ある日の夜、少年は魔法の力に目覚める。
力に目覚めた少年は数多の出会いや困難の中で、何を思い、何を成すのか……
これはその始まりの物語……
魔法少女リリカルなのはLOST FORCE、始まります。
連休を利用して、高町家・月村家一同とアリサは温泉旅行へと出かけていた。
「見て見て、すっごい緑~!!」
「ホントだ~!!」
車内から景色を見たアリサとすずかははしゃいでいるが、照人となのはは別のことに気が向ているのかぼーっと外を眺めていた。
『(……二人とも旅行中くらいはゆっくりしないとダメだよ)』
もう一人の魔法少女とフードを被った謎の男との遭遇、それから一つも発見できていないジュエルシードのことなど色々考え込んでしまっている照人となのはにゆっくりするようにとすすめるユーノ。
『(うん、分かってる)』
『(そうだね。考えすぎは体に毒……か)』
そう答えたなのはは考え込むのをやめたのかアリサやすずかと楽しそうに話し始め、照人の表情も和らいだ。
旅館に着くや否やなのは達は温泉へと向かおうとしていたが、照人から止められる。
「温泉に入るならユーノ君は俺が見ておくよ。他の人もいるんだ、ユーノ君を温泉に入れるのは流石に良くないだろうし」
「それもそうだね」
照人の言葉になのは達は納得したのかユーノを照人に預けて温泉に向かい、照人とユーノは宿泊部屋の椅子に腰かけ雑談を始めた。
『(そう言えば、ユーノ君は温泉に入ったことはあるの?)』
『(公衆浴場ならあるけど……)』
会話を続けること数分間、ユーノが口を開いた。
『(照人、ずっと考えていたことなんだけど……これからのジュエルシード集めは僕一人でやろうと思うんだ)』
『(……どうしてそう思ったのか聞いてもいいかな?)』
ユーノの言葉に一瞬だけ間を空けた照人はその理由を聞き返した。
『(あの少女とフードの男、杖や衣装、魔法の使い方から見ても間違いなく僕と同じ世界の住人だ……彼女たちがジュエルシードを狙う理由は分からないけど、目的が同じ以上争いは避けられない。そうなれば、今まで以上に危険になってくる……)』
そこまで言ったところで照人が立ち上がり、ユーノを見つめる。
『(ありがとう、俺達のこと心配してくれて……でも、俺はジュエルシード集めをやめるつもりはないよ)』
『(どうして!!)』
その言葉に思わず声を上げたユーノだったが、照人は話を続ける。
『(ユーノ君の言ってることは正しいと思う。だけど、ジュエルシードのせいで誰かが傷ついたり悲しむのは嫌だから…それを防ぐ力があるのなら…俺は戦うよ)』
照人の目を見て嘘偽りのない気持ちであると理解したユーノは何も言えなくなった。
すると、なのはとすずか、アリサの三人が浴衣姿で部屋に入ってきた。
「あれ?忍さんと姉さんは?」
「旅館の中とか見て回ろうと思ってたのであたし達だけ先にあがったんですよ」
「これから色々と見て回るつもりなんだけど、照くんも一緒にどうかなって」
なのはの提案に照人は少し考えこんでから答えた。
「……そうだね。じゃあ俺も一緒に行こうかな」
「やったぁ!」
飛び跳ねそうな勢いで喜ぶなのは、その様子を見ていたアリサとすずかも笑みを浮かべていた。
それから、四人でのんびり旅館内をぶらぶらしていると、オレンジ色の髪を腰まで伸ばした浴衣姿の女性―アルフが現れる。
「やぁやぁ、おチビちゃんたち~」
照人達の目の前まで来たアルフは腰を折ってなのはの顔を覗き見る。
「キミかね、うちの子をアレしてくれちゃってるのは…」
そう言ってなのはを値踏みするように眺めるアルフになのはは困惑の表情を浮かべる。
「あんま賢そうでも強そうでもないし、ただのガキンチョに見えるだけどなぁ」
照人がなのはを後ろに下がらせ、アルフとなのはの間に割って入る。
「ふぅん、あんたもかい。後ろの子よりかはできそうだね」
徐々に険悪な雰囲気になっていく中、アルフが突然笑い始める。
「ごめんごめん、人違いだったかなぁ?知ってる子によく似てたからさぁ……それにしても、可愛いフェレットだねぇ」
「あ、はい」
そう言ってユーノの頭を撫でるアルフだったが、照人となのは、ユーノの三人に念話で話しかけられる。
『(今のところは、挨拶だけね……忠告しとくよ。子供はいい子にしてお家で遊んでなさいね。でないと、ガブッといくよ)』
その一言を最後にアルフは殺気と魔法の気配を残して去っていった。
~scene change~
