魔法ガチャしかできない魔法使いの日常   作:アオイマスタング

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 遂に、放置していたあの子との会話です。


第4話 ブラッドマジシャン

 私はギルドを出て、自宅へと戻る道を歩いていた。しかし、道の途中で少し違和感を感じた。私は違和感の正体を探る為に周囲を見渡すが、違和感の正体を見つけ出すことが出来なかった。

 この辺にある建物は自分の家だけなので、とりあえず一番可能性の高い自宅に向かう事にした。

 

 

 

 ***

 

 

 

 自宅周辺に着いたが、特に自宅が変になっていない事は確認出来た。だとすれば、違和感の正体は必然的に室内という事になる。

 室内の違和感を感じ取れるようになった自分の感覚に疑問を持ちつつ、自宅へと入って行った。

 

 自宅に入っても、違和感の正体を直ぐには見つけられなかった。

 強いて言うなら、置き手紙が何処かに行っており、私が用意したご飯の代わりに、真っ白なお皿があるぐらいだ。

 

 状況を考えると、彼女はご飯を食べて食器を洗い、手紙を持って何処かへ行ったのだろう。

 などと考えていると突然、ヒュンと音が、首元から鳴る。

 

「っな」

 

 それ以上声を出す事が出来なかった。ゆっくりと右手を首元に添えると、血が流れていた。が、思っていたよりも少ない量だったから、多分攻撃主がわざと掠めたのだろう。『お前なんていつでも殺せるんだぞ』という意思表示に違いない。

 

「要件はなんだ?」

 

 だから、私は簡潔に言葉を述べた。どうやら、発声出来なかったのは、傷が深いと自分で思い込んでいたかららしく、その思い込みが解けた今では、こうして普通に声を出す事が出来るという訳だ。

 

「ふうん。意外と早く降りるのね。噂程にも無いやつなのか、それとも噂が独り歩きしてるだけかしら」

 

 私の家の扉は何故か押し戸になっている為、扉の後ろに隠れていたのだろう彼女のその見た目は、昨日助けた少女そのものだった。白をベースにして、まるで血しぶきが舞ったかのように赤色がはいったデザインの服に、子供っぽさの残る短かめのスカートを身に纏い、左胸には水滴のような形に、ナイフが左向きに刺さっている様な形をしたブローチを付けた、いわゆる血の魔法使い(ブラッドマジシャン)のブローチだ。

 

「殺さないんだったら、眠たいから寝たいんだけど」

 

「貴方自由ね!そっちがその気なら!」

 

 そう言い、彼女は再びナイフを私の首元に添えた。彼女はそこから力を込めようとしているみたいだが、何故か出来ない事に対していらついていた。

 

「なんでっ」

 

「…マーシナリー、規約違反、歯向かい」

 

「うぐぁぁぁ!」

 

 彼女はまるで電撃にでも撃たれたかの様に体を動かし、私から離れた。

 

「私に何をしたの!」

 

「火事から助ける為に、マーシナリーを使っただけだよ」

 

「何それ!別にヒールでも良かったじゃない!子供でも覚える汎用魔法よ!なんで使わなかったの!」

 

「まあ、私はコレだしなぁ」

 

 そう言い、私は左胸に付けている、エルダーサインを模したブローチを少し持ち上げてみせる。

 

「何そのブローチ。五芒星に瞳?えーっとたしか…混沌か!混沌の魔法使いなんかに傭兵化されてるのかぁ。ほんと、最悪」

 

 まあ、混沌魔法なんて使ってる人は、私が探した限り、自分自身以外居ないので、知らなくても構わないと思ったのだが、意外と彼女は知っていたようだ。

 

 それにしても、彼女の怒りようは凄いの一言に尽きる。これは私が大罪人として名前と筆跡が割れているから、普通なら助けたお礼なりをするのだろうが、何せ助けて貰った相手が大罪人では、その火事を起こした原因も私という事で自己解釈するだろうし、私も同じような状況に陥ったらその人の事をとことん恨み尽くすだろう。

 

「あーもーむしゃくしゃする!マーシナリーを使うなら、せめて貴方が私よりも強い事を直接見せなさい!」

 

「戦う事自体は別に良いけど、君は良いのかい?」

 

「そうやって時間を稼ごうとしても無駄よ!」

 

「今の私は、ライトスキップにサンダークラウド、ヘビーブラストを持ってるけど、正気か?」

 

 私が対戦相手だったら、その並びを聞いて卒倒するだろう。何故なら、3つとも上級魔法の中でも、特に高い効果を誇る魔法であり、その魔法に適性を示したのならば一度は憧れるような魔法を持って居るような相手が居るのなら、私は為す術もなくやられるだろう。

 

「うっ。は、ハッタリかも知れないじゃない」

 

「…えいっ」

 

 私は隙を見つけ、彼女の首元に手刀を叩き込み、ノックアウトさせる事に成功する。

 明日になれば、また新しく混沌の流儀を使わなければならず、しかも良い魔法が出た次の日は、大抵しょぼい魔法しか出ない為、彼女にとても有利な戦闘になるだろう。

 まあ、彼女の魔法を一発でも当たれば、全身の穴という穴から血が発生するという、スプラッタな状況になってしまいかねないので、モンスターを倒した数で勝負するのが妥当だろう。

 

 とりあえず私は、次に起きた時には準備ができている様に、得意では無いがマナポーションを飲み、彼女をベットに置いて私はソファに寝る事にした。

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