上記のゲームの要素がそのまま出てくる訳ではありませんが、そこに存在する魔法や世界観などを少し参考にしていったので、楽しんで頂けると幸いです。
魔法王国アルス
様々な人や物が集まる都市で、他の街などに比べ住民や旅人などの魔法使いの比率が高いのはひとえに、様々な物が気軽に手に入り、魔法の研究などをしやすい環境にあるからだろう。
そんな事を考えながら、この街をブラブラと歩く。勿論、お金に余裕がある訳では無いので、しばらくすればギルドへ寄ってお金稼ぎなのだが、それまでの間はこうやって、のんびりと過ごすのも悪く無いだろう。
ゆっくりした時間が流れ、けれど足はあまり前へは進まず。自分自身の足が早く歩く事を拒否しているのか、早歩きしてやる事が無くなるのが嫌なのかはさておき、あまり長い間こうしてられないので、ギルドへ向かう事にする。
「おはようございます」
「はい、おはようございます」
「お、変な魔法使う
「おはよう。これで大体この時間帯のイツメンが集まったかな?」
「そうですね。あの人は先にクエストを受けて出ていきましたし」
ギルドの扉を開けると、時間が早いからかまだ人がまばらで、こんな時間に来る奴は毎度同じ様なメンツなので、この様に声を掛け合うぐらいの仲にはなる。
軽くクエストが貼られている掲示板を見たが、あまり良さそうなのが無いので、灰色のカッターシャツに黒のリボンネクタイ、黒のベストとスカート、そして黒のコートという、ビンテージなゴスロリ調の服とは対称的な、明るく輝くセミロングの金髪を持つ、ギルドマネージャーのナナハに聞く事にする。
「おすすめのクエストとか無い?」
「おすすめですか。少しお待ち下さい」
そう言い、スタッフ専用扉を用いて裏に回った彼女。忙しい昼間なら、裏に回ることなく適当に掲示板から選ぶのだろうが、この時間帯は他に客が来ない事が分かりきっているので、こうして良いクエスト等を譲って貰える可能性が高くなる。
「お待たせしました。これはどうですか」
「巨大化カエルの討伐?」
「魔法実験で失敗して、巨大化してしまったカエルを討伐して欲しいとの事です。カエルを討伐する手間と貰える金額のコストパフォーマンスが高いと判断したんです」
確かに、これがただ巨大化しただけのカエルなら、かなり破格の値段だろう。しかし、裏にあったという事は、何処かに喜んでおすすめ出来ない理由があるのだろう。
まあ、それを理解出来ない人は、わざわざこんな時間帯に来る事が無いだろう。
「わかった、これにするよ。何か対策しておくべき事はある?」
「粘液です。触れた部分が巨大化しようとして膨らんで破裂するらしいので、少しかかっただけでも相当痛いと思うです」
「粘液ね。了解」
紙にさらさらとサインし、クエストを受ける。時間的には余裕があるので、少しゆっくりしてから行く事にする。
***
「アレか」
巨大化したカエルが3匹目的地周辺に居るのが、遠目からでも分かる。
さて、今回の
「うへぇ。まともな攻撃手段が毒だけかぁ」
正直、倒せない事は無いと思うが、苦戦しそうな予感はする。魔法のクールダウンを待っても良いが、次に攻撃魔法が来る保証が無いので、このまま戦うのが無難だろう。
「うっしやるか」
巨大カエルに近づくと、ドラゴン顔負けな咆哮を浴びせられ、彼らが戦闘モードに入った事を認知する。
「っぶない」
右腕スレスレで飛んできた粘液をなんとか避け、反撃に毒を入れてやる。離れた所にいるカエルにも毒を当て、残りは一体だ。
こっちにおびき寄せ、向かって来た所で毒を放ち、見事三体ともに毒を当て、後は時間経過で勝手に死んでくれるだろう。
想像よりもずっと楽なクエストだと感じたが、まだカエルが死ぬまでは油断は出来ない。
…呆気なく死んでしまった。カエルの耳をナイフで取り、それをクエスト達成の印にする。
***
「クエスト達成してきました」
「はい、確認します」
ギルドマネージャーにカエルの耳を入れた袋を渡し、彼女はそれらを確認する。
「確認できましたので、こちら報酬です」