日も暮れて、旅館は静けさに包まれていた。
照人はどうにも寝付けず、静かに部屋を抜け出した。
庭へ出ると、夜の空気がひんやりと肌を撫でる。
照人の頭からは昼間の出来事が頭から離れない。
(昼間の女性…この間の二人の仲間だよな)
ユーノに言った言葉に偽りはなかった。
ジュエルシードによって、誰かが傷ついたり苦しむことがあってはならないし、そのためにもジュエルシード集めはやめるつもりもない。
しかし、それはフェイトたちとまた戦うことになるということでもあり、それを考えると思わずため息が漏れてしまう。
(できれば話し合いで解決したいんだけど……難しいよな)
そんなことを考えていると、夜の静寂を破るような魔力の気配があった。
「ッ!?……ジュエルシード!?」
異変を察知し、その気配がする方へと向かう照人。
そこへたどり着くと、月光に照らされた二つの影――フェイトとアルフがいた。
照人はその場に身を潜め、様子を伺う。
フェイトの手にはジュエルシードが握られており、それを見たアルフが口を開く。
「すごいエネルギーだねぇ。それがロストロギアのエネルギーってやつ?……にしてもあんたの母さんはどうしてそんなものを欲しがってるのかね?」
「理由は分からないけど、母さんが欲しがってるんだから手に入れないと……」
アルフがスンスンと鼻を鳴らし、何かを嗅ぎ取ると、声を荒げた。
「誰だい……隠れてないで出てきな!!」
「っ!?」
照人は息を呑みながらも、一歩前へと踏み出した。
「あ~あ、せっかく人が親切に忠告してやったってのにさ!!」
照人を見たアルフが呆れたように言うと、鋭い牙と爪を持った犬狼へと姿を変える。
「狼に変身した!?」
「私はこの子の使い魔だからね。この子の魔力で生きる代わりに命と力のすべてを掛けて守ってあげるんだ……よ!!」
目の前で人が狼に変身したことに驚きを隠せない照人にアルフは容赦なく襲いかかる。
「ッ!!」
アルフの攻撃を地面を転がり回避する照人だが、背後からフェイトが
≪Scythe form Setup.≫
「ハァッ!!」
「クッ!?」
照人は咄嗟に光剣を作り出し、バルディッシュの一閃を受け止め鍔迫り合いになる。
「待ってくれ、俺は戦いに来たわけじゃ……」
「だったら、私たちとジュエルシードに関わらないで」
照人の言葉も聞かずにフェイトはバルディッシュに力を籠める。
「……悪いけど、ジュエルシードは危険なものだ!!放っておくわけにはいかない!!」
照人も負けじと力を込めバルディッシュを押し返しフェイトの体勢を崩すと、距離を作るように後ろに飛び退いた。
後退した照人がフェイトの方へと視線を向けると、いつの間にかアルフが横に並んで立っていた。
「……君たちの目的はなんだ。なぜ、ジュエルシードを集めようとする」
「答える理由がありません」
フェイトはバルディッシュを構えながら冷たく言い放ち、アルフは喉を鳴らす。
「そうか……其方がそのつもりなら」
対する照人も光剣を構え、フェイト達を見据える。
静寂が辺りを包む中、先に動き出したのはフェイトとアルフだった。
「ハァッ!!」
フェイトがバルディッシュを振るい、三日月型の光刃を発射した。
弧を描きながら迫る光刃を光剣で払い除ける照人。
その直後、アルフが背後から飛びかかる。
「ぐっ……!?」
照人が爪を光剣で受けるが、アルフはすかさずもう片方の爪を振り下ろしてきた。
身を低くし、その攻撃を躱した照人に再びフェイトが迫る。
「ハァァァッ!!」
フェイトの振るうバルディッシュを照人は光剣で受け止め、そのまま鍔迫り合いに発展する。
やがて鍔迫り合いから二人の攻防へと発展していき、剣戟の音が夜闇の中で響き渡る。
「ハァァァッ!!」
「セヤァァァ!!」
互いに斬り合い、ぶつかり合っては離れ、また斬り合う。
激しい攻防の中、照人が一瞬の隙をついてバルディッシュを弾いた。
「危ない、フェイト!!」
武器を弾かれ体勢を崩したフェイトに照人は光剣を振り下ろすが、そこへアルフが割って入りオレンジ色の
照人の光剣とアルフの盾がぶつかり合い、火花を散らす。
光剣に力を籠める照人にアルフはフォトンランサー・マルチショットを放つ。
「ぐあっ……!!」
至近距離から放たれた魔力弾が直撃し、照人は激しく吹き飛ばされた。
そこへ追い打ちをかけるようにフェイトがバルディッシュを構えて突撃してくる。
(……これでっ!!)
