形ないもの   作:如月の夢

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久しぶりにこのアカウント動かしました。
というよりものすごく久しぶりに小説書きました…
相変わらずの文章ベタに心折れる…


再開

運命とい言葉に対して俺が感じる感情は大抵の場合負の感情である。

大抵避けられないものというのはいいことでは無い。

その場で誤魔化したり先延ばしにするなどして回避しようとはするが、必ずと言っていいほど再び目の前に現れる。

回避したはずの死亡フラグが因果関係を理由に別の形となって現れるかの如く、避けられるものでは無い。

運命といえば人との出会いなんかにも必ず使われる

やれ運命の人と出会うには、運命の人の見分け方やらことごとく使われている。

そんな簡単に使われる運命という言葉だが、その言葉とは果たしてどれくらいの価値があるのだろうか。

例えば運命を呪った登場人物のいる作品があったとしよう。

そういった作品の多くはそういったキャラクター自身やほかのキャラクターたちによって’運命なんて’とことごとく変えていくではないか。

そんなご都合主義の如く変動していくものが運命だとするのならば、そんなものに価値などあるのだろうか。

少なくとも俺はそんなものに価値は感じないし、気にする理由もわからない。

メルヘンチック、またはロマンチストな彼らが勝手に使っていればいいともう。

それに現実の本当の運命なんてものはそう簡単に変えれないものであるから。

 

とある日の午後、俺は部活動の時間に読むための新刊を買いに街中の書店へと出向いていた。

三年にもなり、部活動というよりは受験勉強の場となった奉仕部は日々雪ノ下のため息の溜まり場と化していた。

その理由は明白で、もとより学業に何ら問題の無い雪ノ下本人は自分自身の勉強より由比ヶ浜の勉強へと熱をっ向けていた。

受験しようとしている大学のレベルからしていくら雪ノ下といえど時間がもったいないのではないかと一度聞いては見たが

「昔から、覚えて半人前教えることができて一人前という考え方があるのよ。」

とのことだった。

自分なりの解釈で理解するということより他人に理解させるという方が断然難しいそうだ。

より分かりやすく、そして覚えやすくそういった説明の工夫を凝らせば凝らすほどより自分も身につくといった話らしい。

実際、由比ヶ浜に解説に耳を傾けてみたがこれが不思議なぐらいに分かりやすい。

勉強というのは積み重ねるからこそ理解ができるというのは通例であり常識といってもいいだろう。

特に理数系の教科となれば大前提をしっかり理解していないと細分化した分野では理解が及ばない範囲という物は当然出てくる。

だが雪ノ下の説明ではその大前提すらも容易に説明するため、一つの分野を勉強しているもののしっかりと教科全体の勉強へと通じている。

さすがとしか言えないその光景を横に俺は読書をしている。

奉仕部で勉強することももちろんあるのだが自分なりのルーティーンがあるので部活の時間は読書をすることが多い。

書店に着き、真っ先に新刊コーナーへ向かった俺は棚にきれいに並べられた本を順番にタイトルを追っては気になったものを取り出していく。

もちろんすべて買うわけではなく、値段や表紙から感じる雰囲気などで最終決定をする。

そんな作業の中ふと横から手が伸びてきたことに気が付き横にそれる。

「あ、すいません。ありがとうございます。」

俺がよけたことに対してお礼の言葉を述べた声は、高さからして女性の物だろう。

どこかで聞いたことのある気がしたその声の主を横目で伺おうとしたとき偶然目が合ってしまった。

「「………………」」

目が合いお互い無言になる。

別に特別驚く出会いがあったわけではない。

こういったとき

〇〇じゃん!こんなところで奇遇だね。みたいな会話を繰り広げることができる人間を俺は遠い存在だと思う。

大抵、俺を認知していて俺にいい感情を持っている人間がいないためスルーされるか逃げられるかのどっちかであるからだ。

 

「あー、えっと…」

 

