唯我独尊じゃじゃ馬娘   作:コンスタンチノープル

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試合序盤から中盤は原作と同じなのでバッサリカットします。気になる方は原作をご覧ください。


第6球

「・・・り、春李!」

 

「はぁあ、ふぁーああ、おはよ稜、結婚する?」

 

「はいぃ!?」

 

「冗談冗談。稜は菫のモノよね」

 

「ええっ!?」「ちょっと!?」

 

ボシュンという音でも聞こえてきそうなほど菫と稜の顔は一瞬で真っ赤になった。

 

「で、試合終わったのかしら?」

 

「いや、芳乃がもうすぐ春李の出番が必要になるから起こしてくれって」

 

「何よもう・・・練習試合くらい私抜きで勝ちなさいよ。状況は?」

 

「初回に新越谷(ウチ)が3点先制したけど4回と5回で引っくり返されて今3対4」

 

「しかも負けてるのっ!?ホントなにやってるのよもう!」

 

「お姉ちゃん!」

 

誰だこの子?春李のこと『お姉ちゃん』って呼んでるけど妹か?

 

「あれ?朝の釣りの女の子」

 

ヨミは知ってるのか?

 

「あ、その件はどうも。偶然だと思ったらお姉ちゃんのチームメイトだったんですね」

 

「いとこのお姉ちゃんって春李ちゃんのことだったの?」

 

「はい、春李お姉ちゃんの従妹で・・・」

 

「もしかして、鱒川舞選手!?」

 

「・・・はい、ねぇお姉ちゃん。この人、誰?」

 

「うちの主力よ、この子に惚れ込んでここの野球部に居てあげてんのよ」

 

「もう春李ちゃんたら・・・」

 

芳乃のやつデレデレしてるけど、芳乃もこの子知ってるのか?

 

「あの芳乃さん、こちらの子は春李さんの親戚なんでしょうか?」

 

「そうだよ!鱒川舞選手っ!やっぱり走攻守三拍子揃ったセンターで去年のU-12世界選手権大会で日本代表の攻守の要、3番センターだった次世代のスーパースター候補生だよ」

 

「マジかよ!?こいつそんな凄い選手だったのかよ」

 

「ただの釣りの子じゃなかったんだ・・・」

 

「釣りって・・・あんたまだあんな事やってんの?ホント何が楽しいんだか・・・」

 

「私が楽しいんだからいいじゃん!」

 

「あーそうね。正確にはいとこじゃなくて三従姉妹(みいとこ)ってって言うらしいわ」

 

「三従姉妹?」

 

私だけじゃなくてみんながハモる。

 

「ひいお婆ちゃんが姉妹なの」

 

「ひいお婆ちゃんってまさか!」

 

「そう、私のひいお婆ちゃんが鱒川クリスティーン、この子のひいお婆ちゃんが鱒川レジーナ」

 

「ううー、2人ともプロ草創期の看板選手で走攻守三拍子揃った名外野手!!」

 

「よ、芳乃が壊れた・・・」

 

「おい菫・・・」

 

芳乃のおさげが残像が残るぐらい物凄い勢いでブンブンいってる。

 

「もうお姉ちゃんそういう話はいいから・・・釣りしてたおかげで、面白い人にも会えたんだから」

 

「面白い人?」

 

そう言うと、舞はマウンドへ向けて手を振る。そうするとマウンドの投手も手を振り返す。

 

「あれ?、ピッチャー代わってるじゃない?」

 

「去年の夏1年生ながら、4試合でわずか3失点の速球派右腕!朝倉投手だよっ!」

 

「へぇ・・・で、その朝倉投手とやらは私より凄いのかしら?」

 

「それは・・・」

 

「もう、そこは嘘でも私の方が凄いっていう所でしょ?」

 

「ごめん。じゃあこれから証明してもらっていい。春李ちゃんの凄いとこ」

 

「分かったわ。代打よね?みんな見てなさい!」

 

「息吹ちゃんの所で代打行くから。早速用意しておいて」

 

「ふふふっ・・・」

 

全国レベルかぁ

 

「こい・・・!」

 

威力抜群の朝倉の速球が浅井のミットに突き刺さる。

 

「ストライク」

 

打席で見ると、さらにすごい・・・

 

「ここまで全球直球(ストレート)スか、朝倉さんて冬から変化球試しまくって、フォーム崩してたんスよね」

 

「そっか大島は知らないんだったね」

 

「朝倉なりに夏秋の敗戦に責任を感じてたのかな、直球(ストレート)だけじゃダメだって・・・」

 

「でもようやく本調子、決め球も完成してるみたいだよ」

 

「見たいスねえ」

 

朝倉が浅井のサインに首を振る。

 

・・・首振った?

 

新変化球の初披露か、追い込んだしいくか・・・

 

武田さん・・・外でずっと眺めてたけど、あの変化球は素晴らしかったよ。

良い投球(ピッチング)を見せてもらった、これはお礼の一球。

 

真ん中の速球が手元でストンと落ちワンバウンド、ヨミのバットはあえなく空を切る。

 

「スプリット・・・!?速い・・・!」

 

直球で打ち取れるのわかってて、見せてくれたんだ。

 

「あ」

 

「え?」

 

ベンチに下がった大島と彼女の代わりにセンターに入った大野、他の数名の選手もその異形の存在に気が付いた。

 

「大島どうしたの?」

 

「ミイラが・・・」

 

「ミイラが準備を始めた?」

 

「おい大島あんまりあの子のことミイラとか言わないの」

 

「だ、だって・・・」

 

準備を始めた顔中包帯グルグル巻きの少女がバットを2度3度と振るとグラウンドの空気が一変する。

 

「な、何あのスイング」

 

「驚いたな、あんなにバット振れる選手がベンチに控えてたなんて、やっぱりあの包帯は何か・・・大島、どうした?」

 

「あの構え・・・打撃フォーム・・・まさか!?監督、メンバー表見せてほしいス」

 

「いいけど・・・」

 

「全員カタカナで苗字だけ名前が書いてあるス、この控えの『10番マスカワ』ってまさか!?」

 

「バッターアウト!」

 

「ナイピ朝倉!」

 

「あと一人!」

 

「春李!頼んだわよ」

 

「練習を思い出せ」

 

「希ちゃんに回せ~~」

 

「回して」

 

「息吹、白菊っ!」

 

一塁のコーチャーズボックスに入った理沙にも聞こえるようにこの試合はじめて大きな声を出す春李。

 

「あーみんなも、バッティングの基本が何か今から見せてあげるわっ!見てなさいっ!」

 

そう言うと春李はみんなと出会った時と同じように包帯の結び目を解き、柳大川越の選手たちに見せつけるかのようにその浅黒い肌と顔を露わにした。

 

「私よ!」

 

「いけー!春李ぃ!」

 

「ま、鱒川春李!?」

 

「春李ちゃん!?」

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