「そう。比企谷君と加蓮さんには、そんな出会いがあったのね」
「まあな」
「そうやって困ってる人に手をさしのべるのは、なかなか出来ないことよ」
「まぁ、加蓮が可愛かったからな」
「もう、八幡たら」
バシバシ叩けないでください。地味に痛いですよ。
「はいはい、暑い暑い」
神谷、ジト目で見るな。
「でも、神谷さんはどう知り合ったのかしら?」
「そこも加蓮経由なんだ」
「過去編、まだ続きます。どうぞ」
「だから、神谷は誰に言ってるんだよ」
「だから、気にしたら負けだ」
………
……
…
ノックをして、返事を確認して扉を開けた。
「よう」
「本当に来てくれたんだ」
「め、迷惑だったか?」
「ううん、そんなことない。嬉しい」
病室のベッドの上で北条は嬉しそうに微笑んだ。
やっべ、超可愛いんですけど。
「?どうかした?」
「いや、北条がそう言ってくれると…」
「私のことは『加蓮』でいいよ」
え?
「だから、『加蓮』て呼んで。Repeat after me『加蓮』」
「か、か、か、加蓮…」
ヤバい、キョドッてしまった。
「ふふっ、なんでそんなに挙動不審になるの?」
「仕方ねぇだろ。小町ぐらいしか、名前で呼んだことねぇんだから」
「…『小町』って誰?」
ん?なんか、ほうじょ…。加蓮からダークなオーラが出た気がする…。
「小町ってのは妹だ」
「そうなんだ」
…気のせいだったか?
「ねぇ、八幡」
「おう。え?」
「名前で、呼んだらダメ?」
そ、そんな上目遣いで見るなよ。惚れちゃうだろ。告白してフラらちゃうだろ。フラれるのかよ。
「ダメじゃないでふ」
「その持ってる花は…」
「あ、これ買ってきたんだけど、花瓶とかあるか?」
「綺麗な花。ありがとう」
「途中に花屋があったからな」
病院に来る途中で見つけた花屋に寄ったことを話す。同じ歳ぐらいの女の子が対応してくれたのと、そこのペットの犬になつかれたことを話した。
「いやぁ、しかし可愛かったな」
「その店の娘、そんなに可愛かったの?」
またダークオーラが…。な、なんでだ?
「い、いや犬だよ。犬が可愛かったってこと」
「そうなんだ」
も、もどった。怖い怖い、あと恐い。
「ど、どれくらい入院しているんだ?」
「そんなに入院しないよ。あ、そうだ」
「ん?」
「退院したら、デートしようよ?」
「デート?」
「うん♪」
「誰と?」
「私と」
「誰が?」
「八幡が」
加蓮と俺がデート?
「いやいや、俺が加蓮みたいな可愛い娘とデートなんて…」
「私とデートは、イヤ?」
「慎んでデートさせていただきます」
涙目で上目遣いなんてコンボは俺には避けることは出来ません。