ましてや気になる男子にうまいように利用され、怒られることになった原因となればなおのこといい思い出ではないのだろう。

 

「うっす…」

「久しぶり?なのかな?」

 

仲町千佳…折本の現学友であり、俺に恨みを持っていてもおかしく無い人間の一人であった。

 

「えっと…あの時はごめん。」

 

彼女はいったい何に謝っているのだろうか。

あの時の俺への扱いなのか、その後に起こったあいつによる説教なのか。

 

「何に謝ってるかわからん。少なくとも俺は仲町さんに謝られるようなことをされた覚えはない。」

 

我ながらに冷たい言葉が出てしまったと思う。

だがこれは事実だ。

あの時のことは葉山が’勝手にしたこと’に過ぎない。

俺への扱いは至極当然で何ら間違ったことはしていないし、何なら’そうなること’すらあの男にとっては想定通りのことだったのだろうから。

 

「いや、でもあの日はほら…ちょっと調子に乗っちゃったじゃない?」

「…まぁ、謝罪は受け取とるからもう気にしなくていい。葉山はああ言ったが、別に俺自身が傷ついたつもりは無い。

だからその…早めに忘れてくれるとありがたい。」

 

そう、被害者が気にしていないとなれば傷付けたという事実も無くなる。

実際、友人間でその場のノリでいじるとかよくあることなんだろう。

友人がいた事ないから知らないけど、実際に見たことは何度もある。

ならば過去に俺を揶揄していた人間たちは俺の友達だったんだろうか。

一瞬そんな血迷った考えが浮かぶがそれは無いだろうと早々に結論付け、考えを振り払うように頭を振った。

 

「…ありがとう」

 

意図の分からない謝罪の次は感謝の言葉を述べる仲町さんを横目に、俺は再び本の棚へと視線を戻すことにした。

 

「比企谷くんはなんの本を見に来たの?」

 

どうやら離れる気は無いらしい。

まぁ、向こうも大方新刊を探しに来たのだろうから1冊も手に取っていない以上帰ることは無いだろう。

俺は部活の時用の本とだけ答えちょうど目に止まった本を取り出す。

その動作を目で追っていたのか仲町さんは少し驚いた表情をした。

 

「比企谷くんって純文学読めるんだね。」

「別にオタクだからとて、ラノベや同人誌とかしか読まないとは限らんだろ。」

 

まぁ、それしか読まないやつもいるだろうし、なんなら知ってる。

 

「あ、言い方が悪かったよ。別に偏見を持って言ったつもりはなかったの。

純文学ってほら割と難しいとこあるでしょ?

芸能人が自分語りで書くような本は親しみ深くて読みやすいけど、頭を使って読むって言うかなんて言うか…」

 

それはそうだ、大衆受けを前提に企画されている本は読んでもらいたい年齢層に応じて言葉の使い方や起承転結に違いが出てくる。

あと話の傾向な、プリティでキュアキュアなあの番組で昼ドラ並のドロドロしたものを見せられてもたまらないし。

 

「まぁ、だからこそテストとかそういうので使われるんだがな」

「まぁ、そういうことだよねぇ…私も読まなきゃなぁ」

「……」

「あ、意外だなって思ってるでしょ」

「すまん。」

 

あの折本と友達をやっていられるような人物だ、同じくらい適当な人間のような印象を受けていたが、あの時だって今だって人の言葉をしっかり受け反省する様子を思い出すにかなりしっかりした子なのだろう。

 

「でも確かに、普段本なんて読まないし今日だって雑誌を見に来ただけだしね…」

「まぁ、今どきってやつを抑えたいなら必要な行動なんだろ。」

 

結局の社会で周りと協調して生きて上では知識ばかりつけるより、今何が流行っていて何をするべきかという情報の方が確実に役に立つ。

知識は覚えなくてもその場で調べれば処理できる事がほとんどだ。

逆に流行なんかは常に追っていなければついて行くことなんて決してできないのだろう。

 

