魔法少女リリカルなのはLOST FORCE   作:三月雪音

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これは、高町家に引き取られた少年の物語……

ある日の夜、少年は魔法の力に目覚める。

力に目覚めた少年は数多の出会いや困難の中で、何を思い、何を成すのか……

これはその始まりの物語……

魔法少女リリカルなのはLOST FORCE、始まります。


金色の魔法少女

ある日の夜明け前、ビルの屋上に黒衣に身を包んだ金髪の少女と橙色の髪に犬の耳を持った若い女性が立っていた。

 

「ロストロギアはこの付近にあるんですよね。形態は青い宝石、一般呼称は"ジュエルシード"」

 

金髪の少女がそう呟くと、ビルの屋上に突如としてマントとフードで顔を隠した男が現れた。

 

「はい、間違いないようですフェイトお嬢様。しかし、どうやら他にもジュエルシードを狙う輩がいるようなのでお気をつけ下さい」

 

「分かりました」

 

金髪の少女―フェイト・テスタロッサはそう言うと、視線を若い女性の方へと向ける。

 

「行こう、アルフ」

 

「分かったよ。フェイト」

 

アルフと呼ばれた若い女性は返事をすると、鋭い牙と爪を持つ犬狼へと姿を変え雄叫びをあげた。

 

日は昇り、なのはと照人の二人は月村家へと出かけようとしていた。

 

なのははアリサ・すずかとのお茶会のため、照人はなのはの送迎と翠屋オリジナルブレンドの茶葉を届けるためだ。

 

バスに乗って出かけた月村家で、メイド長のノエルの出迎えをうける二人。

 

「照人様、なのはお嬢様、いらっしゃいませ」

 

「「こんにちは」」

 

互いに挨拶を済ませると、照人はノエルに茶葉を渡す。

 

「ノエルさん、こちら頼まれていた茶葉です」

 

「いつもありがとうございます。この茶葉で入れた紅茶は旦那様や奥様も気に入ってますので…」

 

「そう言ってもらえると父と母も喜びます」

 

茶葉を受け取ったノエルの言葉に照人は微笑む。

 

「ねえノエルさん。すずかちゃん達はどこにいるんですか?」

 

「そうでした。どうぞ、こちらです」

 

そう言ったノエルは二人を案内する。

 

案内されたのは猫たちがくつろぐ、日差しが差し込むテラスであった。

 

テラスの中にいたのは、すずかとアリサ、すずかの専属メイドでありノエルの妹のファリンであった。

 

「なのはちゃん、照人さん」

 

テラスに入ってきたなのはと照人を見て、すずかは椅子から立ち上がる。

 

「お茶をご用意いたしましょう。何がよろしいでしょうか」

 

なのはが『お任せします』と答えるとノエルは照人のほうを見る。

 

「照人様はどうされますか?」

 

「今日はなのはの送迎と茶葉を届けるために来ただけなので、もう帰りますので大丈夫です」

 

「え、照人さんもう帰っちゃうんですか?」

 

照人の言葉にすずかの表情は曇り、それを見て思うところがあったのか照人は言った。

 

「う~ん……今日は他に予定もないし、やっぱりいただきます」

 

「かしこまりました。それでは準備してまいりますので少々お待ちくださいませ。ファリン」

 

そう言ってノエルはファリンと共にテラスを出て行く。

 

椅子に座ったなのはは改めてお茶会に誘ってくれたことにお礼の言葉を述べる。

 

「そういえば今日は誘ってくれてありがとう」

 

「こっちこそ来てくれてありがとう」

 

「今日は元気そうね」

 

なのはの顔を見たアリサとすずかは安心したような声色で言う。

 

「え?」

 

「なのはちゃん、最近元気なかったから……」

 

思わず聞き返すなのはにすずかは話す。

 

ふたりがなのはを誘ったのは、「最近なのはが元気がないから」という理由からだった。

 

「悩みや心配があるなら話してほしい」と言うすずかとそれを見守るアリサに心が揺れるなのはだったが、ユーノが子猫に追われており話が途切れる。

 

更に運が悪いことにユーノと子猫が向かった先にはお茶とクッキーを持ってきたファリンがいた。

 

ユーノ達に驚いたファリンは転びそうになるが、照人がファリンの体を支えたことで事なきを得た。

 

庭に場所を変えてお茶会は続いていたが、庭先で一匹の子猫がジュエルシードを発動させてしまう。

 

「「「ッ!?」」」

 

ジュエルシードの気配に気づいたが、アリサとすずかが一緒にいる手前、現場に向かえない照人となのは。

 

(……そうだ!!)

