「で?結局、貴方はなんで大罪人やってるの?それに、なんで警備は貴方の事を捕まえようとしないの?」
やっぱり無理だったか。ホワイトメイジスは正義感がとても強いと聞くから、苦し紛れの言い逃れはさせて貰えないようだ。
仕方無い。彼女に教える必要性などまったく無いが、この状況を脱するにはあそこに連れて行くのが一番だろう。
「はぁ…分かったよ。とある場所に連れてくから、それまでは大人しくしててよ」
「どこなの?」
「アルス王国から離れた所にある監獄だよ」
「監獄?」
***
「おはようございます」
「おはよう。といってももう夕暮れだがな。ところで、急に用事とは、何があったんだ?マグナ様」
そういう彼の名前はゲルトで、この国の中央付近の警備を行っている大ベテランで、上に立てるような能力を持っていながらも、あえてずっと自らが体を動かして国を守る姿から、国民の人に一番顔を覚えられているといっても過言では無いような人なのだ。
そのような人でも私の活動に協力的で、一番動く事になる私に対して様と付ける程、謙遜的な人物なのだ。
因みに、私のマグナとしての活動を知っているのは極わずかな警備の人達のみなので、下っ端などは普通に私の事を追ってくる。
「あそこに居るやつに中を見せてやりたいんだ」
「あの壁に隠れている子ですかな?はて…どこかで会ったような気がするぞい」
「ああ、あの子は
「成程。てっきり、説明が面倒くさくなったのかと思ったわい」
「それに、そろそろ顔を出さないとナニされるか分かったもんじゃないからね」
「それもそうじゃのう。あの子はマグナ様に対してゾッコンじゃからのう」
「ははは、冗談だったらどれ程良かったか」
いわゆる、ヤンデレとかいう奴に近いのだろう。私が女子の近くに居るだけでも鋭い目線を送ってくるような奴なのだ。
「まあ、そういう事なら、護衛としてわしもいこうかの」
「助かる。ところで、私達はもう行くけど、ずっとそこに居るつもりなのか?」
「容疑がまだ晴れて無いから、迂闊に近づかないようにしているだけよ!」
彼女の言葉には棘があったが、触れるもの全てを痛めつけるような感じでは無く、どこか優しさを感じた。
「そういえばまだ名前聞いて無かったね。名前は?」
「誰が大罪人に教えるものですか」
「確か…トネリコとか言わんかったっけ」
「トリアーネ、ね。全然違うじゃない」
「こいつ今自分で言ったぞ」
「あ…」
彼女…もといトリアーネ。長いのでトリアと呼ぶが、トリアはやってしまったといった感じで口を手で抑えている。
「で?結局、付いて来るの?来ないの?どっち?」
「付いてくわよ。ここまで来て引き返すわけにも行かないもの」
「分かった。じゃあ、一つだけ約束してくれ。これから行く所で目にしたり、聞いたりした事は、女神達とwmgs達には伝えないってね」
「wmgsは分かるけど、なんで女神にも?」
「まあ、それは私の完全な自己都合だから気にしないで」
「もう夕日も暮れてきましたな。早く入って早く帰れる方が、お互いに良いのでは無いかの?」
「なら、早く済ませますか」
この監獄は外から見れば豪邸や館の様な見た目をしているが、その内部を知るものは極めてわずかだ。
私は警備の人から扉の鍵をもらい、早速扉を開ける。
因みに、トリアーネの名前の元は、医療用語のトリアージです。
血の魔法使いなので、医療用語から名前っぽいのを使いたかったのが1番の理由です。