「比企谷くんにとってはこういう雑誌、嫌いそうだけどね…」

 

そう言って手に取った本にはでかでかと

『最新の流行ファッションで出かけよう』

なんて見出しが書かれていた

 

「まぁなんて言うか、読んでて不快つうか頭クラクラするっつか」

「なんで活字酔いみたいな反応してるの…」

「活字酔いっていうか苦手意識が働いて拒絶してるって感じだな」

「まぁ、購読者の私もちょっと冷静になれば薄っぺらいなぁとは思うけどねぇ」

「薄っぺらい、か…」

「なんて言うのかな言葉の重さってやつかな、例えばだけどそういう本に書かれている運命って言葉とこの雑誌じゃぁ全然違うわけじゃない?」

 

比べるのことすら酷ではないかと思う。

方や何ページにも及ぶ独白の中の運命という単語と、たった一文でまとめられた運命に同じだけの気持ちが籠っているとは思えない。

 

「比企谷くんに関しては、その運命って言葉すら軽々しくて嫌いだ!とか言ってそうだけど」

「……」

「あ、図星でしょ」

「否定はしない。」

 

いやそこは肯定しなよ、と呆れた目を向けてくる仲町さんに感じていたのは並外れた観察眼。

前回を合わせてまだ浅すぎる関係にもかかわらずこうまで言い当ててくるのだから驚きだ

 

「すごいんだな、お前。」

「え?何が?」

「その観察眼だよ」

「あー、これね…かおりといると自然といろんな人を見るからねぇ。

こういう人かな、あー違ったー、みたいなことが多いから割とわかるようにはなってたんだよね」

 

比企谷くんのことは全然わからなかったけど

そう呟く彼女はどこか悔しい表情だった。

その表情は分からなかったことへの後悔なのかはたまた…

 

話を終えた俺たちは各々自分用の本を書い店を出た。

何気なく一緒に行動していることに少し驚きを覚えたが、奉仕部といい最近は一色といることも多いためか自然とペースを合わせられていたようだ。

 

「そうだ比企谷くん。連絡先交換しない?」

 

突然の申し出に俺は疑問を持たざるを得なかった。

なにせ理由がない。

俺たちは互いに関わる理由がない。

高校も違う、部活動だっ違うしましてや趣味なども違うだろう。

互いに連絡を摂る理由が皆目検討がつかない。

 

「交換する理由がない。」

「私そんな理由で断られたの初めてなんだけど…」

「だって連絡先って理由があってあ交換するもんだろ?」

「えー…」

 

面倒な男だなと思われてそうだが、間違ったつもりは無い。

昔、気になる女の子に連絡先を聞こうとした際。

「あー、私には交換する理由がないからやめとくわー」

って断られたしな。

仮に交換してもまとも連絡が来ることなんてなかった。

メール自体が送られてきたことはあったが意味をなさないであろう箇条書きの内容が送られてきたので意味を尋ねたメールを送ったところ

「あ、ごめんメモ代わりにしてたの間違えて送っちゃった」

との事だった。

人の連絡先をメモに使うな。

 

「理由があればいいんでしょ?じゃあ今度勉強教えてよ、そのために連絡するからさ。」

「お前な、そもそも勉強ってのは一人でやった方が……いや、分かった。」

「?そのまま断ると思ったけど、教えてくれるんだね」

「うちの部長様が、人に教えることも勉強になるって言ってたからな」

「もしかしてあの時の?」

「あぁ、黒髪の方」

 

会話も適度にスマホを渡す。

驚かれたが、こっちとしては既にその反応を他の人間から受けている。

 

「見られて困るものとか入ってないよね?」

「いらんこと言うなら返せ」

 

ごめんごめんと謝りながらスマホを操作していく彼女の表情は再開した時にみせた顔と比べ明るい顔をしていた。

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