唯我独尊じゃじゃ馬娘   作:コンスタンチノープル

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第26球

「はいぃっ!?」

 

柳大川越との練習試合後に春李の料理の腕を見ていた芳乃、息吹、ヨミ、珠姫を除いた面々が驚きの表情と声を上げる。

 

「っさいなぁもぉ」

 

最初に口の中の物を飲み込み喋り出したのは菫だった。

 

「春李、あんた料理できたの?」

 

「普段は専属の栄養士とメイドに任せてるけど、いつも作ってもらえる状況ってわけにはいかないから一通り教えてもらってるのよ?このメニューの中にも栄養士の先生から送ってもらったものがあるわよ」

 

次に稜が口にものが入ったまま聞く。

 

「春李ってそういうことは面倒くさがってやらないと思ってた」

 

すぐに菫から注意が入る。

 

「ちょっと(アンタ)食べるか喋るかどっちかにしなさい。はしたないわよ」

 

「しっつれいしちゃうわね。この私の身体に入るものよ?信頼のおける人間に作ってもらえないんなら自分自身でやるしかないでしょ?」

 

「それは私が信用ならない人ってこと?」

 

普段着姿の芳乃が大量のエビフライを持ってやってきた。

 

「いっぱいあるからゆっくり食べてね」

 

芳乃は春李に疑いの目を向け、希も少し憤りを含んだ目で春李を見つめる。

 

「ちーがーうーわーよっ!この前、練習メニュー組んだ時の食事の献立は中々だったけど、それでもまだちゃんと専門知識を持ってる人を頼るべきって言いたいの」

 

「なんだ、安心した」

 

次に春李は白菊に目をやる。

 

「そういえばメシのことで白菊に聞きたいことがあったんだけど・・・」

 

「なんでしょうか?」

 

「白菊って自炊してるの?」

 

「はい。と申しましても、お昼のお弁当だけですが」

 

白菊は朝食と夕食は母親に作ってもらっていたが学校で食べる弁当は自分で作っていた。

 

「この前白菊と昼一緒になったときその弁当見せてもらったけど、ちょっと栄養が足りてないかなって」

 

「普段から素食を心掛けているので、芳乃さんの献立を参考にしながらも私の作り方でやらせていただいています」

 

「これなのよ芳乃、バランス悪いのや食べ過ぎはもちいけないけど白菊は食べなさすぎなのよ」

 

「そうなの?白菊ちゃん、食事も練習の1つだと思って」

 

「食事も練習・・・ですか」

 

ここで春李が全員に話す。

 

「そ、みんな食べながらでいいから聞いて」

 

一同茶碗やおかずの皿を持ちながら春李のほうを向く。

 

「芳乃は食事も練習のうちといったけど、まず練習で消費したエネルギーをしっかりと補給すること。そうじゃないとみるみるやつれて結果的に普段の練習や試合で力を出し切れなくなるわ。こういうとシンドくなってくるけど日々のメシもトレーニングメニューの一つだと思って目の前のメシに喰らいつきなさい。巡り巡って自分のためよ」

 

「わかったわ」

「おう」

「わかりました」

「そうやなあ」

 

一同が答えていく中で、

 

「そういうものかなぁ?」

 

ヨミは違った反応をみせる。

 

「およ?じゃヨミの含むところを聞かせてもらおうかしら」

 

「別に含むところがあるとか、そういうわけじゃないんだけど。別に食べるのが辛いとかそういうのは思ったことがないというか。そりゃ、不味かったらたくさん食べるのは辛いけど、コレみたいに美味しかったら無限に食べられるというか・・・」

 

芳乃と春李が顔を見合わせ、芳乃が答える。

 

「それも、ヨミちゃんの才能の一つだと思うよ」

 

「そうかなぁ」

 

次いで春李が答える。

 

「ま、まだ合宿が始まったばかりだし、この合宿自体短いし、今言ったことが続くかどうかね。珠姫と希だったら食べることの重要性は口酸っぱく言われたんじゃないかしら?」

 

2人ではなく稜が反応した。

 

「いや、二人がどうかは知らないけど私と菫も中学の時、言われたことあるよ」

 

「へぇ、意外ね」

 

芳乃が補足する。

 

「春李ちゃんは二人の後に入って聞いたから知らないと思うけど、菫ちゃんと稜ちゃんは南相模出身だから」

 

「強いトコ?」

 

「去年県大会出場だからそこそこ強いよ」

 

「ふぅん、どーりで」

 

春李は菫と稜に目をやりながらうんうんと2度3度うなずいた。

 

「うん、じゃあもう一つ。日々のメシもトレーニングメニューの一つだと言ったけど単に量食えばいいってもんじゃないわ。前に芳乃から献立渡されたけどバランスの良いメシで動ける身体を作んないと何の意味もないわ。身体や、選手としての才能や技術なんかを乗り物のエンジンやボディに例えるとしたらメシや睡眠は差し詰めバッテリーや燃料、私のように神が二物も三物も与えた超ド級の身体能力や溢れ出て留まるところを知らない才能があってもそのへんがなってなきゃ宝の持ち腐れよ。みんな、この私でさえここまでやってるんだから、あなたたちはもっと頑張んなきゃいけないってことぐらい・・・わかるわよね?」

 

うんうん、今の話を春李ちゃんから聞けただけでもこの合宿を組んだ意味があるよ~。

 

芳乃がそう心の中でつぶやいていると春李が芳乃に小声で話しかけた。

 

「芳乃、これで『私の野球に対する取り組みをもっとみんなに見てもらえば、取り組み方に変化が出る』って目標はひとまず達成かしら?」

 

芳乃も小声で返す。

 

「うん、でもまだ初日だから明日以降もお願い」

 

「わかったわ」

 

2人が話していると、

 

「ヨミ!あとで夜の学校探検しようぜ」

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