しかし、バルディッシュが照人を両断する直前にフェイトの視界から照人の姿が消える。
次の瞬間、フェイトの持つバルディッシュが柄の部分から切り離され、展開していた魔力刃は霧散した。
「えっ!?」
フェイトの斬撃と躱し背後へ移動すると同時に照人が光剣でバルディッシュを切断したのだ。
そして、フェイトが驚いて動きを止めた隙を突き、照人が背後からバルディッシュを持ったフェイトの腕を掴み上げる。
「もうやめろ。武器も破壊した。これ以上は戦いたくない」
「……」
照人の言葉にフェイトは無言で俯いている。
突如、横合いから青い炎を帯びた魔力弾が飛来した。
「ッ!?」
照人はとっさにフェイトを離し、回避行動をとる。
着弾と同時に爆風が巻き起こり、砂煙が視界を覆う。
魔力弾が飛んできた方を見ると、そこにはフードの男が立っていた。
「ちょっと、フェイトに当たるとこ「この程度の者に手こずるとは、プレシア様に怒られますよ」
アルフが男に向かって声を荒げるが、フードの男はすかさず言葉をかぶせる。
「っ!?」
フェイトは男の言葉の中に出てきた名前を聞いた途端、動揺しながらもバルディッシュを修復し構える。
三対一の状況に持ち込まれたことで圧倒的不利になったことで照人は歯を食いしばる。
照人とアルフ、フェイト、フードの男の四人が睨み合う中、なのはとユーノが後ろから現れる。
「「照くん(照人)!!」」
フェイトはほんの一瞬だけなのはに視線を向けるが、すぐに照人の方を見やる。
「……ジュエルシードは回収しました。帰りましょう」
フェイトはバルディッシュを待機状態へと戻し、背を向けて歩き出す。
アルフは犬狼から人間の姿へと戻ると照人たちを一瞥する。
「バイバイ、次は覚悟しておきなよ~」
「……」
フードの男は言葉を発することなくフェイトに続いていく。
「待って!」
だが、その時、なのはがその背中に問いかけた。
「あの……あなたの名前は?」
フェイトは一瞬、歩みを止める。その問いに反応するかのように、ゆっくりと振り返り、静かな声で答える。
「……フェイト。フェイト・テスタロッサ……ジュエルシードのことは、もう諦めて」
「それは……」
なのはが何かを言おうとする。
だがフェイトはそれ以上答えず、背を向けた。
「わ、私は――!」
なのはが名乗ろうとした瞬間、フェイトは再び動き出し、アルフ、フードの男とともに夜の闇に溶けるように消えていった。
フェイトのことを思い悩むなのはと、それを心配するアリサとすずか。すれ違う想いが交錯する中、街中で再びジュエルシードが発動する。
照人たちとフェイトは、三度目の戦いへと突入。なのはとフェイトの杖が同時にジュエルシードを捉えたその瞬間、まばゆい閃光が結界内を満たしていく。
そして、照人の中に眠る力が、ついに目を覚ます――。
次回「すれ違いと目覚める力」
人の想いを利用して踏みにじったことを後悔しろ!!
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前回投稿したものが一度は投稿したもののなのはとユーノがただただジュエルシードを奪われるだけだったり、原作でのフェイトの名前を開示ができていなかったりなど納得できない箇所が改めてありましたので、削除したのち再投稿させていただきました。
初めは面白くかけているなと思っても後からなんか違うなとなってきて、もう何が面白くて何が面白くないのかわからなくなり、筆が進んだり戻ったりを繰り返していました。これからもこんな調子で書いていくことになると思いますが、よろしくお願いいたします。