「ありがとうございます」
「いえいえ、いつも裏のクエストを片付けてくれてありがとうございます。こちら、
そう言って彼女は、自分のポケットマネーからチップを報酬の上に置く。
何度か断った事があるのだが、裏のクエストを片付けてくれる人に対して彼女は、こうして追加報酬を払うのを止めなかった。
「いつもありがとうございます」
「気にしないで下さい」
「それではまた明日」
「ええ、また明日」
報酬を受け取り、ギルドを出て自宅へ向かう。何気ない日常。その筈だった。
「火事よー!誰か、消防隊を呼んで来てー!」
水の魔法使いでは無いが、人が居れば助かる事に違い無いと思い、魔法ガチャを引きながらその場へ向かう。使えそうなのは無敵化ぐらいか。どうせなら水魔法を引きたかった。全く、運が良いのか悪いのか分からないな。
とりあえず、消防隊に火事が起きている事を伝える為にサモンバードを使い、鳩を飛ばした。後は時間の問題だ。無敵化を使って、燃えている小さめのホテルへ突っ込んで行く。
「誰か居ますかー!」
返事が無かったので、一つ一つ部屋を
「大丈夫ですか!」
年老いたお爺さんが倒れていた。背中に担ぎ、ホテルの外に行って爺さんを置いて、また家の中へと入る。こんな事を言ったらアレかも知れないが、爺さんは後1時間くらい放置していても大丈夫だろうと私は判断したから、ホテルの外に置いてきた。
残りは後一部屋。ここを探し終えたら直ぐに家に帰って、泥のように眠る事にしよう。そう思い、その部屋を開けると、酷い光景を見た。
焼け焦げた服やアクセサリーを身につけた、赤髪少女が倒れていた。酷い状況だと一目で分かった。そして、助けられそうに無い事も。
もう一回魔法ガチャを引くのは、マナ的に厳しいだろう。今私が使える魔法で、この状況下を脱することが出来そうなのは、
手段を選んでいる暇は無いので、魔法を使う事にする。
「頼むからワイルドサージ*1が起きないでくれよ」
そんな事を思いながら、残り少ないマナを利用するために、口上を言いながら集中力を高めていく。
どうやら魔法は成功しそうだ。早速、最初の命令をしよう。最初の命令は、傭兵化によって対処人物がとる行動の基本になるので、とても重要だ。
「我、アル…マグナの名において、この口上によって君が傭兵になる事をここに宣言する!早速だが最初の命令は…」
ここで息を大きく吸い、次に発する言葉の為に貯めておく。もし次に発する言葉を間違えてしまえば、私が傭兵化を解くまで、それを彼女が守らなければならなくなるので、とても重要だ。
傭兵化の魔法は、少なくと一週間の間は解くことが出来ない為、一週間もの間、私が間違えたせいで彼女に恥をかかせる訳にはいかない。
「生きろ!」
…
「ごふっ」
彼女は一瞬だけ苦しそうな声を出し、また倒れている。しかし、今はもう生きるか死ぬかの瀬戸際という感じはせず、ただ寝ているだけのように見える。
「非力でごめんな」
そう言い、彼女を背中におんぶして、焼け焦げたホテルから脱出した。
どうやら私がホテルを脱した時間と、消防隊が来た時間が一緒だったらしく、消防隊に色々と事情などを聞かたので、適切に答えてその場を去った。
さて、どうしたものかと考えるが、とりあえず家に帰るのが先だと思い、魔法ガチャを引きながら、ゆっくり時間をかけて家へと帰る。
なぜ魔法ガチャを引きながら帰るかは、
***
なんとか家に帰り、彼女を私のベットに寝かした。この家の唯一のベットというだけで、やましい気持ちがある訳では無い。
家に帰るまでの道中でヒールを引けたので、マナが十分に回復したら彼女にヒールしてあげよう。
「んっ。ふわぁー」
いつの間に、そしてどれだけの間かは分からないが、寝ていたようだ。とりあえず顔をあげようとするが、何かによって阻まれた。
少し顔を見上げると、赤髪の少女がその手を私の頭に乗せながら眠っているのが分かる。
何故こんな状況になっているのかは分からなかったが、別に特に急いでいる訳では無いので、そのまま眠る事にした。