 

ユーノが何か思いついたのか、なのはの膝から降りると庭先の方に向かっていく。

 

「あらら…ユーノ、どうかしたの?」

 

「何か見つけたのかもしれない。少し見てくるよ」

 

「一緒に行きましょうか?」

 

「大丈夫。すぐ戻ってくるから、待っててね」

 

なのはと照人はユーノの意図に気付き、それに便乗する形でその場を離れる。

 

木々の陰に入ったところで、ユーノが「ここじゃ人目が……」と言うと、二人の方に向き直る。

 

「結界を作らなきゃ」

 

「結界?」

 

結界が何か分からないなのはは首を傾げる。

 

「初めて会った時の空間のことか?」

 

「うん、魔法効果が生じている空間と通常空間の時間進行をずらすんだ。僕が少しは得意な魔法。あまり大きい空間は無理だけど、この家の付近位なら……」

 

照人の問いに答えたユーノは目を瞑り集中する。

 

すると、ユーノの足元に円形の魔方陣が現れ、結界が展開された。

 

だが、ユーノが展開した結界内で三人が見たものは、巨大化した子猫だった。

 

「あ、あれは?」

 

「た、多分、あの猫の"大きくなりたい"っていう願いが叶えられたんじゃないのかな?」

 

「な、なるほど」

 

ユーノの推測に照人は何とも言えない表情になった。

 

凶暴化する様子もなく、ただ大きくなっただけの子猫になのははレイジングハートを取り出す。

 

「襲ってくる様子は無さそうだし、ささっと封印を……じゃ、レイジングハート!!」

 

なのはがレイジングハートを掲げたその瞬間、金色の閃光が巨大化した子猫を襲う。

 

「魔法の光!?」

 

その光景にあわてるユーノ。

 

照人となのはは閃光が飛んできた方へと視線を向けると、そこには黒衣に身を包んだなのはと同世代らしき少女―フェイトがいた。

 

「バルディッシュ、フォトンランサー連撃」

 

≪Photon lancer Full auto fire.≫

 

フェイトがそう言うと、彼女の持つ杖から槍のような魔力弾(フォトンランサー)が子猫に向けて放たれる。

 

「レイジングハート、お願い!!」

 

≪Stanby ready.Set up.≫

 

攻撃をつづけるフェイト、悲鳴をあげる子猫を見たなのははバリアジャケットに身を包み飛翔、防御魔法で子猫を守る。

 

なのはの前に姿を現したフェイトは、なのはを見ると「同系の魔導師…ロストロギアの探索者か」と呟き、次になのはの持つレイジングハートを見て自身の杖(バルディッシュ)と同系列のインテリジェントデバイスだと見抜く。

 

「バル…ディッシュ…」

 

フェイトの呟きが聞こえたのかなのははフェイトが持つ漆黒の杖―バルディッシュを見つめる。

 

「申し訳ないけど、頂いていきます」

 

≪Scythe form Setup.≫

 

フェイトはなのはに語る間も与えず、バルディッシュを鎌を模した武器形態(サイズフォーム)に変形させ斬りかかる。

 

≪Evasion.Flier fin.≫

 

突然の攻撃に慌てながらも躱すなのはだったが、フェイトの連撃に防ぐことが精一杯の状態だった。

 

「なのは!!」

 

「行かせませんよ」

 

なのはの下へ向かおうとするユーノの前にマントとフードで顔を隠した男が現れ、魔力を帯びた手刀を振り下ろす。

 

「ユーノ、危ない!!」

 

叫び声と共に照人が男とユーノの間に割り込むように飛び込み、光剣で手刀を受け止める。

 

「照人!!」

 

「こっちは任せて、早くなのはのところへ!!」

 

ユーノは照人の名を叫ぶが、照人の言葉を聞き頷くとなのはの下へ向かう。

 

なのははフェイトと対峙していた。

 

「なんで急にこんな!?」

 

問いただすなのはに対して、フェイトは「答えても、多分意味がない」と突き放すように冷たく返す。

 

≪Device form.≫

 

≪Shooting mode.≫

 

射撃姿勢のまま一触即発の雰囲気が二人を包む。

 

≪Divine buster Stand by.≫

 

≪Photon lancer Get set.≫

 

(きっと私と同じ歳くらい、綺麗な瞳と綺麗な髪……だけど、この子……)

 

なのははフェイトを見つめ、自分と同年代であること、綺麗な金色の髪と赤色の瞳をしていることを改めて認識するが、その瞳の奥に何かがあるのを感じ取る。

 

緊迫する空気の中、二人は対峙するが、子猫が目を覚ましそちらに気をとられたなのはの隙をフェイトは見逃さなかった。

 

「ごめんね」

 

≪fire.≫

 

フェイトのかすかな謝罪の言葉と共に放たれたフォトンランサーの直撃を受けたなのはは意識を失い落下してしまう。

 

