唯我独尊じゃじゃ馬娘   作:コンスタンチノープル

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第29球

クーラーボックスを抱えた芳乃が汗を垂らしながらみんなに言う。

 

「プロテインジュースの時間まで、あと5分だよがんばれー」

 

GW(ゴールデンウィーク)合宿は、それぞれの課題をこなし、あっという間に・・・過ぎていきました。そして―――合宿最終日は移動しての練習試合、第一試合は対 大鷲高校戦

 

「あっ」

 

鋭い打球が遊撃手の稜のグラブを弾きセンター前へ抜けていく。

 

「すいません理沙先輩!」

 

「いいのよ。ていうかインプレ―中に謝罪しない!」

 

遂にチームの経験不足が露呈(ろてい)し始めます。

 

「たはは・・・」といった感じで戦況を見る芳乃と青筋を立てて戦況を見る杏夏。春李は勿論ベンチの後ろで寝ている。顔中に包帯を巻きながら。

 

でも先発の理沙先輩は急造ながら、大崩れすることなく淡々と投げてくれます。

 

今度はライト前の打球を白菊がバウンドを合わせることが出来ず後逸してしまう。

 

試合は1回裏に新越谷が2点を先制したものの、大鷲が2回に2点を入れ同点とし3回に3点を入れ勝ち越される。その裏新越谷が1点を返したものの5回に大鷲が1点を追加し突き放す。

 

「初登板おつかれ」

 

「6失点なら十分ですよ」

 

怜と芳乃が理沙に労いの言葉を掛けるが当の理沙はそれでも浮かない表情をしている。

 

6回からは息吹ちゃんが登板!頑張ってね!

 

またも鋭い打球が今度は息吹の顔の右横を抜けセンターを守る怜の前に落ちる。

 

「ひ~怖い~」

 

今度はサード横、三遊間寄りに打球が飛ぶ。

 

「サード2つ!」

 

「ほっ」

 

「5」

 

「はいっ」

 

「4」

 

「3 ゲッツー!」

 

これがビギナーズラックってやつね。

 

息吹とヨミが同じようなフィスト・パンプ*1をする。

 

最終7回の攻撃、1アウトとなった所で白菊が打席に立ちネクストバッターズサークルには春李が包帯を巻いたまま入る。

 

白菊は持ち前のフルスイングを魅せるもボールの下っ面をバットが「チッ」と掠るような当たりで、打球は大きな弧を描くフライが上がったもののフェンス手前で若干失速し外野手がフェンスの金網に手を掛け小さく跳躍するとそのグラブの中に白球は収まった。

 

「飛んだなー」

 

「おしい」

 

「よし、じゃあ」

 

「私が審判さんに交代言ってくるわ」

 

理沙が主審の下へ小走りに駆けていく。

 

「審判さん、バッター10番に代わります」

 

「分かった。バッターラップ!」

 

理沙がベンチに戻ろうとすると春李が声を掛ける。

 

包帯(コレ)取るからベンチに持って帰って」

 

「あー、わかったわ」

 

春李が一旦ヘルメットを外すと審判が早く打席に入るよう強めに促す。

 

「バッター!」

 

「へいへーい」

 

春李が審判に軽返事をしながら結び目に手をやりシュルルと包帯を解き浅黒い肌を露わにする。

 

「わぁたぁしぃよっ!」

 

「ま、鱒川春李っ!?」

 

グラウンドの大鷲高校の選手たちベンチ一同、次の試合の準備をしていた藤和高校の一同引っくり返らんばかりに仰天する。

 

ヨミと珠姫が話す。

 

「グラウンドの空気が一変したね」

 

「ヨミちゃんにもわかる?」

 

「うん、柳大川越との練習試合の時もそうだったけど空気がピリッと張り詰めた感じがする」

 

春李は初球の甘い球をスタンディングダブルにしチャンスを作るも、続く希の打球は一二塁間を抜けようかという鋭い打球であったが相手二塁手の好守に阻まれてしまう。

 

試合終了(ゲームセット)

 

希・・・

 

春李はこの時、塁間でヘルメットを脱ぎながら、合宿中に希の打撃練習の相手をした際にためらい別の言葉で濁した『ある懸案事項』が現実のものになりつつあると思った。

 

「凄いって!私なんて10失点が普通だったし!」

 

草野球同好会で10失点が当たり前ってのはやっぱりヨミは・・・と思う春李であった。

 

「ほら!すぐ次の試合できるんだよ!凹んでる暇ないよ!」

 

芳乃がナインを鼓舞する。

 

ホントはあんちゃんがこういうこという役目なんだけど・・・まだ処分明けで遠慮してるとこがあんのかな・・・?

 

春李はそう考え杏夏と話そうとするもその暇さえも無く次の試合が始まる。

 

続く第二試合。対藤和B戦。

 

希がヒットで出塁し、菫がバントで進め、珠姫がホームへ迎え入れる。

 

幸先よく1点先制!初回先取点はうちのパターンになってきたね。

 

この試合の先発は、エースヨミちゃん!好投を見せるも・・・小刻みに点を重ねられ、都合三連敗となりました。

 

Bチームとはいえヨミを格下の中学時代無名だとタカをくくってくれて勝てると思ったんだけどなぁ・・・スクイズで点を入れてきたあたり、ヨミの潜在能力を見抜いて他地区だけど脅威になる存在と踏んできたか・・・」

 

「それは違うと思うよ」

 

「芳乃?あれ私・・・」

 

「途中から声に出てたよ。ほら」

 

「あっ、ホントだ。でも違うってどゆこと?」

 

芳乃は若干呆れながら答える。

 

「さっきの試合で春李ちゃんが出たでしょ?『鱒川春李のチームでエースナンバーを着ける()』ってことで向こうのベンチが必要以上に警戒してきたからだと思うよ」

 

「そうかしら?まあそういうことにしておいてあげましょ。全く、私って罪な女ね」

*1
日本では一般的にガッツポーズと呼ばれている仕草ですが、ガッツポーズの由来が元プロボクサーのガッツ石松氏が由来とされ、ガッツ氏が1974年4月11日にボクシングWBC世界ライト級王座を奪取したときに両手を挙げて勝利の喜びを表した姿を当時、スポーツ報知の記者だった柏英樹氏が「ガッツポーズ」と表現して、ガッツポーズが広く知られるようになり、このことから4月11日が「ガッツポーズの日」と呼ばれていることから、球詠の作風上ガッツポーズという単語を用いることは不適切と筆者コンスタンチノープルが判断し、以降作中でもガッツポーズが登場する場面や原作内でガッツポーズと明言がある場面でもガッツポーズの英語圏での名称である「フィスト・パンプ(fist pump)」という単語を用いらせていただきます。ただし、ガッツ氏がガッツポーズを有名にする2年前の1972年11月30日に学研から発行されたボウリング雑誌「週刊ガッツボウル」において、ストライクを取ったときのポーズを「ガッツポーズ」と命名したとされることや、1960年代に米軍基地内のボウリング場で、ストライクのときなどに「ナイスガッツ」と言っていたのが由来ともいわれるボウリングが由来であるという異説も存在することをここに明記させていただきます。




大変申し訳ないのですが、創作意欲が別の方向に向いてしまっている状態に入ってしまったのでしばらくこの物語の更新はできません。

重ねて申し訳ございません。
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