「全く、この私に練習をさせるなんて、もう嫌になっちゃう」
もうマッサージ受けたし後は帰っちゃおう。
「さあ!片付け終わったら暗くなるまでトス打撃ね!」
「ヨミちゃーんいつまで走ってるの」
「自分で走らせて酷いなあ・・・」
「じゃあお詫びに今日は私の分も打っていいよ」
「やった!」
「ひいいいい」
あの2人は何
「春李ちゃん」
「芳乃?」
「この後ちょっとお話があるから残っててもらえる?」
「えぇ・・・この私を待たせようなんていい度胸じゃない。わかったわ」
芳乃の野球への造詣は私も驚くところがあるのでもしかしたらと思って残ることにしてあげた。
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夕暮れの部室に微睡む春李の姿が、そこへ練習を終えた希がやってくる。
「春李ちゃん、何しよーと?」
「ふぁああーあ、おはよ、もう練習終わり?」
「うん、しゃっき終わったとこばい」
「いやあ、芳乃からこの後話があるから残ってくれって・・・」
「私も芳乃ちゃんから自主トレに誘われとーっちゃけど・・・」
「えっなに芳乃二股?なによそれまったくm・・・」
鱒川春李ちゃん、私たちん世代ん野球女子ん間じゃ知らん人ば探すのが難しかスーパーヒロイン。バッティングも走塁も守備もけた外れん実力・・・。今も話すとき、ちょっと緊張してしまう。
「ねぇ、そうだと思わない?」
「ふぇ?」
「あ、話聞いてなかったわね?もう失礼しちゃうわ」
「ご、ごめん・・・」
芳乃ちゃんに嫌わるーとは絶対嫌だばってん、春李ちゃんにも嫌われとねえ。
「春李ちゃんが寝とーソファ、今日ん部活が始まる前には無かったけど」
「言っておくけど私専用よ。勝手に座ったら痛い目に遭わせるわよ」
「す、座らんばい」
「ならよろしい。よろしいついでに今は
「あ、ありがとう」
うわ、こんソファ私ん家にあるんよりもいっちょんふかふか・・・
「希って、いつも最後まで残ってバット振ってるらしいけどホント?」
「うん、いつもやっとーけんやらな気持ち悪うて」
私は、制汗スプレーば身体に吹きながら春李ちゃんと話す。そうでなかとなんかもうこんソファに座らしぇてくれなしゃそうな気がしたけん。
「一心不乱に振り続けるのも時には必要だけど、希クラスのバッターなら相手ピッチャーや場面の想定なんかしながら振らないとね。ってこんなこと希なら言われなくてもやってるか」
「あんまりうちんこと買い被らんで、まあ・・・やっとーばってん・・・」
「安心しなさい、希は自分が思ってるよりも良い選手よ。今日はこのまま帰り?」
「ありがとう。えっと、そん前に練習終わりやけんコレ飲んd・・・」
「ふぃ~~今日も楽しかったぁ」
「ねー」
芳乃ちゃんたちも部室に集まってきた。
「希ちゃん何飲んでるの?」
「プロテイン。のむ?」
「プロテイン?・・・」
春李ちゃん、機嫌悪そう。プロテイン、好きやなかとかな?
「なんか粉っぽい」
「わ・・・私も飲んでみたいです」
「白菊ちゃんはだめ」
今よりパワーついたら困るし・・・あーもうそんシュンとした顔は反則!
「わかった・・・じゃあ少しだけ」
「飲み方上品だね」
「そんなにのんだらムキムキに・・・」
「そういえば、春李ちゃんはどんなプロテイン飲んでるの?」
よ、ヨミちゃんそれは・・・
「私も気になる」
思わず私もヨミちゃんに乗ってしもうた。
「私は・・・」
ごくり・・・
「極力飲まないようにしているわ」
「えっ、特別なプロテインや鱒川家秘伝のブレンドがあったりするんじゃなくて飲まないの?」
「えぇ、栄養はなるべく食事から摂取したいの」
「大きなお弁当箱を持っていましたよね」
白菊ちゃん、そげんこと知っとーったい・・・
「姉貴とお揃いよ。練習前にもおにぎり食べてきたわ」
「やっぱり気になるの?」
芳乃ちゃん?
「気になるって?」
「鱒川
そうやった!春李ちゃんのお姉ちゃんの鱒川恋も走攻守三拍子揃うたスラッガーで、世代最高って言われとーセンターやった!
「冗談!どうして私が自分よりレベルが低い野手のこと気にしなきゃいけないの?」
「だって今、春季北陸大会でホームラン量産してるじゃん」
「全く、母さんたちも母さんたちよ。私には新越に行けって言っておいて恋には自由に進学させるんだもん」
「福井航空は全国大会にも出れるレベルのチームだから全国まで行けば対戦できるかもね」
「それは向こうがコケなけりゃの話よ」
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