

 

俺は彼女の目線に合わせるよう跪き、ほんの僅かに勇気を後押しするまじないをかけた

 

 

「…………………伊波くん」

 

「君はどうにも放っておけないな」

 

「あ………うぅ…み、見ないでください…」

 

 

 

照れているのか彼女は少々うつむきながら、手で顔を隠してしまった。

 

かわいいかわいい……ん?側から見たらセクハラに見えなくもない様な…大丈夫だよね?

 

 

 

「い、伊波くん…あの………もう、大丈夫なので……ちゃんと…行きますから……」

 

「わかったよ」

 

 

どうやら後押し?できた…のか?表情が見えなかったのもあっていまいち反応が分かりづらい。何かしずくちゃんにした時とは反応が別物の様な気がするが……ま、まぁとりあえず本人がよしと言っているなら大丈夫なのだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(このまま彼と一緒にいたら何をされるかわかりません//……でもやっぱりもうちょっと……………………ああぅ//………もう//」

 

 

 

 

 

 




おまけ(ボツ案…てか悪ふざけ)

ふむ、その逃げ方は大抵の場合「また明日に…」と言うパターンがオチだな。
まずい!まずいぞ!何か、何かないのか!?
この状況を何とかする方法がないのか!?
何とかセクハラリスクを回避しつつ彼女を部室に連れて行く方法は?

1:覚悟を決めて手を引く

2:お姫様抱っこ

3:H◯S発動!「困ったお姫様だ。さあ、行くよせつ菜?」と言ってお姫様抱っこする


おいおい?なんだこの頭?漫画やアニメやラノベの見過ぎだろ?………くそ!こんな選択肢しか浮かんでこない!
てか、お姫様抱っこってなんだよ!ちょっと前に瀬奈先輩を演劇でお姫様抱っこした事があるからって……てかなんだよ!?
HS◯発動って!ヒステリ◯モードってどうやってなるのか知ってるのかこのやろー!
くそ…!過去の演技練習になるかもとか言われて何故か緋弾のア◯アを瀬奈先輩におすすめされたのが原因か…しかも、以前の生徒会の手伝い時に中川さんもラノベやアニメを嗜んでる事を知った。
その時、読んでたラノベ緋弾のアリ◯についても話を振った結果かなり盛り上がったのだ。

くっ…やるしかないのか?この1と2の選択を軽く凌駕する選択を?
メリットはある…何故なら全て勢いまかせでいけるからだ。
あくまで演技だから!演技経験だから……俺は遠山キ◯ジだ。
俺が遠◯キンジならば…もう発動してる。


「……困ったお姫様だ。さあ行くよ?せつ菜?」

「え?…え?…えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?/////」


この後どうなかったか?流石に悪ふざけが過ぎて、全て白状したらもう一度やってほしいと言われた。意味不明だな
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