小さなプライド、自己を守るための予防線、そういうものをすべて捨てて一生懸命に頑張るナイスネイチャが好きなので、SSを書こうと思い立ちました。
ウマ娘のSSに限らず物語を書いた経験はいままで一回もないので、皆様のお気に召すかはわかりませんが。暖かく見守っていただければ幸いです。
トレセン学園に入学した頃はさ、レースで一着取って、キラキラしたウマ娘になれるかもー なんてさ……。
地元じゃ一番速いウマ娘だったし? 応援してくれる地元の商店街のみんなのためにも頑張って勝とう、頑張れば勝てるって思ってた。
ほんっっと、バカだよねー、あたしって……。井の中の蛙ってヤツ?
地元で一番速かった子たちが集まって競い合うんだから、当然一着なんて取れるはずもなくて、さ……。
トウカイテイオーみたいな圧倒的な才能を目にしちゃったら、とてもじゃないけど勝とうなんて思えなくなっちゃうよねー。
模擬レースでも良いとこまでいって精々三着だし、私なんて所詮大したことないモブウマ娘ですから。優れた素質、って名前が恥ずかしいくらい。
「あっ、そういえば、来週は選抜レースがあるんだった。」
選抜レースのための準備や、レースプランをどうしようかと考えつつ、ネイチャは勝負の世界の過酷さについて思いを巡らせる。
---
ウマ娘にとって、トレセン学園とは、レースに勝ち夢を叶えるための場所である。しかしながら、数多くのウマ娘が夢破れ去っていく場所という側面も持ち合わせている。
これから行われる選抜レースで一着をとれなければ、スカウトを受けられる確率は極めて低くなるし、スカウトを受けられなければデビューできない。
自分は平均以上の才能を持っているとは思っている。しかし、平均以上の才能では一着を取れない。一着を取らなければ意味がない。運良くデビューを果たしても、同様にデビューしたウマ娘とのレースで勝ち残れなければ、活躍することはできない。そうなればいずれは、学園から去ることになる。
---
「ま、地元のみんなとか、商店街のみんなが応援してくれてますし?折角トレセン学園に入ったのに何もできないってのも勿体ないですし?いっちょ、頑張りますか!」
--------------
幼いころは、神童と評され、誰もが将来の成功を疑わなかった。
自分より賢い人間はいないと思っていたし、周囲もそう信じていた。
大学に入学して間もなく、抱いていた幻想はあっけなく崩れ去った。
レベルごとに区分けされて、同じレベルの人間が集められた先で行われるのは、また新しく序列を作ることである。今まですべてにおいて一番であることが当然であった僕は、どれだけ背伸びしてもかなわない才能というものをまじまじと見せつけられた。
世間知らずといえばそれまでなのだが、当時の僕は現実を見つめることに耐えられなかったらしい。気づけば大学を卒業した後、エリート街道から外れトレーナー養成校に入学していた。
トレーナー養成校での生活も終わり、いよいよ卒業の時期である。卒業したトレーナーは担当のウマ娘と契約を結び、トレーニングやレースの予約など担当の身の回りの様々な業務を行うこととなる。
「ああ、そういえば、来週は模擬レースか…。注目株はトウカイテイオーだが、他にも観察する対象を見極めないといけないな…」
模擬レースのスカウトのための資料を整理しつつも、どうして自分はトレーナー業を志してしまったのか、と少しため息をつく。逃げてきた先でも激しい競争の渦中に飛び込むことになるとは。分かっていても思い悩まずにはいられない。
---
ウマ娘にとって、トレーナーとは、レースの予約やトレーニングメニューの管理、事務手続きなどを委託する契約を結んだものである。逆に言えば、それ以外の関係はどのようなものであってもよいということである。
重要なのは、担当のウマ娘がレースで勝つことのみであるから、当然スカウトの際には素質を持ったウマ娘を見極めることが求められる。
一年に一回"模擬レース"が行われるのは、トレーナーが才能を持ったウマ娘をスカウトするためである。模擬レースで一着を取ったウマ娘や成長の素地がみられたウマ娘は数多くのトレーナーからスカウトを受けることとなる。
自分は他のトレーナーと比較して分析力など長けている部分はあると思っているが、原則一人のウマ娘と契約できるのはトレーナー一人だけである。いくら優秀であっても、選ばれなければ何もできない。運よくスカウトに成功したとしても、担当のウマ娘がほかのウマ娘とのレースに勝利するかどうかは別問題である。レースに勝利させられなければ、契約が白紙になってしまうかもしれない。
---
「一回ドロップアウトした自分が、勝負の世界で本当にうまくやっていけるものなのかねぇ…。いずれにせよ、頑張るしかないな…」
初投稿です。ゆっくり更新していきますので、何かありましたらコメント等よろしくお願いいたします。