アルバス・エクレシア逃避行〜大砂界 ゴールド・ゴルゴンダ〜 作:金満で謙虚な壺
『ゴールド・ゴルゴンダ』に潜む、『ホール』をも喰らう巨躯を持つ大蛇、『ゴルゴンダ』。見上げるほどの大きさの『エクスブロウラー』が小さく見える程の、『ホール』と同じ紫のオーラを纏った巨躯。突如として現れた圧倒的な存在に、2人は呆然としてしまう。
「なん……こいつ……」
「船が……!」
しかしそれも束の間、叫び声、そして爆音で我に返る。どうやら仲間が『ゴルゴンダ』に呑まれてしまったらしく、取り戻そうと『ゴルゴンダ』に立ち向かっている。既に『サルガス』たちも『ゴルゴンダ』の方に向かったらしく、周囲にはだれもいない。
「驚いたな……砂漠にはあんなやつがいたのか」
「あれ、仲間が食べられちゃったの……?」
半ば独り言のように、エクレシアが呟く。
「ああ、恐らくな。だがやつらには悪いがこれはチャンスだ。この騒ぎのうちにここを離れよう」
そう言い、アルバスはエクレシアの手を引く。だがエクレシアは『ゴルゴンダ』の方を向いたまま、その場を離れようとしない。
『このままじゃきっと助からないよね、あの人たち』
エクレシアの言わんとすることをわからないほど、アルバスも鈍くはない。短い付き合いではあるが、一緒に旅をしてきた中で彼女がそういった性格であることは理解している。しかしチャンスなことには変わりないので、一応反論を試みる。
「やつらは俺たちのことを敵視しているんだぞ?さっきも最悪、死んでいたかもしれないんだ。……それでも、助けるのか?」
その言葉を聞いたエクレシアは、アルバスの方に向き直り、口を開く。
「助けたい。目の前で困ってる人を見捨てるなんて、私にはできない。……でも、私1人じゃ彼らを助けられない。だから、我儘だけど、アル君の力を貸して欲しい」
真っ直ぐにアルバスの目を見て気持ちを伝えるエクレシア。アルバスの胸中には、もう断るという選択は無かった。彼もまた、この博愛の精神に助けられた者のうちの1人なのだから。
「わかった。力を合わせて、あのでかい蛇を倒そう!」
「うん!」
2人は力強く頷きあい、『ゴルゴンダ』の下に駆けていった。
『ゴルゴンダ』の下では仲間を助けようと、『サルガス』たちが爆撃を繰り返していた。しかし、『エクスブロウラー』の何倍もの巨体には全然効いておらず、逆にあちらが身をよじるだけでこちらは押しつぶされかねない。今はこちらのことを気に止めていないようだが、率直に言って絶望的な状況であった。
「オカシラ!ゼンゼンキイテナイヨ!」
「イッタイドウスレバ……」
『エクスブロウラー』も壊され、もはや打てる手はなかった。撤退するしかない、そう思った矢先に思わぬところから救いの手が差し伸べられる。そう、とっくに逃げたと思っていたあの2人が、声をかけてきたのだった。
「諦めてはダメですよ!私たちも手伝います!」
「一旦協力しろ。食われたやつらを助けるぞ!エクレシア、援護は頼んだ!」
そう言い、アルバスは『ゴルゴンダ』の元に向かって走っていった。状況が理解できず、『サルガス』は残った『エクレシア』に問う。
「ナゼ、タスケニキタンダ?ニゲルコトモデキタハズダ」
彼らに自分たちを助ける理由はない。しかし、エクレシアは笑ってこう答えた。
「困ってる人を見捨てることはできませんよ。そういう時はお互い様です!」
「……ワカッタ。オイマワシタリシテスマナカッタ。チカラヲカシテクレ」
「もちろんです!力を合わせて頑張りましょう!」
エクレシアの善性が彼らの『ドラグマ』への恨みすら超えて、和解へと導いた瞬間だった。
『アルバスの落胤』。原理は不明だが、彼は周囲の物と融合して自身を強化する能力を持つ。
(なにか……なにかないか?)
今のままでは流石に勝ち目はない。辺りを見渡すも、見渡す限り砂の海でおよそ融合素材となりそうなものは見当たらない。『ゴルゴンダ』の方に顔を向けると、『ピード』が動かない『ロッキー』を引きずって逃げようとしていた。だがその歩みは遅く、今にも『ゴルゴンダ』に押しつぶされそうだ。
(くそッ、早くしないと……まて、あいつらの横にあるのってあの船か!)
急いで駆け寄り、一見すると金属の塊にしか見えないものに手を触れる。
「オ、オマエハ……」
(強い力を感じる。これならいける!)
目を閉じ、集中する。体から眩い光が発せられ、それは次第に大きくなり、スクラップとなった『エクスブロウラー』をも飲み込んでいく。
「RRrrrrrrrrr……」
光が収束したその場には、『アルバスの落胤』の姿も『エクスブロウラー』の姿もなかった。そこにいたのは、赤い雷のようなオーラを纏い、金属質の鎧のような強靭な肉体を持つ一頭の竜、『灰燼竜バスタード』だった。
「マズイ!ゴルゴンダガコッチニ!」
「Gyurrrrraaaaaaa!!!!!」
大きな咆哮を上げ、体に力を込める。全身のオーラが右手に収束し、巨大なかぎ爪を形作る。そしてそのかぎ爪で、『ゴルゴンダ』の側頭部を思いっきり切り裂いたのだった。
「Grooooo⁉」
予想だにしなかった衝撃に『ゴルゴンダ』は体勢を崩し、倒れこむ。
「タ、タスカッタ……。アリガトウ」
驚きながらもお礼を述べる『ピード』。『バスタード』は小さく頷き、『ゴルゴンダ』に向き直った。
「烙印の裁き」「烙印の絆」あたりってどういう感じなんでしょうね?