唯我独尊じゃじゃ馬娘   作:コンスタンチノープル

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第1球

「いいよ・・・でも入るからには・・・一緒に目指して欲しいっちゃけど」

 

「全国を」

 

全国・・・

 

「それから!白菊ちゃんには負けんけんね」

 

「えっ!?え~~~」

 

「人数も揃ったし」

 

「チームの目標も決まったな」

 

「よ~し」

 

「全国目指そ~」

 

「おーー」

 

みんなは、ヨミちゃんは・・・

 

「タマちゃんどうしたの?こっちおいでよ」

 

「う・・・うん」

 

「目指せ全国たい!」

 

「ばかにしとーと?」

 

「よかよか」

 

「使い方間違っとーし!」

 

「・・・・・・」

 

≪全国を、目指す『だけ』のつもり?≫

 

「え?」

 

「今の・・・」

 

何?今のボカシたみたいな声

 

≪誰だ!誰だ!誰だ~ 謎の一流アスリート しーろーいーほーたいーの マスクガール≫

 

どこからともなく音楽と年上のお姉さんの歌声が流れてくる。これ、アレだよね?プロや元プロが覆面を被ってスーパー中学生と対決するスポーツ番組のマスクガールの登場曲。あれ?外野から誰かやってくる。ウチのジャージを着てるけどマスクじゃなくて包帯を顔中に巻いている。それに口の所が異様に尖がっている。

 

≪しょーたーいひーみーつー、しょーたーいひーみーつー おーマスクガール!マスクガーール!!≫

 

≪ポチっとな≫

 

「いやスマホかよ!」

 

≪雰囲気よ雰囲気≫

 

口が尖がっているのは変声機を口元に仕込んでいるからだ。声がボカシたみたいになっているのもそれだ。

 

≪それよりも、全国を目指す『だけ』のつもりなのかしら?≫

 

「おい、目指すだけとはどういうことだ」

 

主将が食って掛かっている。大丈夫かな?

 

≪言葉の通りよ?私が入ってあげるから全国制覇を目指しなさい≫

 

「ぜ、全国制覇ぁ!?」

 

みんな、私も一緒に同じ言葉が出た。だってこのチームで全国制覇なんて・・・

 

「さ、さすがに全国制覇は来年、再来年になってみないと分からないよ?」

 

「芳乃ちゃん、来年再来年でも言い過ぎじゃない?」

 

芳乃ちゃんは来年なら全国制覇出来ると思っているのかな?

 

≪ほうほうほう、じゃあ今から見せてあげる。バッティングマシンをセットして≫

 

言われるがままにマシンをセットする。

 

≪最高速度にセッティングしなさい≫

 

さ、最高速度!?このマシンプロレベルのスピードまで出るけど分かってるのかな?

 

「わ、分かったわ。だけど慣らしで数球投げさせて。そうでないとマシンが壊れちゃう」

 

≪数球見れれば十分≫

 

数球投げたけど本当に大丈夫なのかな?あ、バットを出した。え?木のバット?

 

それを見て希ちゃんがちょっと嫉妬している・・・のかな?

 

リラックスした構えで彼女が構える、そこへ物凄い速度のボールが、彼女のバットが一閃!、ボールは・・・

 

あれ?イージーな内野ゴロ?

 

そのあとも何球か投げたけどイージーなセカンドゴロかファーストゴロ。マシンにボールを入れる菫ちゃんと稜ちゃんも拍子抜けした顔をしているけど・・・違う、これは。

 

「おい」「ねえ」

 

主将と希ちゃんも気が付いたみたい。希ちゃんが主将に目をやってどうぞとしている。

 

「どうしてわざとセカンドゴロとファーストゴロを打っているんだ?」

 

≪おーう、そちらの方と、そちらの金髪のお嬢さん方、それからそこの黒髪の娘も気付いたみたいね。なぁに、ちょっと試させてもらったのよ。4人も気付くなんて上々上々≫

 

4人、金髪のお嬢さん方って言ったから多分芳乃ちゃんも気付いたみたい。

 

≪今のはヒットでなくてもランナーを還すボテボテの内野ゴロを打っていたの。当てたご褒美に本気で打ってあげる≫

 

そういうと彼女は次のボールから事も無げに外野フェンスの上段まで持っていく。みんな唖然とその打球を見送っている。待って!あの構えあの・・・

 

「あのスイング・・・」

 

芳乃ちゃんも気が付いた!

 

「まさかっ!」

 

芳乃ちゃんのその声と共に乾いた打球音が響きボールがフェンスを越える。そして彼女がこっちを向いて包帯の結び目に手を掛ける。

 

シュルルと音がして浅黒い肌とともに彼女の顔が露わになる。

 

「私よっ!」

 

鱒川(ますかわ)・・・」

 

春李(はり)選手っ!!」

 

「よ、芳乃?あの娘凄い娘なの?」

 

「何言ってるの息吹ちゃん!?凄いなんてもんじゃないよ!前にも息吹ちゃんに話したでしょ!?家族全員超一流の5ツールプレイヤーの名門野球一族の4代目で『完全無欠のオールラウンダー』の呼び声高い天才っ!去年のU-15世界選手権大会で日本代表の3番レフト、攻守の要として大会打率3位、ホームラン数1位、打点数1位、盗塁数2位、フォアボール数1位、敬遠数1位、捕殺数1位、ノーエラーで大会ベストナインとMVPに輝いた私たちの世代じゃ知らない人はいないスーパースターだよっ!!」

 

「よ、芳乃ちゃんが物凄い早口になってる」

 

「ヨミちゃんようやく喋れたね」

 

「・・・ハッ!?」

 

「それにしても驚いたなぁ、あの鱒川春李がウチに進学していたなんて」

 

年上の主将でも知ってる、さすが

 

「なして、なしてココに進学したと!?」

 

希ちゃんが興味津々に聞いてくる。

 

「家族に唆されてよ。あんまり突っ込んでもらいたくないわ」

 

「わかった、歓迎するよ」

 

「家族というのはお母さまでしょうか?」

 

「主にシャーロット伯母さん」

 

「それって、鱒川シャーリー選手!?そういえば新越谷のOGだった!ぜひ会ってお礼を言いたいっ!」

 

「よ、芳乃」

 

「あ、あとそれから、ロッカー3つ貰うわ」

 

「どうしてだ?」

 

「すぐに分かるわ。それから・・・、みんなと同じように『春李ちゃん』でいいわ」

 

あの鱒川春李ちゃんが入ってくるなんて・・・




鱒川(ますかわ) 春李(はり)
ポジション:左翼手/中堅手/指名打者/右翼手。
在籍チーム:新越谷。
①学年:1年生。
②投・打:左投左打。
③誕生日:4月15日。
④身長:165cm。
⑤出身チーム:舟渡ガールズ(戸田橋中)。
⑥好きな動物:海賊。
⑦趣味:寝ること。
⑧進学理由:家族に唆されて。
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