「フッ!!」

 

落下するなのははユーノが間一髪のところで魔法で救出する。

 

≪Sealing form.Set up.≫

 

子猫の前にフェイトが降り立つと、バルディッシュが光の翼を広げた封印形態(シーリングフォーム)へと変形した。

 

「捕獲!!」

 

フェイトはそう言うとバルディッシュを振り下ろすと、金色の雷が子猫を捕縛する。

 

≪Order.≫

 

「ロストロギア・ジュエルシード、シリアル14。封印」

 

≪Sealing.≫

 

金色の光が子猫を包む込み、光がやんだ先には倒れた子猫とジュエルシードがあった。

 

≪Captured.≫

 

そして、ジュエルシードはフェイトによって封印、奪われてしまう。

 

意識を失い倒れるなのはを見つめるフェイトだったが、無言で立ち去っていった。

 

*****

 

ユーノがなのはの方へ向かったのを見届けた照人は視線を男へと戻した。

 

「お前たちは何者だ!!」

 

「答える必要はありません……ね!!」

 

男は淡々とした口調でそう言うと魔力弾を照人に向かって放つ。

 

上体を逸らし、魔力弾を避けた照人に対して男は続けざまに魔力弾を放つ。

 

男から放たれる魔力弾を、光剣を巧みに使いながら防御する照人。

 

「そっちがそのつもりなら容赦はしない!!」

 

照人は男に向かって駆け出し光剣を振うが、対する男は飛行魔法を使用し上空へ飛び上がり回避すると無数の魔力弾を放った。

 

無数の魔力弾が照人を襲うが、光剣を構えた照人は跳躍し魔力弾を回避しながら男に向かって行く。

 

「ハァァァァッ!!」

 

斬りかかる照人を男は更に上空へと飛翔することで躱し、今度は上から魔力弾を放つ。

 

「グッ!?」

 

魔力弾が直撃し、地面へと落下する照人だったが受け身を取り衝撃を抑えすぐさま立ち上がる。

 

その隙を狙っていたかのように男は右手を前に出すと巨大な魔方陣を展開する。

 

「終わりです」

 

魔方陣から放たれた光線を照人は光剣で受け止める。

 

「クッ!!」

 

しかし、不安定な態勢で受け止めたせいか次第に押し負けていく照人。

 

遂には受け止めきれず、光線は照人を飲み込んでしまい爆発音を共に大きな砂煙が一帯を覆う。

 

勝利を確信する男だったが、次の瞬間砂煙の中から照人が飛び出して来る。

 

突然目の前に照人が現れたことで男の反応は遅れる。

 

「デャァァァァァッ!!」

 

その隙を逃すまいと照人は光剣を勢いよく振り抜いた。

 

防御が間に合わず光剣の一撃を受けた男は地面へと落下し、着地した照人は光剣を構え、男の出方を窺う。

 

≪Arc Saber.≫

 

背後から機械音が聞こえた直後に金色の光刃が照人に向かって飛んでくる。

 

「……ッ!?」

 

咄嵯の判断で光剣で弾き飛ばすと、男の隣にはフェイトが立っていた。

 

「ジュエルシードを回収しました。帰りましょう」

 

「そうですか。それでは……」

 

フェイトと男がそう言うと、二人の足元に魔方陣が現れる。

 

逃がすまいと照人は駆け出し光剣を振うが、あと一歩のところで二人は忽然とその場から姿を消してしまう。

 

「逃げられたか……」

 

苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら照人は誰にも聞こえない声で呟いた。

 

*****

 

フェイトは自室にてジュエルシードを入手したこと、少し邪魔が入ったことなど、今日の出来事を話していた。

 

「いくつかはあの子達が持ってるのかな……」

 

フェイトの呟きに心配するような視線を向けるアルフ。

 

フェイトは小さく「大丈夫だよ、迷わないから」と言うと、テーブルランプに照らされている写真立てを眺める。

 

「待ってて、母さん…すぐに帰ります」

 

「……」

 

静かに微笑むフェイトをアルフは無言で見守っていた。

 

そんなフェイト達を影から見ていた男は薄笑いを浮かべていた。




高町家と月村家合同での温泉旅行。

色々考え込んでしまっている照人となのはの前に一人の女性が現れる。

そして、照人となのはは黒衣の魔法少女と再会する……

次回「温泉での再会」

人の想いを利用して踏みにじったことを後悔しろ!!

――――――――――

間違って削除してしまったので再投稿です。

ほんま、すいませんでした。最近、ぼ~っとしながら作業してるせいか間違って削除してしまいました。

読んでくれてる読者の為にも同じ失敗はしないように努力し、投稿速度をあげられるよう頑張りますのでよろしくお願いします!!
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